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執筆者の写真池上秀志

ロキソニンを飲んだら速くなる?

 あなたはレース前にロキソニンやバファリン、イブクイックなどの非ステロイド系の抗炎症剤を服用されていますでしょうか?


 あるいはロキソニンを飲んだら疲れを感じなくなるので速く走れると聞いたことはあるでしょうか?


 あるいはプロランナーの約6割がロキソニンを服用していると聞いたことはあるでしょうか?


 今回はレース前の非ステロイド系の抗炎症剤の服用について書かせて頂きます。


 先ず初めに該当する商品名をざっと挙げさせて頂きたいと思います。バファリン、イブクイック、ボルタレン錠、カロナール、ロキソニン、アスピリンなどの薬がこれに当たります。


 実業団を含むプロランナー達がこういった非ステロイド系の抗炎症剤を服用する目的は鎮痛です。ランナーの中には多かれ少なかれ痛みを抱えている人が少なくありません。こういった非ステロイド系の抗炎症剤の長期服用はフリーラディカル(酸化ストレス)を引きおこし、かえって痛みを強めてしまいます。


 しかし、レース当日くらいは痛みのない状態で走りたいという気持ちは誰よりも分かります。ですので、服用すれば良いと思います。


 ただ、注意点としては、副作用で腹痛が起こりやすくなるのです。痛みなく走るために飲んだ錠剤で腹痛を起こしたのではシャレになりません。


 これがどのくらいの分量であれば、問題ないのかはテストしないといけません。通常は長期服用でなければ、問題はありません。


 私がおすすめする方法は前日に服用して、レース当日の朝食後にもう一度服用する方法です。分量はロキソニン以外なら400mg±200mg前後、ロキソニンなら50-150mgがおすすめです。このくらいの分量なら、大体効果があって副作用も起きません。


 ちなみに私は身長167cm、体重60㎏です。ちょうど男女の平均的体格の真ん中くらいではないでしょうか。平均的な女性より少し大きく、平均的な男性よりも少し小さいので、私の服用量はだいたいの日本人に当てはまると思います。


 しかし、これもテストしてみないと分かりません。少なくとも、4日前刺激で一度テストしてみてください。


 また、これは強く書いておきたいことですが、別に痛みを抱えているわけでもないのに、ロキソニンやバファリンを飲んで走ると普段以上に走れるという話がネットに出回っています。この記事の最もひどいところはプロの選手の6割がレース前にこういった非ステロイド系の抗炎症剤を使用しているという話が一部で出回っていることです。


 元プロとして書かせて頂きますが、これはとんでもない嘘です。


 先ず第一に、プロの選手はドーピング検査に引っ掛かることを非常に恐れています。一般の方からすると、不正をしていなければ引っ掛かるわけがないと思っておられると思いますが、実際には風邪薬、育毛剤、避妊薬、サプリメントなどに含まれている物質でも陽性反応が出ることがあります。


 そして、一度陽性反応が出ると無実を証明するのはかなり困難で、出場停止期間を短くする為の闘争に出るのが現実的です。


 なので、よっぽど必要でなければ薬は口にしないのです。また、レースで大切なことは自分の力を最大限に発揮することです。バファリンやロキソニンはかなりの確率で腹痛を引き起こします。


 日常生活では問題がなくても、長距離走・マラソンという過酷なスポーツでは副作用が起こりやすいのです。わざわざそんなリスクを背負う必要はありません。これらの薬を服用する理由はただ1つ、藁にもすがる想いで何とかしたい痛みがある時だけです。


 こういうことを書くと「だったら走らなければ良い」という人がほとんどなのですが、こういった人たちにはランナーの気持ちなど決して分かりはしないでしょう。あなたがどうしても走りたいのであれば、非ステロイド系の抗炎症剤を先述の分量飲んで走ることをおススメします。


 しかし、普段以上の力を出し切るために、服用しようなどとは思わないことです。それはスポーツマンシップに反するからではありません。単純に、賢明な判断とは言えないからです。そんな薬に頼るよりもこうやってトレーニングについて理解を深め、そしてその知識と経験に基づいて数か月間にわたって取り組んできたことを信じる方が薬の何倍もの力を生み出します。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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