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執筆者の写真池上秀志

亀岡ハーフマラソン三度目の正直ならず

 本日の亀岡ハーフマラソンの結果報告をさせて頂きます。今回も大会新記録での優勝を目指して走りましたが、結果は遠く及ばず、大会記録65分51秒に対して、66分49秒で3位でした。

 この大会記録は私が第一回大会で出した記録で、その時のラップタイムを知るのは私だけです。

 大会記録を出した時のラップタイムは5キロごとに16分14秒、15分58秒、15分37秒、14分41秒、3分18秒で65分51秒でした。

 今回も15分52、15分57と大会記録更新ペースで行っていましたが、そこからはペースを上げられず16分13秒、15分24秒、最後だけ気合いを入れて3分18秒であがって66分49秒でした。

 また、ジュビロ磐田マラソンの時に出た左のお尻が痺れてきて感覚がなくなるところからの左の腸腰筋当たりが攣りそうになりましたが、これは言い訳にはなりません。

 よくこういうことを書くといい訳と言われますが、そうならないように常日頃からリカバリー戦略を立てたり、トレーニング戦略を立てていかないといけない訳ですし、またこの症状も絶対一部は筋持久力不足から来ているんです。だから、そもそも力不足なんです。

 ただ、そういったことも含めて、ちょっと私なりにレース経過をお伝えさせて頂きますと、先ずスタートは何故か私だけ一人飛び出す形になりました。


 そんなに飛ばしているつもりもなく、普通に自分のリズムで行ったら、何故か優勝した北村君がついてこなかったんです。

 北村君は昨日の10000mでも28分台をマークしている実力者で、本来ならついてくるはずなのに、ついてきませんでした。ただ、変な駆け引きをしても仕方がないので、そのまま自分のリズムで刻んでいきました。

 4キロ過ぎで北村君が追い付いてきたので、後ろにつかせてもらいました。亀岡ハーフは4キロから6キロで約70m登るのですが、4キロから5キロを3分15秒でカバーすると、私はそこからついていけず、単独走になりました。

 次の1キロを3分29秒で走り、そこからは軽く下っていくので、リズムを戻して行きましたが、思うようにペースが上がりません。7キロくらいからすでに左足が抜けるような感覚になり、若干焦りましたが、腸腰筋ではなく、膝からリードするイメージで膝からリードして重心を前に乗せてなるべく力をかけないように、走るように意識しました。

 相変わらず力は入りずらかったですが、ペースは戻ってきました。ただ、変な力が加わってきたのか、10キロくらいから腸腰筋の痛みが強くなってきました。

 これはちょっとヤバいなと思いましたが、11キロ地点であとたったの10キロだから、脚が壊れても良いから頑張ろうと気持ちを切り替えました。

 ちょうど、10キロ過ぎに折り返し地点があるのですが、そこで多くの方から応援のお声を頂きました。地元だからということに加えて、ウェルビーイングのお客様がたくさんの応援のお声を下さり、ここで後ろに引く訳にはいかないという気持ちになりました。

 11キロ過ぎ、12キロ手前で後続の選手に1人抜かれました。これ幸いとばかりにつかせてもらおうと思いましたが、ついていけません。一気に差が広がりましたが、20mくらいまで差が開いた後は、なんとかその距離をキープしてついてきました。

 前に選手がいることで、その選手に追いつくことだけを考えて、脚の痛みが和らいできました。やっぱり、他のことに集中して気を紛らわせるのがベストです。同時に力を抜いてリズムだけを意識するようにしました。

 この辺りは「絶対に俺の方が上だ。必ず抜ける」と自分に言い聞かせ続けました。また、すれ違うランナーさんは全員自分を応援しており、私が逆転するところを見たがっていると信じ込みました。

 

 そうすることで、苦しさも痛みも感じなくなってきました。ただ、残念ながら15キロを過ぎると再度差を広げられ、私も逆転を目指して最後まで走り続けましたが、差は広がってしまいました。

 でも、最後の1キロだけはまた切り替わりました。最後の1キロはどちらかと言えば、上りなのですが、またそこで体が動き、最後の1.0975キロを1キロ3分ペースであがることが出来ました。

 改めて本日応援のお声を下さった方、本当にありがとうございました。

 もちろん、私も応援の念を送り返させて頂いたのですが、苦しくて声はかけられませんでした。申し訳ありませんでした。本当にお疲れ様でした。

 私が市民ランナーになってほぼちょうど3年間が過ぎました。この3年間で学んだこと、それはやっぱり総走行距離を増やすことは手っ取り早く速くなる方法だということです。

 この3年間、それを逆の形で実をもって実感しました。いくらインターバルで負荷をかけても、たまに30キロ走や40キロ走や45キロ走をやっても、普段の練習量が少ないとカバーできないです。

 逆の言い方をすると、インターバルや距離走のレベルが同じでも、総走行距離を増やすことで力はついていくということです。

 私自身、プロ時代は速い市民ランナーの方が出てきても負ける気がしませんでした。まあ、私の場合、負ける時も負ける気がしない状態で走ってるので参考になりませんが、ハイテクハーフマラソン二連覇や真夏のももクロマニアハーフ日本人トップを含めて、速い市民ランナーの方がたまにいても負ける気がしませんでした(もちろん、実業団や箱根組含めて勝ったレースです)。

 それは絶対に私の方が苦しい走り込みに耐えてきたからです。継続的にやっている練習の量が違うんです。ペースもそこそこ速いので、質と量が違います。

 ただ、インターバルばっかりやっているとかそういうことではなくて、最低限の持久走の質がそこそこ高いということです。

 そうすると、どうなるかというと苦しくても体が動くんです。苦しくならないように速く走れるというのも一つの指標ですが、苦しい状態で走り続けられるというのも一つの能力です。

 またロードレースではアップダウンや風にも対応しないといけませんが、そういうものに対しても強くなります。人間である以上誰でも向い風や登り坂ではタイムが落ちます。

 でも、そのダメージが低くなるんです。

 苦しくてもそのままおしていけるので、レース後のダメージはプロ時代の方が大きかったように思います。それだけ、限界近くまで体が動くんです。

 生理学的に何が起きているのかということは私には説明できませんが、おそらく筋肉の中の持久系酵素やミトコンドリアの数が多かったり、機能が優れているので、同じ酸素を送り込んだ時のエネルギー効率や老廃物の除去能力が高いんです。

 また、血中乳酸濃度の定常値というのもあるのかもしれません。これは一般の運動生理学の教科書には書いていません。何故なら、通常研究者が実験で使うのは一般人か一般のアスリートだからです。

 でも、本当にトレーニングをしていくとドリフト現象が起こりにくくなり、血中乳酸濃度が上がっていっても、どこかで定常状態になるのではないでしょうか?

 つまり、通常なら際限なく心拍数が上昇し続けたり、血中乳酸濃度が上がり続けるのが、どこかで止まるように感じます。だからこそ、苦しくなってペースダウンを余儀なくされるところでも、苦しいまま走り続けることが出来るのではないでしょうか?

 ただ、ペースダウンする場合は、一度そこで解放されるので、ある意味では楽というかダメージは残らないんですね。一方で、力があるとそのまま走り切れるので、ある意味ダメージがより多く残るように思います。

 今の私の場合も、最後はヘロヘロのジョギングのようになっている訳ではないので、筋持久力が完全にへたっている訳ではありません。

 ただ、なんか呼吸が楽な割には脚が動かないんです。プロ時代はもっとハアハア言いながら最後まで押し切っていました。


 今日も最後は1キロ3分ペースまで上がっているのですが、多分その強度になると乳酸が処理しきれないんだと思います。そのペースで体を動かし続けるだけのエネルギーシステムが脚にない感じです。

 それに関連して言うと、私が今のお仕事始めた時の気持ちっていうのは、一生懸命やっている人には例外なく結果を出してほしいという気持ちで始めたんです。

 やっぱり、練習量を増やす、練習の頻度を増やすっていうのが近道なんですけど、やみくもに走る距離とか頻度だけ増やせば良いっていうものではありません。

 そして、努力すればするほど、間違った努力をした時のマイナス方向への進み具合も大きくなります。

 だから、間違った努力をしていると頑張れば頑張るほど、悪くなっていて、そんなに頑張っていない人にレースで負けてしまう、そして、「もっと効率よくやれば良いのにー」とか言われてしまう訳です。

 私もそんな経験をたくさんしてきて、本当に悔しくて惨めだったので、そんな気持ちをして欲しくないという気持ちがやっぱり強かったですし、今もその気持ちは変わりません。

 だから、頑張っている方ほどサポートさせて頂きたいと思っています。

 でも、やってるうちに月間300キロくらいの練習で結構コンスタントにサブ3ランナーが誕生しているので、「アッこれで良いんだ」みたいな気持ちもちょっと出て来てるんですね。月間200㎞でも、サブ3は出るので、思ったよりも簡単に出るなっていう気持ちはあります。

 それでも、やっぱり一周回って結局、総走行距離を増やすことのメリットと少ない練習量で結果を出すことの無理さっていうのは出てくるのかなと思います。

 ちょっと長くなってきたので、詳しくはまた別のブログで書かせて頂きますが、以下にモーゼス・モソップ選手がボストンマラソンで当時の世界歴代2位の2時間3分6秒を出す前のトレーニングの分析結果を書かせて頂きます。

1月

総走行距離 923km

<3’50’’/km 542km (58.72%)

3’50-3’30’’ 166km (17.98%)

3’30’’-3’15’’ 108km (11.70%)

3’15’’-3’05’’ 57km (6.17%)

3’05’’-2’55’’ 18km (1.95%)

2’55’’-2’45’’ 14km (1.52%)

2’45’’-2’35’’ 8km (0.87%)

2月

総走行距離 802.5km

<3’50’’/km 574.5km (71.58%)

3’50’’-3’30’’ 76km (9.47%)

3‘30‘‘-3‘15‘‘ 29.5km (3.67%)

3‘15‘‘-3‘05‘‘ 56km (6.98%)

3‘05‘‘-2‘55‘‘ 0km

2‘55‘‘-2‘45‘‘ 12km (1.50%)

2‘45‘‘-2‘35‘‘ 0

3月

総走行距離 732km

<3’50’’/km 385km (52.59%)

3’50’’-3’30’’ 156km (21.31%)

3‘30‘‘-3‘15‘‘ 31km (4.23%)

3‘15‘‘-3‘05‘‘ 68km (9.29%)

3‘05‘‘-2‘55‘‘ 39km (5.33)

2‘55‘‘-2‘45‘‘ 47.5km (6.49%)

2‘45‘‘-2‘35‘‘ 3 (0.41%)

Faster than 62‘‘/400m 2.5 (0.34%)

 どうでしょうか?

 マラソン2時間3分ということは、レースペースや1キロ2分55秒ペースです。

 ちなみにですが、私が過去約60年間のありとあらゆる古今東西の一流選手の5000mからマラソンまでのトレーニングを分析した結果、レースペース以上のトレーニングは全体の5%前後に収まります。

 もちろん、どんなことにも例外はあるのですが、わざわざ確率の低いやり方を自分で選ぶ必要はないでしょう。大きな土台の上に高い頂点が形成される、これが基本です。

 ボストンマラソンは4月の1週目の日曜日が大半ですが、レースが近づいてくるとレースペース付近の練習量が増え、特異性が増していることにも着目して頂きたいと思います。

 だから、やみくもに走り込んでいる訳でもないんですね。最終的にやりたい練習から逆算して、練習を組んでいるということです。

 それでは素敵な夜をお過ごしください。

ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

追伸

 本日はウェルビーイングオンラインスクールの受講生様も何名か走られていました。そして、見事半年くらい前に受講された方が1時間39分59秒から1時間32分10秒へと自己ベストを更新されました。

 本当におめでとうございます。

 クリスマスプレゼント企画で、12月24日の午後6時から12月25日の正午までにウェルビーイングオンラインスクールに受講登録された方に、ヴェイパーフライでもアルファフライでも、アディオスプロでもどれでもお好きなシューズ一足プレゼントさせて頂きます。

 ウェルビーイングオンラインスクールの詳細は下の動画よりご確認ください。



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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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