池上秀志

1月25日17 分

練習を軽くすると疲れが出て走れなくなることがあるたった一つの理由

 あなたは調子をあげようと練習を軽くしたら、かえって疲れが出てきて走れなくなったという経験はないでしょうか。

 しっかり練習もできたし、あとは疲労を抜いてレースに出るだけだと思って練習を軽くしてから、かえって状態が下降してレース当日は練習の半分の力も出せない惨憺たる結果に終わってしまったということはないでしょうか。ご心配なさらないでください。そんなふうになってしまうのは、あなただけではありません。

 ここから書いていくことはだいぶというかほとんど私の仮説です。

 しかし、何度も考えてみましたが、正しいように思います。という訳で、同じような説明の仕方をしている人は見たことがないのですが、以下私の信ずるままに分かりやすく解説させて頂きます。

 あなたは交感神経と副交感神経という言葉を少なくとも一度は聞いたことがあるでしょう。別名では動物神経と植物神経とも言います。この二つの神経は大雑把に言えば、頑張るときに使う神経と休む時に必要な神経です。交感神経は頑張るときに必要な神経で、副交感神経は休む時に必要な神経です。

 人の性格を表すときに、おっとりしていて普通の人間なら緊張して上がってしまうような場面でも、何事もなく行って帰ってくる人間のことを「あの人は副交感神経優位」などと言いますが、それはこういうところからも来ているのでしょう。

 この交感神経と副交感神経は表裏一体で、どちらも非常に重要な働きをしています。言うまでもなく、頑張るときには頑張れないと困りますよね。重要な商談の時、昇進をかけた試験の時、好きな異性に告白するとき、レースの時、重要な局面においては最大限のパフォーマンスを発揮したいところです。こういう時には、交感神経優位でなければ困ります。

 そして、人間は交感神経優位の時には苦しさや痛さを感じにくくなるという性質をもっています。私自身にも様々な経験があるのですが、一番直近の例を出しましょう。先日の30キロ走の時、私は走っているときに局部に若干の違和感を感じました。

 走りながら、性病になるようなことはしていないのにおかしいなと思いながら走っていました。しかし、そんな違和感もすぐに消えて私は再び走りに集中することが出来ました。

最後の1キロを3分15秒、トータルを1時間46分ちょうどで終えたことを確認すると、しばらく歩きました。

 しかし、走り終わってからまだ2分も経たぬうちに、局部に激痛が走りました。知らない間にハムスターが入ってきて、爪でも当たってるんじゃないかと思うくらいの痛みに驚いて観てみると、流血のメアリもびっくりするくらいの出血でした。

 一瞬生理かなと思って前回の生理を思い出してみましたが、いくら考えても思い出せません。よく考えてみると、生理がないほうの性に生まれています。

 走っていてボールの方が擦れるタマずれはよくあるのですが、まさかのバットずれになった訳です。

 どうやら、ロングタイツの結び目がパンツの中に入って当たっていたようです。そこから家までクーリングダウンで帰ったのですが、ジョギング程度でも走っているときはバットがこんなにも揺れているとは16年間走ってみて初めて気づきました。激痛で家に帰るまでの1キロが長く感じられました。

 しかし、走り終わった時点で血まみれになっていたのだから、30キロ走の時も血まみれだったはずです。しかも、ペースもはるかに速いわけですから、当然局部はもっと激しくすれていたはずです。

 にもかかわらず、走っているときはほぼ痛みを感じなかったんです。ところが、走り終わった途端に激痛が生じました。これは交感神経の働きがおさえられたからです。

 このように書くと多くの方が「アドレナリンが出てるから」とおっしゃるのですが、アドレナリンは交感神経が活発に働いているときに分泌されている1つのホルモンにすぎません。

 アドレナリンは日本語では「副腎皮質刺激ホルモン」と呼ばれ、副腎皮質から様々なホルモンを分泌するのを促すホルモンであり、アドレナリン自体には痛覚閾値を高めるような作用はありません。痛みを感じにくくさせるのは、ベータエンドルフィンと呼ばれるホルモンで、ベータエンドルフィンは一説には、モルヒネに匹敵するくらいの鎮痛作用があるそうです。

 人間の体というのは本当に良くできているなと感心します。組織の損傷から体を守るには苦しいとか痛いという知覚は絶対に必要です。

 そうでなければ、私のようなバカは過労死するまで走るかもしれません。

 しかし、戦場やライオン、トラに追いかけられているなどの緊急時には、組織が損傷を起こしていたとしてもその中でベストが尽くせる状態になっていなければいけません。

 確かに、骨折している腕でスポーツをすることは、長い人生で考えればマイナスなのかもしれません。

 しかし、だからといってトラやライオンに追いかけられているときに走ることをやめれば、明日は来ません。

 話を分かりやすくするために痛みの話をしましたが、痛みだけではなく、疲労も感じにくくなっていますし、実際に心拍数は上がり、血糖値もあがり、血圧も上がり、頑張るときに必要なあらゆる生理反応が引き起こされます。

 ですから、頑張っているときというのは意外と疲れを感じないものです。毎日お仕事を頑張っておられる方は「毎日頑張っているからしんどい」とおっしゃるかもしれませんが、私が言っているのは頑張っているまさにその時です。

 重要なプレゼンの時や商談の時、インストラクターや治療家の方などまさにお客様の相手をしているときは、疲れを感じている暇などないのではないでしょうか。インターバルの時もそうです。

 確かにインターバルをしているときは苦しいです。

 しかし、安静時からは考えられないほどハードなことをやっていないでしょうか。日常生活では駅まで2キロ走るのも疲れるなあと思いますが、集中したら20キロを70分くらいであれば、それほどキツイとも思わずに走り切ってしまいます。

 しかし、終わったら「疲れたな」と思います。

 ちなみにですが、集中しきれていないときの練習ってきつくないですか?

 なんか調子が良い時の練習ってそこまできつくないように思うのは私だけでしょうか?

 体の状態が良いから、練習が楽っていうそういう話ではないんです。心の状態が良いと、練習にすっと入っていけるので、あまりきついと感じないです。ちょっと矛盾のある表現になりますが、楽に追い込める感じです。体はきついんですけど、その状態にすっと持っていけるので、そういう意味では楽なんです。これも交感神経の働きでしょう。

 ここまでの説明だけきくと「交感神経って素晴らしいじゃないか!交感神経をどんどん活発にすれば苦しさを感じないのか!」と思われるかもしれません。

 経営者の中には「素晴らしい!交感神経を活発にすることが出来れば、どんどん社員を企業戦士に変えられるじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、それは浅はかというものです。

 交感神経の働きは本当に頑張るときの為にあるのです。確かに、交感神経が活発であれば、局部が血まみれになっていてもそのまま痛みをほとんど感じずに走ることが出来ます。

 しかし、だからと言って局部から出血しっぱなしで良いということにはならないでしょう。やはり負荷をかけたら、組織が完全に回復するまで待たねばなりません。また、超回復の原理にしたがえば、完全に回復するだけでは不十分で、超回復させなければいけません。

 そこで活躍するのが、副交感神経です。副交感神経は人間の体がしっかりとリカバリーをするために必要な神経なのです。副交感神経が有意に働いているからこそ、深いリカバリー、つまり質の高いリカバリーが得られるのです。

 そして、副交感神経が活発に働いているからこそ、交感神経が高いレベルで働いてくれるのです。

 副交感神経がきちんと働いてくれないとどうなるかというと休んでいるのに疲れが取れないとか、寝ているのに疲れが取れないとか、そもそも眠れないとか寝ても眠りが浅いとかそういうことになってしまいます。良いことは何もありません。

 鬱なんかも結構副交感神経が有意になっていない人に多く起こります。心も休ませてあげないと持たないんです。人間の心には様々な反応があり、一概には言えませんが、通常はやはり疲れてくると正常な判断が出来なくなり、明確な理由もなく悲しみや絶望を感じることが多くなり、希死観念が強くなります。

 少しだけ話がそれますが、交感神経と副交感神経の働きを理解するのに重要なことなので話させてください。実は鬱によく効くのは運動です。

 何故かというと、運動すると交感神経が活発になるからです。交感神経が活発になると自然の摂理として休養が必要になります。

 つまり、副交感神経が有意になるのです。そうするとしっかりと休めます。しっかりと休めると心も回復しやすいのです。鬱にも何段階もあって、病院にいくほどではないけれど憂鬱な気分が続くというものから、通院が必要で時には入院が必要なものまで何段階もあります。

 しかし、病院にいくほどではないけれど、憂鬱な状態が続く程度なら、運動すると元気になることが多いです。また、普段走っている人でも何か嫌なことがあったり、落ち込んだ時は走るとまた元気になるという経験をたくさんされていると思います。

 実は交感神経と副交感神経は表裏一体なのですが、現代人は両方ちょっとずつ使っているということが多々あります。

 例えば、パソコン仕事なんかはその典型です。仕事であれば、一定程度頑張らないといけないし、時にはプレッシャーのかかる決断を求められることもあります。少なくとも、なかなか遊園地にいる時や愛する人と川を眺めているときと同じ気持ちとはいかないでしょう。

 しかし、体は椅子に座っているだけなので、走っているときのように交感神経は活発になりません。

 体を使うとしっかりと交感神経が活発になり、人間である以上遅かれ早かれ疲れてくるので、そんなに長時間の作業は出来ません。

 しかし、現代社会ではちょっとずつ頑張って、交感神経と副交感神経とどっちが優位なのかよく分からないような状態が続きやすいのです。家に帰っても布団に入ってからもずっとスマホを触ったりしていると、休んでるんだか活動しているんだかよく分からない状態が続くことがあります。

 ちなみにですが、私も他人のこと言えたもんじゃありません。パソコン一台あれば、家の中で仕事ができるので、別に朝4時からでも夜11時でも仕事をしようと思えば出来てしまいます。

 おそらく、ホワイトカラーとブルーカラーという概念が出来始めたころは、ブルーカラーは汗水たらして給料はそれほど高くない、ホワイトカラーは楽してたくさんのお金を稼げてうらやましいという感じだったのでしょうが、私なんかはどちらに分類されるのかはよく分かりません。

 汗水たらして農作業や高速道路の建設にあたっている訳でもないのですが、完全に労働型の仕事でどちらかと言えば、ありがたいことにズームコンサルや新しい書籍のリクエストをひっきりなしに頂いているので、休みの日もありません。

 私の場合は趣味で(と言っても実質半分仕事)走っており、体を動かしているので夜になると眠くて仕方なく、仕事にならないのでさっさっと寝ます。

 そして、日の出と共に走って交感神経優位の状態で仕事に入ります。これのおかげで体調がおかしくなることはあまりないのですが、交感神経優位と副交感神経の調和がとれていない現代人は結構多いのではないでしょうか。

 皆さんは走っておられるので大丈夫だと思いますが。

 いずれにしても、本気で頑張りたければ副交感神経優位な時間をきちんと作れなければいけません。

 そして、副交感神経優位の時というのは痛みを感じやすく、疲れも感じやすいのです。同時に気持ちよくなることもあります。一番わかりやすいのはお風呂上りとかでしょうか。お風呂上りは体がポカポカして気持ち良いなと思うのですが、同時に疲れもどっと出てきて、「あーやっと一日が終わったな」という気持ちにならないでしょうか。

 あるいは寝起きもそうです。寝起きもまだ副交感神経が優位なので、疲れを感じやすい時間です。練習が毎日のようにきついときは、朝起きた時から「あーこんな体で今日の練習できるのかな」と一番不安になる時間です。

 しかし、ウォーミングアップをして体を動かしているうちに交感神経優位になってくるので「思ったよりはいけるかな」となってきて、実際にやってみると「なんとか出来た」となっていきます。

 筋肉痛もやはり、朝起きた時が一番きつくて、ウォーミングアップをして体を動かしてあったまってくると痛みを感じにくくなります。もちろん、筋温が上がるからというのもあるのですが、それだけではなく交感神経が活発になるからです。

 しかし、人間の体の中でリカバリーが行われているのは、この疲れが感じやすい時や痛みが感じやすい時なのです。リカバリーが活発に行われているからこそ、体は動かさないために痛みや疲労感を強めるのでしょう。

 本人は不快かもしれませんが、この時に体は深く休まっているのであって、これは絶対に必要なことなのです。

 もっとも、最もリカバリーが活発になっているのは寝ているときなので寝ているときは何も感じないわけですが、そうじゃない時は気だるく、やる気が起きず、痛みを強く感じると思います。

 しかし、その時体は休まっています。

交感神経と副交感神経のメカニズムを調整に活かす

 話の行方が分からなくなってきた方もいらっしゃるかもしれませんが、レースで結果を出すための準備をするためには、交感神経と副交感神経のメカニズムを理解することが大切なのです。

 要するに、こういうことです。一日の中にも交感神経が活発になるときと副交感神経が活発になるときがあります。

 しかし、交感神経と副交感神経のサイクルは1日の中でしかないのでしょうか。そんなことはないでしょう。

 皆さんも毎日毎日仕事をしたり学校に行っているときは「嫌だな。たまには休みたいな」と思うことがあったとしても、意外と当たり前になっていってそれほど疲れを感じないのに、1日2日休むと仕事にいったり学校に行くのがとんでもなくだるくなることがないでしょうか。

 月曜日の朝は憂鬱だという話をよく聞きますが、そうなると常に1週間の中にサイクルがあるはずです。日曜日休みなら、日曜日に完全に副交感神経優位になって、月曜日はまだエンジンがかからず、火曜日くらいからしっかりと交感神経が活発になってきて、仕事を頑張るから金曜日、土曜日はちょっと息切れしてきて交感神経が活発にならなくなってきて、日曜日に完全に副交感神経優位になるみたいなサイクルでしょうか。

 そして、これよりもさらに大きなサイクルがある時もあります。大きなプロジェクトに臨んでいるときとか、東京オリンピックのような期間限定の組織委員会で働いているときや、受験勉強などがそうです。

 そして、こういった大きなプロジェクトや試験、イベントなどが終わるとそれまではほとんど感じていなかった疲れを一気に感じることはないでしょうか。

 明日のジョーではないですが「燃え尽きだぜ・・・真っ白にな・・・」ということが人生で何度かなかったでしょうか。私はあります。

 要するに、交感神経と副交感神経のサイクルは何も一日だけの中にあるのではないのです。

 そして、神経というのは筋肉とかよりももう少し心よりの組織で、心と筋肉などの各器官をつないでいる媒体とも言える場所です。神経は明らかにこの物理空間に存在しますが、神経が心という物理空間に存在しないものにも影響を与えますし、また心というこの物理空間に存在しないものが神経というこの物理空間に存在するものにも影響を与えます。

 そして、神経を介して心が筋肉や肺、心臓、血液などの各器官に影響を及ぼします。現代社会では、肉体労働者の数は減り、神経疲労の方が多くなりました。神経の方は肉体と比べるともう少し融通がききます。

 受験勉強の後の疲れや東京オリンピックを運営し終わった後の疲れと言うのは「気持ちの問題」と言われてしまえばそれまでです。だって、実際に気持ちが疲れるし、神経が疲れているんですから(神経も肉体の一部ではありますが)。

 しかし、長距離走・マラソントレーニングの場合は肉体を使うので、もう少しはっきりと交感神経、副交感神経の働きを直接的に受けます。

 ですので、受けたダメージはしっかりと回復させ、超回復させないと狙ったレースで最高の結果を出すことは出来ないのですが、それを回復させているまさにその時、つまり副交感神経優位になっているときは、体が回復モードになっているので、体が動かないのです。これが練習を軽くするとかえって動かなくなってしまうという現象の裏側です。

 このケースにおいては、練習を軽くして走力が低下したのではないのです。走力が低下したのではなく、練習を軽くして今までたまっていた疲労が表に出てきて、体は回復局面に入ってるところにレースがぶつかってしまったのです。

 だからと言って、練習を軽くするのが悪いのではありません。遅かれ早かれこの疲労は抜ききってしまわないと最高のパフォーマンスは出せないのです。

 ではどうすれば良いのかということなのですが、一気に練習を軽くすると疲労の方も一気に出てしまいます。やり方としては、一時的に走れなくなることを覚悟で一気に練習を軽くするのも一つのやり方です。

 実際私もこのパターンで上手くいったことも何度かあります。ただ、その時の経験から言えばコントロールが難しいのです。どのタイミングで状態が上がるのか分かりません。しかも、その練習を軽くしている期間は体に負荷をかけるような練習もできませんし、練習を組むことも難しくなります。

 今から思えば、私が高校二年生の時の夏合宿でしこたま走りこんで9月10月全く走れなかったけれど、11月の京都府高校駅伝では4区区間賞、近畿高校駅伝では3区区間4位とまあまあ走れたのも、このパターンでしょう。

 9月に練習を軽くしたら、疲労がどんどん出てきて、全く走れなくなってしまったのです。しかし、この時は運よく10月2週目まで全く走れなかったのが(5000m15分32秒)、ちょうどそのタイミングで疲労が抜けて1週間後の10キロを30分39秒で走れたから、京都府高校駅伝で使ってもらえました。

 しかし、もう1週間遅かったらもうそこで終わりです。

 二流といえども、3年連続京都府高校駅伝では区間賞で、3年連続全国高校駅伝走らせてもらったと言ったら、今の仕事をしていてもないよりはましな実績ですが、もしあの時、疲労が抜けるのがもう一週間遅かったらそれもなかったわけです。

 そして、私は当時こういったメカニズムを理解していなかったのですから、あのタイミングで疲労が抜けたのは、たまたまだったとしか言いようがないのです。

 そして、今でもそうですが、大きな波を作れば作るほど、どのくらいの期間、どの程度走れなくなって、どのくらいのタイミングから走れるようになって、そこからピークに到達するまでどのくらいかかるのかということが計算しにくいのです。

 そういったことも考慮に入れて、私は6週間前や4週間前くらいから徐々に密度を落としたり、総走行距離を減らして、徐々に疲労を抜き始める方が良いと思うのです。その理由を一言で言えば、扱いやすいからということになるでしょう。

 小さな波を作って、副交感神経の反応が大きくなりすぎないようにするのです。通常は、このようにして過剰にたまっていた疲れが出ないようにしながら、レースまで徐々に徐々に負荷を落としていきます。

 初めは練習の密度を落としたり、総走行距離を減らすところから始まって、最後はハードな練習も距離を落としたり、質を落としたりしながら体に余裕を持たせていきます。この時、6週間から4週間かけてマイルドに落としていくことがポイントです。

 また、そもそも論になってしまうのですが、普段から過度に追い込まないことも重要です。私もものすごく気持ちはわかるのですが、最後に調整して最高の結果を出そうと考えると、なんかそれまで追い込んでおかないといけないような気持ちになります。

 実際、人がなし能わざるところの結果を出すにはある程度負荷をかけないと無理なのも事実です。私自身もそれは理解していましたし、やりたい練習をやらずに結果が出せなくてやめていくのも、やりたい練習をやって故障やオーバートレーニングで壊れていくのも結果としては同じだと考えていました。

 どうせ無理なら、やって駄目な方が良いとも思っていました。

 しかし、やはり1流と呼ばれるような結果が出せてこなかった経験から申し上げますと、その時自分が持っている力を全てレースの日に出したいのであれば、普段から追い込みすぎないように余裕をもって練習を進めていくことが重要です。

 そのステップを根気強く積み重ねていけば、次のステージにもいくことが出来ます。やっぱり思うんですけど、自分の力を出し切るレースが出来れば、たとえ自分が求めるレベルに到達できなかったとしても充実感が残ると思います。

 ただ、練習でいっぱいいっぱいになってしまうと、レースで結果を出すことは非常に難しいです。

 また、いっぱいいっぱいのところで練習していると次のレベルの練習に進むのも非常に難しくなります。 

 このような観点からも普段から追い込み切らずに練習を積み重ねて、地道に次のステージへと上がる機会をうかがうことが大切だと思います。

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