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執筆者の写真池上秀志

カロリー計算なんてどうでも良い!

更新日:2022年4月13日



 思い返せば私の自炊生活は10年にもなりました。洛南高校陸上競技部を卒業し、実業団からも大学からも声がかからず、失意の想いを抱えて京都教育大学に入学した私は、失意の想いを抱えながらも、光を見出していました。


 それは高校とは違い、4年間みっちりと自分の体を使って色々な実験が出来るということです。高校3年間は恩師の中島道雄先生からトレーニングプログラムを頂いていました。中島先生には様々なことを教えて頂き、本当に感謝してもしきれないのですが、一点だけ不満があったとすれば、練習内容でした。


 というよりも、教え方といっても良いかもしれません。中島先生は「どういう練習をするかは関係ない。取り組む姿勢の問題や。毎年インターハイチャンピオンが出るけど、皆違う練習してるやろ?どういう練習してるかは関係ないんや」と常々おっしゃっていました。


 しかし、洛南高校陸上競技部で2つ上から2つ下まで合計5学年観察してきましたが、必ずしも取り組む姿勢と競技結果は一致していませんでした。何よりも、私自身「これだけ一生懸命やってインターハイすらいけないのはおかしいだろ」と思っていました。インターハイに行くどころか、3年生になるまではトラックレースでは補欠でした。


 誤解のないように述べておきますが、中島先生も練習に対しては試行錯誤をされており、何パターンもの練習を試されていました。その中で、全国高校駅伝で入賞できる可能性があり、なおかつ高校卒業後に大きく伸びるような練習のさじ加減を会得されたようです。


 ですので、しばしば「インターハイチャンピオンを育てるとか、全国高校駅伝で入賞させようと思えば育てられる。でも、それよりも大事なのは高校を卒業してから人間として大きく成長すること」とおっしゃっていました。


 詳論には触れませんが、促成栽培と失敗も成功も経験して、自分の頭で考えながら成長するというのはまた違うのでしょう。


 また中島先生は「こういう練習しないと強くなれない」というような固定観念や本でかじってきただけのような姑息な考え方を嫌いました。1つの考え方にとらわれるのではなく、自分で色々と試してみて、失敗も自分の力で乗り越えて、人としても成長してほしいという大きな心の指導者でした。


 実際に、高校を卒業してから、強くなる選手の率は群を抜いて高かったですし、中島先生の教えを受け継いだ選手たちは指導者やマネージャーになる率も非常に高かったです。中島先生の教えの賜物でしょう。


 しかし、一方で私自身も高校時代は思うような結果を残せませんでしたし(中島先生の予言通り、大学入学以後伸びましたが)、また私の場合は一応京都府高校駅伝も3年連続区間賞、全国高校駅伝も3年連続で走らせて頂いたということもあり、もう1つの見方も手に入れました。


 それは「なぜあの選手ではなく自分がメンバーには入れたのだろうか?」というものです。確かに、私は力がなかった訳ではありません。特に距離的には高校生の誰よりも走りこんだという自負もあり、スピードがない割には長い距離、起伏の激しいコース、強風、単独走、様々な悪条件でも卒なく走るので、駅伝では使い勝手が良かった選手ではあります。


 しかし、それを割引いても私よりも力のある選手は他にもいました。持っている身体能力ではとてもじゃないですが、かなわないんです。インターハイで入賞するような選手はたいてい身体能力が高く、スプリントも速い、中距離も速い、メディシンボールを投げても遠くまで飛ぶ、縄跳びやバウンディング、動きづくりをしても明らかに他の選手よりも飛べるし、動きも綺麗という選手が多いです。


 しかし、逆に身体能力が高いから成功するかというとそうとも限りません。先輩にも後輩にも、私よりもはるかに身体能力が高い選手はいました。スピードもあるし、距離を踏んでも弱くはありません。3000m2本をやっても、ずーっと1キロ3分で押していって最後の1000mを2分46秒で走るような選手です。


 練習終わりに300m2本をやっても私はせいぜい46秒くらいでしか走れないのに、普通に42秒くらいで走ります。最も速かった先輩はジャージで39秒で走るほどのスプリント能力を持っていました。後輩にも似たようなのがいました。そして、重ねて書きますが、距離走をやっても弱くはないんです。


でも、駅伝では私が選ばれた。何故か?


 ついでに書いておくと、弊社副社長の深澤も持ってる力の半分も出し切れませんでした。唯一の救いは、最後の京都府高校駅伝5区で区間賞を獲得したことです。しかし、この程度の成績は彼にとっては当たり前の記録です。


何故、もっと速く結果を出すことが出来なかったのか?


 持ってるものは私よりも上です。いや、正確に言えば、私は彼にないものをもっているし、彼もまた私にないものを持っていました。しかし、高校生の大会は距離が短いので、彼の方が結果を残せたはずです。


だからといって、彼の取り組む姿勢が悪かったわけではありません。


 人格と競技力もあまり関係がありません。試合に出られない上級生が試合に出ている下級生をいじめる、実力のある上級生はそんな下級生いじめはしない、というのは漫画の世界か小説の話です。実際には、チームでも中心となる選手が下級生をいびるというのはよくありました。


 では、結局何が競技結果を決めるのか?もちろん、取り組む姿勢は非常に大切です。心の問題は非常に大きいです。どんな時でも前に進める強い気持ち、情熱、探求心、勇気、信念、愛というものがなければ、競技力もまた伸びないでしょう。ついでに、闘争心、負けん気、嫉妬心、ねたみ、そねみ、ひがみといった一般にはネガティブとされている気持ちもないと伸びていきません。ライバルが結果を出しているのに、何も感じない選手よりも「あいつに負けてたまるか」と思ってる選手の方が伸びていきます。


 しかし、心はランニングの1要素にすぎません。1つの要素だけで勝てるなら、何も専門的な指導者は必要ありません。中島先生だって先述の通り、口では「どんな練習するかは関係ない」とおっしゃっていましたが、精神指導だけで毎年全国高校駅伝の10番台に入れるほど、我々の頃の高校駅伝もレベルは低くありませんでした。


明らかに適切な練習や食事が必要です。


 大学に入学した私は、陸上で進路を決められず、勉強で大学に入学するということと引き換えに練習や栄養について自由に試せる権利を手に入れました。


 今回はその中でも栄養について書いてみたいと思います。


 私の母は愛情深く、家族の健康管理にもものすごく気を配ってくれる良妻賢母といったところで、野菜や果物も無農薬野菜をなるべく買ってくれる母親でした。しかし、私はそんな母の手料理も競技をやる上では理想だとは思いませんでした。改善の余地はたくさんあったのです。


 そこで、私は大学に入って色々と自分で食事を試してみました。私はもともとお菓子が好きな方ではなく、ご飯、パスタ、お餅、パンといった炭水化物が大好きな人間で、大学時代は練習量が多いこともあって、尋常じゃないくらい食べていました。それでも練習量が多いので、体重管理に失敗したことはありませんでしたし、練習量が減れば食事の量を減らすということも自然と出来ました。


 お酒は飲まず、外食もほとんどなく、1日3食主食、主菜、野菜、果物、乳製品を摂り、間食もせず、全ては完璧に思えました。何よりも、毎日走っているときは、こういう練習をするときは何時間前にどういうものを食べれば良いのかとか、こういう練習の時はどういうものを食べれば良いのか、どういうものが食べやすいのかということも分かってきます。


 これは栄養の知識ではなくて、実際に走ってみないと分からないことでしょう。理屈ではなく、実際問題です。理屈がどうあれ、毎日練習や食事のことまで考えていれば、というか当時はそれしか考えていませんでしたから、自然と練習内容と食事の関連性も分かってきます。


 余談ですが、プロ野球唯一の400勝投手の金田正一さんがそのスタミナの秘密を聞かれて「とにかく走りこむこと」だとおっしゃっていました。現在の投手は年間200イニング投げる投手はほとんどおらず、したがって20勝投手もほとんどいません。昔の投手は年間300イニング、400イニング投げて、20勝、30勝、時には40勝と挙げる代償として短命な投手が多かったのです。


 しかし、単純計算で20勝を20年間やってやっと400勝です。実際に金田さんは300イニング以上投げるシーズンが何シーズンあっても体が壊れませんでした。


 その金田さんがおっしゃっていたのは、


「ピッチャーというのは、一球一球全力で投げる。そして、数十秒間の間に回復してまた投げる。だから、ただ走りこむだけではダメなんだ。全力で走って、少し休んでまた全力で走る。そして、すぐに休んでまた全力で走る。こういう練習をしないと、ただただだらだらと走りこんでもスタミナはつかない。

 

 そして、走りこむためには走るための体を作らないといけない。走る日は朝ごはんも走る用の朝ごはんに変えないといけない」


とおっしゃり、当時としては珍しいオートミールを食べておられたそうです。そして奇遇にも、ニュージーランドで合宿していた我々コーチホーゲングループの朝食もオートミールでした。


 金田さんの話を聞いて人は「あの時代にそれだけの最先端を行っていたのは凄い」というのですが、やっぱり人間毎日必死で考えて、実際に練習をしていれば自然と分かってくることなんだと思います。大投手を比較に出して失礼ですが、金田さんも我々と同じ人間ですから、一人だけ朝ごはんでガソリンを飲むわけにはいかないでしょう。


 必死で走りこんで、朝ごはんも色々試していくうちに、何をどのくらい食べれば良いのかが自然と分かってくるというそういうことなんだと思います。


 話を戻しますが、そうやってやっているとなんとなくわかってくるので、大学2年目くらいまでで私もなんとなく食事について理解を深めていましたし、体調管理は上手く行っていると思っていました。


コーチホーゲンに出会うまでは…


 私が現在のコーチであるディーター・ホーゲン氏に出会ったのは、齢(よわい)20の時です。コーチホーゲンはエヴァンス・ルット、ウタ・ピッピヒ、スティーブン・キオゴレなどのシカゴ、ベルリン、ボストン、ベルリンなどのメジャーレースのチャンピオンやトップ3、トップ6に入る選手を数十人も育て上げている名伯楽です。


 それだけではなく「栄養が選手を強くする」という考えの持ち主で、アメリカの月刊誌に3本、毎月栄養に関する記事を執筆するくらい栄養には詳しい方です。


 そのコーチホーゲンの前で私がフライドポテトを食べていると、「フライドポテトは最も体に悪い食べ物の1つだ。体内で炎症を起こす」と言い出しました。


「炎症?」


 フライドポテトが炎症を起こす?そんなことはないだろう。


 当時英語がほとんど話せなかった私は、聞き間違いだと思って何度も聞きなおしましたが、何回聞いても「Inflammation(炎症)」という単語に間違いありませんでした。


 おかしいなあと思いながらも、私は帰国後も様々な栄養に関する文献を読み込みました。結論から言うと、コーチホーゲンが正しかったのです。一般に思われている以上に様々な食べ物が体内で炎症を起こしていました。


 そして、一般に思われている以上に様々な食品が抗炎症作用を持っていました。そして、炎症を起こす食べ物とそうではない食べ物が体調に大きな差を作ることに気づきました。


 例えばですが、体内で起こる炎症が老化を促進します。逆の言い方をすると、炎症を引き起こす食べ物を食べると老化が促進されますし、炎症を抑える食べ物を食べると老化が遅くなります。


 実は私は20歳くらいからアンチエイジングに取り組んできたのです。一年でも長く現役を続けるためです。


 今28歳になって、実際に一般的な28歳よりもはるかに若いと思っていますし、疲れやすさも20歳の頃と全く変わりません。寧ろ、当時よりも体の回復が早いと感じています。一般的には高校生の頃の方が体の回復が早いと言われていますが、高校時代の私と今の私では全く勝負になりません。今の方が疲れにくいのです。


 更に、食べ物によって正常な細胞の生まれ変わりが促進されるか、異常な細胞の生まれ変わりが起こるかが決まることも分かりました。


 良いほうから言えば、食べ物が良いと細胞の正常な生まれ変わりが促進されるので、トレーニング刺激に対する適応が起こりやすいのです。適応というのはトレーニング刺激に対して正の反応を起こし、走力が向上することです。つまり、同じトレーニングをしていても走力の向上に差が出るということです。


 悪いほうで言えば、気づかないうちにおこる体内での炎症反応が、長期で積み重なれば、ガン、アルツハイマー、二型糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、関節炎などの病気を引き起こします。


 また、気づかないうちに起こっている脳内での炎症が集中力の低下を引き起こします。逆の言い方をすると、自分で集中力がないとか、自分は気持ちが弱いとか根性がないと思っていたことも食事で改善できるかもしれないということです。


 実際に私は、コーチホーゲンから学んだ食事に変えてから、急に勉強が出来るようになりました。大学に入学したときは、真ん中より下だった私ですが、4回生になるあたりから学内でも噂になるくらいの学力がついてきました。特に読解力がつきました。


 魔法のように頭が良くなったわけではありません。今までは理解できなかった文章を何度も何度も読み直して、理解しようとする根気がついたと言えば良いのでしょうか。


 それまでは3回くらい読んで分からなければ、頭の中が混乱してその先を読み進められなかったのですが、食生活を変えてからは、分からなくても分からないなりに、何度も読んで分かるところと分からないところに分割し、分かるところだけを繋ぎ合わせて全体の意味を理解しようと努め、分かるところを繋ぎ合わせて得られた全体の意味内容から、分からないところの意味を推論し、さらにそうやって得られた推論でちゃんと全体の意味が通るのかどうかをもう一度確認するという作業を何時間もかけて、あるいは日をまたいでやり遂げられるだけの集中力がついたのです。


 そして、神経細胞の状態が良くなったのか、分からなかったことも一晩か二晩寝れば、頭の中が整理されて、理解できなかったことが理解できるようになったということも増えました。


 実は教育現場では、食べ物や飲み物が児童生徒の感情や集中力に影響を及ぼすことは、以前から言われており、やはり清涼飲料水、菓子パン、スナック菓子、インスタント食品などばかり食べている児童生徒はそうではない生徒に比べて、キレやすく、イライラしやすく、1つの作業に長時間、根気強く取り組むことが困難であるという傾向が報告されています。


 そうなると、当然対人関係や学力にも影響が出てきます。


 私にはその逆が起きたとしか思えません。


 もう一度書きますが、私が思っていた以上に、多くの食品が炎症を起こしましたし、多くの食品に抗炎症作用があったのです。


 そして、私はコーチホーゲンと出会う前も食生活が荒れていた訳では決してなかったのです。


 そして、間食をすることは悪いことだと教わったのですが(母もそう言っていたのですが)、そうではなく、寧ろ間食をした方が良いことも分かりました。これも目から鱗の内容であるだけではなく、それ以後は間食をすることに罪悪感を覚えなくて済むようになったので、大いに助かっています。


 こういった経験をもとに作成したのがウェルビーイングの為の栄養学(税込み10780円)という集中講義なのですが、先日過去の文書を整理していたら、ウェルビーイングの為の栄養学のパワーポイントが出てきました。


 私にとっては、毎日実践していることなので、当たり前になってしまっていたのですが、改めて見てみると、皆さんの役にも立つだろうという内容でした。


 ウェルビーイングオンラインスクールやトレーニングプログラムビルダーの受講生様の中心となる年齢層は40代から60代です。このくらいの年齢はまだまだ伸び盛りで実際に自己ベストを更新し、サブ3から2時間35分切りくらいまでタイムを伸ばされている方がたくさんいます。


 しかし、同時に気になされているのが、「体力の低下」「加齢による衰え」です。


 そんな訳で、今回はアンチエイジングという意味合いも込めて、二回にわたって直接ウェビナーで皆様にお話しさせて頂きたいなと思いました。


日程は以下の通りです。



4月17日日曜日19時半~(2時間)


 私なりに皆様が最も参加しやすそうな時間を選んだのですが、ちょうどご飯時でもあります。内容も栄養ですし、画面をオフにしてご飯を食べながら受講していただいても構いません。


 またお申込みいただいた方には、復習用に後日動画とパワーポイントもお送りさせて頂きますので、ご心配なさらないでください。その為、途中退室、途中参加も受け付けます。


 受講費は特別企画ということで、ウェルビーイングの為の栄養学の通常受講費は税込み9800円なのですが、今回のウェビナーはたった5500円(税込み)の投資額で受講していただけるようにします。


ただし、こちらの価格で受講していただけるのは先着50名様とさせて頂きます。というよりも、質疑応答に対応できなくなるので、定員を50名様とさせて頂きます。


お申し込みは下記のリンクをクリックして、お申し込みください。それではウェビナーでお会いできるのを楽しみにしております。



*ランナーズユニバーシティの会員様は無料でご参加いただけます。ログインした状態でお申込みいただきますと、無料でお申込みいただけますので、ログインした状態でお申し込みください。

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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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