こんにちは!
ウェルビーイング株式会社代表取締役の池上です。今回こちらの無料ブログをお届けさせて頂いたのは改めて、この時期に補強をするべき理由をお伝えさせて頂きたいからです。タイトルは敢えて一般の方にもなじみのある体幹トレーニングという用語を使わせて頂いたのですが、ここで私が述べたいのは補助的トレーニング全般のことです。
体幹トレーニングは陸上競技部では「補強」と呼ばれるのが一般的です。何も特別専門的な用語を私は用いている訳ではなく、中学校から実業団まで「補強」という用語が使われるのが陸上競技部では一般的なのです。ただ、一般には広まっていない言葉だとは思います。
では、補強とは何なのかということですが、補助的トレーニングと言い換えた方がお分かり頂けるかと思います。陸上競技部ですから、トレーニングの基本は走ることです。走るスポーツですから、練習の中心はもちろん走ることです。私の中学時代の短距離の先生がたまに「走るの嫌いな陸上部ってそれなんや」とおっしゃっておりました。中学生ながらに「確かに、走るの嫌いな陸上部っておかしいよな」と妙に納得していました。
ですが、だからと言って補強が無かったわけではありません。それは本当にトップを目指そうと思ったら、つまり頂点を高くしようと思えば、土台の部分を広げないといけないからです。
ですから、土台の部分を高めるためにちょっと補助的なトレーニングを入れるのです。補助的トレーニングが全体に占める割合は短距離選手の方が大きいです。何故ならば、短距離と中長距離、マラソンでは競技力の決定因子が全然違うからです。
決定因子とは何かということですが、それは競技力を決定づける要因となるものです。因子の子は子供、種子、分子、原子、素粒子、光子などのように小さくてたくさんあるものを表すことが多いですが、因子も一つとは限りませんし、大きな因子もあれば、小さな因子もあります。
では、大きな決定因子に目を向けると短距離走と中長距離走、マラソンではどのような違いがあるのかということですが、それは短距離走は最大筋力と技術が二大決定因子であるのに対し、中長距離走、マラソンは代謝系(エネルギーシステム)と筋持久力が二大決定因子であるということです。
誰が800mと1500mを中距離と名付けたのか知りませんが、レベルが上がれば800mと1500mも短距離の要素が必要になり、まさに中距離になる訳ですが、レベルが低い間は800mからフルマラソンまで求められる能力はほとんど同じで代謝系と筋持久力が二大決定因子です。具体的に男子で言えば、800m1分55秒を切るあたり、1500m3分45秒を切るあたりからは、せめて400m52秒くらいでは走れないとちょっと厳しいです。
短距離選手からすると400m52秒は遅い方だと思いますが、長距離選手からすると私を含めて400m52秒で走れない人はゴロゴロいるので、ちょっとは短距離的な練習も入れないと厳しいです。
ただ、そもそも論ですが、800m1分55秒を切るとか1500m3分45秒を切るということ自体が結構難しいので、大半の人にとっては中距離ランナーでも短距離(最大筋力と技術)よりも代謝系の方が重要なのです。
補助的トレーニングは走る以外の全ての練習を指すということをすでに述べたのですが、大きく分けると補助的に筋力を鍛えるのか、補助的に技術を習得するのかの二つに分かれます。これも大きく分けると技術の習得と筋力の強化に別れますが、はっきりと二つに分けられるものではありません。
例えばバウンディングという動き一つをとっても筋力の強化という要素もありながら、しっかりと足裏全体で地面を捉えてハムストリングスやお尻でしっかりと地面を押すという感覚を養うためのトレーニングでもあるからです。
別の例で言えば、メディシンボールという2キロくらいのボールを投げる練習があるのですが、これもボールを遠くに投げようとすれば筋力強化にもつながりますが、全身の力を連動させてしっかりと地面を押し、そして地面からもらった地面反力をまた全身を連動させて手先に伝えるという感覚を養うことが走りにも繋がります。ですから、技術の習得と筋力の強化ははっきりとは分けられません。
はっきりとは分けられないにしても、結局は短距離走は二大決定因子が最大筋力と技術なので、それを養うことが出来る補助的トレーニングが練習に占める比率は非常に高く、もはや補強と言えるのかどうかすら怪しいです。ですから、短距離の選手の場合は本当に腕立て、腹筋、背筋、懸垂、懸垂逆上がりのような上半身に絞って鍛える練習のみを補強と呼ぶことも多いです。
一方で、中長距離走の場合はトレーニングの大半は代謝系のトレーニングであるべきです。要するに、ある程度まとまった時間走り続けるべきであるということです。そのペースと距離に関しては、各人が専門とする種目や各人の走力や各人の基礎体力レベルによって変わるべきですが、いずれにしてもある程度まとまった時間走る、いわゆる持久走が練習のメインであるべきです。
もちろん、インターバルトレーニングやレペティショントレーニングも大きな比重をしめますが、いずれにしても最大下運動であることに変わりはありません。
1000m5本を200mつなぎで行うようなインターバルトレーニングは確かに大半の市民ランナーさんからするとスピード練習です。ですが、100mのレースペースからは大きくかけ離れており、つまりは最大筋力よりはだいぶ下の強度で行っており、最大下運動なのです。
最大筋力に負荷がかかるような練習ではありません。
そして、中長距離走、マラソンも世の中のそのほかの様々な事柄と同じで基本的にはレースで発揮できるパフォーマンスの大半は土台の大きさで決まります。土台とは基本とか基礎と言い換えても良いのですが、イメージ的に言えば、ピラミッドやビルを建てる際に土台がしっかりとしていればしているほど、頂点も高く出来るというあのイメージです。
確かに、土台だけしっかりと作って頂点の低い建物というのも考えられます。ツッコミどころはありますが、あり得なくはないです。
一方で、その逆はあり得ないのです。土台が脆弱なのに、頂点だけ高いというのはあり得ません。長距離走、マラソンも全くもってその通りであり、土台はしっかりとしているけれど、その割にはレースでは思うような結果を出せていないという人はいます。しかし、このケースにおいてはちょこちょこっと変化を加えれば、少し時間を置いてレースでもきちんと結果が出せることが大半です。
一方で、レースの結果が土台のレベルを超えることはあり得ないです。基本的には、レースの結果は苦しまずに継続的にこなせる持久走のペースがどれだけ速いのか、苦しまずに継続的にこなせる持久走の距離がどれだけ長いのか、この二つでレースの結果は決まります。
これこそが、中長距離走、マラソンにおける土台作りです。ですから、多少ペースに強弱をつけ、なおかつ距離に多少の差をつけますが、基本的には「走り込み」こそが中長距離走、マラソンにおける土台作りです。ですが、文字通り土台を大きくするのであれば、ある程度幅広く総合的な体力を発達させることは大切なのです。
例えば、ジャンプ系のトレーニングを取り入れる、バウンディングを取り入れる、新しい動きづくりを取り入れる、坂ダッシュを取り入れる、200m5本を取り入れる、体幹トレーニングを取り入れる、バランス系のトレーニングを取り入れるといったそういった類のことです。
そして、こういった補助的トレーニングを新しく導入する場合、土台作りの時期に導入して欲しいのです。その理由はトレーニングの組み方にあります。土台作りの時期においては、一回一回の練習の負荷はそこまで高くなくても良いから、中強度前後の練習を高頻度で取り入れるのが基本です。
一方で、目標とするレースが近づいてくるにつれて、高強度な練習はより高強度に低負荷な日の練習はより低負荷にし、高強度な練習と高強度な練習の間隔も広くあけていきます。高強度な練習が高強度になればなるほど、その他の日は回復が中心であるべきです。
ところが、新しい補助的練習をそのタイミングで入れると、非常に回復を妨げるので高強度な練習が上手く生きてきません。
逆に、高強度な練習の前日などに入れるとやはり、それで筋肉痛になったりして、高強度な練習の遂行を妨げかねません。また、レースが近づいてきた段階で「不確定要素」が入ってくると、試行錯誤がしにくくなります。
例えば、自分が予定していた高強度な練習をこなせなかった時に、前回の高強度な練習の負荷が高すぎたのか、高強度な練習と高強度な練習の間隔が狭すぎたのか、あるいは間の日の練習のペースが速すぎたのか、あるいは日常生活に何か問題があったのか、あるいは新しく取り入れた補助的トレーニングのせいなのか、そのあたりが分かりにくくなります。ですから、重要なレースが近づけば近づくほど変数を減らすのがトレーニングの基本です。
では、結局どうすれば良いのかということですが、結局は最終的に目標とするレースから遠い土台作りの時期に新しい補助的トレーニングを取り入れて、この時期にある程度しっかりとやっておき、レースが近づいてきたら、ちょっと回数を減らしたり、頻度を減らしたり、強度を減らしたりして、調節していけば良いのです。要は、やるべき時期にやっておけば、それを維持するのは比較的簡単なのです。
そして、新しい練習を入れた直後は体の反応が読みにくくなりますが、ある程度まとまった期間やっておけば、体の反応もかなり正確に読めるようになりますし、そもそも論ですが、体はある程度慣れた運動であれば、筋肉痛にもなりにくいです。
ですから、補助的トレーニングに取り組むのであれば、あるいは技術系の練習や走り方を変えるということに関してもそうですが、レースが近づいてきてから新しいことを取り入れるべきではなく、新しいことをやるのであれば土台作りの時期に取り入れておくべきなのです。
では、具体的に中長距離選手やるべき補助的トレーニングとはどのようなものなのかということですが、以下にあげるようなものです。
・起伏のあるコースや登り坂を走る
・不整地を走る
・坂ダッシュやダッシュを取り入れる
・中距離のレースペースの200m5本や150m4本などの練習を取り入れる
・技術練習を取り入れる
・バウンディングやボックスジャンプなどのジャンプ系のトレーニングを取り入れる
・体幹周りを鍛える
・バランス系のトレーニングを取り入れる
主にこういったものです。一番上の二つは補助的トレーニングというよりは普段の練習に補助的要素を取り入れるという感じです。中には累計標高500mのハーフマラソンレースなどもありますが、記録を狙って参加するほぼすべてのハーフマラソンとフルマラソンは平坦なコースです。また路面もアスファルトです。ですから、絶対に起伏のあるコースでの練習が必要かと言われるとそうでもないですが、補助的トレーニングとして脚筋力を鍛えるのは良いことです。
あとは、故障予防に効果のある様々な補助的トレーニングが考案されてきましたが、多くの研究者や指導者が体幹周りとお尻を鍛えるトレーニングとバランス系のトレーニング以外は故障の予防には繋がらなかったと唱えています。土台作りには当然、故障せずに走れる練習の量と質を増やすことも含まれていますから、そういう意味ではやはり、体幹周りのトレーニングとお尻のトレーニングとバランス系のトレーニングは是非入れて頂きたいところです。
あとは加齢とともに短距離が遅くなるのも実は避けたいのです。確かに、よほどレベルの高いトラックランナーでもない限り、中長距離走と短距離走のタイムの間に相関関係はありません。男子の800mで言えば、1分55秒を切るあたりからはやはり短距離も速くないと通用しません。一方で、健全な男性であれば、マラソンで二時間半を切るのに必要な短距離のタイムは誰でも持ち合わせており、特にこれが問題になることはありません。
しかしながら、やはり著しく落ちてくると不利ではあるのです。一つの大きな問題は短距離が遅くなるということは最大筋力の衰えを意味するので、故障しやすくなるということです。これは単純な話で、最大で100キロのダンベルでアームカールを出来る人と最大で50キロしか上がらない人の二人が10キロのダンベルを疲労困憊になるまで持ち上げる場合、最大で100キロのダンベルを持ち上げられる人の方が有利であるというのと同じ理屈です。
あまり関係ないかもしれないけれど、関係ない訳ではなく、やはり最大筋力が低下すると、同じ1キロ5分ペースでも自分の最大筋力に近い負荷をずっと体にかけることになるので故障しやすくなるのです。あとは故障しやすいかしにくいかには腱の弾力性も関わってきます。
腱の弾力性とは要するに、ジャンプ力に近いです。これも長距離走の場合は遠く高く飛ぶ必要はないのですが、細かく跳び続ける必要はあります。
腱の弾力性も加齢とともにどうしても衰えてきます。劣化してきたバネでジャンプしていると壊れやすいのと同じで(あるいは古くなった輪ゴムが切れやすいのと同じで)、腱の弾力性が失われるとやはり故障しやすいのです。
そして、いったん衰えるとジャンプ系のトレーニングはかなり慎重にやらないとかえって故障します。ですから、衰えないように若い間からある程度は維持しておいた方が良いのです。それがジャンプ系のトレーニングです。また、ジャンプ系のトレーニングをすると地面の反発を得やすくなります。
私は色々なところで述べている通り、走る時には地面からの反発をもらう、あるいは地面からの反発を強めるということは意識しない方が良いと思っています。それが余計な力みと余分な接地の衝撃を生み出すからです。
ですが、だからと言って人間が走る時に地面から反発をもらっていない訳ではありません。理想としては、補強の段階で地面からの反発を受け入れられる筋力と弾力と感覚を作っておいて、走り出したら何も考えなくてもしっかりと地面からの反発を使い、腱の反射を利用して走れる状態を作っておくのが一番です。
そんな訳で、色々な補助的なトレーニングをご自身で探してみて色々とやって頂きたいのですが、何をやって良いのか分からないという方にお知らせです。
大阪マラソン日本人トップの私(マラソン2時間13分、30㎞1時間31分、ハーフマラソン63分、のべ数千人のアマチュアランナーさんを指導、ユーチューブチャンネル登録者数5万人)と体幹トレーニングのカリスマインストラクターで学生、主婦、会社員からインターハイで優勝するアスリートまで幅広くご指導されているSyokoさん、それからジュニアコーチとして800mの滋賀県チャンピオンを三人育て上げ、ユーチューブチャンネルは登録者数34000人の深澤哲也の三人でコラボしたランナーの為の体幹補強DVD2を紹介させて頂きます。
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具体的な中身に関しましては、体幹トレーニングとバランスに関してはインターハイチャンピオンも輩出したSyoko、ジャンプ系のトレーニングは私と深澤で担当させて頂き、一対一のレッスンを自宅で受けているような感覚が味わえるようになっております。構成は以下の通りです。
チャプター1:なぜ体幹補強が必要なのか? 6分35秒
チャプター2:SyokoトレーニングA 23分53秒
チャプター3:SyokoトレーニングB 13分56秒
チャプター4:SyokoトレーニングC 17分15秒
チャプター5:下半身の補強の目的やメリットについて 9分37秒
チャプター6:解説編・下半身の補強 4分53秒
チャプター7:実践編・下半身の補強 6分2秒
チャプター8:バウンディング 6分34秒
特典映像:リズムに合わせてエクササイズ! 5分21秒
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