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GMO地帯のゴッドハンド

January 6, 2019

謹んで新年を賀し、読者諸兄のご多幸をお祈り申し上げます。本年もよろしくお願いいたします。

 

新年一回目のブログ記事は新年に相応しい「運とツキ」について書こうと思っていたのですが、急遽予定を変えて気功について書くことにしました。

 

私が今まで効果があると思った治療法、治療器具、テーピング、サプリメントといった痛みのための手立ての中で今まで敢えて紹介してこなかったものが気功です。実は以前から気功には興味があり、自分自身でも気功の習得の訓練を積んだり、自分でも一時的な疼痛緩和や慢性痛を治したこともあります。理論的な背景はさておき、実践的にはある程度役に立つということは私の中では既成事実です。

 

実は私の妹も気の流れが分かります。私の妹は鍼灸師で現在は立命館大学長距離の男子部員の治療にも当たらせていただいているようです。兄バカながら言うと彼女の鍼の技術は年々上がってきており、なかなかの腕前で、予め私がここに打ってほしいというと的確に打ってくれます。「言われたとおりに打ってるだけで本人の技術ではないではないか」と思われる方も多いと思いますが、一寸ずれれば効果がなくなりもすれば、高まりもするのが鍼の世界です。私の伝え方も「痛みがあるのは(左脚ではなく)左足の左半分で外踝の下、足底の左半分、足の甲の左半分なんやけど、殿筋、ハムストリングス、下腿三頭筋が坐骨神経を圧迫してる感じがあるから殿筋からハムストリングスにかけて坐骨神経を通じて足の甲まで響くように打ってほしい」というような感じでわかる人にしか分からない表現です。それでも妹は的確にきっちり患部に響くように打ってくれます。

 

ただ妹が鍼をうつのは私が頼んだ箇所だけではありません。私が妹に伝えるのはあくまでも私がその時最もネックになっていると感じる箇所のみです。妹が迷わないように特定の箇所しか伝えていませんが、細かく気になるところは他にもあります。

 

ところが、妹が私の脚にスキャニングするように手をかざしていくと(この時妹は私の脚に触れていません)、引っかかるところがあるようです。そして「お兄ちゃん、ここも打っていい?」と聞くのですが、そこがやはり患部に響くポイントで私自身も気になっていた箇所なのです。妹曰はく「気のつまりを感じる」そうです。

 

一度妹が患部(足の甲)に気を送り、私がふくらはぎから妹の気に重なるように気を送ったことがあるのですが、私の流した気が足の甲で妹の気と重なり合うのが二人ともわかりました(さぞ、変な兄妹だと思われることでしょう)。

 

誤解のないように述べておくと、私達兄妹は特別な家や家系に生まれたわけではなく、それぞれ私は自分の脚を治そうと、妹は他人の脚を治そうとする過程で素人に毛が生えた程度の(気功師としての)力や感性が身についただけです。

 

『足底筋膜炎と鍼治療』でも紹介しているように私は自分の体に鍼をうつこともあるのですが、私はあくまでも刺激の一つです。指圧、フォームローラー、ツボ押し棒、ソフトボールとそれぞれ一長一短のある道具を使う中で感覚的に「アッ今回は鍼が良いな」と感じる時に刺激を与える為に鍼を使うのですが、妹はそうではなく鍼を使って気を流すことが出来るので驚くほど弱刺激で炎症を抑えたり、関節の動きを良くしたりすることが出来ます。

 

ただ、気功の世界は物凄く誤解が多く「怪しい」、「胡散臭い」と思う方も多くまた、知ったところで自分で気功を習得して故障を改善に導くというのもあまり現実的ではないので、紹介してきませんでした。

 

今回気功のことを書こうと思ったのは「やっぱり、痛みで苦しんでいる人に選択肢の一つとして知ってもらいたい」と思わさせてくれる気功師の方に出会えたからです。

 

その先生こそが東武東上線高坂駅から徒歩一分のところにあるツバメ整体院の船山先生です。高坂駅は私が借りているアパートの最寄り駅で、私が借りたアパートが偶然GMOアスリーツの寮から数百メートルの位置にあるので勝手にGMO地帯と呼んでいます。

 

11月10日の日体大記録会で(左脚ではなく)左足の左半分を痛め、11月25日の大阪マラソンで大きく悪化させた足の痛みは京都に少し寄った時に中学校からお世話になっている水谷友永先生と妹に治療してもらい後は自分で治療をしていました。なんとなく自分で思っているところはだいたい取り除かれ、後はミリ単位でどこかがおかしい(おそらくふくらはぎの下3分の1の真後ろから腓骨に至るまでの間)と感じました。

 

ここまでの微調整は自分では少し難しいのでツバメ整体院に行こうと思って今日治療を施してもらったのですが、治療後にこの先生が驚くべきことをおっしゃいました。

 

「走ってる時ギアを変えるというか動きを変えるの?」

 

私はこの一言に衝撃を受けました。おそらくランナーの方が多いこのブログですが、この言葉の意味が分かる方が何人いるでしょうか?

 

ランニングの経済性

マラソンではランニングの経済性(効率性ではなく)が大きくものをいう競技です。華やかな実績を残してきた洛南高校の先輩・後輩・同期と比べても大して力のない私が今でも競技を続けられているのはランニングの経済性が高いお陰です。

 

私が10000mで29分51秒(2:59/k)で走った時、5000mの自己ベストは14分43秒(2:56/k)でした。ハーフマラソンを63分09秒(2:59/k)で走った時の10000mは29分51秒(2:59/k)、長い故障明けで30㎞を1時間31分53秒(3:03/k)で走った時は自己ベストこそハーフマラソンを63分09秒(2:59/k)を持っていましたが、故障明けの練習状況から考えて5000mは14分30秒(2:54/k)程度の力しかなかったと思います。

 

このように短い距離のレースとほぼ同じペースで長い距離を走ることが出来るのは私のランニングの経済性が優れているからです。ランニングの経済性は主に脳と筋肉のコミュニケーション能力です。

 

筋繊維というものは一本一本個別に動かすことが出来ません。一本の運動神経に300本くらいの筋繊維がついていて、一本の運動神経に電気信号が流れると300本全ての筋繊維が収縮します。一本の運動神経とこの一本の運動神経につながる筋繊維の束を「運動単位」というふうに呼びます。

 

ところで、皆さんは男子100mで大活躍している桐生のふくらはぎの筋繊維はレース中どのくらい収縮していると思いますか?あの引き締まった美しい筋肉を見るとほとんどの人が全ての筋繊維が収縮していると思われるかもしれません。しかし、実際に収縮しているのは3分の2程度です。トップスプリンターですらその程度の割合ですので、一般人はいくら全力で走っているつもりでも半分の筋繊維も収縮していないと思います。

 

マラソンの場合はトップランナーで40%程度と言われています。もし私のマラソン走行時の筋収縮率が39%から40%に改善されたとすると数学的には2時間10分00秒のタイムは2時間8分42秒になります。僅か1%の改善が大きな意味を持つことはお分かりいただけると思います。これがランニングの経済性の改善です。

 

ではランニングの経済性の改善はどこから来るのかということですが、一つは最大走行時の筋収縮の割合を増やすことです。世界でもっとも有名なマラソンコーチのレナト・カノーヴァはトレーニングに80mのヒルスプリントを入れますが、それはこの筋収縮率(動員される運動単位の数)の増加を狙っています。

 

もう一つの方法ですが、実は同じ筋収縮率35%でもランニングの経済性が高いランナーほど違う35%を使っています。脳と筋肉がコミュニケーションをとりながら疲れた運動単位を休ませて、違う運動単位を使い、またその運動単位が疲れると違う運動単位を使うというように、走っている間運動単位は交代で使われています。

 

プロ野球の投手起用を思い出してもらえれば分かると思います。各チームエースと呼ばれる最も力のあるピッチャーがいます。しかしながら、エースばかりを起用していてはとても144試合は持ちません。通常5、6人の先発ピッチャーをローテーションで回して144試合を戦います。エースが挙げる一勝も5番手投手が挙げる一勝も同じ一勝です。であれば、4番手、5番手投手の働きもペナントレースの趨勢を左右します。

 

また各投手それぞれ先発に向いている者、中継ぎに向いている者、抑えに向いている者とそれぞれ特徴があります。これらの投手を経済的に使い144試合を戦い抜ける監督が名監督となります。

 

実は筋繊維も同じです。一キロ3分5秒で走るのに最も適した筋繊維や運動単位というものがあります。いわばエースです。しかしエースだけで長丁場のペナントレースを乗り切ることは出来ないので、二番手、三番手、四番手の運動単位を交代で使います。もし四番手の運動単位が長い距離をしのぐことが出来れば、それだけエースや二番手、三番手を温存することが出来ます。またこの四番手運動単位が今までは一キロ3分5秒でしか持たなかったのが3分03秒でも持つようになると長い距離も一キロ3分03秒ペースで走ることが出来ます。これがランニングの経済性の向上です。

 

このランニングの経済性が高まると短い距離のベストタイムと長い距離のベストタイムのペースが近くなります。如何に脳と筋繊維が上手くコミュニケーションをとって運動単位を経済的に交代させられるかが鍵です。

 

長時間同じペースで走っていると楽になったりきつくなったりするのですが、これを繰り返しながら同じペースを維持できるのは、異なる運動単位を交代で使っているからです。これが上手くできる選手は「リズムで走る」というふうに表現することもあります。

 

話を元に戻すと件の気功師の方はマラソンに関しては素人で、走行時における運動生理学についても知識がある訳ではありません。治療中も押したり、もんだりするわけではなく、手を触れないか軽く触れる程度です。それでも筋繊維を交代で使っていることが分かることに私は驚き「やっぱり気の世界は奥が深いな」と思いました。

 

その先生曰はく「筋繊維を交代で使っているとしか思えない凝り方をしている。普通の人の筋肉はうどんくらいの単位で見ていくけど、あなたの単位は髪の毛くらいの細さで見ていかないとわからない。髪の毛の細さくらいの結び目のような固まりが出来ている。ミリ単位で見ていかないといけないから君の治療は私の方もコンディションが良くないとできない」とのことで、大雑把なしこりは自分でとったから後は微調整が必要だという私の感覚とも一致しています。この先生のおっしゃる「髪の毛の細さくらいの結び目」こそが私が『慢性的な故障のメカニズム』の中で書いている組織の癒着です。

 

私は毎日自分の筋肉を触り、話しかけ、そして走れば筋肉も私に様々なシグナルを送ってくれます。ですから、なんとなく自分の体の状態は分かるのですがこの先生に治療していただいたのはまだ三回目で、しかも手を触れないか軽く触れるだけでわかるのだから凄いことです。

 

気功は様々な治療法の一つ

みなさんご存知の通り気功は東洋のものです。ところが現代では西洋の方が気功への研究が進んでいるのが事実です。いささか逆説的ですが、日本人は気功を信じし過ぎているが故に気功への誤解が多いのです。「気功を使えば不治の病も一発で治る」とか「気の玉で人が倒れる」とかそういうイメージを持っている人が多すぎます。また実際に過去に超凄腕の気功師が日本や中国に存在したのも事実で、釈迦も歩けない人を治していますし、現在でもインターネットで検索すれば遠隔治療でガンを治したというような記事にもヒットします。そういうことが書かれた本も簡単に手に入ります。

 

だからと言って全ての痛みや病が一発で治る訳ではなく、寧ろ一発で治ることは稀です。大抵は「癌を治した」と書いてあっても数か月とか数年かけて治しています。また気功師の腕前もピンからキリで私のように自分の脚をちょっと診てみるかという程度の趣味程度のレベルから何万人も治療してきた海千山千の気功師まで様々です。

 

ここが逆説的なのですが、電気治療なら一回で治らなくても「ちょっと筋肉がほぐれて楽になったかな」と患者さんが思えばそれで許されるのですが、気功は一回や二回の治療で治らないと「インチキだ」と言われてしまうのです。要するに、日本人はどこかで気功に期待し過ぎているので、それが裏切られた時に「気功はインチキ」と思いやすいのです。

 

一方で欧米はどうかというと気功はあくまでも代替医療です。癌患者を例にとると、放射線治療もする、抗ガン治療もする、そしてこれらの治療と並行して気功もするという方向性で研究が進められてきました。初めから気功だけでガンを治そうなどとは思わず、抗がん剤や放射線治療と並行して少しでも進行を遅らせたり、回復を早めることが出来れば良いなという視点で研究を進めてきました。このような視点で研究を進めてきたので「気功には効果がある」というのはもう既成事実なのです。

 

勿論、気功が効くかどうかはその気功師の腕前次第ですが、それはカイロプラクティックも鍼灸も指圧もすべて同じことです。もっと言えば、患者の努力や心理状態も影響します。

 

私のブログでは基本的に「故障を治すために、自分に何が出来るのか」という視点で書いていますが、気功に関しては他人に治療してもらうことをお薦めします。気功は自分に治療を施すのが難しいようで、腕のすぐれた気功師でも自分で自分に治療を施すよりも他人から気功を施してもらう方が効果があるようです。是非一度家の近くの気功師を調べてみてください。

 

趣味として気功を学ぶのも良いと思います。やってみると楽しいですし、色々な気付きがあります。何よりもヴィジュアライズする能力が高まりますので、スポーツには非常に役立ちます。

 

気功が使えるかどうかは変性意識状態(The altered state of the consciousness)に入れるかどうかがカギとなります。気功や変性意識状態について詳しく知りたい方は拙著『これから結果を出す人のための確信の作り方』に詳しく書いていますのでそちらを参考にして下さい。

 

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高坂ツバメ整体院

 

参考文献

苫米地英人著『自分のリミッターを外す! 完全版変性意識入門』

仲谷健吾著『言葉を変えれば痛みが消える』

池見猶次郎著『自己分析』

Aミアース著『自律訓練法』池見猶次郎・鶴見孝子訳

半場道子著『慢性痛のサイエンス』

ディーパック・チョプラ著『あなたは「意識」で癒される』渡邊愛子・水谷美紀子訳

AST協会『気功治療』

Earvin Laszlo著『What is Reality?』

Deepak Chiora著『Creating Health』

Dr. Randolph Stone著『Polarity Therapy volume one』

Dr. Randolph Stone著『Porarity Therapy volume two』

William Errol Prowse IV著『Plantar Faschiitis Survival Guide』

Chrisotopher Nussbaumer著『Wozu Bist du da?』

Brad Hudson著『Run faster』

Jack Daniels著『Jack Daniels’ Runing Formula』

 

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