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ベルリンマラソン2位のヴィンセント・キプケモイ選手も輩出したアシックス頂上キャンプの夏場の練習

 あなたはアシックスがケニアのイテンという町に頂上キャンプというトレーニングキャンプを作って運営しているのはご存知でしょうか?


 男女合わせて40人くらいの選手が一つ屋根の下で生活し、来るべきレースに向けてトレーニングを積んでいます。今回はそんなアシックス頂上キャンプのひと夏のトレーニングをお届けします。


 情報を提供して下さったのは私がKimbia Athleticsに入った時の先輩でラーニー・ルットさんです。契約関係で合意に至らず、今はKimbia Athleticsを抜けてアシックスのキャンプにいらっしゃいます。


 ちなみに、ひと夏の練習と言っても、ケニアのイテンはほぼほぼ赤道直下で四季はありません。7-9月でも常に最低気温が12度、最高気温が25度という感じの非常に長距離走、マラソンに適した町です。


 練習内容は出場するレースによってやや変えるそうですが、それよりも集団で練習できるメリットを活かして、集団で練習することが多いようです。トレーニングキャンプというのは日本語で言うところの合宿所です。既婚者も独身者も合宿所で生活し、週末は家に帰るというパターンが一般的です。


 例えば、ラーニーさんの場合はキャンプから約3キロの所に家があるにも関わらず、基本的にはキャンプで生活しながら、週末やあとはさすがに3キロの距離で車もおもちなので、ちょっとした時に帰っておられました。


さて、早速そんなマラソンに生きる男たちの練習内容をお届けさせて頂きます。


7月31日月曜日

午前 20キロ走75分(1キロ3分45秒ペース)

午後 10キロジョギング(48分)


8月1日火曜日

午前 変化走3キロ5本(1キロ2分55秒ペース)つなぎ1キロ3分45秒 

午後 11キロジョギング(54分)


8月2日水曜日

午前 19キロ走79分(1キロ4分10秒ペース)

午後 10キロジョギング(50分)


8月3日木曜日

早朝 30キロ走1時間43分(1キロ3分26秒ペース)


8月4日金曜日

早朝 20キロ走68分(1キロ3分24秒ペース)

午後 12キロジョギング(65分)


8月5日土曜日

午前 ファルトレク2分速く1分ゆっくり17本

午後 10キロジョギング


8月6日日曜日

完全休養


8月7日月曜日

午前 22キロ走1時間18分(1キロ3分30秒ペース)

午後 10キロジョギング(50分)


8月8日火曜日

午前 ファルトレク5分速く2分ゆっくり10本

午後 10キロジョギング(50分)


8月9日水曜日

午前 18キロ走1時間15分(1キロ4分10秒ペース)

午後 12キロジョギング(60分)


8月10日木曜日

早朝 40キロ走2時間8分(1キロ3分12秒ペース)


8月11日金曜日

早朝 18キロ走1時間12分(1キロ4分ペース)

午後 10キロジョギング(56分)


8月12日土曜日

午前 インターバル 1000m5本2分53秒+600m12本1分43秒 休息90秒

午後 11キロジョギング(63分)


8月13日日曜日

完全休養


8月14日月曜日

午前 25キロ走1時間28分(1キロ3分30秒ペース)

午後 8キロジョギング(40分)


8月15日火曜日

午前 インターバル 2000m5本6分ちょうど休息3分+800m5本2分13秒休息2分

午後 12キロジョギング(60分)


8月16日水曜日

午前 20キロ走67分(1キロ3分22秒ペース)

午後 10キロジョギング(48分)


8月17日木曜日

午前 25キロ走 1時間28分(1キロ3分30秒ペース)

午後 8キロジョギング


8月18日金曜日

午前 20キロ走72分(1キロ3分36秒ペース)

午後 10キロ58分


8月19日土曜日

早朝 5キロ4本15分2秒休息5分

午後 12キロジョギング


8月20日日曜日

完全休養


8月21日月曜日

午前 18キロ72分(1キロ4分ペース)

午後 12キロジョギング(60分)


8月22日火曜日

午前 ファルトレク1分速く1分ゆっくり30本

午後 10キロジョギング(50分)


8月23日水曜日

午前 19キロ走75分(1キロ4分ペース)

午後 10キロジョギング(50分)


8月24日木曜日

早朝 35キロ走2時間2分(1キロ3分30秒ペース)


8月25日金曜日

午前 22キロ走1時間19分(1キロ3分36秒ペース)

午後 8キロ走36分(1キロ4分30秒ペース)


8月26日土曜日

午前 ファルトレク3分速く1分ゆっくり15本

午後 10キロジョギング(55分)


8月27日日曜日

完全休養


8月28日月曜日

午前 22キロ走80分(1キロ3分40秒ペース)

午後 10キロジョギング


8月29日火曜日

午前 ファルトレク2分速く1分ゆっくり17本

午後 12キロジョギング


8月30日水曜日

午前 23キロ走83分(1キロ3分45秒ペース)

午後 8キロジョギング


8月31日木曜日

早朝 40キロ走2時間14分(1キロ3分21秒ペース)


9月1日金曜日

午前 18キロ走72分(1キロ4分ペース)

午後 12キロジョギング


9月2日土曜日

午前 400m30本65秒休息70秒

午後 11キロジョギング


9月3日日曜日

完全休養


 これを見て頂いてアマチュアランナーの方にも参考になるのは以下の二点かなと思います。


・色々な練習が入っている


・ハードじゃない日の練習も何らかの負荷がかかっている


 順番にもう少し解説させて頂きます。先ずは色々な練習が入っているということですが、市民ランナーの方の練習をみていて単調になっているケースが非常に多いです。ちなみに、私も昔は同じ練習ばかりやるのが好きでした。


 また、近所のおっちゃん、おばちゃんとか両親とか親戚の人とかおじいちゃん、おばあちゃんとかにも「いつもどこまで走ってんの?」と言われることが多いです。それだけ多くの人が「いつも同じところまで行って帰ってきているだけ」だと思っていることの裏返しです。


 市民ランナーの方はもう少し情報を収集したり、練習会に参加したりしてもう少し練習にバリエーションがつくものの、せいぜい4つくらいの練習のローテーションになってしまっていることが多々あります。ですが、トレーニングでは色々な刺激を体にかけた方がオーバートレーニングになりにくく、トレーニング効果を得やすいです。


 これは必ずしも一週間の中に色々な練習を組み込む必要はなくてアシックスキャンプのトレーニングのように1か月とか6週間という単位で観た時に色々な刺激が入っているというのでも良いし、年間通して色々な練習を組み合わせるというのでも構いません。


 次に、ハードな練習以外もそれなりに刺激が入っているという特徴が挙げられます。これも多くのアマチュアランナーの方が犯しがちな過ちですが、トレーニングが低強度か高強度かの二択になりがちです。中には高強度な練習だけ頑張っておけばジョグなんかいらないと豪語する人もいるのですが、どちらかと言えば逆で、レベルが低ければ低いほど中強度や低強度から中強度くらいの持久走を積み重ねたほうが体に負担がかからず、走力が向上し続けます。


 もちろん、アシックスの頂上キャンプに入るくらいのレベルになれば、話は別です。高強度な練習の出来次第でレース結果が決まりますが、そもそもレベルの高い高強度な練習が出来るのは中強度前後の練習を積み重ねてきたからであり、頂上キャンプにいるようなレベルの選手からすれば、それ以外の練習はこれまで培ってきた土台を維持する目的が強いです。


 よく、「トップレベルのランナーにとって1キロ4分ペースの持久走をやってもトレーニング効果はない」という言葉を「だからやっても意味がない→インターバルのような練習こそが重要である」と勘違いしてしまう人がいます。インターバルも重要です。それは事実です。


 ですが、トップランナーがインターバルやテンポ走、距離走などの高強度の練習だけをやっている訳ではありません。何故ならば、レベルの高い練習をこなすためには先ずは何年にもわたって土台の部分を作り上げる必要があり、そして一度土台を作り上げたらそれを維持する必要があるからです。


 中学、高校の弱小校を見ていてもこの現象が起きていて、インターバルばっかり頑張って全然土台が出来ていないという現象が起きています。


 そんな訳で、アマチュアランナーの方に等しく考えて頂きたいことは低強度か高強度か、黒か白か、追い込み切るか家で寝てるかの二択になるのではなくて、負荷の強弱を含めて満遍なく間の刺激も入れていって欲しいし、どちらかと言えば、高強度な練習は週に1回程度、あるいは初心者の段階(マラソンサブ3.5とかでも)では、インターバルなどの高強度な練習に取り組むよりも中強度の持久走を中心に練習を組んだ方が案外苦しまずに速くなれるということです。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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