1.ポテトの栄養素
2.保存方法と調理方法
1.ポテトの栄養素
イモ類はかなり歴史が古く、少なくとも約10000年前にはアンデス山脈の南チリの方でジャガイモが栽培されていたと推測されています。サツマイモは未だにどこが由来なのかははっきりしませんが、約5000年前には中南米で栽培されていたと考えられています。
15世紀か16世紀の終わりの方に、スペインの船乗りたちがヨーロッパに芋を持ち込み、北アメリカには17世紀ごろたどり着いたとされています。
日本では江戸時代の飢饉の際にはサツマイモが救荒作物として多くの人の命を救いました。第二次世界大戦中においても、ふかし芋が飢えを乗り切る苦肉の策であり、現在80代くらいの方からはそういった話を聞いた人も少なくないと思います。
ジャガイモの方は慶長年間(1596年―1615年)に初めて日本に伝わり、オランダが東洋貿易の拠点としていたジャワ島のジャカトラから日本へと輸入されていました。このジャカトラから来た芋がじゃがたらいもと呼ばれるようになり、後にジャガイモと呼ばれるようになったそうです。因みに、和語では馬の鈴のように見えるので馬鈴薯と呼ばれています。
このポテトですが、多くのビタミンC を含むので大航海時代のスペインの船乗りに航海中の脚気を防ぐための食物として重宝されていたようです。イモ類に含まれるフェノール、カロチノイド、ポリフェノールフレバノイドなどの抗酸化物質は芋の種類によってどの種類がどれだけ含まれているか変わります。
赤色や藤色のイモは抗がん作用やアンチバクテリア作用のあるフェノールを多く含み、コレステロール値や血圧も改善することが証明されています。
サツマイモのような藤色のイモ類はポリフェノールの一種であるアントシアニンを多く含み、強い抗酸化作用、抗炎症作用を持ち、細胞や遺伝子の突然変異を防いだり、心臓の健康を促進する作用もあります。
ジャガイモはビタミンCとビタミンB6の良い供給源となり、サツマイモには視力や組織と骨の成長、発達、細分化に必要不可欠なビタミンAの前駆体であり、強い抗酸化物質であるベータカロチンを多く含んでいます。
ヴィーン大学の2008年の研究1では、27人の二型糖尿病の被験者に5か月間2グラムのサツマイモエキスを一日二回摂取する群とプラセボ群に分けたところ、インシュリンへの反応が改善されたことを示すアディポネクチンというホルモンの上昇が確認されました。それに加えて、サツマイモエキスを摂取したグループではフィブリノーゲンという血液凝固作用のある蛋白質の減少が確認されました。このことからサツマイモエキスが動脈硬化の予防と改善にも役立つと結論付けられます。
2.保存方法と調理方法
イモは痛んでくると緑っぽく変色しますが、この色はソラニンと呼ばれる物質で苦みがあるだけでなく、毒があります。芽が出始めたのもその芋が新鮮ではない証拠なので買うときには注意してチェックし、芽が出る前に食べきるのがベストです。ジャガイモは冷暗所で7度から10度、サツマイモは12度から18度の場所で保管するのが理想です。
調理方法にも気をつけないといけません。一番お薦めの方法は全体を蒸すことです。細かく切ると蒸す時間もゆでる時間も短くて済むのですが、カリウムなどのミネラルが最大で75%流出するという実験結果2があります。
調理方法でGI値が大きく変わることも特徴の一つで、ピューレのような粉状でより加工したものは速く消化されるため、血糖値が急上昇し、インシュリンが多量に分泌されることになります。熱の作用も大きく、高温で調理したイモは更にお勧めできません。オーブンで高温加熱したイモはGI値が100を超えることもあります。つまり、ブドウ糖を上回る速さで消化吸収されるということです。
お薦めの調理法はレシピを後述しますが、酢とオリーブオイル、豆乳で味を調えたものです。これを冷蔵庫で冷やすとレジスタントスターチ(難消化性でんぷん)が形成されます。レジスタントスターチは食物繊維の一種で腸内細菌のエサになるとともに、消化を遅くし、空腹を感じにくくしてくれます。
ハードな練習の直後(特に30分以内)は、筋グリゴーゲンの再合成が最も活発になっているときなので、オーブンで焼いたりピューレにしたGI値の高い調理方法がお薦めです。インシュリンの分泌によって、上昇した血中の糖が筋肉内に素早く取り込まれるでしょう。
一方で、練習の合間や夕食では緩やかに血糖値が上昇し、吸収されるような調理方法がお薦めです。下にお勧めのレシピを書きました。これを冷蔵庫で冷やして、レジスタントスターチにしてからお召し上がりいただくとなお良いかと思います。
レシピ紹介:マッシュドポテト
材料:
ジャガイモ 4個から5個
ニンジン 小2本または中1本
豆乳 100ml
オリーブオイル 大さじ3杯
塩 適量
リンゴ酢 大さじ1杯
お好みでバジル 100gとニンニク2かけら
作り方:
ジャガイモを沸騰したお湯で20分から30分茹でます。フォークを刺して中まで突き刺されば、OKです。ジャガイモをゆでている間に、ニンジンを細かくさいの目切りにしてください。5㎜から1㎝程度の大きさがお薦めです。ジャガイモをザルにあげ水を切ってから、ボウルに入れて、マッシャーやフォークでつぶします。最後に切ったニンジン、豆乳100ml、オリーブオイル大さじ3杯、リンゴ酢大さじ1杯を加えて塩をお好みに合わせて入れていただければ完成です。ニンジンの他にもトマト、キュウリを入れていただいても美味しいです。
バジルソースの作り方
バジルソースをゆでてからつぶしたポテトに加えても美味しいです。バジルソースの作り方はバジル100g、にんにく2かけら、オリーブオイル大さじ3杯、リンゴ酢大さじ1杯、塩適量をミキサーで混ぜ合わせるだけです。
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参考
Luvik B, Hanefeld M and Pacini G : Improved metabolic control by Ipomoea batatas (Caiapo) is associated with increased adiponectin and decreased fibrinogen level in type 2 diabetic subjects. Diabetes, Obesity and Metabolism 2008 ; 10 : 586-592
USDA : Agricultural Reseach Service : Potassium and Potato Preparation. www.ars.usda.gov/news-events/news/research-news/2008/potassium-and-potato-preparation/
Janett Walter and Dieter Hogen
「Ernährung : Ein starkes und beliebtes Gemüse...Katroffeln」
www.de.takethemagicstep.com/ernaehrung/ernaehrung-ein-starkes-und-beliebtes-gemuesekartoffeln/
Nancy Clark著 「Ultimatives Ernährungsbuch」
Dave Asprey 著 「The Bullet Proof Diet」
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