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理想の体を作るための真実と嘘

 突然ですが、あなたは以下のような話を聞いたことがないでしょうか?


 走ると脚が太くなる


 炭水化物を食べると痩せる


 16時間の断食をすると痩せられる


 バターコーヒーで痩せられる


 朝何も食べずに走るのは体に悪い


 ウェイトトレーニングをすると男性のような体になってしまう


 痩せるには摂取カロリーが消費カロリーを下回れば良い


 ジョギングは体に悪い


 こういった話がまことしやかに世の中に出回っているのですが、本当でしょうか?


 最近私の周りで「痩せられない」「自分の体がデブで本当に嫌だ」「痩せるために摂取カロリーを減らしている」「ダイエットの為に朝何も食べずに走ったら倒れてしまった」などのお声が届いているので、本記事では私が正しいと考える完全無欠な体の作り方を解説させて頂きます。


そもそも完全無欠な体とは?

 本題に入る前にそもそも完全無欠な体とはどのようなものか初めに定義しておきたいと思います。私の定義は非常に単純で「遺伝子本来の意味における最も健康的な体」のことです。


 遺伝子本来の意味におけるもっとも健康的な体というのは、当然個人差があります。例えば、男女の差はとても大きいものであり、男性は女性のようにはくびれがないし、下半身やお尻や胸に脂肪がつきにくく、筋肉がつきやすいです。


 そして、男性は筋肉がつきやすいと言っても、限度はあります。一部のメジャーリーガーやハリウッドスターのようにステロイド注射を使わないといけないようなムキムキの体やジムでのウェイトトレーニングでひたすら筋肉を大きくしたは良いものの動きにくかったり、故障しやすい体も遺伝子本来の意味におけるもっとも健康的な体とは言い難いです。


 私は西部ライオンズや読売ジャイアンツでプレーされていた清原和博選手の大ファンでしたが、どうも肉体改造という名の徹底した筋肥大を行ってから、動きが緩慢になり、故障ばかりされていたように思います(ただし、当たった時の一発の大きさと相変わらずの勝負強さは魅力でした)。


 人間本来のという意味で言えば、当然男性は重いものを持ち上げることも求められましたが、重いものを長時間持ち続けたり、長時間にわたって鍬を取って田畑を耕し続けたり、武具や鎧兜を着用しての長距離の行軍といったことの方が求められたはずであり、アーノルド・シュワルツェネッガーさんみたいな体格はちょっと平均値からは外れているかなとは思います。


 それがダメだということではなく、あそこまでいくのであればかなり極端なトレーニングが必要であり、もしかするとステロイド注射も必要となるかもしれず、本記事の対象外であるということです。


 そして、これは特に女性の方にお伝えしたいことでもあります。よく言いますよね。「痩せたい」とか「私デブ」とか。あとは筋トレをしてムキムキになるのが嫌とか。脚が太くなるのが嫌とか。


 ですが、生物学上女性の方がある程度は脂肪の量が多くなるのは仕方のないことです。また、昔は女性も多少の肉体労働をすることはあったはずなので、多少の筋肉もあったはずです。


 何が言いたいかと言うと、痩せたいと言っても痩せていれば痩せているほど魅力的だという考え方は捨てた方が良いのではないかということです。また、多少の筋肉もあった方が機能的であり、か弱ければか弱いほど女性らしいという訳でもないような気がします。


 そんな訳で、ステロイド注射や極端なトレーニングを実施したハリウッドスターの方やメジャーリーガーを基準に良い体を作りたい方にとっては本記事は対象外ということを理解して下さい。


 女性も男性もある程度平均的な遺伝子本来の意味におけるもっとも健康的な体を基準とさせて頂きます。


 ただ、私は魅力的になることを否定している訳ではなく、基本的には生物学的に健康な体とは実際に機能が優れており、我々の感性にも魅力的であるとうつるように出来ていると考えています。


 実際に、女性の方にとって一番人気な男性の体型は細マッチョ、つまり太ってもおらず(ちゃんと動ける)、筋肉がある程度ある(ちゃんと重いものを持てる)人であり、男性に人気な女性は標準体型の女性(太っておらず、つくべきところに脂肪がついている)です。ボンキュッボンはそれをもう少し極端にした体型と言えるでしょう。


 ちなみに、男が「ぽっちゃりの人が好き」といった時、女性との間に認識の齟齬が生じやすいようですが、男の言う「ぽっちゃり」とは大抵の場合、標準的な女性の体形にやや脂肪=女性らしさを足した人か男性の体を標準としてそこに女性らしさ=脂肪を足した状態なので、女性からすると割と普通というか標準型に近い体型であることがほとんどです。


 男女ともに言えることですが、健康を維持するには多少の脂肪も筋肉も両方必要です。更に、血液循環が良かったり、細胞レベルでエネルーを生み出す能力(ミトコンドリアのエネルギー産生能力)も若さや美容、疲れにくさに関係があることなので、基本的には外見的に魅力的な人は遺伝子レベルで健康な人が多いです。


 ただ、当たり前ですが、人間は理性が発達しすぎて、好みがかなり様々であることは予めご理解下さい。女性から見た男性もあまりにもムキムキだと気持ちが悪いという人も少なくないですが、やっぱり男たるものムキムキが好きだという人もいます。


 男性から見た女性も普通はあまりにも筋肉がなく、脂肪だけあってたるんたるんで太っていたら魅力がないと感じる人が多いですが、中には出来れば体重100キロは超えていて欲しいと言う人もいますし、また脂肪や筋肉があまりにも少ないとやはり女性らしさを感じない人が多いですが、そういうガリガリの人が好きな人もいます。


 これらは別にどれが正しくてどれが間違っているということはありません。


 ただ、単純な理屈として、原始時代や農耕社会に戻った時に、最も生活に適応しやすいのが遺伝子的に健康的な体だと言え、現代社会においては遺伝子本来の意味におけるもっとも健康的な体を持っていなくても不便なく暮らせるようになっただけであって、遺伝子本来の意味におけるもっとも健康的な体が失われた訳ではありません。


 また座業従事者における仕事の生産性や知能指数も肉体と完全に分けることは出来ず、やはり、身体的に優れている人の方が疲れにくいので集中力も高く、生産性も高くなりやすいです。


 詳しくは口述しますが、神経ニューロンやホルモンも運動と関係があるからです。


 また、継続的にトレーニングできる人は自己規律能力に優れているので、そういった観点からも仕事や勉強ははかどりやすいはずです。


完全無欠な体の要素

 完全無欠な体とは実際に表面的にはどのようなものなのかということですが、以下の条件があると思います。


・ある程度の筋肉があり、無駄な脂肪がそぎ落とされている


・疲れにくい→毛細血管が発達しており、細胞の中にあるミトコンドリアのエネルギー産生能力が高い


・肌がきれいなど見た目が若い→古い細胞や傷ついた細胞が早めに死に、新しい細胞が生れる力も強い(ミトコンドリアのエネルギー産生能力が高い)


・肌がきれいなど見た目が若い→成長ホルモンや性ホルモンなどの必要なホルモンが分泌されている


・やる気に満ち溢れている→男性ホルモンの分泌量を確保する


完全無欠な体を作るための具体的なトレーニング

 上記の項目をクリアするには持久系のトレーニングと筋トレを組み合わせることが大切です。このように書くと多分、このブログ記事の読者様の大半が実践されていることと思うのですが、もう少し具体的に書いてみましょう。


 先ずは持久系のトレーニングは有酸素トレーニングと言われることも多いですが、同じものだと思ってください。持久系のトレーニングに関しては、完全無欠な体を作るという観点からは別にランニングじゃなくても構いません。水泳でも構わないし、ジムにあるエアロバイクやクロストレーナーでも構いません。


 ただ、私はやはりランニングがおススメです。何故かと言うと、全身運動であるのと接地の衝撃があるからです。多分、普通に走っていて体幹が鍛えられるという感覚ってほとんどないと思うんですけど、走る時って結構体幹も一緒に鍛えられています。だからこそ、競技者はより高いレベルのパフォーマンスを発揮するために補強を行うんです。


 でも、本来は走ることによって自転車やエアロバイクで鍛えられない筋肉も鍛えられるので、私はやっぱりランニングがおススメです。また、接地の衝撃があるので脚の筋肉も鍛えられやすいです。自分の体重によるダメージに耐え、そして自分の体重をまた前に運ぶというのは人間の動作の基本とも言えるもので、筋肉もつきやすいです。


 ここで、筋肉がつきやすいという話をしましたが、厳密に言えば、筋持久力がつきます。「走ると脚が太くなるから走らない」という方もいらっしゃいますが、別に走っても脚は太くならないです。何故なら、筋肥大するような強度の運動ではないからです。


 ロードバイクをやったからといって、誰もが競輪選手のような太い太ももにならないのと同じで、筋肉を大きくしようと思うとある程度の強度が必要です。瞬発的な動きじゃなければ、筋肉は太くなりません。ですから、別にランニングをしても脚は太くなりません。


 寧ろ脂肪が落ちるので細くなります。ただ、これもある程度の反論はあって「走っているのに脚が細くならない」という方もいらっしゃいます。


 理由は二つあって、先ず第一にその人がすでに遺伝子本来における健康的な脚の太さに到達しているのであれば、おそらくそれ以上は細くはならないし、細くなるのがそもそも良いことなのか考えないといけません。


 それから二つ目の理由も大きくて「走っているのに脚が細くならない」という人の大半は実業団選手ほどの練習量をこなしている訳ではないということです。これはその時の練習量だけではなく、練習期間も重要です。


 例えば、私も高校生の時の方が脚が太く、すこしぼてっとしていました。今の方が全然脚は引き締まっています。だからと言って、高校時代よりもはるかに練習量が多い訳ではないですが(多いのは多い)、その練習量を高校卒業後も10年くらいずっと継続していることが大きいです。


 何事もすぐに成果が出る訳ではないので、焦らずに取り組むことも大切です。


 また、ランニングは全身運動だということを書きましたが、全身運動であるということはそれだけ全身で必要となるエネルギー量が多い=全身で必要なエネルギーの総量が多いということであり、この観点からもエアロバイクなどに比べて心肺機能に負荷をかけやすく、毛細血管の数を増やしたり、全身のミトコンドリアの数を増やしたり、機能を改善する効果も高いです。


 ただ、負荷が高いことや接地の衝撃があることはそのままマイナス面にもつながり、段階を踏んで練習の負荷を上げていかないと続かなかったり、故障の原因になったりします。初期の段階では1,2キロしか走れないのも普通だと思います。


 この練習量ではなかなか体が変わりませんが、初めは皆そんなものだと思ってください。私もそうでした。5キロ走るって言ったら、今でいう距離走(30キロ以上)と同じ感覚で、実際にダメージも今30キロ走を1キロ3分40秒ペースで走るよりも全然大きかったです。


 初めは苦しくて体も変わらず、やっていても面白くないかもしれませんが、誰しも通る道だと思って辛抱強く続けることが大切です。1,2キロなら時間もほとんどかかりませんし、新しく運動習慣を始めるつもりで、運動習慣を作ることに重きを置いても良いでしょう。


 出来れば、体をしっかりと変えるには30分以上の持久走やジョギングが欲しいです。中学生を選手としても指導者としてもみてきた経験から、20分でも全然効果的は効果的であると断言できます。


 ただ、体が脂肪酸をエネルギーとして使うことを効果的に覚えるようになっていったり、ミトコンドリアの機能が改善される費用対効果が高まっていくのは30分以上なので、30分以上は欲しいかなと思います。


 また、この際には強度も重要になります。よく消費カロリーが何キロだからということを皆さん気にされるのですが、消費カロリーは結構どうでも良いことです。あまり関係がありません。


 重要なことは体に必要な刺激が入って、毛細血管密度が高まったり、ミトコンドリアの機能が高まったり、必要な刺激が体にかかることです。また、引き締まった体を作るという観点からも炭水化物をエネルギーとして使うことが大切なのです。


 食べた炭水化物は肝臓と筋肉にグリコーゲンという形で貯蔵されています。人間というのは運動強度が高くなればなるほど、グリコーゲンをたくさんエネルギーとして使い、運動強度が低ければ低いほど脂肪をエネルギーとして使います。


 だからゆっくり走った方が脂肪が燃えやすいと言ったりもするのですが、これは嘘です。確かに、その時(運動時)は脂肪をエネルギーとして使う割合が増えます。ですが、重要なことはそこではなく、脂肪が燃えやすい体に変えることです。そして、脂肪が燃えやすい体に変えるには継続的にグリコーゲンをたくさん使うことです。


 グリコーゲンをたくさん日常的に使うからこそ、体はこのままではヤバいからもっと脂肪酸をエネルギーとして使うことを覚えようということで脂肪が燃えやすい体に変わっていくのです。


 強度が高い方がグリコーゲンをたくさん使うのであれば、瞬発的な運動をやった方が良いのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、瞬発的な運動は強度が高すぎてそもそも量があまり増やせません。


 ですから、必要となるエネルギーの総量がそこまで高くなりません。


 例えばですが、強度が高くなればなるほどグリコーゲンを利用する比率は上がりますが、1キロ走るのに必要なカロリー数はおよそ自分の体重分です。体重60キロの人が1キロ走ると60キロカロリーを消費します。


 100m10本をダッシュすると1キロ走ることになりますが、これだとグリコーゲンを仮に100%エネルギーとして使うとしても60キロカロリー分のグリコーゲンしか消費しません。そして、100%グリコーゲンをエネルギーとして使うことはあり得ません。


 一方で、20キロ走って仮にそのうちのエネルギーの約半分をグリコーゲンからまかなうとしましょう。そうすると、20×60=1200キロカロリーが総消費量であり、そのうちの半分ですから600キロカロリー分がグリコーゲンです。100m走10本の10倍のグリコーゲンを消費します。


 ですから、グリコーゲンをたくさん使うには時間と強度の両方が大切なのです。