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若くして燃え尽きる選手がいる?

May 11, 2018

 

 

 突然ですが皆さんは日本語の我慢と英語のpatienceの違いを感じたことがありますか?

長距離走をしていると、長距離は苦しいスポーツなので苦しいところで我慢できる選手が強くなるとよく言われます。ただこの場合に言われているのは、インターバルや距離走などの苦しい練習で自分を追い込めるかどうかという意味でよく言われます。実際に、ある程度は正しいと思います。

その一方で、日本では優秀な高校生や大学生がキャリアの前半で燃え尽きてしまうということも問題になっています。高校駅伝や箱根駅伝人気が過熱する中で若い選手への過度なトレーニングと厳しい管理や指導を問題視する声も多くあります。学生時代の大半を時間的にもエネルギー的にも陸上競技に捧げ、早くにやる気を失う選手が多いのは事実です。私の友人の一人も大学時代に優れた結果を残しながら、実業団一年目に多くの故障を経験し、一年目が終わると同時に退部しました。人づてに大学時代にすでに燃え尽きていたと聞きました。個人的にはもう一度一緒にレースで走りたかったです。

では、高校、大学の厳しすぎる指導が素質のある若い選手の将来を奪っているのでしょうか?結論から言うと答えは否です。

 

皆さんは「セッション」という映画をご存知ですか?シェイファー学院という音楽学校でアンドリュー・ニーマンという若いドラマーとフレッチャーというスパルタ教師を中心とした物語で、諸事情からアンドリューは退学、フレッチャーも首になり、その後偶然ジャズバーで再会します。そこで次のような会話をします。(以下訳池上)

 

 

 

I’m conducting a little while. They brought up JVC first this year. They got me open up a couple weeks with a pro band.

「指揮を執ってしばらくになるな。今度今年一回目のJVC(音楽フェスタ)が開催されるんだが、俺が初めの2週間プロのバンドを指揮するんだ」

 

That’s great. 

「それは良かったですね」

 

Yeah it’s all right. The truth is, I don’t think people understood what I was doing at Shapher. That wasn’t conduct. Maybe fucking more than waving arms and keeping people fucking tempo. I was there to push people beyond what I expected ‘em. I believe that is absolute necessity. Otherwise we’re depriving the world next louis Armstrong or next Charlie Parker. I told you about the Story Charlie Parker became the Charlie Parker.

「まあな。本当のことを言えば、私がシェイファー学院でやっていたことが人に理解されていたとは思わない。私は指揮を執っていたわけじゃない。腕をくそみたいにふって、テンポを取る以上のことをやっていたんだ。俺は教え子達が俺の期待を超えていくために背中を押していた。それが絶対に必要なことだと信じている。そうでなければ、世界から次のルイ・アームストロングやチャーリー・パーカーを奪うことになる。チャーリー・パーカーがあのチャーリー・パーカーになった時の話はしたな?」

 

Joe Jones threw the cymbal upset. 

「ジョー・ジョーンズが怒ってシンバルを投げた、あの話ですよね」

 

Exactly. Parker was a young kid and pretty good on the sax gets on the play and cutting session and then fucked shit up. And Jones nearly decapitated for it. He was laughed off the stage, cried himself at that night. But what he was doing next morning? He practices. He practices, practices and practices with one gold mine ‘’Never to be laughed at again’’.

And a year later he goes back to Rino and he steps on the stage and plays the best mother fucking solo the world ever heard. So imagine Jones just said well that’s OK that was all right, good job. And Charlie thinks also well shit I did pretty good job. And story no bird. And that, to me, is absolute tragedy. But That’s just what the World now wants. That’s why Jazz is dying. I tell you man. Every Starbucks Jazz album, just proves my point really. There are no two English words more humble than good job.

「その通りだ。パーカーは若くて、優れたサックスの演奏者だった。ある日ステージで彼は演奏した。そしてへまをやらかした。ジョーンズは彼を殺しかけたよ。パーカーは笑われてステージから追い出された。その夜は泣いた。でも翌朝の彼は?練習に向かったんだ。練習し、練習し、そして練習した。「二度と笑われないぞ」という一つの思いを胸に。

そして一年後、彼はリノに戻ってステージに上がると史上最高の演奏をした。考えてみろ。もしジョーンズがあの時「OK。それでいいんだ。よかったぞ」と言ったらどうなってた?チャーリー・パーカーは誕生しなかった。私にとってはこの上ない悲劇だよ。だが、それが今の世の中が求めるものだ。だからジャズが死んでいく。スターバックスのジャズアルバムが俺の言ってることを証明してるよ。英語においてgood job(よくやったな)よりも価値のない言葉は無いんだ」

 

But there is a line. You know maybe you go too far and discouraged next Charly Parker before ever becoming Charly Parker.

「でも限度があります。先生はやりすぎです。先生が次のチャーリー・パーカーのやる気を失わせました、その生徒が次のチャーリー・パーカーになる前にです」

 

No man no. Because the next Charlie Parker would never be discouraged.

「それは違う。何故なら次のチャーリー・パーカーは決してやる気を失わないからだ」

 

Yeah.

「そうですね」

 

The truth is, Andrew, I never really had a Charlie Parker. But I tried. I actually fucking tried and that’s more than most people ever do. And I never apologize for how I tried.   

「アンドリュー、本当のことを言うと私は一度もチャーリー・パーカーを育てられなかった。でも挑戦はしてみた。他の誰よりもね。そして、そのことについて謝る気はさらさらないね」

 

 言いたいことはお分かりいただけたと思います。私のコーチはよく私に「Be patient」

や長距離選手が成功しない理由の一つとして「Some athletes didn’t have enough patience」とおっしゃいます。このpatience (patientは形容詞形)は敢えて訳せば忍耐です。が、ハードな練習に耐えられるという意味合いよりも、成功するまで辛抱強く耐えなさいという意味です。耐えれば成功するのか?と言われてもまたそれも不確かな話です。が、しかし多くの時間と労力とお金をかけて、正しい方法で取り組まなければ結果が出ないことだけは確実です。日本語における努力、我慢、根性だけではなく、失敗しても気にせず長期にわたって辛抱し続けるpatienceもまた必要な要素です。

 余談ですが、デュッセルドルフマラソンのレースが終わったその日、一緒にマラソンの話をしていたスイスの選手から「君とアフリカの選手は結果が悪くても落ち込まないね」と言われました。私の場合は、努力だけではなくpatienceが必要だと気付いた時から、あまり落ち込まなくなりました。

 

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