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大会主催者必見!市民ランナーのネットタイム・グロスタイム問題

 突然ですが、あなたは市民ランナーの大会の参加標準記録にグロスタイムが採用されていることについてそれは妥当だと思いますか?


 あるいはあなた自身が自己ベストを出した時に、それがグロスタイムじゃなければ認めない派でしょうか?


 今回はある方から「池上さんのグロスタイムとネットタイムに関する意見を教えて下さい」というご意見を頂いたので、書かせて頂きたいと思います。


1先ずそもそもグロスタイムとネットタイムとは何か?

 まずそもそもグロスタイムとネットタイムとは何かということですが、グロスタイムとは号砲がなってから体幹(両肩と両腰を結ぶ四角形)がゴールラインを通過するまでに要する時間のことで、ネットタイムとは体幹がスタートラインを通過した後、ゴールラインを通過するまでに要する時間のことです。


 マラソンを含むロードレースでは、スタートにずらーと長い列が出来ているので、後ろの方に並ばされている人は号砲がなってからスタートラインを通過するのにかなりの時間を要します。私も昔沖縄マラソンのGブロックくらいでスタートしたことがあるので状況は分かるのですが、大きな大会だと後ろの方の人はスタートラインを通過するまでに数十分とか普通にかかります。


2陸上競技のルールとは?

 次に陸上競技のルールはどうなっているかということですが、号砲がなってからゴールラインを通過するまでの時間が速い順に順位がついていきます。これが陸上競技のルールです。ここに微妙な問題があるように私は思います。例えば、5000mという競技があったとします。5000mという競技は5000mという距離をなるべく速く走ることを競う競技です。これが基本的な考え方です。ですが、実際の順位は着順で決まります。


 どういうことかというと、例えば終始外側に位置取りして他の選手よりも長い距離を走った場合、その選手のタイムが5000mを越えた分短くなることはありません。5000mを超える距離を走っていたとしても、順位は着順なのです。


 ロードレースでも基本的に着順にしておかないとややこしくなる問題として駆け引きの問題があります。基本的には速い選手が強いのですが、必ずしも速い選手が勝つとは限りません。多少の駆け引きがあるのも事実で、基本的な考え方としては後ろについた方が有利になります。


 ですから、勝ちたい選手は余裕があっても後ろにつくということも全然あります。あるいは逆に、ラストスパートになると相手に分があるから早めにしかけておこうとか色々な駆け引きがある訳です。ところが、着順ではなくネットタイムで順位がつくと、自分が優勝だと思っていたのに実は3番だったということもあり得るわけです。


 こうなってくると釈然としないものが残らなくはないです。


3ネットタイムこそが正当だとする根拠は?

 ここまではグロスタイムが主とする根拠について書いてきましたが、では聴きたいのですが駅伝の区間順位はグロスタイムで決まっているでしょうか?


 当然そんなことはなくて、駅伝では区間順位はネットタイムで決まります。そもそもグロスタイムとネットタイムという言い方をしませんが、その選手が中継所を出て、次の中継所に達するまでの時間で区間順位が決まります。この時に、小数点以下は繰り上げです。


 例えば、10キロ区間を走って29分59秒99と29分59秒01は同じ30分00秒になるのです。このことによってたまーに起こるのが、ほぼ同時でタスキを受けて、その時は着差があり、次の区間にタスキを渡すときもほぼ同時で着順が入れ替わっているのに区間順位は同じになるというケースです。


 チーム順位をみると順位が変わっているのに、二人の区間順位は同じということがごくごくまれにあるのです。


 たまーに、そういうことも起こりえますが、一応それで皆納得してやっていることなんですね。そうなってくると、ロードレースもネットタイムの方が公正なのではないかと言う意見は必ず出てきます。最近ではウェーブスタート方式で、順位はタイムで決める大会もたくさんあります。


4最終的にどちらが正当?

 では、最終的にどちらが正当なのかということですが、私はやはりネットタイムだと思っています。そもそもマラソンのタイムって42.195キロを走った記録ですよね?


 42.195キロを走った記録を表しているのは、ネットタイムですか?それともグロスタイムですか?答えは明瞭です。


 もう一つの根拠は何かということですが、そもそも号砲がなってからスタートラインを通過するまでにかかる時間が長いのは走者本人の責任ではなくて、主催者の責任なんです。何故、主催者の責任を走者が負う必要があるのでしょうか?


 例えば、隣の家のおっちゃんが万引きをしたとして、私がその責任を負う必要があるのでしょうか?


 こんな簡単な話なのに、グロスタイムじゃないと正式な大会出場を認めないというのは、どこかひん曲がっているというか、公平に物事をみようという気持ちが一切ないことの表れではないでしょうか?


 結局、自己ベストを出した時にそれがグロスタイムじゃないと認めないという人の意見もその根拠の大半はグロスタイムじゃないと正式なタイムとして認められないというのがその理由でしょう。


 正式な参加標準記録にネットタイムを認めないというのであれば、もっと細かく組を区切って、グロスタイムとネットタイムの差が5秒以内になるようにするべきです。区切ると言っても10分も20分も空ける必要はありません。30秒間隔でスタートすれば良いのです。


 どうせ、一斉にスタートしても、30秒または1分間隔でスタートしても後ろの方がスタートラインを通過するまでにはかなり時間がかかるのですから同じことです。しかも、こうすることによって多少ではありますが、スタート直後の混雑を緩和することも可能になります。


 通行止めの時間が多少は長くなるという問題点はあるものの、繰り返しになりますが、結局はスタート直後の混雑が緩和されるので、実際に起きる影響はかなり少ないと思います。結局、後ろの方はスタートラインを通過するまでにかなり時間がかかるんですから。


 年々大会への参加費も上がっていることを踏まえれば、もっと参加者が参加しやすい環境を整えるのは当然のことだと思います。トイレ問題もありましたが、そういったことも含めて改善していくべき点が多いように感じます。


 ブロックごとに専用トイレを作るということもそうですが、単純にスタート時刻を組に応じて分けることによって、一組目(エリートランナー)がスタートしてからトイレにいくということなんかも可能になる訳です。


 単純にスタートラインに整列する時間が10分、20分遅くなるだけでもメリットは大きいと思います。


 と言う訳で、最終的にはトラック競技において外側に位置取りして長い距離を走ることになるのは本人の意志であるのに対し、市民ランナーのネットタイム、グロスタイム問題は本人の意志では全くコントロールできないことであるにも関わらず、その責任を負わされるところに理不尽があるという結論です。

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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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