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腰高のフォームは本当に腰高のフォーム?

更新日:2021年10月16日

前回のブログ記事「中村真悠子という女がいる」では、私は走り方に関しては、素人なので他人に教えることは出来ないということを書いたのですが、今回は素人なりによくある走り方に関する誤解について解説していきたいと思います。

 あなたも最近は「腰高」「つま先接地」「バネのきいた走り」が良いと聞いたことはないでしょうか?敢えて私はその是非を問うことはしないのですが、今回はそもそも効率の良い走り方とはどのようなものか解説していきたいと思います。

 ユーチューブ動画の方では「落ち率が低い秘密を公開」というタイトルで、落ち率の秘密について解説しているのですが、この動画の中では予備動作の重要性を解説しています。予備動作というのはある動作で強い力を加えるためにする動作のことです。わかりやすく言えば、野球で投手は手でボールを投げます。ですが、投手は手だけを使って投げるのではなく、振りかぶって、足を上げて一度手を後ろに引いてから投げます。右投手であれば、この時、左手も上手く使って全身を使って投げようとします。「ボールを投げる」その瞬間というのは、一瞬でその前にいろんな動作をしています。


 では打者の方はどうでしょうか?打者の方も足を上げたり、ヒッチしたりコックしたり、様々なことをして、予備動作を上手く使いインパクトの一点に強い力を伝えます。ランニングでは、反復動作のため、投球や打撃のように、分かりやすい予備動作というものがありません。しかし、実際にはこの一歩が次の一歩の予備動作になるように走ることで、楽に走ることができるようになります。イメージで言えば、一歩一歩が点で終わるのではなく、線で繋がるように走るということです。

 「落ち率が低い秘密を公開」という動画の中では、主に予備動作について解説しているのですが、予備動作は本来はある瞬間に強い力を伝えるためです。投手ならボールを放す瞬間、打者ならボールとバットがぶつかる瞬間です。予備動作を上手く使うことで、この瞬間に最大限に力を発揮することができます。では、予備動作が上手くできればインパクトの瞬間はどうでも良いのでしょうか?決してそうではありません。インパクトの瞬間はインパクトの瞬間で最も力の入る型というのがあります。ホームランバッターは皆インパクトの瞬間に強い力が入るように最も良い型を追い求めています。

 打撃でいうインパクトの瞬間というのは接地の瞬間です。ランニングも連続的な打撃動作です。速さとはどれだけ強い力を地面に加えられるかとその頻度がどれだけ高いかです。要するに、どれだけ速く足を動かし、どれだけ強く地面を蹴ることができるかで決まります。ですから、理屈で言えば走り幅跳びの記録が良ければ良いほど有利になります。ですが、これはあくまでも理屈の上での話です。例えば、私の走り幅跳びの記録は4m20です。これは、成人男性であれば、ほとんどの人が上回ることのできる記録でしょう。小学生でも私よりも跳びます。ですが、私のストライドは約170cmですので、4m20しか跳べなくても計算上は2m50cmの余裕があります。長距離走で大切なのは、この1m70cmのジャンプをいかに楽に速く跳び続けるかということです。

 そのコツが予備動作を上手く使うことと接地の時の型を上手く作ることです。野球選手はタイヤを打ったり、サンドバックを打つことでインパクトの瞬間に最も力が入るポイントを探します。その時必ず肘がやや曲がり、押し手(右打者なら右手、左打者なら左手)の手首がやや返り、いわゆるヘッドが立った状態になります。これはランニングも同じで膝が伸びきっていると力が入りません。やや膝を曲げて、骨盤の真下でつくことがポイントになります。タイミングも重要で、接地の瞬間、腕が体側の横を通過し、下半身と上半身のうねりがタイミングよく反対側に回転しないといけません。

 さらにもうひとつポイントがあります。それは力を逃がさないということです。接地した瞬間のジャンプの方向は上ではなく、前です。走り高跳びとは違います。最近はアキレス腱の腱反射を重視する人も多いですが、個人的な意見としてはアキレス腱の腱反射を意識的に使う必要はありません。そもそも意識的に使わなくても勝手に反射で推進力に変わるのが人間のアキレス腱の凄いところです。アキレス腱のおかげで人間は全動物の中でも、長距離走の能力はトップクラスです。ですが、アキレス腱の腱反射を意識的に使おうとすると、どうしても力が上に逃げてしまいます。

 意識するのは膝の角度と膝の位置です。一般に腰高と言われる走り方は腰の位置が高い位置にある訳ではありません。接地の瞬間、腰の位置が足の真上に綺麗に乗っているので腰高に見えるのです。ですが、実際には膝は曲がっています。膝はある程度曲げた方が効率よく走れます。野球選手がサンドバックを打つように、様々な膝の角度で地面を押して見ると良いと思います。実際には、上に跳ぶのではなく、前に跳ぶのでバウンディングで様々な膝の角度を試すと良いと思います。そうすると、膝をやや曲げた方が力を入れずに前に進めることがわかると思います。バウンディングといっても私のバウンディングは遠くに跳ぶことを目的としません。楽に跳べるポイントを探すんです。なぜなら、距離は1m70cmで充分だからです。

 難しいようですが、膝を曲げすぎてもいけません。膝を曲げすぎると接地の瞬間、足の位置よりも腰の位置が後ろになってしまいます。これが「腰が落ちている」と呼ばれる型です。ですが、実際には腰の高さではなく、前後の位置の問題です。

 トップランナーは脚力も常人以上に強く、また接地の瞬間の上半身と下半身の連動も綺麗で、バネをきかせているように見えるのですが、本人はそこまで跳んでいる意識はないはずです。勝手にそうなるのが本当のところではないでしょうか?

 ちなみに私はかなりすり足で走るタイプです。もともと跳躍力がない上に、やはり膝をやや曲げて、リズム良く、足を前に前に置いていった方が楽に走れるからです。地面を蹴るのではなく地面を押すイメージです。探して見ると私が高校3年生の時の近畿インターハイの動画がユーチューブにアップされていたので、是非参考にしてください。二人いるピンクのランニングパンツの後方が私です。当時は、自分のできる限りの勝負はして、前に6人が見えて、あと一人落ちるところまで我慢すればインターハイと思ったのは覚えています。ですが、そこでもういっぱいいっぱいでラスト一周は74秒かかりました。記憶では自分ではできる限りの勝負をした結果と思い、悔しくもありがなら、後悔はなかったのですが、改めて見ると技術的に欠陥だらけです。ラスト2周に入ってからもう少し肩の力を抜いて肘を曲げ、あごをひき、前の選手の腰だけをみて、前に重心移動しながら、足を回転させれば、もう少し結果は変わったものになったでしょう。久しぶりに見ると、当時の近畿で9番の選手ってこんなに低レベルなんだと思わせる走りです。そんな低レベルな走りですが、足のさばきは汚くはないです。またラスト1周で思いっきりペースをあげて優勝した選手も最後まで重心が浮かずに前に前に、上半身と下半身を連動させながら、地面をしっかりと押しているのがお分りいただけるかと思います。

追伸 

 長距離走、マラソンについてもっと学びたい方はこちらをクリックして、「ランニングって結局素質の問題?」という無料ブログを必ずご覧ください。

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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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