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長距離走、マラソンが速くなるための栄養学

 今回は長距離走、マラソンが速くなるための栄養学というテーマでブログを書かせて頂きたいのですが、その前にあなたは長距離走、マラソンが速くなるための栄養学と言われて何を思い浮かべますか?


 体重管理?


 カロリー制限?


 脂質制限?


 糖質制限?


 実はこれらのいずれもあまり重要なことではありません。実はもっと重要なことがあるのです。今回はそれを解説させて頂きますので是非最後までお読みください。


栄養が選手を強くする

「栄養が選手を強くする」これは私のコーチのディーター・ホーゲンの言葉です。ディーター・ホーゲンはボストン、ニューヨーク、シカゴ、ベルリン、ロンドン、フランクフルト、ロスアンジェルス、大阪などのメジャーマラソンのチャンピオンやトップ3やトップ6をのべ200人以上育ててきた名伯楽です。



 現在はドイツのアンダー23の女子5000mで優勝したブランカ・デーファーも指導しています。


 そのコーチホーゲンは「栄養が選手を強くする」との想いから、栄養の勉強を長年続け、アメリカの月刊誌に栄養の記事を書いたり、ケニア人トップランナーの食生活を調査したりしてきました。


 そんなコーチホーゲンと私が初めてお会いしたのは今からちょうど9年前の2014年の夏です。


 ある日、私とコーチホーゲンは一緒に昼食を食べていました。その頃の私は自分では栄養には気を使っている方だと思っていました。大学入学以降ずっと自炊しており、当時二十歳だった私はずっと自炊していました。


 外食はせず、お菓子も食べず、玄米を炊き、一食の中に主食、主菜、副菜、乳製品、果物が満遍なく入るようにしていました。毎日体重計に乗り、体重管理に失敗したこともありませんでした。


 ですから、自分で勝手にランナーの為の食生活が出来ていると思っていました。しかし、自分自身の知識の無さに気づいたのはコーチホーゲンと出会ってからです。


 ある日のこと、私はコーチとお昼ご飯を食べていたのですが、私が注文したフライドポテトを見て「フライドポテトは世界で最も悪い食べ物の一つだ。体内で炎症を起こす」と言い出しました。


 フライドポテトが体内で炎症????


 私は頭の中がはてなだらけになりました。


 フライドポテトは高カロリーで太るというのであれば分かります(最も私は毎日体重計に乗っており、体重管理に失敗したことはありませんでしたが)。しかし、体内で炎症反応を起こすとはどういう意味でしょうか?


 体内で炎症反応なんて起こさないよ・・・ね?


 という感じで私の頭の中は混乱しました。当時は、まだ英語が不自由だったこともあり、コーチに何度も確認し、挙句の果てには電子辞書に打ち込んでもらいましたが、やはり、Inflammation=炎症でした。


 その後、私は栄養に関する様々な文献を読み漁ったのですが、コーチの言っていることが正しいことが判明しました。フライドポテトは体内で炎症反応を起こします。いや、正確に言えば、フライドポテトを作る時に使われている植物油が体内で炎症反応を起こすのです。


 実は、このことが長距離走、マラソントレーニングにおいて適切な食事を理解するカギとなるのです。


そもそもトレーニング刺激に対して体が適応するとはどのような状況か?


 長距離走、マラソントレーニングに最も適した食事とは、すなわちリカバリーを早め、最もトレーニング刺激に対する適応反応を促進する食事です。では、トレーニング刺激に体が適応するメカニズムとは一体どのようになっているのでしょうか?


 一言で言えば、細胞が生まれ変わる際に新しい情報の引継ぎが行われる=細胞の記憶構造が変わるということです。細胞の記憶構造が変わるということを理解してもらうにはそもそも細胞には記憶があるということを理解してもらう必要があります。


 私たちの体には約100兆個の細胞があります。数に関しては60兆個と書いてある本もあれば、137兆と書いてある本もあれば、色々ですが、本記事では間をとって100兆個とさせて頂きます。そもそも、体の大きさによっても若干変わるでしょう。


 そして、この約100兆個の細胞のうちの約1%が生まれ変わると言われています。この計算で行けば、約3か月で全身の細胞が生まれ変わることになります。厳密に言えば、一年経っても98%の細胞しか入れ替わらず、全ての細胞が生まれ変わる訳ではないそうですが、いずれにしてもほぼ全身の細胞が生まれ変わります。


 あなたも「3か月で細胞が全部入れ替わるから、努力すれば3か月後には新しい自分になれる」という話を聞いたことがないでしょうか?


 実際には、3か月で0から100へと一気に進化する訳ではなくて、少しずつ少しずつ細胞が生まれ変わるので、体も少しずつ変わっていきます。ここで考えて頂きたいことは、もしも3か月で細胞が全て生まれ変わるならば、どうして人間の体は3か月で大きく変わらないのかということです。


 例えば、一番顕著なのは顔です。もしも、細胞がランダムに(偶然に)生まれ変わるのであれば、私の顔はどんどん変わっていくはずです。確かに、顔も少しずつ変わっていきますし「男は40を過ぎたら自分の顔に責任を持て」という言葉もある通り、生き様で顔も変わるのでしょう。


 しかしながら、認識できないほどは変わりません。高校時代の同級生が今の私に出会ってもちゃんと認識できるはずです。


 これは何故かということですが、細胞が生まれ変わる時に記憶の引継ぎがなされているからです。このメカニズムはまだ詳しくは解明されていませんが、とりあえず細胞というのは記憶、あるいは情報と書いても良いのですが、を引き継ぐようです。


 これが面白いのは、生体から引き離された細胞においても生じるということです。


 例えば、アレルギーというのは免疫細胞の過剰反応ですが、そのアレルギー物質に反応するものの一つに免疫グロブリンという物質があります。この免疫グロブリンという物質を試験管の中にいれ、同時にアレルギー物質を入れます。そうすると、当然ながら免疫グロブリンが反応します。これが体内で起これば実際にくしゃみが出たり、鼻水が出たり、涙が出ます。ここまではいいです。


 これが面白いのは、アレルギー物質をどんどん薄めていって、もはや化学的には水の状態まで薄めても、一度反応を起こした免疫グロブリンは反応を起こしたということです。つまり、アレルギー反応を引き起こしたという記憶をもつ免疫グロブリンはそうではない免疫グロブリンよりも過剰にアレルギー物質に反応したということです。


 細胞レベルですら、この通りなので、自ら感情や記憶を持つ人間が、花粉がなくても花粉の絵を見ただけで、鼻水やくしゃみが出るというのは当然のことです。


 話を戻しますと、古くなった細胞や傷ついた細胞が死んでいき、新しい細胞が生まれ変わる時に、きちんと情報の引継ぎが行われるので、基本的に私たちの体は一定の状態を保っています。この一定の状態を保つ機能のことをホメオスタシス機能と言います。


 但し、完全に一定の状態を保つ訳ではないことは顔が少しずつ変わっていくことからもお分かり頂けると思います。細胞が少しずつ生まれ変わっていく時には、正の反応と負の反応の二つがあります。


 正の反応とはすなわち、トレーニング刺激に対する適応のことです。トレーニングというのは、生体に対しては刺激として捉えることが出来ます。体にある刺激がかかった時に、DNAから新しい情報が引き出されます。そして、古い細胞が死んで、新しい細胞に生まれ変わる時に、新しい情報が引き出されて、次の細胞はその刺激に対して特異的に反応して生まれ変わるのです。


 速い話が走るという刺激を体にかければ、DNAから走るのにより適した情報が引き出され、それが新しい細胞に反映されて、それが何千個、何万個、何十万個と積み重なるとどんどん走るのに適した体になっていくのです。


 トレーニング刺激に体が適応するというのは細胞の記憶構造が変わることというのはそういうことです。要は、ホメオスタシス機能に変化が生まれて、ただ単に一定の水準を維持していた状態から、記憶構造が変わる(古い細胞から新しい細胞への情報伝達の変化)によって体が細胞レベルで変わっていくのです。


 では、負の反応はどういうものかということですが、これは細胞の中のDNAに傷がつくことによって、コピーミスが生じることです。このコピーミスがしわ、しみ、関節炎、アルツハイマー型認知症、ガン、心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化などになります。


 コロナや風邪、インフルエンザなどは外部からのウイルスの侵入によって生じますが、こういったいわゆる生活習慣病と呼ばれる病気は体内で徐々に進行していきます。それは、自分では気づかなくても、トレーニングを継続すれば体内で変化が起き続けているのと同じです。


 こういった負の反応は主に以下のような要因によってもたらされます。


・誤った食習慣


・喫煙


・飲酒


・精神的ストレス


・農薬


・水銀


・化学薬品を多量に使った化粧品


・薬


・紫外線


・公害(車や工場の排気ガス)


・加齢


 早い話が過度な肉体的、精神的ストレスが体に負の反応を引き起こします。これらは総合的に決まることなので、別に酒をいっぱい飲んだからすぐにアルツハイマー型認知症になる訳ではないですし、タバコを1週間吸ったからといって肺がんになる訳ではないことは皆さまご存知の通りです。


 ただ、その総合が物凄く大きな差になることは30歳を過ぎれば、皆さんよくご存知だと思います。私は今29歳ですが、長距離走、マラソンが速くなるための食事を実践し、タバコは吸わず、酒はほとんど飲まず(ずっと飲まなかったので知らなかったけれど、最近かなり強いことが判明)、毎日トレーニングをしている29歳とトレーニングをせず、特に何も考えずに食べ、タバコを吸ったり、お酒を飲んだりしている同級生と比べると見た目の若さが全然違います。


 まあ、走ったら私の方が速いのは当たり前なのですが、それだけではなく、見た目の若さも全然違います。それは細胞が受けているダメージの量が全然違うからです。私の方が細胞が受けているダメージが少ないので、コピーミスが生じにくいのです。


 そうは言っても私はまだ29歳と若いので、ある意味説得力に欠けるかもしれません。私よりも体幹トレーニングのスペシャリストで現在41歳の小谷祥子さんの方が説得力があるでしょう。やはり、体が資本のお仕事をされ、食事に気を使われているだけあって、とても41歳には見えないです。



 少し食事から話はそれるのですが「運動は体に酸化ストレスを与えるから悪い」という人がいますが、そんなことはないです。これには二つの理由があります。運動をすると通常以上に酸化ストレスが生じ、細胞にダメージを与えるのは事実です。


 ですが、先ず第一に運動(トレーニング刺激)によって正の反応も引き出されるので、マイナスの反応だけが生じる訳ではありません。プラスマイナスで考えると、プラスの方が大きくなるのが普通です。


 そして、第二に過度な負荷は故障やオーバートレーニングを誘発し、マイナスになりますが、適度な負荷は古くなった細胞を早め早めに死なせることになり、新しい細胞になるのを早めます。つまり、新陳代謝が活発になるのです。だから、基本的に運動している人の方が生気があって、魅力的なのです。


 女性に一番モテる男性の体型は細マッチョだそうですが、これは細胞レベルで一番新鮮な状態をキープしている訳ですから、生物の本能として当然だと思います。


 そして、食事によって何故若さを保つことが出来るのかという話とも関連するのですが、細胞のコピーミスが起きる原因の一つは加齢です。歳を重ねるということは長生きするということであり、長生きするということは細胞が何度も生まれ変わるということであり、何度も生まれ変わるとやはりコピーミスの回数が増えるようです。


 そして、正常に生まれ変わる回数はテロメアと呼ばれるたんぱく質酵素の長さによって決まるようです。テロメアの長さは質の高い睡眠と瞑想によって長く出来るようですが、やはり生物学的な限界はあります。だから、50歳を超えてサブ10を達成したランナーは今のところいませんし、人間の寿命もおよそ120歳くらいが限界だと言われています。


 その生物学的な限界を超えることは出来ませんが、細胞へのダメージが少ない食事を実践することによって、なるべく若さを保つということは出来るのです。


 で、トレーニング刺激に対して体が適応する食事も基本的には同じです。トレーニングによってダメージを受けた細胞が生まれ変わることによって、体がそのトレーニング刺激に対して適応して、走力が向上するのですが、その時に食事によってダメージを受けているとその適応の度合いが減ってしまうのです。


 更に、積極的に言えば、体はトレーニングによって酸化ストレスを受けているので、そこから素早く回復するためには、体内に存在する抗酸化酵素を最大限に働かせる必要があります。


 つまり、長距離走、マラソンが速くなるための食事とは


・細胞へのダメージを最小限にする食事


・抗酸化酵素を最大限に働かせる食事


の二つが必要となるのです。


 では、それを実現させる食事とはどのようなものでしょうか?


 それは自然食です。


 自然食というと、反射的に拒否反応を引き起こす人と反射的に良いものだと思い込む人の二手に分かれがちなのですが、どちらも私の本意ではありません。


 まず、反射的に拒否反応を引き起こす人は「自然に存在するものが全て体に良い訳じゃない。自然界に毒なんていっぱいある」と主張されるのですが「自然に存在するもの全てが体に良い訳じゃないの」は事実です。しかし、自然ではないものは全て体に悪いのです。


 我々の体が何を消化吸収できるかはDNAによって決まっています。ですから、どんなに腹が減っても土は食べられないか、食べても消化吸収はされないのです。そして、消化吸収されないものを体内に入れると体はそれを異物と認識し、炎症反応を引き起こします。


 すでに、体がトレーニングによってダメージを受けているところに、炎症反応を引き起こす食べ物を入れると、トレーニングに刺激に対する適応の度合いが低くなってしまいます。そして、化学の発展によって、本来は食べられないはずのものを人間は食べられるようになってしまったのです。


 ほんの一例を挙げると、乳化剤や人口甘味料の入った食品です。脂肪が体に悪いと言われて、低脂肪食品が作られる際には、とろみをつけるために乳化剤が用いられました。そして、次は炭水化物が体に悪いと言われ、人口甘味料が使われるようになりました。


 しかし、一言で炭水化物や脂肪が悪いと片づけるのは乱暴です。体に良い炭水化物と体に良い炭水化物があり、体に良い脂肪と体に悪い脂肪があるのです。そして、何よりも体に悪いのはそういった人間のDNAでは消化吸収できないものを体内に入れることです。


 ちなみに、乳化剤とは合成界面活性剤のことであり、要するに石鹸のことです。石鹸で腹を満たせる人がいないことからもそれが如何に体に悪いかはお分かり頂けると思います。


 しかしながら、今度コンビニやスーパーに行って様々な食品の成分表示をご覧頂きたいのですが、この乳化剤はあらゆる食品に使われています。


 一方で、自然食と聞くと反射的に良いものだと思い込んでいる人も多いのですが、では自然食とは何かと問うとどうもその定義が曖昧なのです。無農薬野菜のことなのか、はたまたパレオダイエットのことなのか、粗食のことなのか、定義が非常に曖昧です。私はもっと具体的に(特異的に)長距離走、マラソンが速くなるための栄養とはどのようなものなのか突き詰めて考える必要があると思います。


 そして、体内に抗酸化酵素を最大限に働せるためには、色とりどりの野菜や果物を満遍なく食べ、多様なポリフェノールを摂取することです。


 こういった食事を実践することによって、トレーニング刺激に対する適応を促すだけではなく、以下のようなメリットが生まれます。


・集中力が向上する(集中力の低下を防ぐことが出来る)


・感情のコントロールが上手くできるようになる(忍耐力の向上)


・肌が綺麗になる


・見た目的にも機能的にもいつまでも若くいられる(場合によっては若返ることもあり得ます)


 是非、実践してみて下さい。


 最後に、もっと栄養について詳しく学びたい方にお知らせです。


 もっと栄養について詳しく学びたい方の為に3本合わせて約3時間のオンラインスクールをご用意しておりますので、興味のある方はこちらをクリックして詳細をご確認ください。

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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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