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サブ4を目指す方にありがちな9つの誤解

 突然ですが、今あなたはマラソンで四時間切り、いわゆるサブ4を目指しておられますでしょうか?


 はいとお答えになられたあなたにさらに質問です。あなたはインターネットでサブ4の為の練習方法を調べたり、書店でマラソンサブ4の為の練習方法を調べたりしているでしょうか?


 情報には役立つ情報もあれば役に立たない情報もあるので、一概にどうとは言えないのですが、一般的傾向としてはそれはやめた方が良いです。


 何故ならば、それは役に立たないからです。いえ、役に立たないだけであれば良いです。役に立たないどころか、あなたに誤った信念=誤解を植え付けてしまい、練習方法・・・というよりも練習の方向性を誤らせるからです。それのせいで、かえってあなたのランナーとしての成長が遅くなってしまうのです。


 私はそんなランナーさんを過去3年間だけでそんなランナーさんを数百人とみてきました。もしかすると、この記事にたどり着いたあなたもそんな一人かもしれません。今回はそんなサブ4を目指す方にありがちな9つの誤解をお届けさせて頂きます。


よくある1つ目の誤解:サブ4を目指すレベルは上位30%程度であり、結構ハードルが高い

 サブ4を達成している人の割合は上位30%とも20%とも言われています。どの数字が本当かよく分かりませんが、どうも男性の上位30%、全人間の上位20%というのが事実に近いようです。この数字だけみると、結構凄いことのように思えます。この数字はしばしばゴルフや受験勉強と比較され、ゴルフで言えばどのくらいのスコアとか大学で言えば、どの大学のレベルとか言われ、結構レベルが高いと言われたりします。


 ですが敢えて申し上げますと、マラソン4時間切りは簡単です。もちろん、性別と年齢は考慮に入れねばなりません。80代でもマラソン4時間切りは簡単かと問われるとやっぱりそれはさすがに簡単だとは言えません。


 あるいは脚がない人でもマラソン4時間切りが出来るのかと言われるとそれもやはり難しいと思います。難しいというかそもそも、走れるのかどうかが私にはよく分かりません。義足の耐久性がどの程度なのかとかそのあたりに知識が私にはありません。


 ですが、60歳以下の五体満足の人間にとってはマラソン4時間切りは簡単です。やるべきことを然るべき方法でやれば誰でも簡単に達成できる数字です。


 逆の言い方をすれば、フルマラソンに参加する人の大半はトレーニングに対する基礎知識もないし、走ることが生活の一部になっていない人たちです。やるべきことをやっていないか、やり方をしらないか、それだけのことであってマラソン4時間切りは非常に簡単です。逆の言い方をすれば、やるべきことを然るべき方法でやれば、簡単に上位20%には入れるということです。


よくある2つ目の誤解:サブ4を達成するのに距離走はいらない

 この二つ目の距離走はいらないという誤解は様々な形で表れます。


 例えば、40キロ走はいらないとか30キロ走以上はいらないとか、30キロ走ですらいらないとか、あるいは本数的にも30キロ走を1,2本やっておけばそういった類の情報です。これは色々な形を取りますので、厳密にどういう情報というよりはざっくりと距離走はそんなにいらない系の情報だと思ってください。


 仮にここでは30キロ走を1,2本やっておけば大丈夫みたいな情報に話を絞りましょう。30キロ走を1本か2本だけやっていればサブ4は達成できる、だからそれ以上の距離走はいらないという言い方をするのであれば、それ自体は正しいです。何も間違っていません。そのことは私が誰よりも知っています。サブ4程度の記録は30キロ走を1,2本やっていれば私は簡単に達成出来ますし、サブ4どころかサブ3もサブエガも達成できます。


 ですが、それは私の練習のやり方が他の人よりも理に適っているからではありません(それもありますが)。私はこれまで18年間走り続け、徐々に練習量を増やし続け、30-45キロ走も何本もやっているし、月間走行距離も最高1200キロまで伸ばしており、自己ベストでも2時間13分をマークしているからです。


 つまり、単純な理屈としてやることをやっている人間の方が強いのです。サブ4に距離走はいらないというのであれば、それは事実です。30キロ走を1,2本しかやらなくてもサブ4は達成できます。ですが、重要なのは練習のやり方としてはどちらが正しいのかということです。


 フルマラソンは42.195キロをなるべく速く走ることを競う競技です。これはレベルを問いません。マラソン4時間切りを目指す人は42.195キロをなるべく速く走るということをやった上で、4時間切りという数字を目指す訳です。


 マラソン2時間10分切りを目指す人は42.195キロを目指す人は42.195キロを目指す人は42.195キロをなるべく速く走るということをやった上で、2時間10分切りという数字を目指すのです。ここに速度の違いはあります。速度の違いはありますが、距離の違いはありません。だからこそ、本来は練習量自体は同じで良いはずなのです。


 ただ、サブ4の為に距離走はそんなにいらないというのは事実です。何故ならば、マラソン2時間10分切りに比べてマラソン4時間切りの方がレベルが低いからです。レベルが低いのだから当然それを達成するために必要な努力の量も減ります。ですが、サブ4に距離走はいらないというのはいつまでもあなたはレベルが低いままで良いと言っているに等しいです。


 練習の効率から言えば、距離走をたくさんやるのが効率が悪い訳でもなければ、距離走の本数が少ないのが効率が良い訳でもありません。


 ただ単に、本来はある程度の距離走の本数は欲しいけれど、マラソン4時間切りというのはレベルがまだ低いので大した努力をしなくても達成出来てしまうというそれだけのことです。ただ、ここで考えて頂きたいのは練習としてはどちらの方が正しいのか。つまり、確率的にはどちらの方がマラソン4時間切りの確率が高いのかということです。


 当然ですが、ある程度距離走の本数と距離は長い方がマラソン4時間切りの確率は高いです。このあたりが私がマラソンサブ4の為の練習に関する情報を集めれば集めるほどサブ4達成出来なくなる、あるいは達成出来たとしてもサブ4どまりになってしまうと主張する理由です。


 練習というのは皆がやっているからと言って正しいとは限りません。確かに、サブ4を達成する人の多くはそこまで距離走をやっていませんが、それが正しいやり方という訳ではないのです。


 単純な話として、陸上競技と言うのは800mからフルマラソンまである距離をなるべく速く走ることを競う競技です。


 そして、その距離を問題なく走り切るということが出来なければ、その距離を速く走ることを考えることは出来ません。とにかくゆっくりでも良いです。ゆっくりでも良いですから、問題なく走れる距離を伸ばしていって初めてその距離を速く走るということを考えられるのです。


 これは私がまだ小学生の頃の話ですが、ある日思い立って5キロ走ってみることにしたのです。その頃の私はまだ5キロと言う距離がどんなものなのか想像もつきませんでした。ちょっとした冒険です。最後まで走り切れるかどうか不安だったのでとにかくゆっくりゆっくりと走りました。途中で脚が重くなり、痛くなり、やめたくなりましたが、とにかくゆっくりゆっくり走りました。


 そして、なんとか走り切りました。次の日は物凄く筋肉痛になりました。この段階ではまだ5キロを競うということが考えられません。とにかく完走することが目標という状態なので、どのくらい速く走れるかなんて考えている余裕すらないのです。その頃はまだ自分が5000m14分台で走るようになるなんて想像もしませんでした。


 その数か月後、私は京都バファローズという野球チームに入りました。冬場はウォーミングアップで9キロ走ります。怖い先輩方に混じってとにかくゆっくりゆっくりと完走を目指しました。途中で歩いておられる方もたくさんいましたが、とにかくゆっくりゆっくりと完走を目指しました。そして、何とか走り切りました。


 この段階でも私は走り切るだけで精いっぱいで、9キロを速く走るということを考えられる段階にはありませんでした。この状態で速く走ることを考えるのは無理です。歩かないことで精一杯なのです。


 余談ですが、このロードワークのコースは一部が京都府高校駅伝のアンカーのコースとかぶっています。高校一年生の時はアンカーを走らせて頂いて区間賞を獲るのですが、私にとっては庭のような勝手知ったるコースでした。


 閑話休題。フルマラソンでもこの時の私と全く同じ現象が起きます。というかフルマラソンだとなおさらこの現象が起きます。初めは走り切ること自体がキツイと言う状態なので、とてもじゃないですが、速く走ることなど考えることすら出来ないのです。考えても出来ないことってこの世の中たくさんありますが、この段階ではそもそも考えることすら出来ないのです。


 私の場合もそのあと少しずつ5キロや10キロがとにかくゆっくりでも良いから走れるということを繰り返し、少しずつ苦しまずに走れるペースの速度を上げていき、それに流しやスピード練習を組み合わせて、レースが速く走れるようにもっていって5000m14分台、10000m29分台と何年もかけて記録を伸ばしていきました。


 では、この走り切ることすら大変というのは一体どういう状態なのでしょうか?


 それは最低限の筋持久力がない状態なのです。走るというのは自分の体重を移動させるということです。そしてこの時、小さなジャンプを繰り返しています。ですので、繰り返し接地の衝撃に耐えることと体重を支えて小さなジャンプ=地面の蹴り出しが出来る筋持久力がないといけないのです。


 走行速度が上がれば上がるほど、接地の衝撃も蹴り出しの際の力も大きくなるので、この筋持久力は時間と速度の両面から考える必要があるのですが、初期の段階ではとにかく最低限の筋持久力というものがないのでゆっくりゆっくりと走ってももたないのです。


 筋持久力がきついとペースを落としても回復しません。呼吸はペースを落とせば回復します。ですが、筋持久力がもたない場合、ペースを落としても回復しないし、歩いても回復しません。これがフルマラソンの後半が地獄になる一番の要因です。グリコーゲン切れもかなりきついのですが、先ずはその前に筋持久力がもたないという現象を乗り越えられるようにしておかないときついです。


 ちなみにですが、この時に自分の体重を運ぶわけですから、余分な重りはない方が有利です。ただし、体重が軽ければ軽いほど有利な訳ではありません。何故ならば、重りが軽くても筋肉も少なければやはり自分の体重を運ぶのが大変になるからです。脂肪よりも筋肉の方が重いので、筋肉があると重くなります。


 余分な重りは持たない方が良いですが、軽ければ軽いほど有利である訳ではなく、これが男性の方が体重は重いけれど、女性よりも速い理由です。


 そして、筋持久力を高めるには、ある程度速いペースである程度長い距離を走り続けるしかありません。それ以外に方法は何もありません。走り方がどうのこうのという人もいますが、走り方を教えているコーチで私よりも速い人に出会ったことはまだ一度もありません。


 では、このある程度の速いペースとある程度長い距離とはどの程度速く、どの程度長くなのかということですが、ある程度速くの方がレースペースの80-90%(最高95%)、ある程度長くの方は30-45キロで、出来れば40-45キロ走が1本か2本欲しいです。ただ、必ずしも40キロ走を入れなくても良い記録を出す人はアマチュアランナーの中にもプロの中にもたくさんいらっしゃいます。その理由はまた後述します。


よくある誤解その3:サブ4を目指すレベルでは月間走行距離200キロはいらない

 この三つ目の誤解も上記の話とほぼ同じです。確かに、出来るか出来ないかで言えば出来ます。そんなことを言いだせば、別に私は月間走行距離100キロ台でもサブ3もサブエガも出来ます。ただ単純に、上を目指す中でどちらの方が効率が良い練習なのか、どちらの方が成功確率を高めてくれるのかという話です。


 これも単純な話で、練習量は多い方が成功確率は高いです。先ず先述の筋持久力の話をしますと、そもそもの話ですが、距離走が重要だから10キロや15キロの練習は意味がないのかというと、そんなことは全くないです。トレーニングというのは繰り返すからこそ、力がついていくのです。


 そして、距離走にしても30キロ走という単発で捉えるべきではありません。


 どういうことかというと、コンスタントに(日常的に)10キロが走れるからこそ、週に1回くらい15キロ走が出来るのです。そして、それを何回か繰り返せば、週に1回くらい頑張れば20キロ走が出来るようになります。そして、それを何回か繰り返すと25キロ走が出来るようになります。そして、それを何回か繰り返すと30キロ走が出来るようになります。


 これらをさかのぼってたどっていくと、普段からコンスタントに10キロ前後の練習をたくさん入れているからこそ、週に1回頑張ればもうちょっと長く走れるのです。ちなみに、ここではだいたい10キロと書きましたが、ある程度このあたりを市民ランナーさんの基準にせざるをえないかなとは思います。ある程度現実的な数字を設定しないと市民ランナーさんのお悩み解決や目標達成のサポートをすることは出来ません。


 ただ、日常的に15キロや20キロ走ることは悪いのかと言うと全然そんなことはなくて出来るならやった方が良いです。私の知る最も極端な例はほとんど低強度走のみで月間600キロ走って、マラソン2時間40分切りを達成した人がいました。月間600キロも走るというとすぐに「効率が悪い」と言いたがる人があとを絶たないのですが、私はそうは思わないです。


 先ず第一に、大半の人がたどり着けないところにたどり着いたんだから、それは効率が良いに決まっています。


 第二に、インターバルや高強度走などの苦しむ練習をせずにその数字を達成したのであれば、実質苦しんだのはほとんどレースだけです。そして、レースは苦しいといっても気分も高揚しているし、それほど苦しさを感じません。ほとんど苦しまずにその数字を達成したのであれば、やっぱり効率が良いと言えます。


 逆に、練習量が少ないと何をやっても苦しいです。インターバルをやっても高強度走をやっても、距離走をやっても苦しいです。当然、レースも苦しいです。


 なので、総走行距離そのものに意味があるというよりは普段から問題なく走れる量や頻度が多い人の方が強いのは当たり前で、その結果として月間走行距離や週間走行距離が一つの目安になるということです。それが全てではないですが、やっぱり月間150キロは150キロなんです。なかなか少ない練習量では速くならないし、速くならないということは効率が悪いということです。


 最高で月間1200キロまで練習量を増やした経験から申し上げますと、月間1200キロの練習は月間300キロの4倍きつい訳ではないです。段階を踏んで体の方も強くなっていくからです。


 さすがに、月間1000キロに近づいてくると、不必要な練習を省いていくことも必要にはなっていきますが、月間600キロくらいまではそんなことは考える必要がありません。多ければ多いほど良いです。


 私が言いたいのは「月間200キロも走らなくて良い」というくだらない理論に付き合っている暇があったら、少しずつで良いから無理なく走れる量と頻度を増やしていった方が良いということです。社会的な要因で(仕事や家庭の問題で)走る頻度が確保できない人もいると思いますし、それはそれで仕方ありませんが、体にとってはあなたの社会的要因など関係がないことは理解しておくべきです。


 ちなみにですが、私が思うにトレーニングによって基礎体力がついても結局日常的にトレーニングで体力を消耗していれば、一般の方と比べて結局体力があるようにはならないように感じています。つまり、マラソンが速く走れるからと言って仕事に活かされているかと問われれば、関係ないようには感じています。


 ただ、逆に基礎体力レベルが高いとトレーニングで疲れて仕事が仕事にならないということもない訳です。どうせ同じであるならば、引き締まった細マッチョで学生に間違われるくらい若い外見で、大抵の市民マラソンで優勝するか上位に入れる程度の持久力を持っている方が良いに決まっています。


 また、ここまでは筋持久力の話を主にしてきましたが、代謝系に話を絞っても同様のことが言えます。フルマラソンのレース結果はほとんど筋持久力と代謝系によって決まります。代謝系とは単位時間あたりに生み出されるエネルギー量を増やすと共にその持続時間を速くするということです。


 例えば、1分間に生み出すことができるエネルギー量を増やすとともに、その1分間に生み出せるエネルギー量の持続時間を1時間から1時間半へと伸ばしていくというようなことです。


 代謝系の改善には実際にある程度多い単位時間当たりのエネルギー量をある程度の時間持続させるしかありません。走っている時と言うのは低強度走であったとしても安静時に数倍のエネルギーを生み出しています。これを30分でも40分でも50分でも持続させるということを日常的に繰り返していれば、どんどん代謝系は改善されていきます。だからこそ、ただ単に練習量や頻度を増やすだけでフルマラソンの記録は向上するのです。


 レースで4時間走ることを考えれば、30分の低強度走は無意味に思えるかもしれませんが、決してそんなことはありません。反復の効果は大きいのです。


よくある誤解その4:サブ4を目指すレベルになるとスピード練習もとても大切

 この4つ目の誤解も微妙なラインの話にはなってきます。スピード練習が大切か大切でないかで言えば、大切です。ただ、私が主張したいのは優先順位がおかしくなっている人が多いということです。マラソンサブ4を達成できない人で最も多い要因は筋持久力不足です。


 にもかかわらず、30キロ走の本数を増やすのは効率が悪いのに、何故かインターバルの方は効率が悪いという話になりません。何故か練習量が多い方はすぐに「効率が悪い」と言う話になるのに、1キロ5本のインターバルはすぐに「効率が良い」という話になるのです。


 ですが、トレーニングは必要な要素を満遍なく組み合わせる必要があります。目標とするレースペースが1キロ5分40秒なのですから、別に1キロ5分ちょうどのペースは必要ありません。これも確率の問題として、スピードがあるにこしたことはありあません。絶対にスピードがあり過ぎて困るということはないのです。ただ、私が書きたいのは人間の体力は有限なので、優先順位を明確にしておくべきだということです。


 基本的には、5キロで26分を切れるだけの走力があれば、サブ4には充分です。サブ4を目指すレベルの方はまだまだ伸びしろがあるので(70代や80代でなければ)、将来的なことも考えてスピード練習も取り入れていって欲しいところです。ただ、5キロで26分を切れているのにサブ4が出来ないのであれば、その原因はスピード練習にある訳ではないことは理解しておいた方が良いです。


よくある誤解その5:サブ4を目指すトレーニングに対する考え方とサブ3を目指すトレーニングに対する考え方は異なる

 これもよくある誤解です。マラソンでサブ4を目指すレベルだからマラソンサブ3の為の情報は役に立たないと思っている人が多いのですが、そんなことはないです。繰り返しになりますが、42.195キロを速く走るということに変わりはないので、マラソンサブ3であろうがサブ4であろうが考え方自体は同じです。ハーフマラソンとマラソンはレースの距離が違うので、練習のやり方はまた変わりますが、同じフルマラソンであれば、考え方は同じです。


 マラソンサブ3した人の話も聞いてみると色々と参考になる部分もあるはずなので、幅広く情報収集してみると良いと思います。


よくある誤解その6:量より質の練習で効率良くサブ4を達成できる

 これもよくある誤解ですが、ここまでの文章をお読みいただければどこが間違っているかはもうお分かり頂けると思います。念のために簡単に書いておくと、何故か量が少なくて質が高いのは「効率が良い」、量が多いのは「効率が悪い」と言われがちですが、なんの根拠もないということです。


よくある誤解その7:走り方を変えれば速くなる

 これも速くなるかならないかで言えば、速くなります。ですが、その割合はほんのわずかです。


 そもそも論ですが、中長距離走における走技術の要点は地面から得られるエネルギーを最大限にすることではありません。自分のレースペースで走った時のエネルギーの消費量を最小限にすることです。つまり、無駄な力を抜くことと無駄な動きをなくしていくことです。


 そして、人間の体はある程度苦しいところを経験させていくと自然と無駄な力を抜くことを覚えたり、無駄な動きがなくなっていくものなのです。


 そして、無駄をなくしたところでそもそも生み出せるエネルギー量が少なければどうにもなりません。ですから、動きづくりばかりやって走る量が少なければ絶対に速くならないのです。


 また、よく「ハムストリングスやお尻などの大きな筋肉を使えば最後まで走り切れる」というようなことを言いますが、そもそもハムストリングスやお尻の筋肉の筋持久力が小さければどうするのですか。


 確かに、ふくらはぎや足底の筋肉よりもハムストリングスやお尻の筋肉の方が筋出力は大きいです。ですが、そもそもそのハムストリングスやお尻の筋肉の筋持久力が無ければ意味がないではないですか。


よくある誤解その8:夏場は暑くて走れない

 夏場走らない人も多いのですが、そうすると一年のうち約2か月は練習しないことになります。継続が大切な中長距離走において2か月も休んでいたらなかなか力がつきません。そもそも、2か月も休んだら戻すだけで2か月かかります。


 夏場は走れないと思い込んでいる方も多いのですが、早朝か夜に走れば充分に走れます。というよりは、市民ランナーの方の大半が早朝か夜に走られていると思うのですが、真冬の早朝や夜よりも全然真夏の早朝や夜の方が快適です。ただ、走れないというお声も理解は出来ます。ペースは1キロ当たり10秒ほど落とす必要はあるでしょう。また、給水も多めに準備しておく必要はあります。


よくある誤解その9:練習は追い込むもの

 これも初心者の方ほどありがちな思い込みです。おそらく小中学校の持久走の名残か部活で手抜きをすると顧問の先生に怒られたということの名残だと思います。これは非常に残念です。


 中長距離走に関して言えば、素人の顧問の先生ほどきつすぎる練習を出してきます。一番ダメなのは短距離出身の先生が長距離を指導することです。これが一番ダメです。私も経験があるのですが、きつ過ぎる練習では全く力がつきません。


 中長距離の練習はおよそ9割は苦しくない練習で占めるべきです。別に、楽じゃなくても良いです。楽じゃなくても良いのですが、苦しい練習であるべきではありません。苦しい練習の割合が1割以下になって5分(5%)とか3分(3%)とかになっても良いです。ですが、苦しい練習が7割になってしまうのであれば何かが間違っています。


 楽じゃなくても良いから、苦しい練習の割合は1割以下であるべきなのですが、初心者の方ほど苦しい練習が多すぎて、その結果として練習量や頻度が増やせないです。


 確かに、筋持久力がない間は走るということ自体がきついのですが、少しずつ練習量を増やせば、すぐに苦しまずに走れる量を増やせるようになります。そして、苦しまずに走れる量を増やせるようになったら、そのあとで苦しまずに走れるペースを上げていきます。極論すれば、この繰り返しです。


 さて、今回はフルマラソンサブ4に関してよくある誤解を解説させて頂きました。これでもうマラソンサブ4の為のアウトライン(概要)は掴めたと思います。それでももしかするとあなたは「概要はだいたいわかったけど、もっと詳しく知りたい。もっと具体的な週間スケジュールまで知りたい」という方もいらっしゃると思います。


 そんなあなたの為に、私がマラソンサブ4の為の20週間のトレーニング例を解説付きでお届けさせて頂きます。ご希望の方は是非こちらをクリックしてください。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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