睡眠がリカバリーにとって重要な役割を果たすことは、皆さんご存知だと思いますが睡眠と意志の力、ひいては睡眠不足が減量にも悪影響を与えることをご存知ですか?
どのくらいの睡眠が必要かはその人によって変わります。一般的にトレーニングをしている人は他の人よりも睡眠が必要になります。しかしながら、ほとんどすべての人にとって睡眠時間が6時間を下回ると悪影響を及ぼし始めます。悪影響の一つは細胞に取り込まれるグリコーゲン(ブドウ糖)の量が減ることです。過去記事の『レース当日の朝食の意味』でも説明しましたが、我々の脳は常にペース配分をしています。現代では先進諸国で3日間食事にありつけないということはほとんどありませんが、我々の脳は原始時代とそう変わりません。いつ襲ってくるかわからない飢えに備えて、血糖値が下がってくるとペース配分をして消費量を減らします。そのあおりを受けて普段なら我慢できるようなことでも、その時の衝動に従って行動してしまう可能性が高くなります。重要なことは本当に糖が枯渇しているかどうかではなく、糖が減少傾向にあるのか上昇傾向にあるのかということです。
細胞に取り込まれるグリコーゲンの量が減ると体内に充分な量の糖があるにもかかわらず、脳はグリコーゲンの消費量を節約し始め、飢餓が迫っていると警鐘を鳴らし始めます。脳に送られるグリコーゲンの量が減り、それに伴って意志の力が弱まり、細胞は飢餓に直面しているというサインを出してる状態で目の前にシュークリームが売られているお店があればあなたは抵抗できるでしょうか?「私は他の人よりも意志が強い」と思っている人でさえ、シュークリームを買いたいという衝動にあらがうことは容易ではありません。
しかも、仮にそこでシュークリームを食べたとしても睡眠不足の状態では細胞内に上手くグリコーゲンが取り込まれません。消費されなかったグリコーゲンはそのまま脂肪に変換され、あなたの脳は糖質不足で疲れを感じたままです。そして、シュークリームを食べた後も空腹を感じています。
長距離ランナーにとって最も大切なことの一つは練習後素早くグリコーゲンを再合成することです。グリコーゲンが素早く再合成されればされるほど、筋肉は再びハードな練習に備えて準備ができ、精神的にも(あなたの脳も)疲れを感じにくくなります。十分な量と質の睡眠はもっと広範な重要性がありますが、グリコーゲンの再合成という観点からも睡眠は以上に大切です。次回は早く寝ようと思ってもなかなか寝られない人のための記事を書いてみようと思います。
長距離走、マラソンについてもっと学びたい方はこちらをクリックして、「ランニングって結局素質の問題?」という無料ブログを必ずご覧ください。