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執筆者の写真池上秀志

皆様のおかげでケニアの恵まれない子供達400人分の16日分の食料を寄付することが出来ました。

更新日:2023年8月27日


こんにちは!


 以前より、ケニアから紅茶を仕入れてそれを販売した利益の全額を(一部ではなく全額)使って、ケニアの恵まれない子供たちに最低限の衣食住と教育を提供するというプロジェクトを進めていたのですが、やっと昨日そのお金を届けることが出来ました。


 初めはお安くさせて頂いたりして、利益があまり出なかったので、今回は41787円、現金で納めてきました。おそらくピンっと来ないと思うのですが、下記の写真が1万円分のトウモロコシの粉です。


 重量で言えば、12キロのトウモロコシの粉で400人分の一日の食料をまかないます。結構カツカツと言えば、カツカツです。


 この写真のトウモロコシの写真でどのくらいの食料になるかというと400人分の子供たちの4日分の食料になります。


 今回はその4倍のお金を納めてきたので、16日分の食料を提供してきたことになります。単純計算でいけば、我々が力を合わせて、同じことを24回繰り返せば、400人分の子供たちの1年間の食料を供給することが可能になります。


 日本円に換算すると、192万円です。販売している紅茶の箱1箱で利益が800円なので、2400箱売れば良いことになります。これが大変なことなのかどうかはやってみないと分かりませんが、断言できるのは動き始めるまでが一番大変だったということです。


 ケニアから商品を仕入れるとしても何を仕入れて、どのように販売して、いくらで販売するのか、仕入れ先と連絡が取れても、税関の際に必要な情報が仕入れ先からなかなか送られてこなくて、約3か月も足止めされた挙句に、よもやのところでケニアに送り返されるところでした。


 また、販売し始めるのは良いけど、初めは味も何も分かって頂いていない状態で、認知もされていません。味を知ってもらうために安くしたりして、認知を広げてきた段階です。そうやって、利益を作って、自分の手で直接このプロジェクトを2004年に始めた施設長の方にもお会いしてきて、お金を納めることが出来ました。


 ちなみに、日本とケニアでは平均収入の比較から単純計算でだいたい物価が10倍違います。あくまでも単純計算なので、じゃあ10分の1の価格で車が買えるかというとそんなこともないのですが、日用品などの生活必需品は5分の1から3分の1くらいの価格では購入することが出来ます。


 ちなみにですが、外国人用の観光ツアーなどに参加すると外国人価格になるので、そうはならないのですが、1住人として現地の人と同じ生活をすると、生活に必要な価格はだいぶ低いです。


 逆にホテルとかに泊まると、ホテルに泊まるという体験自体がこちらでは贅沢なことで、庶民価格にはなっていないので、一人当たり一泊6000円くらいです。それで、じゃあ質はどうかというと、広さこそあるもののあまり綺麗ではなかったり、シャワーの水の勢いが死ぬほど弱かったり、お湯が出なかったりするので、日本と比べると実質的にはかなり割高です。


 そういうのを総合的に考えて、私の肌感覚で物価は3分の1程度です。


 平均収入から考える物価は10倍違うので、こちらの最高紙幣は1000円札で100円札や50円札もあります。そういった国での1000円札40枚なので、かなり喜んでくれていました。


 この施設はこれまで寄付に頼ってきたのですが、コロナになってから世界的に経済が下向きになり、寄付の金額が一気に減り、普段の半分以下の寄付しか集まらず、子供たちがお腹をすかせていたそうです。


 そういったことがなくなってきたので、皆様には改めて感謝申し上げます。


 今回はそんな皆様にも、施設の中をお見せさせて頂きたいと思います。



 先ず施設の概要を説明させて頂きますと、親がいなかったり、貧困家庭に生まれたため衣食住もままならず、学校にも行けないような子供たちに無償で教育と食事を提供している施設です。子供たちも色々で、住むところすらない子供もいれば、一応帰る家だけはある子供たちもいます。


 帰るところすらない子供たちの為には住居も借りて、提供しています。そうではない子供たちにとっては、朝ごはん、昼ご飯、夜ごはんのついている学校のような感じの施設です。


 対象となる子供は日本で言うところの幼稚園から中学生までです。こちらでは幼稚園のあと、1年生から9年生までがあるので、ちょうど中学生までです。


 幼稚園はこんな感じです。



 ケニアでもミッキーマウスが子供たちに人気であるとは知りませんでした。


 各クラスの教室はどんな感じかというとこんな感じです。



 実際に、机に座って生徒目線で先生をみるとこんな感じです。



 逆に、先生から生徒をみるとこんな感じです。


 机は全て寄付されたもので、だれだれによって寄付されたということが机に書いてあります。


 机は、日本の学校机とは違い、開閉式になっていて机の中にものを入れる時は蓋(ノートや教科者を置くところ)があくようになっています。そして、授業を受ける時は蓋を閉めてそこに色々と書いていきます。


 ちなみに、机は鍵がかかるようになっていて、学校に教科書や筆箱を置いて帰れるようになっています。日本では置き勉と言われてしまって怒られるのですが、そもそも学校にものを置いて帰れるように、鍵がかけられるようになっているというのが斬新だなと思いました。


 そんなことしたら、絶対に家に鍵を忘れてきて、その日一日ノートも筆記用具もない子供が出てきますよね。文化の違いを感じました。


 また机の中にスプーンを置いて帰っている子供もいて「なんでスプーンが入っているんですか」と聞いたら、「学校でご飯食べるようにスプーンも置いて帰っている」という回答だったのですが、スプーン入れもなく、ビニール袋に入っている訳でもなく、本当にスプーンがボンッと教科書やノートの上に置いてあるので、「大丈夫かなー」と思いながら見ていました。


 日本で言えば、置き勉+給食袋も置いて帰るのが普通ということですよね。


 一クラス30人ちょっとで、これも日本の学校と同じくらいだと思います。


 職員室はこんな感じです。先生用の部屋だから何かが恵まれているということはなく、最低限のスペースが確保されているという感じです。


 カリキュラムは日本とほとんど同じで、歴史、社会、理科、算数(数学)、音楽、体育、家庭科、といった感じです。改めて考えてみると、そうだなーと思ったのは、こちらでは公用語であるスワヒリ語と英語の授業があるのですが、日本では英語という授業はあるけれども、日本語の授業というのはありませんよね。国語という言葉を違いますよね。


 多部族によって構成され、部族の言葉に加えて公用語としてスワヒリ語と英語がある国には「国語」というのはあるようなないような感じなんだなと改めて思いました。


 ちなみに、ライオンズの選手ともやり取りをしているとスペルミスや文法的な間違いが散見されます。たまたま間違えたとかではなくて、いつも同じスペルミスをしているので、多分間違ったまま覚えているんですよね。


 日本人に仕事を頼む時に、書き間違いや打ち間違いとかではなく、そもそもきちんとした日本語が書けないという人にはまだ出会ったことがないのですが、こちらでは教育が行き届いていないとそんな感じです。


 うちの選手は自慢じゃないですが、比較的教育が行き届いていません。そういうのも見ていると、やはり最低限の教育は大切だと感じます。


 また、こちらには農業という授業があるのですが、これは日本で言うと「生活」に該当すると思います。あなたが小学生の頃は「生活」という科目はありましたか?


 どうも、祖父母の頃は「生活」という科目はなかったようです。まあ、疎開先では授業の一環として田畑を耕して農作物を作って、自分たちで食べていたようなので「生活」というよりは「実生活」ですが、昔は「生活」という科目はなかったと教育大学で習いました。


 こちらでは農業の授業は何をするのかというと、まさに実生活そのもので、将来的に農家になれるような教育がなされています。また、アヒルと鶏を育てて、こちらも卵を産ませたり、最終的に市場で売れるようにしたりとまさに実生活そのものです。


 それから、日本で言う「技術」もしくは「情報」の時間もあります。これはパソコンを使って初歩的なワードやエクセルを使えるようにするのです。これがパソコンルームです。



 お金がないので、かなり台数は限られていますが、安いノートパソコンを買ってきて、授業を行います。日本の東芝とかの何年も前の型落ちした中古のものを10000円切るくらいの価格で販売していたりするので、そういったものを買って使う訳です。


 型落ちした中古のものとは言え、おそらく2010年より少し前とかそのくらいのものだと思います。


 私が初めてパソコンを触り始めたのは5歳くらいの頃でしたが、まだノートパソコンはなく、ブラウン管のテレビくらいの大きさがありました。1993年生まれの私が5歳ということは1998年、色々な人(近所のおっちゃんとか)に話を聞いてみると、日本で家庭用のパソコンが普及し始めたのが1997年ごろだということなので、私の記憶と一致します。


 それから、25年経つとケニアでも(と言ったら失礼かもしれないけれど)、10000円を切る価格で当時のパソコンより性能が良いものが買えるのかと驚いてしまいます。


 次に、400人分の食料をまかなう台所を紹介させて頂きます。台所はこんな感じです。



 私の年齢だと文化資料館でしか見たことがない釜戸がそこにありました。まさに釜戸そのもので、そこでお湯を沸かして大きな鍋でご飯を作るのです。400人分の厨房なので、もっと大きい部屋を想像していましたが、2人だけでご飯を作っているそうで、最低限のスペースという感じでした。


 日本で給食というと、毎日違うメニューが出てきて、栄養バランスを考えて食べましょうという感じですが、こちらではそんな悠長なことは言ってられません。トウモロコシの粉から作ったウガリ、ミレットという穀物から作るウジというおかゆ(味はお汁粉っぽい)、小麦粉から作るクレープの生地のようなチャパティ、あとはケールやホウレンソウといった葉物野菜を煮込んだり、豆を煮こんだりといった感じです。


 原材料で言えば、トウモロコシの粉、小麦粉、ミレット、ホウレンソウ、豆、ケール、ジャガイモ、この7つが基本で、その中でも基本となるのはジャガイモ、トウモロコシの粉、小麦粉、オーツ麦といった穀物です。


 世界共通だと思いますが、とにかく腹を満たすには穀物です。大量に買うと安くで買えて、保存がきいて、腹が膨れるのはやはり穀物です。


 それ以外は贅沢品という感じです。せっかく来たので、どこか壁に「贅沢は敵だ」と書いて帰ろうかと思いましたが、とりあえずやめておきました。


 お次にお見せしますのは、運動場です。

 広さで言えば、フットサルコート一面分くらいです。別の言い方だと、ドッチボールのコート一面分くらいです。頑張れば、二面使ってドッチボールが出来るかなという感じです。


 そして、その運動場の一角に穴を掘ってそこにゴミを入れて焼却して処分していました。ケニアではゴミ収集車のようなものはなく、なんでも集めて燃やします。プラスチックの袋もペットボトルも燃えるものはなんでも燃やします。


 屁理屈言うなと言われるかもしれませんが、そういう経験があると、日本のごみ袋の「燃えるゴミ」は物凄く違和感があります。燃やそうと思ったら、たいていのものは燃えます。もっと意味が分からないのは「燃やすゴミ」という表記です。


 燃えるか燃えないかはその物質の性質によって決まりますが、燃やすか燃やさないかはその人が決めることなので「じゃあ、これは燃やそう」と私が決めたら、「燃やすゴミ」で良いのかと思ってしまうことがあります。


 じゃあ、生ごみはどうするのかというと、そこらへんに捨てておけば、動物が食べたり、微生物が分解したりします。日本だと土や草のところはそれほどありませんが、こちらでは主要な道路以外はアスファルトの部分はほとんどありません。


 だから、そこらへんに捨てておけば、動物が食べたり、微生物が分解してくれるのです。


 施設自体はこれですべてです。全体をみると、こんな感じです。

 黒いタンクが見えると思いますが、ここに雨水をためて手を洗ったりします。ここケニアでは水は非常に貴重なのです。


 これは貧しいからとかではなくて、気候的にも日本ほどは雨が降らず、内陸国なので川も湖もあまりないという事情があります。基本的にまっ平らで山がありません。山がないということは川が形成されにくいということです。


 京都なんか四方を山に囲まれて川がいっぱいあって、湿気が物凄いのでどこでもドアがあったらケニアに送ってあげたいくらいケニアは乾燥しており、水は貴重です。もちろん、インフラが整備されていない地域があるからというのも理由の一つなのですが、それ以前の問題として、自然地理的に乾燥地帯であるというのが一番大きな理由です。


 施設全体としては、400人の子供が集まるにはかなり狭いと言わざるを得ません。400人というと町の小学校くらいの規模感ではないかと思いますが、広さ的には体育館よりちょっと広いくらいの広さしかありません。


 あとは乾燥しているので、土埃が凄かったです。文化的な違いで言えば、日本では必ずある上靴というものが存在しません。だから、教室も外靴で入るのですが、土埃が凄かったですね。


 「こちらの学校では、子供たちに掃除をさせないんですか」と聞いたら、「掃除はたまにしかしないし、水もないから綺麗にするのは難しい」とのことでした。


 海外では、子供たちに掃除をさせずに清掃員を雇う国が多く、掃除の時間というのはあまりありません。


 自分が小中学生の時に、ちゃんと掃除をしていたかというと、掃除の時間に遊んでいて先生に怒られたことも一度や二度ではないので、私自身も反省するところはなくはないのですが、それでも全くやらない訳ではなかったので、教育上掃除をした方が良いんじゃないかとは思いながら、見ていました。


 あと、宗教の時間もありました。日本では政教分離の原則があるので、公立学校では宗教はありませんが、私立の学校では、宗教の時間があります。


 私の母校洛南高校は仏教の真言宗で宗教の時間があります。洛南高校を卒業したと嘘をついている人をあぶり出すには非常に単純な方法があって「サンナン、サラナン」と言って、「ガッチャーミ」と続けられない人は偽物です。


 また、洛南高校陸上競技部長距離の出身かどうかを見極めるには「御光の下(みひかりのもと)」と唱えれば良いのです。そこから「我今幸いにこの清き食を受く、慎みて父母のご恩を思い、品の多少を選ばじ頂きます」と続けられない人は偽物です。


 一年目の夏合宿までにこれが言えないとみんなの前で全裸で逆立ちするという罰があったのですが、実際にはそんな懲罰の前に先輩方が怖すぎて、言えない人は一人もいませんでした。


 こちらの学校ではどの宗教かというとキリスト教です。宗教というのは非常に面白いものです。勉強していくと、結構正当な裏付けがあったり、科学的な裏付けがあったりするのですが、無学な一般庶民にそんなことを言っても広がる訳がありません。


 だから、日本だと「ひたすら南無妙法蓮華経と唱えなさい。そうすると、極楽浄土にいけるから」という宗教が出来たりするのですが、こちらのキリスト教は教会で皆で楽しく歌えば、気分が明るくなって幸せになるよねという感じです。

 黒人音楽のルーツは奴隷制度にあると言われています。常日頃の苦しみ、憎しみ、怒り、不条理、理不尽、そういったものを忘れるために音楽はあり、だから逆説的ですが、底抜けに明るい曲が多いのだそうです。今でもケニアの音楽は底抜けに明るい曲がほとんどです。


 それが、ヒップホップやレゲエに繋がり、それを宗教的にしたものがゴスペルだそうです。


 こちらの教会も基本的にやかましいのですが、こちらの学校でも先生がピアノを弾いて、指揮をして、皆で歌っていました。


 だいぶ長くなってきてしまいましたが、私のブログ読者様ならば、多少難しい話をしても大丈夫だろうということで、最後にこれからのこのプロジェクトの行き先をお話しさせて頂きます。


 そもそもこのプロジェクトは寄付だけで運営されていました。私も初めは寄付をお願いされました。


 しかしながら、寄付だけでは問題があります。何が問題かというと根本的な問題が解決されないということです。


 その根本的な問題は何かというと二つあり、一つ目はお金を出す方の満足感です。弊社のお客様は非常に素晴らしい方々が多く、人の役に立つことが自分の喜びであるという方が多いです。


 しかしながら、問題はお金を出してもそのお金が何に使われたかよく分からないし、実際にそれで現地の人たちが喜んでくれているのかどうかも分からないということです。これでは寄付を継続するモチベーションになりません。


 私も寄付する側の気持ちになると、中には寄付とかチャリティーとかドネーションという名目で、自分の金儲けをしていたり、また紛争地域に寄付や支援物資を送っても結局はその地域の支配者にしかいきわたらず、本当に困っている人には届かない、また逆に、支援物資や寄付を集めるために、わざと子供の手足を切断して、だるまさんにしてショッキングな記事や写真を先進国に送り、寄付や支援物資をたくさん集めるという輩もいるので、なかなか疑念を消すことが出来ません。


 私自身もユニセフに寄付をしたりしますが、印刷されたお礼状と通り一遍の基礎知識が送られてくるだけで、正直私の出したお金がどうなっているのかよく分からず、あまり満足感に繋がっていません。


 それならば、もうすっぱりと商売と割り切ってしまった方が良いこともあるのです。出したお金がどうなっているのかも分からないよりは、商品がちゃんと届いてその対価としてお金を払う方が払う側の満足感に繋がります。


 それに加えて、プラスアルファとして私の方からリアルな情報発信を継続したいと考えています。


 では、寄付をされる側の問題は何かというと、貧困の根を断ち切ることにならないということです。


そもそも、何故恵まれない子供が出来るのでしょうか?


どうして、食べるものがないのでしょうか?


どうして、住むところがないのでしょうか?


どうして、教育を受けることが出来ないのでしょうか?


それは親にお金がないからです。


では、どうして親にお金がないのでしょうか?


それは仕事がないからです。


 更に遡っていくと、そもそもその人たちの更に両親が貧しく教育を受けられていなかったりします。


 逆に、未来を描いていくと、結局そういった貧しく教育も受けられていない子供たち同士が結婚して、子供が出来て、そして、またその子供をちゃんと育てられなくて、同じ状況の子供が増えていきます。


 お金もなくて、娯楽もなくて、勉強することもなくて、仕事もろくにない人たちに恋をするなと言っても、それは無理だというものです。失礼な言い方ですが、他にやることも楽しいこともないんですから。


 だいたい、性教育も受けられていないので、初めはどうして妊娠したのか分かっていない人たちもいます。


 結構15歳前後で子供が出来たという人たちも珍しくありません。


 で、結局仕事がないから、その子供たちもちゃんと育てられずに、同じ道をたどっていきます。この負の連鎖を断ち切るには雇用の創出をしないことには何も始まりません。


 実は、この施設の方も同じ想いを持っていて、コロナで寄付が集まらなかったときに、サンダルと革靴を作って売り始めているんです。自分たちで職人を養成し、手作りの質の高いサンダルやシューズを作って売ることによって、そのコミュニティに雇用を生み出し、更に施設を運営する資金源にするという活動を始めているのです。


 実際に私も自分の目で見てきましたが、ミシンと手縫いで本当に職人さんが一つずつ手作りしていて、非常に良い出来栄えでした。しかも、それが750円とかで売られているので、かなりお買い得だとは思います。


 それで、それを日本で売ってくれないかと言われたのですが、それは断りました。


 何故かというと、先ず第一にそのサンダルは非常にきれいで可愛くてどうみても女性用なんです。弊社のお客様の多くが30歳から60歳の男性なので、これは難しいと思いました。


 じゃあ、革靴はどうなのかということなのですが、日本みたいに3000円くらいでそこそこの品質で販売されているところに、割って入るのは困難です。現地で750円で買っても、ケニアから仕入れると送料だけで結構かかってしまうので、そこから更に利益を出そうと思うと4000円くらいにはなります。


 4000円の割には良い靴だとは思いますが、4000円で販売しても利益は1000円以下で、それを大量に売りさばくには、それなりに大きな店舗を構えないと難しいです。


 じゃあ、思いっきり品質を上げて10000円以上の価格で販売すれば良いんじゃないかということですが、それは一つだと思います。ただ、ランニングシューズと違い、正直私自身革靴の良さが何で決まるのかがよく分からないので、これもどうかなと思いました。


 無理ではないと思いますけど、そこにこだわりを出すのが難しいんです。あと、現物を見てからじゃないと判断できない部分もあったので、出来れば買いたいと申し出たのですが、何故かそのあとメールの返信がこなくなりました。


 そういう意味では、今回現物を見てみて良かったと思いました。今は学校の通学靴を専用に作っていて、サイズも子供用しかないのですが、通学靴に使うにはもったいないくらいの高級感だったので、今後の可能性は見いだせると感じました。


 それはそれで、アイディアを温めておくとして、やはりケニアで品質が良いものと言えば、紅茶とコーヒーです。


 アフリカというのは近世、もしくは近代に入ってからヨーロッパ人の搾取を受けてきました。しかし、これも考えて頂きたいことなのですが、搾取すると言っても、そこに何か美味しい話がなければヨーロッパ人もそこまでいきません。


 ケニアに関して言えば、19世紀に入ってからイギリスが軍事侵攻してきて植民地化しました。今でもイギリス人がひくだけひいて使われていない鉄道の線路が残っています。ケニア人も何も祖国が蹂躙されるのを黙ってみていた訳ではなく、各地の部族がそれぞれに武装蜂起したそうなのですが、当時はまだ重火器がなく、鉄砲に弓矢で対抗したそうです。


 ペリー来航の際でも一応日本は鉄砲も大砲もありましたからね。ある意味ではそれが植民地支配を受けず、不平等条約を結ばされる程度で済んだ理由かもしれません。


 では、イギリスはケニアに何を求めていったのかということですが、広大な農地と労働力です。ケニア人の土地を奪い、ケニア人を奴隷にし、紅茶、コーヒー、トウモロコシといったものを作らせてイギリスに輸入していたのです。


 輸入といっても、ほぼほぼ強奪ですよね。いや、ほぼほぼではなくて、武力による強奪です。


 ちなみに、巷で言われているフェアトレードというのは、要するに普通のお買い物です。フェアトレードなんて言う言葉は本来は必要ないんです。普通の売買取引というだけのことですから。


 わざわざいう必要が無いので、弊社ではフェアトレードという言葉は使っていませんが、もちろんフェアトレードです。当たり前の話です。


 英国紳士淑女のアフタヌーンティーとかティータイムとかいうと非常にオシャレで、高級で、上流階級という感じがありますが、実情は武力によってケニア人の土地を奪い、強制労働に従事させ、得たものなのです。


 そういった悲しい歴史を繰り返してはいけませんが、人間のやることとは関係なく、自然環境というのは変わらず存在します。ケニアが紅茶栽培やコーヒー栽培に適していることは今も昔も同じなのです。


 そんな訳で、今後の計画として自前の紅茶畑を持ち、施設を出た後、希望する者は紅茶畑で働けるようにし、更にセールスやマーケティングに従事したいものは、セールスとマーケティングに従事できるようにマーケティングとセールスも教育のカリキュラムに組み入れることを提案しました。


 私や深澤がそうであるように、大きな会社と違ってマーケティングとセールスの二つの部門に分ける余裕などありません。一人でマーケティング、セールス、購入後のアフターサービスまで全て自分でやってもらわないと困ります。


 その為のカリキュラムを9歳から15歳くらいまでの間に組み込んで、少しずつ教えていけば出来ない訳がないんです。


 別に公立学校ではないので、学習指導要領に縛られる必要もなく、自分たちで役立つカリキュラムに変えれば良いのです。


 これからも我々は日本で販売し続けるとして、別に日本だけで売らないといけないことはありません。ケニア国内はケニア国内で売れば良いのです。チャレンジ精神は旺盛なので、ひと箱売るごとにいくらと報酬を決めておけば、一生懸命やるに決まっているんです。


 そうすると、生産者とそれを販売する者という雇用が生まれます。売れば売るほど、生産者の数は増えます。つまり、雇用が増えます。雇用が増えれば貧困が減ります。ある意味では、最終的には施設が無くなれば良いのです。


 あくまでも、自力ではどうしようもない子供たちがいるから、支援の必要があるのです。その必要がなくなるのがベストなので、最終的には今やっているプロジェクトがなくなるのが最終ゴールです。


 初めに私の方に寄付を依頼してきたジョイスさんは施設長の妹さんなのですが、そのジョイスさんに「その為には、自前の茶畑とコーヒー畑が必要だと私は考えるのですが、あなたはどう思いますか」と聞いたら、「ああ、それはあなたの言う通りだ」と言って下さったので、更に畳みかけて「じゃあ、茶葉とコーヒー豆を栽培する農地を探して、その価格を教えてくれますか」と聞いたら、「良いですよ。見つけたら、また報告します」と言って下さいました。


 そんな訳で、そのうちウェルビーイング農園が出来るはずです。


 今この記事は施設のあるナクルから私の滞在先であり、長距離走、マラソンのメッカであるイテンに向かいながら、車の助手席で書いているのですが、その車窓から目を見やるとそこには本当に広大な土地が広がっています。


 町中の土地の値段が高いのは、ケニアも同じですが、町を離れると本当に広大な土地が広がっています。

おそらく、場所は施設から30キロほど離れた場所になるはずです。


 この話はこの話で、土地を見つけて購入して、労働者を確保して、そこから更に栽培して、収穫して、仕入れて日本まで送って販売してとなると将来的な話になりますが、その前に私たちの方でやることとしては、ケニア人選手がいる実業団チームを全て洗い出して、直接手紙と紅茶を無料で送って味見してもらって、買ってもらえないかと持ち掛けてみるつもりです。


 実業団で選手寮がないチームというのは無いので、選手寮においてもらって飲めるようにしていただけませんかと聞いてみようかと思います。


最後に、一点お知らせです。


 現在ケニアから仕入れて販売させて頂いている高級紅茶の詳細を以下に記しておきますので、お読みいただけますと幸いです。


 人類誕生の地、標高2300mの大自然、太陽の恵みをたっぷり受けた最高級茶葉はいかがですか?  こちらの紅茶は以下の方におススメです。 ・飲むなら有機栽培で作られた高品質な紅茶が飲みたい ・ミルクティーが好き ・英国上流階級の紳士淑女の気分が味わいたい ・紅茶を買うことで貧しい子供たちに最低限の衣食住と教育が提供されたら嬉しい(詳しくはこちら  こちらの紅茶はケニアはグレートリフトバレー州、標高2200mのイテンという町で育った高級茶葉です。皆様ご存知の通り、ケニアは英国の元植民地、英国紳士淑女のアフタヌーンティーを提供していた茶所がケニアです。  そんなケニアでは、品質が三ランクあり、外国人用のホテルなどでは必ず最高品質のものが用いられています。  こちらの紅茶は社長の池上秀志が現地まで自分で足を運び、選りすぐった一品、最高品質のものです。  それって労働搾取じゃないの?  あなたはこう思われるかもしれません。  ご安心ください。植民地支配はとうの昔に終わり、現在人々は平和に暮らしています。こちらの紅茶もケニアでスーパーマーケットを経営するオーナーさんと社長の池上が仲良くなり、定価で購入しております。  またこちらの紅茶の利益の全額を(読み間違いではありません。一部ではなく全額です)現地の貧困家庭から這い上がらんと走るケニア人ランナーの育成、両親がいないなどのなんらかの理由で路上生活をしている子供たちに最低限の衣食住や教育を提供する費用に充てさせて頂きます。  困っている人を助けたいから紅茶を買って下さいなどと申しません。もし、あなたが高品質の紅茶かミルクティーをお求めであれば、ついでに恵まれない子供たちのヒーロー、ヒロインになって頂きたいのですが、いかがですか?  慌ただしく過ぎていく日々の中で、ホッと一息つくべく、ケリチョゴールドをティーカップに入れ、湯気立ち上るポットのお湯をなみなみと注ぐ。目を閉じて一口飲むとあーうまい! 内容量 50袋 (カップ50杯分)=紅茶1杯44円


 紅茶葉には抗酸化物質が豊富に含まれています。抗酸化物質はガンやアルツハイマー型認知症、二型糖尿病、疲労、集中力の低下の原因になるフリーラディカルのダメージから体を守ってくれます。 *地球を半周しているためか、外箱に多少の汚れ、へこみなどがあります。中の茶葉には影響がありませんので、予めご了承ください。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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