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ストレッチの真実

更新日:2021年10月16日


ストレッチの真実

「ちゃんと準備体操しないとケガするよ」

小学校や中学校の時に一度は言われたことがあるのではないでしょうか?学校の体育の時間のみではなく、ほとんど全ての陸上チームで練習前のストレッチが習慣になっています。  

しかし、ストレッチは本当にランニング障害の予防に役立つのでしょうか?

ストレッチは関節の可動範囲を広げるのに役立つ一方で、ランニング障害は常に関節や筋肉の可動域内で起こります。この二つの間にどのような相関関係があるのかは疑問の余地があります。

今まで行われた中で最も多くの被験者を対象にした実験はポープ・RP、へバート・RD、キルワン・JD、グラハム・BJらによって行われた1538人の軍隊の新人たちを対象にした12週間の実験です。この実験では新人たちを訓練前に主要な6つの筋肉を20秒間ストレッチするグループとストレッチをしないグループに分けました。12週間の実験期間が終了した際、両群に違いは見られませんでした。

また練習前のストレッチがランニングエコノミーの低下を引き起こすという研究結果も多く存在します。

 この実験では訓練前にストレッチが実施されましたが、では練習後のストレッチはどうでしょうか?

 『Br J sports Med』の2005年の記事では2年間にわたるオーストラリアのサッカー選手を観察した結果が記されています。練習後の疲れた筋肉を15秒間ストレッチした結果、シーズンの故障者数が平均10人から3人へと減少しました。ケガによる試合の欠場数はストレッチ非実施群の35日間に対し、ストレッチ実施群は10日間という結果になりました。

 今のところ、断定することは危険ですが、個人的な経験から言えることは一般に言われているほどストレッチは故障の予防や治癒に有効ではありません。寧ろ、痛めている箇所を強くストレッチすると痛みが悪化するケースが多く、これはハードな練習直後ほどそうです。痛めている筋肉をストレッチし過ぎて故障を悪化させたり、試合前にストレッチを念入りにやりすぎて、動きが悪くなった経験があります。

 一方で軽い練習の後に30秒を2セットから3セットほど軽く伸ばすと筋肉がほぐれる感じがします。また、足底筋膜炎を抱えている人にはnight splintsの使用をお薦めします。これは夜寝ている間に軽くふくらはぎの筋肉を伸ばし続けてくれるギブスのようなものです。この記事の下に画像を張り付けておきますす。

PNF (der proprioceptive neuromuskulären Förderung)

 基本的には静止した状態で押したり弾みをつけたりせずに、軽く伸ばすのがお薦めですがそれ以外のやり方もあります。これはPNFと呼ばれるやり方で、筋肉の収縮と慎重を繰り返すことによって通常よりも筋肉を深く伸ばす方法です。例えば、膝を伸ばした状態でつま先にロープをかけ、ロープを手前に引っ張り足首を背屈して5秒間静止し、その後ロープを手前に引っ張って抵抗をかけながら、爪先を前屈させて(カーフレイズの状態)ふくらはぎの筋肉を収縮させる(筋肉に力を入れる)を繰り返すというものです。

 これは脳と筋肉との間のフィードバックとフィードフォアのシステムを変えることによって、脳にもっと筋肉を緩めることができるというサインを送ります。脳がもっと筋肉を緩めても大丈夫だと感じると筋肉はそれに反応して実際により緩みます。

いずれの場合も、体の声に耳を傾けながら痛みを感じたり、不快感を感じないようにすることが大切です。

 長距離走、マラソンについてもっと学びたい方はこちらをクリックして、「ランニングって結局素質の問題?」という無料ブログを必ずご覧ください。


参考

Pope RP, Herbert RD, Kirwan JD Graham BJ. A randomized trial of preexercise stretching for prevention of lower limb injury. Med Sci Sports Exerc 2000; 32 (2): 271-277.

Behm DG, et al. Effect of acute static stretching on force, balance, reaction time, and movement time. Med Sci Sports Exerc 2004; 36: 1397-1402.

Fowles JR, Sale DG, MacDougall JD. Reduced strength after passive stretch of the human plantar flexors. J Appl Physiol 2000; 89: 1179-1188.

マーク・バーステーゲン、ピート・ウィリアムズ『コアパフォーマンストレーニング』監訳咲花正弥、訳栢野由紀子、沢田勝

Peter Coe, David Martin ‘‘Better training for long distance runners‘‘


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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