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3月1日土曜日新大阪駅近くの新大阪ビル新館にて3-10㎞の為のトレーニングに関する講習会を開催いたします

執筆者の写真: 池上秀志池上秀志

 突然ですが、あなたはハーフマラソンやフルマラソンで目指せる結果はほぼほぼ5㎞、10㎞の記録で決まるという事実をご存知でしょうか?


 我々ランナーが走ったことがない人に聞かれる「いつもどこまで走ってんの?」とか「今日はどこまで走んの?」とか「いつも何キロ走るの?」という数々の返答に窮する質問の裏側には、走るとはたくさん走ることであり、たくさん走れば走るほど大変であるという固定観念があります。


 従って、世間的にはフルマラソンを速く走ったり、フルマラソンを完走したりするのが偉いとか凄いという風潮がある一方で、5㎞を14分台で走ったと言っても「ふーん」みたいな反応になることが多いです。


 関西のようなおしゃべり好きのおじちゃんとおばちゃんがいるような街だと(特に大阪に近づけば近づくほど)、私が「先ずは5㎞の走力を上げて」などと言うと「そんなん、フルマラソンやるんやったら、初めっからフルマラソンやった方がええんとちゃうの。先ずは5㎞からとか甘いこと言うてたらあかんでー」とか、「5㎞?5㎞って何?それ短距離か?」などと言ってくる人も普通にいます。


 ちなみに、そういう時私はいつも笑顔で「あー、なるほど、そうですかー」と返しています。関西人はおしゃべり好きなだけなので、話の中身に特に意味はないのです(笑)


 少し話がそれてしまいましたが、一般的には距離が伸びれば伸びるほど大変で辛いという印象が強いものです。もちろん、この記事をお読みのあなたはそうではないと思いますが、それでも改めて5㎞や10㎞の走力を向上させるための練習とはどのようなものなのかと聞かれるとなかなか答えられないのではないでしょうか?


 このように問いかけると「そんなこと言われなくても分かっているよ。Vo2Maxインターバルでしょ」とか「5㎞なんて1㎞5本さえやっておけば速くなるよ」とかそういう風に思われる方が非常に多いです。


 それは間違っているとは言えないです。実際に私も選手としてもコーチとしても1㎞5本などの練習は使います。ですが、それは氷山の一角でしかありません。本当に大切なのはインターバルではないのです。寧ろ、インターバルだけで走力を向上させようとするのは効率が悪いです。


 そして、これも多くの人が見落としている点ですが、5㎞や10㎞の走力を伸ばす練習方法とハーフマラソンやフルマラソンの走力を伸ばす練習方法がはっきりと分かれている訳ではありません。どちらも共通する点は同じなのです。距離にして2倍から8倍も違う種目において練習方法が共通するとはどういうことかと思われるかもしれませんが、それには理由があります。


 先ず第一に、運動生理学的に言えば、単位時間あたりに酸素を使って生み出すことが出来るエネルギー量を向上させることが5㎞においてもフルマラソンにおいても非常に重要であり、この能力が競技能力の大半を決めると言っても過言ではないからです。ということは当然、5㎞とフルマラソンの間のハーフマラソンにおいても同じことが言えます。


 第二に、5㎞であろうとフルマラソンであろうと、決められた距離をなるべく速く走るスポーツであるということに違いはありません。そして、その距離は程度の差こそあれある程度長いです。つまり、距離が違ってもある程度長い距離をなるべく速く走る種目であるという点に違いはありません。


 そして、当たり前ですが、ある距離をなるべく速く走るということを考えた時に、その種目よりも長い距離をより速く走ることなど出来ません。5㎞を全力で走って20分ちょうどの能力を持つ人がマラソンを2時間45分で走ることは絶対に無理です。


 人間とは必ず、短い距離の方が長い距離よりも速く走れるものなのです。


 そして、5㎞のレースペースよりもフルマラソンのレースペースが速くなることが絶対にないように、800mのレースペースよりも速いペースで5000mを走り切ることなど絶対に出来ません。つまり、5000mであろうとフルマラソンであろうと短い距離のレースペースをそもそも上げるか、あるいはなるべく短い距離のレースペースになるべく近いレースペースで走り切ることを目標とするかという点においては同じなのです。


 このように同じような共通点があるので、5㎞、10㎞の為のトレーニングとハーフマラソンとフルマラソンの為のトレーニングには多くの共通点があり、年間を通して両方のトレーニングを入れることによって、どちらの種目にもお互いが好影響を及ぼすことになるのです。


 つまり、ハーフマラソン、フルマラソンの為のトレーニングは5㎞、10㎞が速くなるのに役立つし、5㎞、10㎞が速くなるトレーニングはハーフマラソンとフルマラソンにも好影響を与えるのです。それぞれの練習が適切に組まれていれば。


 それぞれのトレーニングが互いに好影響を及ぼすからといって、同時に5㎞で自己ベストとフルマラソンで自己ベストを目指すことはナンセンスです。結果的に、勝手にそうなってしまうのであればそれは良いことですが、それを目指すべきではありません。


 何故ならば、人間の体力は有限だからです。人間は限られた体力を使って、様々な作業をこなし、そのこなした作業が刺激として細胞を触発し、そして、自分が持っている体力レベルに応じて何をどれだけ変化させるのかを決めます。


 例えば、日本に住んでいる日本人ならどれだけ英語が流暢に話せたとしても日本語の方が上手く話せるものです。それは何故かと言うと、日本語の方が使う量が多いからです。英語を使うよりも日本語を使うことの方が多い、それがそのまま人間の細胞に与える刺激の量の違いとなって、体の変化を生ぜさしめます。


 ですから、日本に住んでいる日本人は日本語用の神経回路の方が英語用の神経回路よりも多いので、日本語用の神経回路を多く持つのです。ここで重要なのは、ある程度は英語用の神経回路と日本語用の神経回路が取り合いをするということです。それは人間の体力は有限だからです。


 新しい神経回路を生やすには、あるいは神経回路の配線を組み替えるには体力を必要とします。しかしながら、人間の体力は有限なので、常にどの種類の細胞をどの程度持っておくのかということに関しては、刺激の種類や量によって決まるのです。


 ただ、トレーニングの場合一つの大きな問題があります。それは刺激の量が大きく、体に大きな負荷を与え、先ずはその負荷から回復する必要があることです。語学学習や勉強や箸を使うなどの手作業など、そもそもそれほど体力を必要としない作業ですらも、実際には体力を全く必要としない訳ではないので、限られた資源である体力の取り合いが起こります。


 長距離走、マラソントレーニングのようにそもそも大きな体力を必要とする種目ではなおさらです。これが意味するところは、同時に様々な種類の刺激に対して体が適応することは不可能であるということです。つまり、高いレベルにおける5㎞を速く走る為のトレーニング刺激とフルマラソンを速く走る為のトレーニング刺激に対して同時に適応することは不可能であるということです。


 このように書くとあなたは「いや、自分はマラソントレーニングをしていたら5㎞も勝手に速くなった」と思われるかもしれません。繰り返しになりますが、基本は共通しているので、レベルが低い間はとにかく外に出て走れば、どんな練習をしても走力は向上するのです。


 ただ、私が述べているのは本当に高いレベルに到達しようとしたり、あるいはレベルの高下に関わらず、あなた自身の潜在能力を最大限に引き出そうと思ったら、常に優先順位は明確にしておくべきであり、常に限られた資源である体力を一つの目的のために使うべきであるということです。


 これが戦略を持つということです。戦略とは対外的には相手の一番弱いところを自分の一番強いところを以てつくことであり、対内的には常に物事の優先順位を明確にし、自分が今必要としているものに優先的に資源を回すことです。戦略を持たないとどうなるかというと、がむしゃらに頑張るものの結果が出るか出ないかは神のみぞ知るということになるのです。


 そして、大抵は戦略を持たない人は自分の潜在能力を最大限に引き出すことは出来ません。この世界は偶然に最高の結果が出るほど甘くはないのです。宝くじで数億円稼ぐ人もいる訳ですから、その確率は0ではありませんが、確率的には宝くじで億万長者を目指すのと変わりはないでしょう。


 では、年間を通した適切なトレーニング戦略とはどのようなものかということですが、大雑把に言えば4月から8月くらいまでは3㎞から10㎞で記録が狙えるようなトレーニングを積み、9月くらいからぼちぼちハーフマラソンとフルマラソンに向けてのトレーニングに移行し、10月から3月くらいまでハーフマラソンとフルマラソンに向けたトレーニングをすることです。


 上記は大雑把な案であり、細かい部分はあなたが出場するレースやあなたがお住まいの地域(気候によっても多少変えると上手くいく)によって変えると良いのですが、多少の時期が変わったとしても一般原則としては変わらないということです。


 また、このやり方は古今東西のトップランナー達も実践してきたことです。日本マラソン界の生ける伝説瀬古利彦さんもトラック3か月のあとマラソン3か月で練習を組むと著書『マラソントレーニングの真髄』の中に記されていますし、野口みずきさんもだいたい似たようなスケジュールですし、宗茂さんも著書『マラソンの心』の中で、普段はトラックや駅伝で速く走れるようなトレーニングを積んでおり、だいたいマラソンの3か月前からいわゆるマラソントレーニングに入っていくと記されています。


 また、私が私のコーチであるディーター・ホーゲン氏に初めてお会いした2014年、当時まだ世界記録が2時間3分台の時代でしたがその時に「今まで指導してきたマラソン2時間5分台、6分台で走った選手の中にはトラックの記録やロードレース(5㎞、10㎞のこと)の記録を持っていない選手もいる。だが、彼らは例外なく10000m27分台もしくは5000m13分前半で走る力を持っていた。彼らはレースに出ていないだけで、それだけの記録が出るだけの練習はしている」と語っておられました。


 それでもまだあなたは「いやいや、それはトップランナーの話でしょ?我々市民ランナーには関係ないでしょ」と思われるかもしれません。そして、それは正しいです。もしもあなたが好記録を求めないのであれば。


 繰り返しになりますが、あなたがハーフマラソンやフルマラソンで目指せる記録はほとんど5㎞の記録に依存します。ただ、そもそもハーフマラソンやフルマラソンで良い記録を目指さないのであれば、当たり前ですが5㎞を速く走る必要もありません。当たり前の話です。


 そして、マラソンでサブ3を達成して「エリート市民ランナー」の称号を手にするのに、5000m14分台は必要ありません。繰り返しになりますが、あなたがハーフマラソンやフルマラソンで目指せる記録はほとんど5㎞の記録に依存します。そして、このことはあなたがハーフマラソンやフルマラソンで目指せる記録に応じて、必要な5㎞の記録があるということです。


 その目安としては、だいたい5㎞のレースペースに+2分で見積もると良いでしょう。5㎞が20分ちょうどなら5㎞22分ペースでフルマラソン完走が目指せるし、5㎞22分ちょうどなら5㎞24分ペースでフルマラソン完走が目指せます。そして、それを実現させる、もしくは2分以内でフルマラソンを完走することを目指すのがマラソントレーニングのゴールと言えるでしょう。


 私の場合はだいたい5㎞に+1分半でフルマラソンを走りますが、これは私だけではなく、だいたいトップランナー達は+1分半前後で走ります。つまり、私がトップランナーになれていない唯一の理由は3㎞や5㎞が遅いからです。それだけのことなのですが、それだけのことがなかなか難しくて私も未だに5000m13分台を記録出来ていません。


 洛南高校の後輩の三浦龍司君や佐藤圭太君が13分前半の記録を持っているのに対し、私は14分前半の記録しか持っていません。この時点でハーフマラソンなら4分10秒、フルマラソンなら8分20秒差をつけられる計算になります。実際にはハーフマラソンで2分程度の差しかつけられていないので、まだ善戦している方ではありますが、それでも彼らが本腰入れてハーフマラソンとマラソンをやれば、ハーフマラソンは60分前後、マラソンは2時間4分前後の記録が出せると思います。


 出来るかどうかはハーフマラソントレーニングとマラソントレーニングの出来次第ですが、目指せるか目指せないかで言えば、そのくらい目指せる力があるのは間違いないんです。


 つまり、市民ランナーからトップランナーまで理屈は同じだということです。


 そんな訳で、私自身も5㎞や10㎞が速くなる練習方法についてたくさん学んできました。また、私はあくまでも5㎞、10㎞が速くなるのはマラソンの記録を上げるための手段であると思ってきたので、5㎞レースに向けてのトレーニングとマラソントレーニングを上手く繋げる方法についても解説をさせて頂きたいと思います。


 5㎞や10㎞の記録で目指せるフルマラソンの記録が決まるとは申し上げましたが、実際問題トラックとマラソンで活躍する選手は異なってきたのが実際のところです。やはり互いの連関というものも考えないと、なかなか繋がっていきません。フルマラソンに繋がる5㎞の練習方法と本当に5㎞の選手に特化する練習方法はやや異なります。


 三浦龍司君があれだけトラックでは活躍しながら、駅伝などのロードレースでは無双状態とはいかないのも練習方法の違いによるものだと私は勝手に分析しています(あたっているかどうかはわかりません)。


 また更に言えば、実際に5㎞レースで記録を出す必要すらありません。どういうことかというと、年間スケジュールの組み方によっては3月いっぱいまでフルマラソンをやるとか4月の長野マラソン、あるいは4月に欧州までいって記録を狙うということになると、それが終わってから1から5㎞レースの為の練習に入ると体が仕上がるのが7月とか8月です。実際問題あまりレースが無いという問題と5㎞になると暑いとなかなか記録が出ないという問題があります。


 3㎞で記録を狙っても良いのですが、3㎞のようなレースはあまりないし、1.5㎞のロードレースとなるともっとありません。そして、陸連登録はほとんどの市民ランナーの方にはちょっと敷居が高い、心理的な抵抗が大きいということになります。


 色々考えると、実際にはレースには出なくても良く、記録が狙えるような状態を作っておくだけでも良いということになります。そういったところまで視野に入れた講義をということで、3月1日土曜日に新大阪駅近くの新大阪ビル新館609号室にて「3㎞から10㎞が速くなる練習方法」について解説をさせて頂きます。


 先ずは90分間で理論の部分を解説させて頂きます。究極的には理論をおさえていれば、どんな練習のやり方をしても上手くいきます。理論とはそういうものです。上手くいくやり方の要素とはこういうものであるということを捉えたものが理論です。


 一方で、それだけだと分かりづらい、実際にはどうすれば良いのかよく分からないということになると思いますので、実践編ということで実際の練習計画の立て方を90分間で解説させて頂きます。


 更に、私の説明だけでは偏りがあるかもしれませんので、今回は特別講師をお呼びいたしました。特別講師は北村友也さんです。北村さんは現在京丹波町というところで公務員をされている方ですが、なんと5000m13分台、10000m28分台、ハーフマラソン62分13秒の記録を公務員になってから記録されています。


 また、世界クロカンの日本代表にも選出されている方です。そんな北村さんに普段どういう風に練習を組んでいるのか、その練習の組み方や年間スケジュールの組み方などを聞いてみたいと思います。実は私自身も何となくは知っているけれど、深くは知りません。


 前々から聞いてみたいなとずっと思ってはいたのですが、レースなどでお会いしてもそんなに詳しく聞く訳にもいきませんし、せっかくだから皆さまの前で聞いてみたいなと思ったのです。


 また、北村さんは京都府の綾部高校というところのご出身なのですが、この綾部の地で中学校、高校の教員として長年教鞭をとってきたのが川端先生という方です。綾部市は京都市の人口147万人に対して、わずか3万人です。また、京都駅から大阪駅までが新快速でわずか30分なのに対し、綾部駅は京都駅から80分、京都市の学校であれば、大阪や滋賀からでも通学圏内なのに対し、綾部は京都市からですら通学圏外、公立高校なので寮もなければ、陸上で選手を取ることも出来ません。


 そんな環境の中で、全国大会に出場したり、全国大会に入賞するような選手を何人も育て上げてきたのが川端先生です。川端先生も走るのが好きで、いつも選手のタイムを取りながらその場をグルグルと回っておられるので「1平方メートルの土地があれば60分ジョグが出来る」という伝説がある先生ですが、その川端先生の手法もちょっと聞いてみたいのです。


 選手集めもままならない綾部の地で、継続的に選手を育成することが出来るその手法を私も教えてほしいし、市民ランナーの方にも絶対に役立つ内容です。環境のないところから1から作り上げられる人の手法というのは常に強いものなんです。応用がききやすいのです。


 そんな訳で、高校時代に川端先生の薫陶を受けた北村さんに川端先生の練習のやり方についても色々とお伺いしたいと思っています。そんな北村さんとの対談を1時間予定しています。改めましてですが、北村さんの実績は以下の通りです。


大学時代の自己ベスト

1500m 3'58"

5000m 14'05"

10000m 29'20"

ハーフ 記録なし


社会人自己ベスト

1500m 3'46"

5000m 13'54"

10000m 28'40"

ハーフ 1:02'13"

マラソン 2:22'19"(非公認)

2:25'06"(公認)


主な戦績

世界クロスカントリー選手権2023

10km 36'10" 91位

京都マラソン2024

2:25'06" 5位

丸亀ハーフマラソン

1:02'13" 47位

近畿陸上競技選手権大会2023

5000m 優勝 14'29"

1500m 2位 3'47"63

京都陸上競技選手権大会2024

5000m 優勝  14'07"

1500m 2位 3'49"

メタタイムトライアルFINAL 2位

14'16"





 そして、今回はハードルやリレーなど短距離選手として全国大会に15回出場し、うち入賞7回の平木望さん(旧姓山本望)に司会を務めて頂きます。



バトンを手に持つ方が平木さん(当時山本)
バトンを手に持つ方が平木さん(当時山本)

 平木さんは神戸市立大池中学校時代に陸上競技を始め、100mハードルと走り幅跳びと三種競技Bの三種目で全国大会の標準記録を突破され、三種競技Bでは兵庫県中学記録を記録されました。三種競技Bとは100mハードルと走り幅跳びと砲丸投の三種目で競技し、それぞれを得点化し、その得点で争う競技のことです。


 そんな類まれなる運動神経を武器に全国トップのランキングで迎えた全国大会では思うように力を発揮できず、入賞するにとどまりました。


 中学時代の初めはそれほど練習が乗り気ではなく、先生が見ていない時にはサボっていたりと普通の中学生だったようですが、恩師の栗林先生がどうやったら本気になってくれるかということで色々試行錯誤して熱心に指導して下さった結果、徐々に気持ちが変わって本気で取り組むようになっていったとのことで、栗林先生がいなかったら本気でやらずに終わっていたかもしれないとのことでした。


 色々な人の話を聞いてきましたが、人との出会いというのがやはり大きい要素をしめるように思います。平木さんの場合もその類の1人なのでしょう。


 高校では姫路商業高校に進学し、そこでは山口先生という方が監督で、山口先生からは根性を、そしてもう一人西畑先生という若い先生がいらっしゃって、西畑先生から技術的なことを教わったとのことでした。


 我が母校の洛南高校は初めは恩師の中島先生が短距離も長距離も教えておられました。でも、中島先生は長距離ランナーだったので、短距離の専門的なことは分からなかったはずです。それでも、根性指導でインターハイ入賞する選手が何人もいらっしゃったのですが、やっぱりそうなんだなと平木さんの話を聞いて改めて思いました。


 ちなみに、根性指導の中には人間教育というか規律教育というものがだいぶ含まれます。例えば、平木さんも周りの人がいることで自分がいることを忘れるなとか制服の乱れは心の乱れとかグランド整備を丁寧にしないさいとかそういうことを口酸っぱく言われたそうです。


 当たり前と言えば当たり前なのですが、この当たり前のことが弱いチームほど出来ないものなのです。もしかすると、強豪校=エリート=甘やかされている、弱小校=雑草集団=厳しく鍛えられているという印象があるかもしれませんが、事実は逆で強豪高校ほど規律がしっかりとしているものなのです。


 おそらくその理由は獣性を排して人間性を育んでいるんだと私は思います。どんな分野でも大きく伸びようとすると人間性が育たないとダメです。人間性とは人間らしさのことであり、獣とは違うということです。獣にはない規律を育むには一種の形というものを作る、制限をかけることで育てることが出来ます。


 それが挨拶や制服の着こなし、グランド整備、言葉遣いといったことなのだと思います。


 ここまでが第一段階で、ここをクリアしたその後で知的好奇心、向上心、自主性、創造性、情熱という更なる人間性を育んでいくことになるのですが、なかなか高校生ではここまで持っていけなくて、現状としては第一段階を如何にクリアするかなので、強豪校は多かれ少なかれロボット集団みたいな感じになるのは否めないです。


 ロボット集団になってしまうとある意味では非人間的に見えるのですが、動物にはない規律や自己規律能力を身につける、自分の都合だけ考えるのではなく組織の一員として決断し行動するという人間の基本的能力を身につけているので、創造性や自主性、知的好奇心などが存分に発揮された本当に人間らしい人から見れば非人間的に見えるのですが、少なくとも大体のチームはいつまでも自分のその日の気分や感情に流され、組織の一員としての自覚や判断、決断が出来ない烏合の衆で終わってしまうので、そういうのと比べるとだいぶ人間的と言えます。


 私が在籍した頃の洛南高校陸上部も先ずは動物ではなく人間になるという段階があり、その中でも本当に突き抜ける人は自主性や創造性、向上心、知的好奇心というものを持っておられたので、本当に強い選手は例外なく我が強かったです。ですが、それはわがまま気ままという小我ではなく、本当に物事を突き詰めようとした結果として生じる真我です。


 高校の強豪校というのはチームとしては動物から人間になるところを目指し、その中かから優れた何人かが本当に人間らしい人になるというところでしょう。その動物から人間になる段階で必要なのが根性であり、場合によっては厳しく𠮟りつけるということもあるということなのだと思います。


 姫路商業も少なからずそういった要素があったということなのでしょう。


 そんな姫路商業時代の平木さんですが、インターハイも国体も三年連続出場、国体7位、インターハイは2年時4位、3年時5位、日本ジュニア2位などの結果を残されます。しかしながら、国体ではランキングトップで臨むもやはり力を出し切れずに7位、勝負の難しさを中学時代に続き味わったそうです。


 ちなみに、弊社が一度近畿ユースという学年別の高校の大会の協賛をしたことがありまして、その時に大会のプログラムが送られてきたのですが、100mハードルの大会記録保持者のところに山本望の名前があり、「あっ平木さんだ」と思ったことがありました。


 大学では早稲田大学に進学し、ここから学部的にも栄養や生体工学(バイオメカニクス)などを学ぶようになり、高校までよりも考えて競技に取り組むようになったそうです。大学時代もインカレは4年連続で出場、アジアジュニアでは3位にも入られました。


 大学時代にはレースの最後のハードルに強く膝をぶつけて、そこから体が恐怖を感じるようになってしまって、上手く力が出せなくなってしまったそうです。これはどのスポーツにもあることなのですが、一度強い恐怖体験をしてしまうと、体が怖がってしまって制御不能になることがよくあるのです。克服するには、強い気持ちを持つことと少しずつ体に大丈夫ということを教える二つしかないのですが、そのまま克服できずに引退していく人も少なからずいます。


 平木さんもそこに苦労されたようです。


 また別で手術もされて、最後の関東インカレはまだお腹に傷が残る状態での試合でなかなか苦労をされた大学時代であったようです。



 そして、現在は旦那様のお仕事の関係で中国に長期滞在されたこともあって、日中バイリンガル司会としてご活躍され、様々な結婚式で司会をされたり、またモデルも務めておられ先日の漢服アワードモデルではミセス部門で優勝されました。原宿駅のポスターに大きく載っていたので、もしかしたらご覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。


漢服アワードにて
漢服アワードにて

 ちなみに、日中バイリンガル司会をされる関係で、中国語で発音しやすい冨本美月を司会の際のお名前に使われています。私は中国語が分からないので、なんとも言えないのですが、日本語のりさという名前は英語でもLisaに似ているので覚えやすいけど、秀志は英米人には覚えにくいし、発音しにくいというのの中国語版なのかなと勝手に思っております。


 モデルや司会のお仕事の様子はインスタグラムの冨本美月のアカウントに公開されていますので、こちらからフォローして頂けます。今後も一緒にお仕事して頂けそうなので、是非こんな人なんだなーとお見知りおきを頂けますと幸いです。


 そんな訳で、陸上繋がりで今は司会のお仕事をしておられるということで、司会進行を今回は託すこととなりました。後述する懇親会にもお越し下さるので、全国大会の重圧がどんなものなのか、体がどんな風になってしまうのか、そこで結果を出せなかったのは何故なのか(と言っても私からすれば十分凄いのですが)ご本人に聞いてみて下さい。


 そして、今回は遠方よりお越し下さる方も多数いらっしゃいますので、昼食もこちらでご用意させて頂きます。講習会自体は13時からなのですが12時20分に開場し、パンとコーヒーや紅茶などの飲み物を用意させて頂きます。


 関西にAベーカリーというパン屋さんがあるのですが、そこの社長さんが平木さんの大学時代のチームメイトで、そのつながりで80種類くらいのパンを仕入れるつもりです。エコノミークラスの機内食みたいな一応用意しましたみたいな食事ではなく、お土産用に持って帰ってもらえるくらいの量を用意させて頂きますので、是非ウェルビーイング春のパン祭りをお楽しみください。


 自由に食べ歩きとさせて頂きますので、食べ歩きながら色々な方と交流を深めて頂ければと思いますし、合宿や練習会でお会いされた方との再会もお楽しみいただければと思います。


 さて、これだけの内容が詰まった講習会、一体いくらの投資額でご参加いただけるのかということですが、たった24200円の投資額でご参加いただけます。


 計算方法は私が3時間お話しさせて頂きますので、私のズームコンサルの費用1時間15000円×3で45000円。一対一と一体多数では異なるので、それを半額にして22500円、キリの良い数字にするために更に500円割り引いて22000円、税抜き22000円と日本政府が請求してきた2200円を足して24200円という計算になります。


 そして、せっかく来ていただくからにはご満足頂いてお帰り頂きたいとの気持ちから北村さんとの対談とパンとお飲み物を無料でお付けさせて頂きます。日本代表に選出されるような方の話を生で聞く機会はなかなかありませんし、仮に聞けたとしても練習内容を深く掘り下げて聞く機会というのはほぼ皆無といっても過言ではないので、是非この機会に一つでも自分のものにしてお持ち帰り下さい。


 ちなみに、だいたいこの手の講習会は撮影や録音禁止、場合によってはノートを取ることすら禁止される場合もありますが、私の講習会は撮影も録音も可能ということにさせて頂きます。理由は勉強の仕方は人それぞれで良いと思っているからです。それぞれに一番効率の良い勉強方法というものがあるはずなので、ご自由にして頂いて構いません。


 ただし、無断譲渡や複製、オンラインへの公開は固く禁止とさせて頂きます。違反者が出次第違約金として金百万円をお支払い頂き、次回以降ルールを変更せざるを得なくなりますので、遵守して下さい。


 日本の著作権法に則って家庭内での利用、つまり例えば夫婦で走っておられる方は夫婦で共有されるとか、あるいは中高生の指導をされている方がご自身が持ち帰ったものを中高生の指導の為に使うとかそういったことは問題ありませんが、録音したものを複製して販売するとか、オンラインに無断転載するとか、不特定多数の方に配布するとかはやめて下さい。


 早い話が常識の範囲内でお楽しみ頂ければ良いということです。それ以外は堅苦しいことを言いたくもありませんし、言わなくても良いように常識を守れる方のみお越しください。


 さて、遅くなりましたが、当日のスケジュールは以下の通りです。


12時開場

12時20分から懇親会

13時から 5-10㎞の為のトレーニング 理論編

14時半から15分休憩

14時45分から 5-10㎞の為のトレーニング 実践編

16時15分から15分休憩

16時半から北村さんとの対談

17時半から質方向で

17時50分終了

18時 退出完了


 改めて申し上げますが、会場は新大阪駅東口から歩いて2,3分の所にある新大阪ビル新館というところです。会場の広さの関係で参加者の上限を50名とさせて頂きます。キャンセル料は無料で、24時間前までキャンセル可能とさせて頂きますので、とりあえず枠を確保しておきたいという方は今すぐこちらをクリックしてお申込み下さい。


 お支払いはクレジットカードでも現地で現金払いでも大丈夫です。


 それでは当日あなたにお会いできるのを楽しみにしております。

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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

© 2020 by ウェルビーイング株式会社

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