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執筆者の写真池上秀志

前半からかっ飛ばすインターバルが非効率的である理由

皆さん、こんにちは!


 本日はあるウェルビーイングオンラインスクールの受講生様より下記のようなご質問を頂きましたので、その質問とそれに対する私の回答を共有させて頂きます。


ご質問

「インターバルやレペテーションを行うにあたり、僕はいつも、前傾ラップで走っておりまして、スタートから積極的に飛ばしてどこまで耐えれるのかという形で走ります。(あまり考えずに走っているので習慣になっているかんじです)


400mインターバルで例えますと、100m毎のラップが

15〜16秒

17〜18秒

18〜19秒

19〜21秒

このようにドンドン遅くなっていきます。


 こうなりますと、ざっくりですが、前半のスピードは、今後自分が到達していきたいレベルのスピードを身体に覚えさせようとしているけれど、後半がもはや現在の能力かそれ以下のスピードで苦しんでいるだけ、となってしまっています。


 これだとレースは勿論、走力アップには繋がりにくいと考えるべきでしょうか?


 3000mの記録会に出てみまして、コンデション不良とはいえ、10:45と落胆するタイムでして、最初の500m以降はどんどん後ろから抜かれてしまい、一定で走っておられる方は均一な走り(に見えました)で10分前後で走ってましたし、僕の普段のインターバル系の練習の走り方について疑問が大きくなりました。中強度走の後の200m×5本のプチインターバルも同じで前傾ラップです」


回答

「ご質問ありがとうございます。


 私のコーチとしての経験、選手としての経験から申し上げますとそのインターバルのやり方は最もレースで使えないやり方になります。


 一番の問題は身体的にも心理的にも体がレースで実際にやることに適応しないということです。レースではイーブンペースが基本です。多少のペース変化に対応する必要があるとはいえ、せいぜい400Mで2秒とかその程度の話です。


 そして、この場合においてもある程度のペース変化に対応する必要があるというのは集団の力を借りることが出来るからです。集団の力を借りるというメリットとペース変化があるというデメリットを天秤にかけたうえでの話であって、基本はイーブンペース、どちらかと言えばネガティブスプリットが望ましいということに変わりはありません。


 以上のような事情を踏まえまして、練習でもイーブンペースが基本であり、どちらかと言えば、ネガティブスプリットが望ましいです。したがって、練習でもイーブンペースが基本です。


 そもそもの人体の構造として、乳酸性閾値を超えると指数関数的にきつくなります。つまり、例えば、その人が1キロ4分ペースで走った時に乳酸性閾値に到達する場合、1キロ4分30秒からの5秒アップはそれほど大きな変化ではありませんが、1キロ3分50秒から3分45秒ペースへの5秒のアップはとても大きな変化になります。3分45秒から3分40秒へのペースアップはさらに大きな変化になります。それだけ体に指数関数的な負担がかかり、長い距離を走るのが不可能になるのです。


 このことは、800Mのレースペースからわずか1キロ5秒落としただけのペースで1500Mを走り切れる人がほぼいないのに対し(わずか700M距離が長くなっただけ)、ハーフマラソンのレースペースに1キロあたり5秒足せば、フルマラソンを走り切ってしまう人がいること(21.0975キロも距離が伸びている)からもお分かりいただけると思います。


 特に、3000Mや5000Mなどの乳酸性閾値ペースよりも速いけれど、ある程度距離が長いレースにおいては致命的になります。


 つまり、何が言いたいかというと体への負担が非常に大きく、オーバートレーニングのリスクも高くなり、そもそも論、ある程度速いペースの練習量を増やしたり、一回の疾走距離を伸ばしたり、休息時間を短くするのが難しくなります。


 単純に、考えていただきたいのですが、頂いた数字のように100Mごとに著しくペースダウンするのであれば、400Mのインターバルを1000Mのインターバルに変更したら一体どうなるのでしょうか?


 1000Mに到達するころにはかなりのペースダウンになっているはずです。この事実を考えても、休憩の無いレースでは使いにくくなるのは明らかです。


 また、走技術に言えば、初めに突っ込んで後半常に苦しい状態ということは常にもがいている状態に陥りがちだということです。中長距離走の走技術の基本はなるべくリラックスして速く走ることです。基本と書きましたが、これがすべてです。その他の技術論は自分がなるべくリラックスして速く走るための方法論です。


 そして、人体の仕組みとして、基本的にはペースが遅ければ遅いほど力は抜きやすいです。ただ、ペースが遅くてもレースでは使えません。この観点からも基本はイーブンペース、どちらかと言えば、ややネガティブスプリットが望ましいのです」


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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