足底筋膜炎に対する鍼治療の有効性
足底筋膜炎に対する鍼治療は敬遠する人が多いです。最も大きな理由は痛すぎるからです。そもそも足底筋膜炎の痛みは他の故障と比べても鋭く痛みます。昔新大陸への入植者たちが原住民たちへの支配強化のために、度々怠けている奴隷や脱走者に拷問を実施したのですが、その時に好まれたのが足の裏を特殊な器具で何度も殴打することであったと言われています。
足の裏には多くの神経が集まっているうえに歩く時には必ず付かなければいけない箇所なので必然的に日常的に痛みを感じます。そして痛みを感じるづけることで神経がより敏感になり、痛みを感じやすくなるのです。また足底の筋肉や筋膜は細く小さいものが集まっており、鍼治療を施すとかえって傷つけてしまうという人が多いです。
以上のような理由から鍼治療を敬遠する人が多いのですが、私は鍼治療も考慮に入れて良いと思います。しかも私の場合、長さ6㎝、直径0,3ミリという鍼の中でも長く太いものを使っています。実は足底筋膜炎に対する鍼治療にはコツがあります。
鍼治療の目的
先ず鍼治療の目的の一つ目は急性的な炎症を引き起こすことで免疫細胞の死骸などを除去し低度で慢性的な炎症を終わらせることです。これについては過去記事の『プロロセラピー』で詳しく述べているのでそちらを参照してください。
もう一つの目的は組織の深部にアプローチすることです。超音波やLLLTなど組織の深部にアプローチすることが出来る治療器具もありますが、これらの治療器具と比べても鍼治療は確実に組織の深部に到達することが出来ます。長さ6㎝の鍼であれば6㎝中まで入っていくわけですが、皮膚を貫通して6㎝奥まで到達する器具などそうそうあるものではありません。
しかしここからが大切なことです。大抵足底筋膜炎で痛みを感じるのは皮膚の表層面なのですが、足底筋膜の奥とはどこか一度考えてみてください。踵骨に近ければ近いほど奥ということになりますが、そうすると下の写真のように踵骨や中足骨すれすれを狙って足の横側から鍼をうちこんだ方が深部の組織にダイレクトにアプローチすることが出来ます。
そして、このアプローチであれば組織を必要以上に傷つけ足底筋膜炎を悪化させるリスクも少なくなります。何故なら、表層面の炎症が起きている小さな組織に鍼を通さなくて済むからです。表層面に関しては、絶えずストレスにさらされているので鍼治療のストレスに耐えられなくなっていることが多いのです。
また足底筋膜炎の原因はオーバープロネーションや偏平足が多く、これはシンスプリントと同じです。ですので、シンスプリントと同じようなアプローチも必要となってきます。ここで再び写真を見ていただきたいのですが、足底筋膜炎の鍼治療では下腿の内側にアプローチすることも必要となります。
最後に鍼治療の強度はトレーニングプログラムと相談しながら決定してください。私の場合は、それなりの強度で練習した直後とその前日の夕方以降は鍼治療を避けています。一方で、わざわざ鍼治療のためにイージーランをクロストレーニングに変更することもあります。敢えて、強刺激の鍼治療で狭い範囲に何本も0,3ミリの鍼をうつのですがそうすると小さな急性期の炎症が発生します。これ自体は低度で慢性的な炎症を止め、治癒過程を促進してくれるのですが、炎症は炎症です。このタイミングで走るとかえって足底筋膜炎を悪化させてしまうので、わざわざ治療のためにクロストレーニングの日を設けるようにしています。
前記事でも書きましたが、全ての足底筋膜炎は微妙に違います。他人が細部までアドバイスできるものではありません。ほとんどの整形外科医や施術者は慢性的な足底筋膜炎を大幅に改善させることは出来ません。施術者の腕の問題ではなく、慢性的な足底筋膜炎の治療にはあなた自身があなた自身にとってベストドクターである必要があります。
様々な治療を試していきながらどの方法がどのくらい効果があり、それをどのタイミングでどれだけ実施すればよいのか経験の中で掴んでいくようにしてください。
追伸
私が左足4年間、右足2年間の足底筋膜炎を治した方法と慢性的な痛みのメカニズムを解説した90分の講義動画があります。詳細は下記のページよりご覧下さい。
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