池上秀志

2022年11月24日7 分

マラソン6週間前から1週間前のトレーニング

あなたはマラソン6週間前から1週間前はどのような練習を組んでいますか?

 この時期は最後の追い込み練習から調整へと入っていく時期となっていきます。今回はこの時期のライオンズの選手の練習をお届けさせて頂きたいと思います。

 その前に、ライオンズのムクハナ・エドナ選手が11月20日にガボンで開催されたクラスメントマラソンに出場し2時間49分06秒で4位に入りましたので、報告させて頂きます。優勝タイムは2時間48分49秒で5位が2時間49分10秒と100mの間にひしめき合っています。

 どうやら、コースがきつい上に気温が高く、牽制し合いスローペースになったそうです。ちなみにですが、ガボンという国がどこにあるのかご存知でしょうか?

 私も中学校の時に地図帳で見て以来の記憶だったので、もう一度見てみると赤道直下でアフリカ大陸の西の端にあるのが、ガボンでした。赤道直下で東の端にあるのがケニアです。

今更ですが、これだけ多くの国があって第二次世界大戦時に独立していたのが、エチオピアだけ(南アフリカはどうでしたっけ?)っていうのは凄いことですね。

 話をマラソンに戻しますと、アフリカやアジアでは大会の規模を大きくしようと画策している進行レースはちょくちょくあります。そういうレースディレクターは手っ取り早い方法としてケニア人マネージャーやエチオピア人マネージャーに連絡を取ります。そして、マネージャーの方から選手と話をして、話がまとまればレースに送るという具合になっています。

 日本の場合は、かなり特殊で学生スポーツが盛んであるうえに、市民マラソンが日本全国に五万とあり、更に実業団はたいていの場合、契約形態は正社員です。契約社員の場合もありますが、いずれにしても社員の一人ということで、マネージャー業というのはあまりありません。

 どこのチームにもマネージャーさんはいるのですが、レースディレクターと選手の間に入ったり、選手とスポンサーの間に入って交渉することはあまりありません。日本人選手が海外のレースに出る時には、そういうパイプをもっている日本人の方がいて、各実業団チームからその交渉人に連絡をして、別途交渉してもらうというようなまどろっこしい流れになっています。

 日本人は大半英語が話せない上に、国内にレースがたくさんあり、お金は会社から月々給料をもらっており、必要経費は全て会社が出すので、お金でレースを選ぶ必要もありません。

 ですが、ケニアの場合は小金を稼ぎたい選手、海外レースに出たい選手(ケニア国内は標高が高い)、そして大会のレベルを上げていきたいレースディレクターの思惑が一致するので、今回のような機会があります。


 
 今回スタンダードチャータードマラソンの後ということもあり、更にカカガメマラソンに3選手を出場させることが決まっており、エドナ選手を派遣することにしました。とりあえず、現状としてはレースを経験しておけばそれで良いと思います。


 
 さて、現在スタンダードチャータードマラソン組は休養期で、スタンダードチャータードマラソンで10キロやハーフマラソンに出場した選手はクロスカントリーに向けて準備をしています。そして、11月26日のカカガメマラソンに女子三選手が出場するので、マラソン組はその3人がメインです。


 
 それでは、10月17日から11月20日までのカカガメマラソン組の練習をご覧ください。


 
10月17日月曜日

早朝-16km低強度走

午後-10kmジョギング


 

10月18日火曜日

午前-スピードワーク 400x10@75 sec

午後-8kmシェイクアウト


 

10月19日水曜日

早朝-16km低強度走

午後-8kmジョギング


 

10月20日木曜日

午前-ファルトレク10分x1 リカバリー3分+1分/1分x15

午後-8kmシェイクアウト


 

10月21日金曜日

早朝-16km低強度走

午後-8kmジョギング


 

10月22日土曜日

早朝-30km走


 

10月23日日曜日

完全休養


 

10月24日月曜日

早朝-18km低強度走

午後-10kmジョギング


 

10月25日火曜日

午前-スピードワーク 100mx10本

午後-8kmジョギング


 

10月26日水曜日

早朝-18km低強度走

午後-10kmジョギング


 

10月27日木曜日

午前-ファルトレク 2分/1分x13本

午後-8kmシェイクアウト


 

10月28日金曜日

18km加速走 @4.00


 

10月29日土曜日

3kmウォーミングアップ 25km走@3.50


 

10月30日日曜日

完全休養


 

11月31日月曜日

早朝 18キロ低強度走

午後 10キ低強度走


 

11月1日火曜日

午前 スピードワーク 300m25本55秒、つなぎ1分

午後 8キロジョギング


 

11月2日水曜日

早朝 18キロ低強度走

午後 8キロジョギング


 

11月3日木曜日

午前 ファルトレク3分速く1分ゆっくり10本

午後 10キロジョギング


 

11月4日金曜日

早朝 18キロ低強度走

午後 10キロジョギング


 

11月5日土曜日

35キロ走 平均3:50/k


 

11月6日日曜日

完全休養


 

11月7日月曜日

早朝-18km低強度走

午後-10kmジョギング


 

11月8日火曜日

午前- スピードワーク600mx10本@1.55 繋ぎ30秒 400x10本@74秒

午後- 8kmジョギング


 

11月9日水曜日

早朝-18km低強度走

午後-10kmジョギング


 

11月10日木曜日

午前- ファルトレク 2分/1分x12本

午後- 8kmジョギング


 

11月11日金曜日

早朝- 18km加速走 @1キロ4分ペース

午後- 8kmジョギング


 

11月12日土曜日

早朝- 3kmウォーミングアップ+25km@3:40/km+3kmクーリングダウン


 

11月13日日曜日

完全休養


 

11月14日月曜日

早朝- 16km低強度走

午後- 10km 低強度走


 

11月15日火曜日

午前- スピードワーク 400x12@72秒 リカバリー30秒

(75,75,72,71,70,71,72,72,72,69,72,71)

午後-8kmジョギング


 

11月16日水曜日

早朝- 16 km低強度走

午後-10km 低強度走


 

11月17日木曜日

午前 -ファルトレク 1分速く1分ゆっくりx15本

午後-8kmジョギング


 

11月18日金曜日

早朝- 15 km低強度走

午後-8km 低強度走


 

11月19日土曜日

早朝- テンポ走20km@3:35/km


 

11月20日日曜日

完全休養


 

 女子にしてはかなりスピードワークのタイムが速いです。マラソン前なのに、かなりスピード重視の練習と言えるかもしれません。ただ、スピード重視というよりは基礎重視という言い方をした方が正確かもしれません。

 以前の記事でも書かせて頂きましたが、低強度走もそこそこのペースで走っています。1キロ4分20秒から10秒くらいのタイムで走っており、しかも起伏のあるコースでの練習です。総走行距離はそこまで多くありませんし、距離走の距離も正直多くないです。

 そういう意味では、伝統的な日本のマラソン練習のように月間走行距離が何キロとか40キロ走を何本やったとかそういう枠組みには当てはまりません。

 ただ、継続的にそこそこのペースの持久走を起伏のあるコースで取り組み、さらにはショートインターバルの質も高いので基礎持久と基礎スピードは何年にもわたって養われていきます。これだけで本当に望む結果が残せるかと言うとそれは不十分だと思いますし、実際に結果が出ている選手の多くがヨーロッパのコーチについてもっと構造立ててマラソントレーニングに取り組んでいます。

 あるいはそういった選手と一緒に練習をしています。ただ、基礎練習をしてそれで非常に良い結果が出ることはあっても、基礎をすっ飛ばして結果を出す人はいません。


 
 『夏場のトレーニング論』をお読みいただき、夏場にレペティショントレーニングや20キロ以内の中強度の持久走を夏場にしっかりとやって、秋以降好結果を出している方もたくさんいらっしゃいますが、それと同じ現象です。


 
 もうすでに、ロードレース、マラソンシーズンに入っているので、今からトレーニング内容を変えるわけにはいきませんが、どこかで一区切りしたら来シーズンからのトレーニングにおいては、ちょっとライオンズの選手的な要素も入れてよいのではないかなと思います。


 
 何よりもおススメポイントは基礎練習は誰でも出来ることです。


 
 いきなり、練習で30キロを2時間ちょうどで出来ないとサブエガは出来ないと言われても、無理な人には無理ですが、基礎から積み重ねていくことは比較的誰でも出来ます。そんな訳で、今の間にどういう練習をしているのかつぶさに観察して下さい。


 
 ちなみに私は今回、最後の距離走をどこに持ってくるのかなと見ていたのですが、3週間前に35キロ走を入れて、そこからは距離は落として全て30キロ未満の練習になっているようです。


 
 最後に1点お知らせです。


 
 これからどんどんレースが続いており、連戦になっている方も多いと思います。昨日レースとレースの間の練習計画の組み立て方に関する講義動画をオンラインに公開させて頂きましたので、まだご確認いただいていない方は是非こちらをクリックして詳細をご確認ください。

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