奇跡の水は何故奇跡の水であり得るのか―ウェルビーイングの為の水の話―


皆さんは奇跡の水や聖水、秘水というものを聞いたことがありますか?飲めば難病が治る、痛みが消える、その水を飲むその土地に人達は若くいられるなどの話を聞いたことがある方も多いかと思います。

最も有名なのはルルドの泉だと思います。ルルドの水は宗教色が強く、その効果を強く信じる人たちはプラセボ効果で治ってしまうようです。これはまた別のテーマになってしまうのでここでは多くを触れませんが、人間は臨場感が強ければ砂糖粒のカプセルを飲んでも治るし、また麻酔をかけて手術室に運び込み、しかしながら実際には手術をしないというプラセボ手術と言われるやり方で治ってしまう人もいます。

気持ちの問題と言えばそうなのですが、物理空間に活きる人間は身体を伴って臨場感を強めないとなかなかプラセボ効果は働きません。私があなたに砂糖壺からスプーンで砂糖をすくって「これを飲めば治る」と言っても治りませんが、あなたが病院まで足を運び、看護師さんに受付をしてもらって診察室に行き白衣を着たお医者さんから砂糖のカプセルを渡されればそれで治る可能性は十分にあります。

ルルドの水も同じでそこまで足を運び実際にその泉に痛む箇所を浸けることで身体を伴ったプラセボ効果が発揮されます。陸上界では昔のオリンピック男子マラソンフランス代表のミムンという選手が坐骨神経痛に悩まされあらゆる治療を試してすべて失敗に終わった後、神殿で聖水を浴びて治すことが出来オリンピックのスタートラインに立ったという話が有名です。

さて、今回の記事のテーマはプラセボ効果ではなく、何故奇跡の水で本当に難病が治ってしまうのかということを科学的に説明しようという話です。奇跡の水で有名なのはドイツのノルデナウやメキシコのトラコテという地域の湧水です。日本では大分県の日田という地域から湧き出る日田天領水が有名です。

何故奇跡の水で難病が治るのかということは、今まで私が記事で書いていることを統合していけば比較的簡単に答えが出ます。先ず難病や生活習慣病、進行性の病気と呼ばれるようなものの原因は酸化ストレスによる遺伝子の複写ミスであり、そこから生じる低度で慢性的な炎症、そして低度で慢性的な炎症が引き起こす遺伝子の複写ミスであるということです。遺伝子の複写ミスというのは細胞が死んで生まれ変わる時にちょっと違う変異した細胞に生まれ変わってしまうということです。シミやしわのたるみ、筋肉の衰えなども遺伝子の複写ミスです。ですから、遺伝子の複写ミスというのはごくごく普通の現象なのですが、これの延長線上に癌、動脈硬化、心筋梗塞、アルツハイマー、脳卒中、Ⅱ型糖尿病、関節炎などがあります。この正常な細胞の生まれ変わりが起こるか複写ミスが起きるかのカギを握るのがミトコンドリアです。そして、ミトコンドリアが酸化ストレスにさらされると遺伝子の複写ミスが起きやすくなります。

ではそもそも酸化ストレスとは何かということですが、これは不安定な原子による電子の略奪行為です。では逆に科学的に安定した原子とはどういうものかということですが、これは陽子と電子の数が一致している原子です。陽子とは原子核に帯びているプラスの電荷であり、電子とは原子核の周りに存在するマイナスの電荷です。このプラスとマイナスが一致しているのが化学的に安定している状態です。

皆さんもスイヘリべボクノフネというのを理科若しくは化学の時間に覚えたと思いますが、例えば3番目のリチウムは陽子の数が3つですので、電子が3つあると安定します。陽子の方は原子核に含まれるので、数が変わらないのに対して電子の数は減ったり増えたりします。

しかし、原子は常に安定を望みます。例えば、酸素の陽子の数は8個ですがこの時電子の数が7個しかないと不安定です。そこで他の原子を攻撃して電子を奪いに行きます。そして、電子を奪われた原子は不安定になるので、電子を得るためにまた他の原子を攻撃しに行きます。これが酸化ストレスです。酸化という言葉は電子を失うという意味であり、還元とは電子を与えるという意味です。

ここまでの流れを簡単にまとめます。不安定な原子→他の原子を攻撃→酸化ストレス→ミトコンドリアが損傷→遺伝子の複写ミスと低度で慢性的な炎症の発生→低度で慢性的な炎症による酸化ストレス→ミトコンドリアが損傷というループが出来ます。簡単に言えばこのループをどこかで止めることが難病を治すということにつながります。

ではどうすればこのループを止められるかということですが、酸化ストレスか炎症反応を止めればよいので抗酸化と抗炎症がテーマになり、その為の方法論については過去の記事で食品やサプリメントを紹介してきました。で、改めて酸化ストレスを止めるにはどうすれば良いかと考えると、酸化とは電子を失うことなので電子を与える還元反応を引き起こせば良い訳です。

では還元反応を引き起こすのに適した原子は何かということですが、これは水素原子です。水素原子は陽子が一つしかなく、従ってもともと電子を一つしか必要としません。必要とする電子の数が少ないので還元反応を起こしやすいのです。活性水素が体に良いという話を聞くと思いますが、活性水素というのは電子を引き渡しやすい水素のことだと思ってください。還元反応を引き起こしやすい=酸化ストレスが生じにくい(もしくは酸化ストレスを抑えてくれる)=体に良いということです。

ただし、この水素原子も化学的に安定している必要がありますので、水素原子なら何でも良いという訳でもありません。

ここからいよいよ水の話に戻りますが、水分子とは二個の酸素原子と一個の水素原子によって構成されています。この水素原子を他の原子に与えやすい水は酸化ストレスに対抗しやすい水であるといえます。

かつて奇跡の水と呼ばれる水にはその溶質に秘密があるに違いないと信じられていました。つまりその水に何かセレンのような強力な抗酸化作用がある物質が溶け込んでいるに違いないと信じられていたのです。しかし何か国もの研究チームが長年にわたって研究したにもかかわらず、何も秘密は見つかりませんでした。

ここに一つの盲点があったわけですが、奇跡の水の秘密は溶質ではなく溶媒の方にあったのです。換言すれば、水そのものが秘密だったということです。これら奇跡の水と呼ばれる水には水素分子ではなく水素原子が含まれることが分かりました。水素分子はH2ですが、水素原子は電子が単体で存在しているようなものなので還元反応が起きやすく、電子を容易に引き渡すことが出来ます。要するに、酸化ストレスを抑えることが出来ます。難病と言われる病気も突き詰めていけば過度な電子の略奪行為なので、それさえ抑えれば難病が治るのも当たり前訳です。

もう一つは水分子によるDNAの保護です。酸化ストレスによる遺伝子複写のミスが老化や進行性の病気の原因であるということは繰り返し述べてきたところですが、これも実際のところは程度問題です。不老不死の人がいないことを考えてみてもわかるように遺伝子の複写ミスは必ず起こります。ミスと書くと異常という感じがしますが、自然の摂理として細胞が一定回数生まれ変わりを繰り返していくと遺伝子の複写ミスが起きるようにあらかじめプログラミングされています。

ただその量が多いと老化が速くなったり、進行性の病気になったりするわけです。逆に保護されたDNAは遺伝子の複写ミスが起きにくいので老化が遅れてきますし、関節炎やガンのようにDNAが明らかに傷ついている場合には、DNAが保護されていれば治癒に向かいます。詳細は過去に記事で述べているので省きますが、本来であれば細胞はどんどん死んで生まれ変わるので進行性の病気や慢性的な痛みは発生しません。進行性の病気や慢性的な痛みはネクローシスと呼ばれる細胞の自爆によって引き起こされるものです(正常な細胞死はアポトーシスという。詳細は『抗酸化と抗炎症とフリーラディカルについて』)。

では何がDNAを保護しているのかということですが、水分子によって保護されています。人体の3分の2は水で構成されていると言われますが、実際には個体としての体が肉眼には見えているので3分の2が水であるという実感がわきにくいですが、水と固体に分かれているというイメージではなくて、固体の中にも多くの水が含まれており入り乱れているというイメージの方が近いと思います。しかも体内では常に原子や分子の離合集散が行われているので、どこかが個体でどこかが水でというのもマクロな視点から区別することに意味はありません。

蛋白質や核酸も周りを水分子で保護されるように囲まれており、この周りを囲む水の構造によってその保護能力が変わります。実際には蛋白質やDNAには好みの水の構造というものがあり、ある特定の構造を持つ水で周囲を囲まれた方が保護機能が高まります。

水の構造

水は実際には水分子としてではなく、水分子がいくつか結合した会合体として存在します。水分子一つは水素分子二つに酸素分子一つ(H20)です。このH2Oが4―6個結合した状態で水の中にあることが多く組み合わせとしては水分子の数とその結びつき方が輪っかになっているのか、そうではないのかという組み合わせになります。水分子が4つ結合している状態では塊になっているということもあるので以下の6パターンになります。

➀ 6分子が環状に結合 六員環構造水

② 5分子が環状に結合 五員環構造水

③ 5分子が結合    五員体構造水

④ 4分子が環状に結合 四員環構造水

⑤ 4分子が結合    四員体構造水

⑥ 4分子の塊     四量体構造水

常圧、常温の水で最も多いのは五員環構造水です。因みにこれらの水の構造は安定的ではなく常に結合を変えています。結合を変えながらある瞬間の水全体においてどの形の結合が最も多いかという話になります。ではどのくらいの速さで水分子同士の結合を変えているのかということですが、下記のようになります。

六員環構造水以外の水・・・1秒間に1兆回 10ー12秒間に一回

六員環構造水・・・・・・・1秒間に1000億回 10-11秒間に一回

長期安定型構造水・・・・・1秒間に100万回 10-6秒間に一回

これは韓国の全武植という博士が量子化学計算によって求めたものであり、いわば推論なのですが、量子力学の世界ではすべて実験や観察に基づいた推論です。我々の時間間隔からすると、10‐12秒間に1回も10-6秒間に一回も変わらないと思うかもしれませんが、長期安定型構造水が1回結合を組み替える間に五員環構造水は100万回結合を変えることになるので、その違いにはすごいものがあります。

人間の体内の分子が好むのはこの長期安定型構造水であり、長期安定型構造水でDNAを保護することで若さを保ったり、生活習慣病の発症を予防したり、進行を遅らせたり、治癒過程に向かわせたりすることは可能です。

そもそも地球に初めて生命が誕生した36億年前の水は長期安定型構造水であり、1秒間に1兆回も構造が変わる五員環構造水の中ではアミノ酸の凝集が起こらないので、従って蛋白質も形成されず、最初の生命も誕生しなかっただろうと言われています。自然界では雪解け水に六員環構造水が多いと言われていますが、残念ながら、