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中強度の持久走の使い方

こんにちは!


 先週はいかがお過ごしでしたか?


 先週末も何名かレースに出場された方がいらっしゃり、ご報告いただいた方や勝手にSNSで拝見した方の自己ベストを報告させて頂きたいと思います。


 先ず1人目ですが、ウェルビーイングオンラインスクールなどその他色々なコンテンツをご購入いただいている小林幸司様より10000mで36分48秒のM45香川県記録を樹立されたとのご報告を頂きました。


 何週間か前に、10000mでスパイクどうするのかというご質問を頂いていたのですが、最終的にスパイクも使いこなされているようで、先頭の選手を上手く使いながらも早めに離れて中盤は自分のリズムで押していき、最後の1000mはピッチに切り替えてペースを上げるという熟練のレース展開をされました。


 小学生の指導にもあたられている方で、非常に将来有望な選手も育てておられます。最近は、小学生に対する加熱した指導が問題にはなっていますが、本人が楽しみながら、あるいは意欲的にやっている限りは良い結果が出るに越したことはありません。良い結果が出たほうが良いに決まっているのです。


 ランナーとしても、指導者としてもさらなるご活躍を僭越ながら祈念しております。


 もう一人は、先日の対談動画「陸上経験無しから3時間3分。気づいたら速くなってた川村綾さんとの対談」にもご出演頂いた川村綾さんです。気温が30度近くまで上がるというハーフマラソンにはおよそ適さない気象条件の中、1時間24分17秒年代優勝の総合2位という結果を残されました。


 北海道マラソンで3時間1分30秒の自己ベストをマークされ、暑い中でのレースでもしっかりと結果を残されていたのですが、今回も暑い中で自己ベスト、そして年代優勝という地力のあるところを見せつけられました。


 そもそもの話をすると、8月終わりの北海道マラソンから5キロのレース、10キロのレースと連戦続きの中での優勝、色々な意味で地力の高さを感じるレースでした。そんな川村さんのこれまでのトレーニング歴の変遷を対談動画の中で語っていただいていますので、まだご覧になられていない方はこちらをクリックして、是非ご覧ください。


 そして、お知らせもう一点です。これまでブログ記事を更新すると、インスタグラムのストーリー、フェイスブックでお知らせさせて頂いていたのですが、ツイッター愛用者の方からも新着記事のお知らせをしてほしいとのリクエストを頂きましたので、ツイッターでも新着記事のお知らせ、その他の新着情報をお知らせいたします。ツイッター愛用者の方は是非こちらをクリックして、フォローをお願いいたします。


 さて、そろそろ本題に入らせて頂きます。


 今回のテーマは中強度の持久走の使い方です。


 最近は、ウェルビーイングオンラインスクールの受講生様を中心に、中強度の持久走がかなり普及してきており、コスパの高さをたくさんの方からご報告いただいております。そろそろ中強度の党で選挙に出馬すれば当選するのではないかというくらい勢力が拡大している今、もう少し具体的なところまで解説させて頂きたいと思います。


 今回は有料級の情報ですので、是非最後までお読みください。


 先ずは、中強度の持久走の定義をさせて頂きたいと思います。簡単に言えば、きつくもなく、楽でもない強度のことなのですが、これではちょっと定義が曖昧過ぎると思います。乳酸性閾値ペースのことを快適なキツさと表現した人がいましたが、この表現もちょっと微妙ですよね。1500mや5000mのレースのようなキツさと比べると確かに快適なキツさですが、普段の練習と比較すると明らかにきついです。


 では、心拍数で示せば良いのかということですが、実はこれも上手くいかなくて心拍数で管理すると絶対に例外が出てきてしまうのです。心拍数と言うのは人間の生理状態を表すほんの一つの要素に過ぎません。心理面を含めた総合的なアプローチが必要になります。


 こういうのをフレーム問題と言います。ある定義をすると、その定義が緩すぎる、しかし別の定義を持ってくると、今度はその定義がきつ過ぎるという問題です。


 では、どのように定義すれば良いのでしょうか?


 私の定義は非常に単純で、それが理にかなった練習であるかどうかは別にして、毎日やろうと思えば毎日出来る最も速いペースです。このペースがあなたにとってどのくらいなのかということは、私には分かりません。人によって違うはずです。またコースや風向、風力、標高によっても異なります。


 例えば、私が18キロの中強度走をするとすれば、アベレージがおよそ3分40秒から3分30秒の間です。これは下がアスファルトで平坦か起伏があったとしてもそこまで極端ではない起伏の場合です。また、風も台風ほどはきつくなく標高はおよそ海抜0mから1500mくらいまでの間であればという条件がつきます。


 これが30キロや40キロになれば、自動的にもう少しペースは落ちるでしょうし、10キロになれば自動的にペースはもう少し速くなるでしょう。そして、疲れている時は自動的にペースがやや遅くなるでしょうし、フレッシュな体なら多少ペースが速くなるでしょう。


 あるいは、休養明けや故障明けなら多少ペースは落ちるでしょうし、重要なレースが近づいてきて、良い状態にあれば少しペースは速くなるでしょう。


 また、全ての他の練習と同様、ネガティブスプリットを意識するので、中強度でも入りと終わりのペースは全く異なります。例えば、昨日の15キロの中強度走では3分50秒くらいから入って、最後の1キロは3分13秒です。しかし、アベレージは3分34秒です。


 ただ、このように数字を使って解説することで、かえって伝わりにくくなることも理解しています。こうやって、数字を使って解説すると「なるほど、池上にとっての中強度とは1キロ3分40秒から1キロ3分30秒か、直近の5000mの記録が14分55秒だから、5000m19分55秒の自分にとっては、4分40秒から4分30秒くらいが中強度だな」と数字を使って考えてしまう人が後を絶たないのです。


 ですが、これは間違いです。数字はあくまでも結果です。私がきつくもなく、楽でもなくリズムよく走った結果がだいたいそのくらいのタイムなのであって、数字は重要ではありません。このことは、何度説明しても説明したりないようです。


 私は走っている時にいちいち時計を見ません。見るのは自分が今何キロ走ったのか距離を確認する為だけです。あくまでも、今日の自分にとっての中強度で走るだけです。何故ならば、時計に従って走ることが重要なのではなく、狙ったトレーニング刺激を体にかけることが重要だからです。


 この中強度の持久走のメリットは、肉体的にも精神的にもそれほど疲れないのに、着実に力がついていくことです。多くの人がジョギングかハードな練習の二択になってしまっているのですが、この中強度の持久走を積み重ねると、それほど追い込まなくても着実に力をつけることが出来ます。


 長距離走のトレーニングで一番重要なことは、継続的に様々な刺激をかけていくことです。ですから、中強度の持久走だけだとベストなトレーニングとは言えませんが、中強度の持久走に200m5本や流し、ファルトレクなどを組み合わせればかなり少ない心理的、肉体的負担で走力が向上し続けるのも事実です。


 そんな中強度の持久走ですが、実は若干使い方を分けた方が良いのです。これを位置づけと呼びます。位置づけと言う言葉はよくよく考えてみると、ランニング本にはほとんど書いてあるのを見たことがありません。その理由は、おそらく俗語だからでしょう。


 従って、競技者同士の会話では普通に使われる言葉なのですが、市民ランナーの方はあまり聞いたことがないかもしれません。


 位置づけと言うのは、その練習をどのような意図をもって使うのかということです。これはもう具体例を出した方が話が早いでしょう。


 今回は分量が長くならないように、期分けや休養期の重要性についての説明は省きますが、走力向上の為にも休養期は設けた方が良いと私は考えていますし、実際に多くの選手がそうしています。


 そして、休養期の後に先ずやるべきことは、故障しにくい体と疲れにくい体を作ることです。その為に、先ず何から手をつけるかと言うと練習の頻度を増やすことです。例えば、週に12回の練習を入れたいのであれば、先ずは一回当たりの走行距離は少なくても良いから先ずは12回の練習に戻していくのです。


 下記はほんの一例ですが、だいたいこんな感じです。


月曜日

朝 8キロ低強度走

午後 6キロジョギング


火曜日

朝 6キロ低強度走

午後 6キロジョギング


水曜日

朝 10キロ低強度走

午後 8キロジョギング


木曜日

朝 6キロ低強度走

午後 6キロジョギング


金曜日

朝 10キロ低強度走

午後 8キロジョギング


土曜日

15キロ低強度走


日曜日

6キロジョギング


 そして、次に練習の量を少しずつ増やしていきながらも、同時並行的に練習の質を少しずつ上げていきます。この段階では練習の質を上げると言っても、少しずつやや負荷を上げていくだけであり、インターバルをやるとかそう言った段階ではありません。


月曜日

朝 10キロ低強度から中強度

午後 8キロジョギング


火曜日

朝 12キロ低強度

午後 6キロジョギング、流し100m10本


水曜日

朝 8キロ低強度から中強度

午後 8キロジョギング


木曜日

朝 12キロ低強度

午後 6キロジョギング、流し100m10本


金曜日

朝 12キロ低強度から中強度

午後 8キロジョギング


土曜日

朝 15キロ低強度

午後 6キロジョギング、流し100m10本


日曜日

8キロジョギング


 だいたいこんな感じで、少しずつ練習量を増やしていきます。そして、ここまできたら低強度から中強度の持久走、流しまではやっています。そうすると、次にやるべきことは中強度の持久走を入れることです。次の段階は以下のような感じです。


月曜日

朝 8キロ中強度

午後 8キロジョギング


火曜日

朝 15キロ低強度

午後 6キロジョギング、流し100m10本


水曜日

朝 15キロ中強度

午後 6キロジョギング


木曜日

朝 12キロ低強度

午後 6キロジョギング、流し100m10本


金曜日

朝 10キロ中強度

午後 8キロジョギング


土曜日

18キロ低強度から中強度、流し100m10本(もしくは午後に6キロジョギング、100m10本)


日曜日

8キロジョギング


 こういう流れになっていきます。この練習は多すぎて自分には参考にならないという方も最後までお読みください。ここで重要なのは、具体的な数字ではなく、大まかな流れです。もちろん、ご自身の練習内容に応じて修正が必要です。このままやるのは良くないでしょう。ただ、ここでやろうとしていることはお分かりいただけますよね?


 先ずは練習の頻度を増やし、それから練習の量を増やし、徐々に故障しにくい体、疲れにくい体を作っているのです。


 リディア―ドシステムに慣れ親しんでいる人からすると、練習量が少ないと思われるかもしれませんが、練習量も少しずつ増やしていくべきです。負荷も同様です。決して、ジョギングか高強度かの二択ではなく、その間に様々な刺激が存在すべきです。


 そして、ここで位置づけの話に戻りますが、上記のスケジュールでは中強度の持久走がメインの練習として位置づけられているのがお分かりいただけますでしょうか?


 この段階では中強度の持久走が新しい刺激であり、次のステップに進むために重要な練習なのです。この場合における中強度の持久走は、心理的にも肉体的にもやや強度を高めに取り組んでも大丈夫です。何故なら、ここでは中強度の持久走はメインの練習として据えられており、その前後に軽めの練習が入っているからです。


 では、このまま練習がどんどん進んでいき、中強度の持久走やショートインターバルなどに充分に取り組み、基礎的な能力が十分に高まった状態ならどうでしょうか?


 スケジュールは以下のように変わっていきます。


月曜日

朝 20キロ中強度

午後 6キロジョギング、流し100m15本


火曜日

朝 1000m10本400mつなぎ

午後 8-10キロジョギング


水曜日

朝 15キロ低強度

午後 8キロジョギング


木曜日

朝 400m20本200mつなぎ

午後 8-10キロジョギング


金曜日

朝 10-12キロ中強度

午後 8-10キロジョギング


土曜日

30キロ中強度


日曜日

10キロジョギング


 実際には、このスケジュールに補強が入ってきますが、走練習だけに絞ればこんな感じです。ここには中強度の持久走が3つ入ってきていますが、実はこれらは少しずつ違う意味合いがあるのです。


 先ず土曜日の30キロ中強度走ですが、これは種目がハーフマラソンまでの距離なのかマラソンなのかによって変わります。マラソンの場合は、これ以降距離走を発展させていきたいので、中強度と書いていますがやや重点を置いていきたいところです。


 一方で、ハーフマラソンまでの距離であれば、あくまでも基礎練習です。中強度はあくまでも中強度と言う感じです。そうなってくると、スケジュールに余裕を持たせるために木曜日と金曜日の練習をひっくり返して、金曜日ショートインターバルで、土曜日30キロ走でも良いと思います。


 何故なら、この30キロ走に重点を置く意味はないからです。


 月曜日の中強度走は色々な意味で、中強度です。距離的にも長いとまでは言えませんが、短くもありません。そして、次の日にスピード練習があるので、強度も抑えないといけません。ちんたらちんたら走っていても積み重なるものがないけれど、次の日のことも考えて練習しないといけない日です。


 そして、金曜日の練習は休養的な意味合いが強い練習です。ここも同じで多少なりともリズムよく練習すれば積み重なっていくものがあるけれど、意味合いとしては休養的な意味合いが強いので、リズムよく走るけどペースは明らかに抑えて、リラックスした走りを心がけるべき練習です。ここで、後半追い込むことは逆効果になります。


 このように中強度と言う記述であっても、若干練習のやり方が変わってきます。何故ならば、位置づけが異なるからです。もちろん、中強度から高強度とか低強度から中強度と言う分類も積極的に使っていきますが、どのように記述しようとも位置づけはそれとは別に意識する必要があるということです。


 もう少し補足で説明を加えると、体づくりの段階での中強度の持久走は、次のステップへと繋がる練習であり、前後に低強度の練習が組まれているので、走り出して自分の感覚が良ければ、中強度の予定が中強度から高強度になっても構いません。寧ろ、余裕をもってリラックスして走り出して、最後の2,3キロは積極的に上げていきたいところです。


 一方で、上記の状態が上がってきてからのスケジュールにおける金曜日の10-12キロの中強度走は如何なる場合においても、積極的にペースを上げるべきではありません。体が温まってきて、勝手に後半やや上がるかもしれませんが、気持ちはおさえて走るべき練習です。上げても良いというのと、上げてはいけないという明確な違いがあるのです。


 では、土曜日の30キロ走はどうかということですが、これは先述の通り、マラソン組とロードレース組で異なります。ロードレース組にとっては次のインターバルまでに回復させることの方が優先度合いは高いので、積極的に上げるべきではありませんし、逆にマラソン組は最後の5キロぐらいは積極的に上げても良いと思います。


 そうすると、また月曜日の練習は逆になるのです。全体のバランスを見ると、マラソン組はおさえてやった方が良いのに対し、ロードレース組は最後の5キロくらいは積極的に上げて行っても良い練習になると思います。


 場合によっては、マラソン組も後半上げても良いかもしれませんが、そうすると中強度以上の練習が週に4日になるので、ある程度慎重にやっていきたいところではあります。


 特に、土曜日の距離走が30キロの中強度から高強度や35キロの中強度から高強度になると、月曜日もまだ脚に重さが残っている可能性は高いので、やや抑え気味にいくべきでしょう。そのように考えると、上記のスケジュールにおいても重点は土曜日の30キロの中強度走の方が高いと思います。


 このように練習の位置づけが変わっていくというのを意識して中強度の持久走を使っていくと、更に効率の良い練習が出来るようになっていきます。


 最後に補足説明ですが、これからハーフマラソン初完走を目指す方、これからマラソン初完走を目指す方にとっては、中強度の20キロ走や中強度の35キロ走というのは存在しません。何故ならば、20キロ走ることそのもの、あるいは35キロ走ることそのものが高強度な練習になるからです。


 つまり、ペースを抑えて走ったとしても、毎日やろうと思えばできる強度ではないので、中強度が存在しないということです。このことも頭に入れて練習すると上手くいくと思います。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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