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池上秀志のセルフ故障治療体験記

更新日:2021年6月1日

 先日アップロードしたブログ記事「セルフケア三種の神器」はもうご覧いただけましたか?まだご覧になっていない方は下記のURLよりご覧ください。


 このブログ記事の中で、実はプロ選手も基本はセルフケアで普段の体の手入れは自分でやることが大切という話をしたのですが、今回は私の実録治療日記をお届けしたいと思います。実は競技者の中には「そこらへんの治療家よりも俺の方が治療の腕は上やと思う」という人が少なくありません。いくつか理由があるのですが、一つはやっぱり自分の体を普段から触ったり、感じたりする機会が多いので体に対する理解が深まっていくというのが一つ、次に解剖学などを勉強していくというのが一つ、最後に痛みを抱えている、しかも痛みを抱えた状態で酷使しないといけないという場合が圧倒的に高いので自分で何とかして治そうと試みるケースが圧倒的に多いからです。


 もちろん、故障をしたり、凝り固まった筋肉があれば専門家の方にもお願いするのですが、それだけでは不十分で自分に出来ることは自分で何とかしようと思うのが、競技者です。治療家の方を信頼していないという訳ではなく、自分で出来ることは自分でやる、自分に出来ないことはお願いするというのが基本スタンスになる訳です。とはいえ、自分で「脚を治す」と言われてもピンっと来ない人がほとんどだと思いますので、今回は最近の私の事例を紹介しようと思います。


 脚を痛めた経緯をお話しさせて頂きますと、右くるぶしの下がずっと固まっており、踵の骨の動きが悪くなっているなとはずっと思っていたので、ここをほぐしていたという状況が続いていました。そんな中、一週間前の土曜日に5x600m/600m (1:37-1:33)、日曜日に25km走(19:20-17:00)をやり、次の日は朝と午後に軽くジョギングをして終わる予定だったのですが、午後練習の後で足底(右くるぶしの内側)に痛みが出ました。


 私の見立てとしては、先述のように踵周りの筋肉が固くなっていて、関節が自由に動いていなかったというのが一つ、それからふくらはぎの筋肉が固まっていて足底の方まで引っ張っているというのがもう一つでした。とはいえ、痛みが出ているのですから患部に炎症が起きていることに間違いはありません。


 そこで私はどうしたかというと先ずはライオンズLLLTを一日一回20分ほど照射して炎症反応を抑えました。それから同時に上半身裸になって腰から背中にかけて20分ほど照射しました。こうすることで患部と全身の炎症反応を抑えるとともに全身の自然治癒力を高めました。LLLTに関しては、過去のブログ記事『LLLTのメカニズムとはどのようなものか』で詳しく書いているので、まだご覧になっていない方はそちらをご覧ください。


 ただこれだけでは不十分です。そもそもふくらはぎの筋肉が固まり、正常な稼動範囲が出ていませんでしたから、本来は指圧で思いっきりほぐすのが望ましいのですが、セルフの場合、それは難しいです。ですので、クリオのマッサージローションでなるべく指を凝り固まっているところに入れながら押し上げてほぐしました。それと並行しながら、ブースタープロ3を使ってふくらはぎの筋膜を緩めて可動範囲を広げていきました。


 一言でふくらはぎと言っても後ろやや外寄りと内側の二か所(二本のライン)も強い張りがあったので、そこをしっかりとほぐしていきました。そこをほぐしていくと、何とか綺麗に塊がとれて、患部が緩み始めました。それから、踵の骨のところをしっかりとほぐし踵の骨の周りにも動きが出るようにしました。患部にはまだ炎症反応が残っていたので、しばらくは患部に直接ブースタープロ3を使うことは避けて痛みのある周りの筋肉をほぐし制限されていた関節の可動範囲が元に戻るのを待ちました。


 関節と言うと膝関節とか肩関節とか肘関節とか大きな関節を思い浮かべる方が多いと思います。また、金田正一投手の曲がった肘のように完全に変異してしまうことを思い浮かべる方が多いと思いますが、そうではありません。人間の体というのは一般に思われている以上にすぐに筋肉や関節の動きに制限がかかってしまうのです。スポーツ選手が体の手入れをするのは故障の予防やリカバリーを促進して、質の高い練習や試合を継続する為という意味合いが強いですが、それだけではなく実は良い動きを作るためでもあるのです。微妙に動きが悪くなると、同じように動いているようでも全体のバランスが崩れどこかに負荷がかかってしまいます。私の場合も腓骨と脛骨や踵の骨、足関節の動きが悪くなっていたので、周りの筋肉をほぐすことで動きを少しつけて力が上手く逃げるようにしていきました。


 痛めた後の経過でいうと痛めたその次の日は全く走れませんでした。大事をとってという感じではなく、普通に走れなかったので、割と焦りましたが、休養自体はたまに休むのは良いことだと割り切り、一日何もせずに過ごしました。次の日は恐る恐る走ると何とか走れました。朝と午後に軽く走り、午後には軽く流しをしてみました。ちょっと流しは痛いかなとも思いましたが、寧ろある程度スピードを出した方が、腰がのって綺麗に走れました。痛みを抱えているときあるあるなのですが、痛いなと思いながらゆっくりと走っていると余計なところに力が入ったり、左右のバランスが崩れたりします。そして、その状態を脳が覚えて次第にそれが普通になってしまいます。痛みはかなり強烈に人間の記憶構造を変えてしまうので、故障から走りが戻らない選手は多くいます。


 これはケースバイケースなのですが、そのような理由から治りかけの段階で流しを入れるとかえって治りが早くなることがあります。脳がこのくらいの負荷であれば大丈夫と判断し、動き的にも横に逃げずに腰が乗りやすくなるからです。ただし、時期尚早の時期にこれをやってしまうと、せっかく治りかけているのがさらに悪化するのでやめた方が良いです。これがケースバイケースという意味です。


 しかしながら、一日走れなかった状態から次の日には流しまで行けているのでライオンズLLLTの炎症抑制効果は絶大だと思います。次の日は軽く8キロ、一日一回だけの練習にとどめておきました。ゆっくり走り始めて自然と一キロ4分ペースまで上がりましたが、脚には問題ありませんでした。この日は前の練習の流しから10時間くらいしかたっていなかったのですが、流しの後一時的に上がった炎症反応が速やかに下がりました。


 その次の日は200m5本をそこそこのペースでやりましたが、これも問題なく、次の日の3000m1本をやることを決意しました。そして、3000mをタータントラックで8分42秒でやり、次の日は25km走を90分くらいでやりましたが、どちらも問題なくこなせて、寧ろ完治に近づき、現在は痛みはありません。


 私は痛みのある時は休まねばならない、或いは休んだ方が良いという考えには大反対です。もちろん、いかなる痛みを抱えても走るべきだという考えでもありません。ケースバイケースであるし、また休めば治るという発想自体が安易だと思います。短距離選手の肉離れや野球選手のデッドボールなどは安静にしていれば治るケースがほとんどです。何故なら、一発のスプリントで切れて炎症反応も激しく治癒過程も進んでいるからです。


 一方で、長距離ランナーの故障は低度で慢性的な炎症反応が多く、ある意味では不必要な炎症なんです。別にその炎症反応で治癒過程が進むわけではなく、寧ろ治癒過程を妨げているケースが多いです。そして、ほとんどの確率でどこかに慢性的な凝り固まりがあるので、そこをほぐしていかないといけません。以上の理由からただ何もせずに安静にしていれば治るという訳ではないのです。


 「趣味で走ってるだけなのに、痛い脚を我慢してまで走る必要があるのか」という意見もありますが、私は逆に市民ランナーの方こそ脚が痛いからと言って走るのをやめる理由はないと思っています。もちろん、あまりにも痛くて本人が走りたくないと思っているのなら話は別です。でも、ほとんどのランナーは走れるなら走りたいと思っているものなのです。走るのが好きではない人にこのことを理解してもらうのは難しいかもしれませんが、例えるなら仕事終わりで疲れていても好きな異性に会いに行きたいというのと同じです。それでその日は疲れてしまうかもしれませんが、往々にしてその方が次の日の仕事も頑張れるという人が多いでしょう。ランニングも同じです。


 仕事で走っている人は、後遺症とかあるいは先述したように痛みを我慢して走っていると変な癖がつくリスクも考慮に入れる必要があります。レースのスケジュールも考えながら休むべき時に休むというのは一つだと思います。時には、いくら本人が走りたいと言っても頭で判断すべき時があるのです。ただ、別に仕事で走っていないのなら、走りたいのに我慢する必要はないでしょう。


 ドクターストップを出すドクターは何の権利があって、ドクターストップを出すのかなといつも不思議に思います。しかも、たいていはレントゲンを撮って、もう少しましならMRIをとって「骨には異状ないけど、ここに炎症が起きてますね。湿布出しとくので、湿布貼って安静にしといてください」と言われて話終わりです。でも、湿布貼って安静にしているだけでは不十分なんです。もっと介入的な処置が必要です。治してくれるわけでもないのに、ドクターストップだけ出すとは一体何様のつもりなのかなと思うのですが、そういう仕事だから仕方ありません。診察するのが仕事で、治療が仕事内容ではなく、しかも安易に「大丈夫です」と言って患者が走って悪化したら、訴訟にもなりかねない時代ですからね。お医者さんの立場も考えたら、そうなるのでしょう。


 周りに信頼できる治療家の方がいらっしゃる場合は、もちろん真っ先に診てもらうのが一番だと思います。でも、やっぱり自分でもやるべきことをやった方が治りは早いです。私がいつもお世話になってる治療家の先生なんて「次来る時までにここまで行ってへんかったら、もう診たらへんぞ」と言われますからね(笑)ちなみに今回も、「ここをほぐしとかへんかったら、またおかしくなるぞ。次痛いって言ってももう診たらへんからな」と言われてたところを故障したんですね。自分でも言われた通りほぐしてはいたのですが、不充分だったんでしょうね。「もう診たらへん」と言われたから今回は自分で治しました。自分が悪いので仕方ないです。でも、予めそこの踵関節の動きが悪くなっているというのを指摘していただいていたので、自分で治せたんです。これほど信頼できる治療家の方も他になかなかいません。お金儲けたかったら、テキトーな治療をして、いつまでも治らないようにして「また来てください」と言えば良い訳ですから。


 さて、今回は私の具体的なセルフ治療体験記をお届けしたのですが、最後に簡単にセルフ治療のステップを書いておきます。


・痛みのある周辺やその上に圧痛のある所を探す


・圧痛のあるところを長押しして患部に響くところを探す


・響くところとその周辺をあらゆる手段を使ってほぐす(ツボ押し棒、ソフトボール、マッサージローション、マッサージガンetc)


・一日二回LLLT照射。患部に20分、出来るだけ広範囲に20分


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関連ブログ記事

LLLTのメカニズムはどのようなものか?


セルフケア三種の神器


記事内に出てきた私が愛用しているマッサージガンブースタープロ3の詳細は下記のURLよりご覧ください。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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