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アーサー・リディアードのトレーニングシステム

July 1, 2019

前回の記事ではアーサー・リディアードから学ぶ選手と指導者の関係性について書きました。今回はいよいよ彼のトレーニングシステムについて書きたいと思います。アーサー・リディアードは日本ではかなり誤解されている指導者だと思います。よくある誤解は「走り込み」を中心とする時代遅れの指導者という誤解です。

 

確かに彼が指導者として最も活躍していたのは1960年代から1970年代にかけてですが、彼が当時指導していた選手の自己ベスト(ピーター・スネル 800m 1:43.3 1500m 3:37.6 マレー・ハルバーグ 1マイル 3:57.5 5000m 13:35.2 10000m 28:49.11 ラッセ・ヴィレン5000m 13:16.4 10000m 27:38.35)を見ていただければ決して時代遅れではないことがお分かりいただけると思います。

 

日本では中村清先生がリディアードシステムを取り入れて早稲田大学、SB食品の指導者として目覚ましい活躍を見せました。この辺りのことは経済小説家の黒木亮さんの自伝小説『冬の喝采』を読んでいただければ、当時の様子がよく分かるかと思います。ちなみに私が高校を卒業して、指導者もいなくて一人で走っていた頃、参考にしていたのが『冬の喝采』でした。今から思えば経済小説家の自伝小説を参考に練習していたのですから笑えますが、黒木さんが大学生の時の練習日誌を基に正確に再現された小説なのでとても参考になります。

 

何故、リディアードシステムが誤解されやすいのか、もしくは人によってかなり解釈が異なるのかということですが、これは部分をどのようにつなげ合わせるのかということに関して、彼の著書を精読しないと全体のつながりが見えないような構成になっているのが原因の一つだと思います。彼の本の書き方が悪い訳ではなくて、そもそも言っている内容そのものが詳細かつ包括的なので、部分と部分のつながりが見えにくいのは当然だと思います。恐らく、陸上競技が専門でない限り、部分と部分のつながりを理解して翻訳するのはかなり難しいと思いますし、また本ならその本一冊全て、講義ならその講義の内容全てを伝えない限り、誤解を生むような構成になっています。

 

もう一つは時代背景が考慮されていないケースが多いということです。ある主張がなされる際にはその主張のコンテクスト(背景)が考慮されるべきで、リディアードも当然当時のコンテクスト(時代背景)に即して、相手に伝わるように執筆していたはずですが、半世紀近くたった現在では当時のコンテクストが実感を伴って理解できるわけではない、若しくは完全に忘れ去られているので、誤解が生じるというのが二つ目の理由です。

 

さて、そんなリディアードシステムですが、この記事の中で出来るだけ簡潔に部分と部分のつながりを明確にして、全体が見えてくるように順を追って彼のトレーニングシステムを紐解いていきたいと思いますので、お付き合いください。

 

 

リディアードシステム

彼のトレーニングに対する考え方は、非常に単純な運動生理学の原則に基づいています。先ずこれを理解するために小難しい説明は一切省いて簡単に人間のエネルギー代謝のシステムについて解説しておきます。人間のエネルギー代謝の仕組みについて詳しく知りたい方は『ミトコンドリアとクエン酸と電子の話』をご覧ください。

 

人間の代謝システムには4種類あり、それぞれ代謝が速く持続性がないものから、代謝が遅く持続性のあるものまで順番に並べると、

 

  • クレアチンリン酸系

  • 無気的解糖系

  • 有気的解糖系

  • 有気的脂肪分解系

 

の4種類になります。上の1と2は酸素を使わずにエネルギー代謝をするので、1と2でエネルギーを作るような高強度な運動のことを無酸素運動と言います。よく息を止めてする運動という風に勘違いされるのですが、決して息を止めるという意味ではありません。細胞内でのエネルギー代謝において酸素を使わずにエネルギーを作っているという意味です。ですから、400mの選手でも(生物学上の呼吸ではなく)日常言語における呼吸は行っています。

 

5000mや10000mのレースになると、エネルギーの一部は無気的代謝によって作られます。だから、インターバルトレーニングによって無気的代謝を向上させると競技能力が向上するという考え方が東ドイツを中心として、当時は取り入れられていました。インターバルトレーニング全盛の火付け役となったのは1952年のヘルシンキオリンピックで5000m、10000m、マラソンで三冠となったエミール・ザトペック選手です。東ドイツの運動生理学者が考案したインターバルトレーニングをエミール・ザトペック選手が実践して結果を出したことで、インターバルトレーニングは理論的にも実践的にも正しいという風に信じられてきたのです。これがこの時代の時代背景です。先ずはこれを抑えておいてください。

 

ちなみに、余談ですがザトペック選手はランニングスタイルが美しくなく、常にもがきながら苦痛に顔をゆがめて走ることで有名でした。オールドファンならザトペック投法と言われてすぐにピンとくる阪神タイガースの村山実選手も序盤から苦しそうにしながら、点を与えず最後まで投げ切るのでエミール・ザトペック選手と重ね合わせてザトペック投法と呼ばれていました。

 

さて、話を本題に戻すとリディアード自身もインターバルトレーニングには即効性があること、インターバルトレーニング無しで結果を出すことは難しいことを著書の中で述べています。ただその一方で、インターバルトレーニングはオーバートレーニングや故障のリスクが高まること、即効性はあるもののすぐにトレーニング効果が頭打ちになることを指摘しています。

 

私のコーチ、ディーター・ホーゲンは1970年台東ドイツのホープで高校時代既に5000mを14分10秒で走っていました。当時の14分10秒というのは日本では日本選手権の優勝タイムです。宗さんご兄弟でも高校時代は15分台ですし、あの瀬古さんですら14分35秒が高校時代の自己ベストです。ただ、その後過剰なスピードトレーニングとレーススケジュールで故障を抱え、手術を経て二十歳の時には現役を引退し、コーチとなることを決意しました。その時の経験から私達には「スピードトレーニングは週に一回で充分、最大で週に二回まで」と言っています。その一方で、「マラソントレーニングは質がアルファであり、オメガである」とも言っています。トレーニングというのはこのように微妙な調和の上に成り立つべきものなので、リディアードシステムに関してもどこか一文を抜き出してこれがリディアードシステムだと誤解することのないように注意深く読み進めてもらえると幸いです。

 

インターバルトレーニングの効果がすぐに頭打ちになる一つの根拠は人間の体が抱えられる酸素負債の量は15リットルから20リットルと決まっているということです。あるペースで走った時に酸素負債を抱えるかどうかは最大酸素摂取量によって決まります。

 

例えば、あなたの除脂肪体重が60㎏で最大酸素摂取量が1分当たり4リットルだとします。最大酸素摂取量というのはどれだけ有気的代謝を使ってエネルギーを作れるかを示す指標です。最大酸素摂取量が1分当たり4リットルと言うのは、一分間に最大4リットルの酸素を使ってエネルギー代謝が出来るということです。

 

この時1㎞3分ペースで走った時にあなたが必要とするエネルギー量は、有気的代謝だけでエネルギーをまかなうとすると酸素5リットル分に該当します。しかし、あなたの最大酸素摂取量は一分当たり4リットルなので、毎分1リットル分の酸素負債を抱えることになります。この有気的代謝で補えない分のエネルギーは無気的代謝によってまかなわれます。この時、5000m走り切った時には15リットル分の酸素負債を抱えることになります(毎分1リットルの酸素負債×5000mを走り切るのにかかる時間15分 1x15=15)。もしあなたの抱えられる酸素負債の先天的な限界値が15リットルであれば、これ以上無気的代謝を向上させることは出来ないので、有気的代謝を向上させることでしか競技力は向上できません。遺伝的に抱えられる酸素負債の量が人より多くても20リットル程度までしか増やせません。

 

一方で、この有気的代謝の向上にはかなりの余地があります。これは高校時代の5000mのペースで大人になったらハーフマラソンを走り切れるようになったというケースが頻繁ににあることを考えてもらっても理解できると思います。ハーフマラソンのレースペースというのはほとんど無気的代謝を使わないレースペースです。要するに、高校時代は1㎞3分ペースで走れば毎分1リットルの酸素負債を抱えていたのが、有気的代謝の向上により酸素負債を一切抱えなくなったからハーフマラソンが63分前半で走れるようになったという理屈です。

 

実際には他にも様々な要素があるのですが、無気的代謝と有機的代謝の特徴を考慮すると、どちらにトレーニングの主眼をおくかはこの説明で明らかになったと思います。

 

一定程度のペースで長い距離を走りこむことによって、毛細血管、ミトコンドリア、心筋が発達し最大酸素摂取量を向上させる土台となる、これがリディアードシステムの根幹となる考え方です。

 

有酸素能力の向上のために週に100マイルの走り込みをさせるのが、リディアードシステムの大きな特徴ですが、この100マイルの走り込みは決してジョギングではありません。疲れ切ってしまわない程度に速いペースです。具体的にどのくらい速く走れば良いのかということですが、これは自分の体の感覚に従って決めるべきだと彼は言います。トレーニングの目的はトレーニング刺激に対する体の適応を引き起こし、能力を向上させることになります。この目的を達成するには体の感覚に従って、トレーニングするのが最も正確です。

 

心拍数でトレーニングを管理することにもリディアードは反対します。心拍数は心理的要因を受けるからです。一例として、かかりつけの医師に何度脈をとってもらっても脈が高すぎると相談に来た若い女性の例を挙げています。リディアードがその女性の脈をとったところまったくもって正常値でした。唯一の違いはそのかかりつけの医師は若くてイケメンだったということです。

 

勿論、タイムで管理することにも賛成しません。コース、気温、風向、風力、標高、その日の体の状態によって日々刻々と状況は変化します。ある日には疲れ切らずに寧ろ、リフレッシュできたペースでも別の日にはそのペースで走って疲れ切ってしまったということはよくあることです。

 

そして、この週に100マイルという数字ですが、決して総走行距離ではありません。トレーニングのメインとなる一定程度のペースでの走り込みの距離が週に100マイルです。ですから、二回目もしくは朝にやる練習の補助としてのジョギングを加えると、週に100マイルを超えます。

 

週に100マイルという数字はリディアード自信が週に80㎞から400㎞までの走行距離を試した結果、落ち着いた数字です。リディアードの言う走り込みは決してジョギングではないので、多ければ多いほど良いという訳ではありません。

 

また週に100マイルというと一日平均15マイルくらいになりますが、毎日15マイル走るよりも、10マイルの日と20マイルの日を組み合わせたほうが能力が向上することに気付きました。ペースにも若干の変化を加え、10マイルの日には少し速く、20マイルの日には少し遅くとトレーニングに変化を加えた方が、能力の向上に役立つことに気付きました。

 

因みに京都大学時代に10000mを28分36秒、ハーフマラソンを62分30秒で走った平井健太郎(親しみと敬意を込めて呼び捨てにさせてもらいます)がリディアードシステムを使っていると明言していましたが、彼の走行距離は決して多くなく、寧ろ少ない方です。ただ、小気味よくある程度速いペースの持久走を毎日のように取り入れており、ハードな練習かジョギングかではなく、有酸素能力の向上に取り組んでいました。また後述しますが、タイムトライアルを練習で頻繁に取り入れており、10000mを28分台で走ると決めたら、毎週末のように一人で5000mを14分30秒から14分20秒の間で走り、体に覚えこませていました。テレビ番組の「消えた天才」にも出ていたようですが、そばで見ていた私としてもまさに「消えた天才」だと思います。

 

 

インターバルトレーニング

さて、ここが最も誤解される箇所なので注意深く読み進めていただきたいのですが、リディアードはインターバルを全く否定していません。それどころか、インターバルトレーニングの効果を認めています。ある選手に対しては、インターバルトレーニングをもう少し取り入れるようにアドバイスして結果を改善させているほどです。

 

ここで思い出していただきたいのが、当時の時代背景です。当時は全体的にインターバルトレーニング過剰の傾向があったのです。そういった時代背景の中でリディアードは、長期目線で有酸素能力の向上に取り組むべきだということ、インターバルトレーニングをするにしても強固な有酸素的土台を作っておけば、疲れにくくなるので、より多く質の高いトレーニングがこなせるようになるし、疲労の回復も早まるのでオーバートレーニングのリスクも減る、走り込みによって靱帯や腱などの結合組織も強くなっているので故障のリスクも減る、これが彼の論点です。

 

彼が指導していたピーター・スネルは芝生のトラックで400mのインターバルを60秒で20本こなしていました。このようなトレーニングがこなせるのは彼が冬場はマラソンランナーのバリー・マギーと共に週に100マイルの走り込みを行ったからだとリディアードは述べています。

 

更に驚くべきことにリディアードはニュージーランドのラグビーのナショナルチームの指導も任されていました。ラグビーがスプリント、スプリント、スプリントであることに彼は何の異議も唱えません。但し、スプリント、スプリント、スプリントのためのトレーニングがスプリント、スプリント、スプリントであることには異議を唱えます。

 

要するに、ラグビーのようなスポーツにおいても先に(週に100マイルではないにせよ)走り込みによって有酸素能力を高めておけば、疲れにくい体になるのでゲームの後半になっても、前半と同じ動きが出来るようになる、チーム全員が前半と同じ動きが出来るようになればゲームの後半のスコアは大きく改善されると言います。練習量自体も疲れ切らずにこなせる量が増えるので技術も向上したと彼は述べます。これはやっぱり一理あると思います。瞬発系の競技は特に、一瞬の速さが求められるので、疲れ切って緩慢な動きで練習していては試合で使える動きが出来ません。試合で使える動きを繰り返すことで技術の向上につながるので、トータルで見れば有酸素ランニングによってラグビーが上手くなると言えると思います。

 

 

またこれは知的作業に従事する人も同じだと彼は言います。肉体的につかれなければ、精神的にも疲れにくくなる、集中力が持続するので知的生産性が向上すると彼は言います。また有酸素運動が脳内の神経ネットワークを増やすことも最近の研究で明らかになっています。知識と言うのは単発では使えないのですが、知識と知識が結びつくことで使える知恵まで昇華されます。この知識と知識の結びつきのことを知のネットワーク化と言います。詳しくは「習慣のオーダーメイドトレーニング」を参照してください。

 

 

タイムトライアル

有酸素ランニングで有気的代謝を高める、インターバルトレーニングで無気的代謝とスピードを高める、これだけでは不十分だとリディアードは言います。最後にこれらを統合し、レースに向けて調整するタイムトライアルが必要です。人間の体は同じ動きを繰り返していると、その動きを効率よくするという特徴があります。有酸素ランニングはレースよりも遅く長く走ります、インターバルトレーニングは休憩をはさんで、短い距離を速く走ります、でもレースは休憩をはさまずに速く走る必要があります。

 

ただ、リデイアードの言うタイムトライアルは全力で走るのではなく、一定のペースで自分でコントロールできるペースで速く走る練習です。距離も目標とするレース距離の半分程度です。レースの距離の半分をレースペース程度でリラックスして走り体にその感覚を覚えこませ、レースに仕上げていくという感覚で捉えてもらえばと思います。

 

先述の平井に関しても、特別にスピードがある訳でもなく、特別練習量が多い訳でもありませんでした。ただ、常に自分がレースで走りたいと思うタイムを明確に頭に入れてそのペースを経済的に走れるようにトレーニングを繰り返す、そして、レースではそのペースで走る、というそんなイメージを私は持っています。気持ちとか思い込みの強さもあると思います。そのタイムでレースで走ると決めたら、その為に自分が何をすべきかを明確にして、そこに向かって高い集中力を発揮して淡々とこなしていく、そんなイメージでした。

 

 

トレーニングスケジュール

トレーニングスケジュール全体としては、先ず有酸素ランニングを積み重ねて、有酸素土台を作る時期があり、そこからスピードトレーニングに移行するためのヒルトレーニングの時期があり、インターバルトレーニングの時期があり、タイムトライアルを含む調整期があり、そしてレース期があるという形でトラックレースにも半年くらいかけて仕上げていきます。トレーニングの期分けを明確にして、目標とするレースに仕上げていくのでピーキングの名手として知られる一方で、ピーター・スネルもラッセ・ヴィレンもオリンピックでは金メダルなのにローカルレースに出ると負けることも多かったというのは有名な話です。

 

そして、多くの選手やコーチが最高の結果を出すために時間をかけて仕上げていく忍耐に欠けるということを彼は指摘します。シーズン前半に早く低く仕上げ過ぎて、シーズン後半で得られるはずだった最高の結果を逃してしまうことが多いと指摘します。また初めの数年というのはトレーニングに対する理解が足りないがために失敗することも多いものですが、目標とするレースで失敗したとしても、次の目標とするレースまで半年かけて忍耐強くトレーニングする必要があります。ところが、若い選手の中には失敗を取り返そうと目先のレースに心を奪われ、もう一度半年かけて準備する我慢が出来ないと指摘します。

 

レースで勝つのは最も優れた選手ではなく、最も良く準備をした選手だというのが彼の信念です。

 

 

トレーニングの運用に関して

実際にリディアードが指導する選手にどのようなプログラムを作成したのかということに関しては、私は一度ピーター・スネル選手が東京オリンピックで800mと1500mで二冠を達成する数か月間のスケジュールを見たことがあるだけです。年間を通して、彼がどのようなプログラムを組んでいたのかは分かりません。Running to the topにはトレーニングのガイドラインが示されており、下記のような練習を最低3か月続けてから、4週間のヒルトレーニング、4週間の無酸素トレーニング・スピードトレーニング、6週間の調整期を経てレースへと入ります。

 

月曜日 60分の有酸素ランニング

火曜日 60‐90分の有酸素ランニング

水曜日 60分の有酸素ランニング

木曜日 60‐90分の有酸素ランニング

金曜日 30分の有酸素ランニング

土曜日 60分の有酸素ランニング

日曜日 120分の有酸素ランニング

 

実際にリディアードの指導するトップ選手達がこのようなスケジュールを3か月から5か月も続けていたのかどうかは分かりません。ただ私自身の経験やコーチホーゲンの指導経験から言うと、ある時期にメガベース(巨大な基礎)を作ってそれをそのままレースまで持っていくことは難しいように思います。個人的なアドバイスとしては基礎作りの期間にも週一回の短い距離のファルトレク(例 20x1分速 / 1分遅)を取り入れる、若しくはヒルトレーニングと有酸素的土台の時期をくっつけて、週一回200m(20-25本)から300m(15‐20本)の登板走を取り入れることをお薦めします。そこからステップバイステップで積み重ねてレースへと仕上げていくのが良いと思います(詳細は真剣なランナーのあなたへを参照してください)。

 

インターバルトレーニングに関しては週に一回から二回、ある距離を走って同じ距離のジョギングで回復させるというやり方で、タイムも本数も選手の感覚に従ってやらせていたようです。トレーニングはトレーニングの目的を達成することが大切で、紙に書かれた本数とタイムをこなすことは大切ではないと彼は言います。従って、選手の感覚に応じて選手がトレーニングの目的を達成したと感じたところで辞めれば良いとのことです。

 

その後の調整期ではタイムトライアルをはさみながら、体をフレッシュにシャープに維持することを大切にします。トレーニングはレースで結果を出すためにやるのであって、より多く練習することはゴールではない、従って、この時期にはレースで結果を出すために練習全体の量や負荷を減らし、フレッシュかつシャープに仕上げていくことが大切だと彼は述べます。この時期も週に一回は90分から120分のジョギングが取り入れられていたようです。

 

リディアードシステムの概略に関してはここまでで全てです。1.有酸素的土台を重視すること、2.最高のレースをするために半年の準備をすること、3.目先の結果ではなく数年かけてシステマチックに向上させていくべきであること、4.週に1‐2回の無酸素トレーニングで無気的代謝、スピード、神経筋の向上を図ること、5.レースが近づくとより実践的なトレーニングを導入し、フレッシュかつシャープな状態を作ること、など基本的な考え方は今日成果を挙げている他の指導者とほとんど変わりはありません。現在の指導者たちも多かれ少なかれ、過去の指導者から学んできているので当然なのですが、それを考えてみても、自分のトレーニングに応用できる箇所がいくつもあると思います。是非参考にしてみてください。

 

 

追伸

リディアードシステムは部分部分を見れば単純明快で決して難しいものではないのですが、それをどのように調和させて全体を構成するのかという運用に関しては理解するのが難しいのではないかと思います。そういった難点を克服するために私がこのブログでも取り上げたブラッド・ハドソン、レナト・カノーヴァと言った古今東西の指導者の理論を統合して、更にそれを実践しやすいように具体例まで落とし込んだランナーの為の講義動画を作成していますので、詳細はコチラからご覧ください。

 

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