池上秀志

2018年6月2日5 分

プロロセラピー

皆さんはプロロセラピーという治療方法を聞いたことがありますか?プロロセラピーは主に足底筋膜炎に用いられる治療方法で、痛みのある個所にブドウ糖(デキストロース)と局所麻酔の混合薬を注射することによって局所的な炎症を引き起こす治療方法です。局所麻酔薬を用いることによって、痛みのある個所に直接デキストロースを注射することが出来ます。

 これとほぼ同じ治療法で神経プロロセラピーと呼ばれるものもあり、こちらは足底筋膜の中を通る神経に直接デキストロースを注射する方法です。

 またこれ以外にはプロロジェルというクリームも開発されており、注射を使わずに安全にプロロセラピーを実施することが出来ます。私はまだ試したことがありませんが、インターネット上の評判は上々で、実際現在在庫切れで、注文だけ済ませたものの7月中旬から下旬の発送とのことです。

 さて、問題は何故痛みのあるところにわざわざ炎症を起こすのかということですが、炎症には二種類あるというのは私のブログで何度も書いてある通りです。念のためにもう一度書いておきますが、一般的に言われる炎症は腫れ、熱感、発熱、鋭い痛みを伴う急性的な炎症で、もう一つはこれら古典的な炎症の兆候を共わない低度で慢性的な炎症です。アルツハイマー、関節炎、リュウマチ、がん、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などの進行性の病気の原因ともなっています。

この低度で慢性的な炎症は治癒過程を促進しないだけでなく、がんの場合には増殖していきます。そして、この低度で慢性的な炎症が起きている場合には、必ず局所貧血が起きています。もしくは物凄く小さな血栓が出来ていると思っていただいても構いません。局所貧血が起きているということは局所的に酸欠が起きているということです。

この辺りが人体の神秘的なところですが、慢性的な故障も細胞一つ一つのレベルで見れば、酸欠状態で如何にして生き残り、細胞を複製するかという生き残りをかけた生存戦略の一つです。要するに、私にとっては不快である慢性的な足底筋膜炎も細胞レベルで見れば、それが正常そのものであり、生き残りのための進化なのです。

話を元に戻しますが、この局所貧血が起きているところでは免疫細胞の死骸が除去されず、局所貧血による細胞の正常な生まれ変わりがなされていないなどの問題があります。理論上は、ここに急性的な炎症を起こせば、血液とともに多量の免疫細胞と酸素が流れ込み、細胞の死骸を除去し、細胞の正常なプログラム死を引き起こすことが出来るはずです。

痛みのある個所に直接局所貧血が起きているとは限りません。例えば足底筋膜炎の場合、ふくらはぎのどこかに局所貧血が起きている可能性が高く、場合によってはハムストリングスや臀部からブロックされている可能性もあります。

 この考え方を鍼治療や指圧に応用することも出来ます。但し、強刺激でなければいけません。治療後に痛みが残り、治療を受ける側は激しい苦痛を感じるようなレベルでなければいけません。私は一度ケニアでアモス・チェビイという体重110㎏くらいのマッサージ師の治療で一時的に痛みが消えたことがありますが、この時にも強刺激のマッサージを受けました。現地の部族の言葉で「ムイテ(痛みを楽しめ)」という言葉があるのですが(なんでこんな単語があるのでしょうか)、「ムイテ、ムイテ」と絶叫しながら治療を受けてました。

治療を受けた後はかなり発赤と熱感があり、アモスさんが皆に向かって「おい、こいつの足でホットケーキが焼けるぜ」と言って笑っていたのを思い出します。先述したように、これは急性期の炎症のサインです。

 残念ながら、的確な場所に強い刺激を加えることが出来る施術者はほとんどいません。施術者の側としても、商売でやっている以上この治療方法は不評の原因になるリスクが高すぎるのだと思います。私は自分でやることにしています。

 鍼治療でも同様のことが出来ます。しかしこれも、強刺激の鍼をやってくれるところはあまりありません。これも私は自分で鍼をうっています。

 この治療方法は急性期に行うと症状を悪化させるリスクもありますし、この治療方法が上手くいけば痛みは一時的に強くなります(但し、以前の痛みとは違うはずです。痛みの強さの問題ではなく、痛みの種類が変わっているはずです)。ですので、自分の体とトレーニングプログラムと相談しながらやってください。

 私の場合は、デュッセルドルフマラソンの前には新しい治療方法も強刺激の治療方法もやりませんでした。コルチゾン注射のような副作用があるものも、絶対に避けました。あまりにもリスクが大きかったからです。

 デュッセルドルフマラソンの後にはコーチと話し合って、100%治療に専念しようという結論になり、そこから強刺激の治療と弱刺激の治療を自分の感覚に従って組み合わせました。初めは普通に歩くことも出来なかったので、トレーニングは健康のための体幹トレーニングをしていただけです。

 自分自身の経験から慢性的で変化が見られない故障の治療には、急性的な炎症をわざと引き起こす手法が有効であると断言できます。但し、自己責任の下で以下の原則だけは必ず守ってください。

  • 治療的手段以外で炎症を起こさない。例えば、ランニングによって傷ついたアキレス腱炎がランニングによる炎症で治癒することはない

  • 必ず、体の声に耳を傾けること。治療後は痛みが一時的に増すはずですがそれは走っているときの痛みとは違うはずです。変化のない慢性的な故障に必ず変化が起きるはずです(私の場合は、何かが流れるような感覚がします)。また、治癒過程に必要な炎症であったとしても、練習に支障は出ます。練習を続けながら、治療をする場合にはトレーニングプログラムとも相談しながらやってください。基本的に体はランニングによって引き起こされるダメージとこの治療によるダメージの両方に同時に対処することは出来ません。

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