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執筆者の写真池上秀志

ハーフマラソン63分09秒で走った国立大学帰宅部生が語るセルフコーチングの極意1

更新日:2022年5月24日

初めに

皆さん、こんにちは!


 週刊プレイボーイに川内優輝にハーフマラソンで完勝した無名の国立大学帰宅部生と書かれて取材していただいた池上秀志と申します。


 自分で書くのも変ですが、日本の陸上史上、大学生でありながら本当に一人で練習をして、コーチもマネージャーもおらず、誰も練習を見てくれず、給水も渡してくれず、自分で練習計画を立ててハーフマラソンを63分09秒で走った選手は私くらいではないかと思います。他にいても5本の指では数えられるでしょう。


 もともと高い能力があってそれを維持したという訳ではなく、入学時の66分27秒からセルフコーチングで2年で達成し、大学を卒業してからも30キロを1時間31分53秒で走りました。高校時代は高校生の中の100傑にも入れませんでしたが、高校卒業後はハーフマラソンとマラソンで日本の100傑に入れるようになりました(最高日本ランキング42位)。


 今回筆をとらせて頂いたのは、私の自慢がしたいからではなく、同じように自分で練習計画を立て、誰にも見てもらえない中で一人で練習し、自分で練習場所まで行って、自分で給水を地面に置いて練習しているアマチュアランナーのあなたの参考になると思ったからです。


 以下自分に合った練習計画の立て方を解説させて頂きます。何らかの参考になりますと、幸いです。


1.ピークを持っていくレースを決める

 陸上競技も一定のルールに基づいて行うスポーツです。そして、陸上競技のルールは一発勝負だということです。野球やサッカー、バスケットボールの場合はリーグ戦です。野球ならペナントレース144試合とその後のポストシーズンを戦い抜いて最終的な順位が決まります。


 ですから、最終的に勝率6割あたりに持っていければそれで良いのです。どこの試合で勝とうがどこの試合で負けようが負けは1敗、勝ちは1勝にカウントされます。まれに10.08とか10.19のようなこの試合に勝てば優勝というゲームがあるのは事実ですが、それだってそれまでに勝負が決まらなかったからそうなっただけであって、どのゲームで勝とうが1勝は1勝、負けは1敗にカウントされます。


 ところが、陸上競技は違います。そのシーズン、勝率9割の選手でも自分が目標とするレースで勝てなければ負けとしか残りません。そもそも陸上競技の場合は、最高の状態はそんなに長続きしないので、現実的に今日負けたから明日頑張ろうということは許されないスポーツなのです。


 今日負けたら次はまた半年後とか3か月後です。で、市民ランナーの方がここまでカチッと決める必要があるのかどうかは、正直微妙なところです。というのも競技者の場合は、トラックの選手なら、日本選手権とか世界選手権とかオリンピックとかここで勝っておかないとみたいなレースがありますし、マラソンランナーの場合はそもそもそんな何本も何本も良い状態が作れるわけではないので、福岡なら福岡、東京なら東京と出場するレースを決めた上で、そのレースで良い走りが出来なければそれで終わりです。


 ですから、絶対にピークを持って行ってそこに最高の状態を持って行かないといけないのです。いくら記録会で良い記録をマークしても全国高校駅伝で最高の走りが出来ないとなんの意味もありません。このことは全日本大学駅伝、箱根駅伝、ニューイヤー駅伝などのどのレースにおいても言えることです。


 ただ、市民ランナーの場合はそれに該当するレースが無いと言えばないです。日本選手権のタイトルにはものすごい価値があります。日本選手権のようなレースで1番になるのと2番になるのとでは大きな差があります。でも、市民ランナーの方の場合は淀川のマラソンで優勝しないと意味がなくて、明石の大会で優勝しても意味がないのかというと別にそんなことはありません。そもそも大半の方が順位ではなく、タイムを狙って走っています。


 とはいえ、それでもピークを持って行くレースは決めるべきだと考えています。何故なら、いずれにしても最高の状態はそれほど長続きはしませんし、マラソンの場合は必然的に今回ダメだったからまた2週間後のレースで頑張ろうというやり方では最高の結果は望めないからです。


 ハーフマラソン以下の距離のレースに関しては、このレースからこのレースが試合期という6週間くらいの試合期を定めると良いと思います。一応その中でもピークを持って行くレースを一つ決めておくと色々と学ぶことがあるでしょう。


 やっぱり人間は失敗するからこそ学べるのです。このレースにピークを持って行こうと思っていたけれど、それが出来なかったとか、思っていたのと違うレースの方が結果も良かったし、体の感覚も良かったというのであれば、「それは何故なのか」と考えることから始まって、そうやって考えていくうちに参考になる学びが得られるかもしれません。そういった、観点からもピークを持ってくるレースは一応決めておくべきです。


 通常は、試合期の最後のレースか最後の2週間くらいにあるレースになるでしょう。最後にピークを持っていくか、ピークを持って行ったレースの後にもう1,2本走ろうかなくらいが良いと思います。


 私が大学生の頃はだいたいトラックシーズンは京都選手権、ロードレースのシーズンはハーフマラソンを一本絞っていました。そうすると、京都選手権が7月なので、11月のハーフマラソンに出る場合は8月、9月、10月と練習して11月は調整期みたいな感じです。12月の10000mや1月のハーフマラソンにピークを合わせていたこともありましたが、そうなると半年くらいの準備期間があることになります。


 またピークを持ってくるレースは2つあるのだけれど、1つの大きなサイクルになっていることもあります。これは例えばですが、7月まではスピード強化に重点をおいたトレーニングを積み、京都選手権での優勝を目標にやっているけれど、実はそのスピード強化は11月の上尾ハーフマラソンで結果を出すためのものであるというようなパターンです。


 また、どうしてもある程度は柔軟にレースのスケジュールを考えながら微調整する必要性も出てきます。そもそもの話をすると、ピーキングというのは陸上競技のルールから出てきたものです。もしも、これが年間に50レースして、そのレースの結果によって優勝者を決めるというルールであれば、別のやり方が主流になっていたはずです。


 ですから、私が提唱するピーキングの仕方や現在主流となっているピーキングのやり方も出場するレースにおいて柔軟に考えられるべきであることは当然です。例えばですが、トラックシーズンはスピードの強化に重点をおいて、そのあと秋から冬にハーフマラソンをやるというのは良いです。


 では、日本で記録が狙えるようなハーフマラソンとはどのようなものがあるかというと上尾ハーフマラソン、全日本実業団ハーフマラソン、丸亀ハーフマラソンとそのあたりです。学生は全日本実業団ハーフマラソンには出場できませんが、11月に上尾ハーフマラソン、そして2月頭の丸亀ハーフマラソン、2月中旬の犬山ハーフマラソンあたりがある程度のレベルの大会です。


 そうなると、2月頭の丸亀ハーフマラソンとその2週間後の犬山ハーフマラソンは何の問題もありません。ですが、11月の上尾ハーフマラソンと丸亀ハーフマラソンを考えると、ピークを維持するには少し長すぎるが、一度休養を取って一から組み上げるには時間が短すぎるという問題点が生まれます。ここをどうやって組んでいくかということも考えていかないといけません。


 簡単に答えを書いておくと、上尾ハーフマラソンの前に基礎構築期を心持ち長くとれば良いのです。具体的には7月下旬から9月上旬までです。そして、上尾ハーフマラソンが終わった後に軽く休養を取って、そのあとは早めにトレーニングを再開し、もう一度基礎的な練習に重点をおく時期をとって、12月の終わりか年明けくらいからもう一度、レース仕様の体に仕上がっていくようなトレーニングを入れていけば良いのです。


2.期分けをする

 次のステップは期分けです。期分けというのは、ピーキングの根幹を占める考え方です。あるレースに向けて最高の状態を作っていくために全体の練習をどのように区分するかを決めるのです。では、何故期分けが必要なのでしょうか?


 それは簡単に言えば、ある難しい問題を解くにあたって、その要素を分解したほうが良いからです。例えばですが、5678×4598はいくらでしょうか?


 パッと計算出来た方はいますか?


 パッと計算できるというのは、暗算で3秒以内に答えが出せるという方です。ほとんどの方が出来ないのではないでしょうか?


 私も無理です。


 ですが、8×8は一瞬で答えが出ますよね?


 では7×8はどうでしょうか?


 6×8はどうでしょうか?


 全て一瞬で答えが出ます。そうやって、順番にかけていって最後は全部足し算すればちゃんと答えは出ます。


 では、別の例を見ましょう。あなたは5×8が分からない人にどうやって解き方を教えますか?


 簡単すぎて、逆に教えるのが難しかったりもします。普通は5×8くらいは暗記しているので、見た瞬間に答えが出てきます。しかし、これが分からない人に解き方を教えるにはどうすれば良いのでしょうか?


 一番オーソドックスなやり方は5×8とは5+5+5+5+5+5+5+5のことであるということを教えることでしょう。足し算が出来れば、基本的には答えが出せるはずです。


 では、5+5が分からない子にはどうやって、答えを教えれば良いのでしょうか?


 これも色々な教え方があるのでしょうが、私はおはじきを使って教えてもらいました。5+5ならおはじきを5個取り出して、それからもう一度おはじきを5個取り出します。そして、合計何個になったのかを数えるのです。小学校一年生の時の話です。


 なんの話か分からなくなってしまった人もいるかもしれませんが、陸上競技でもこれと同じことが起きているのです。例えば、マラソン2時間6分で走るのを目の前で見せられても、普通はどうやったらそんなことが出来るのか皆目見当がつかないでしょう。


 しかし、マラソン2時間6分で走るために必要な要素を分解していけば、最終的には8×8とか7×8くらいのところまで分解できるのです。それを全部計算しきって、最終的に2時間6分で走れるかどうかは知りません。仮に計算しきれたとしても、計算に時間がかかりすぎるとその間に肉体が衰えていくので、達成は出来ません。


 しかし、分解すれば一つ一つの要素自体はいきなり2時間6分で走れと言われるよりは簡単なので、とりあえず前に進んでいくことが出来るのです。私たちがマラソン2時間6分で走っている人を見て、「どうやったらそんなことが出来るのか皆目見当がつかない」と思っているのは、5678×4598を暗算で解こうとして、「どうやったらこんな問題が解けるのか皆目見当がつかない」と思ってしまうのと同じなのです。


 そして、期分けをするというのはそうやって分解した要素の1つ1つに順番に取り組んでいくというイメージです。一度に全てやろうとしたって無理です。私程度の計算能力では、暗算で解ける問題はせいぜい2桁×2桁までです。それすら正直怪しいです。


 ピーキングをせずに年がら年中同じような練習で、レースに出続けている人は、言ってみれば暗算だけに頼っているようなものです。確かに、続けていけば暗算での計算能力はどんどん上がっていきます。しかし、本当に高いレベルに到達したければ、紙と鉛筆を使って、要素ごとに分解し、順番に解いていった方が難易度の高い問題を解くことが出来ます。これはレベルを問わないでしょう。


 私が紙と鉛筆を使って計算出来るよりも難しい問題をある人は暗算で解けるかもしれません。しかし、その人だって紙と鉛筆があれば、もっと難しい問題が解けるはずなのです。


 では、先ほどの5×8の問題を解くという手順は何の話だったのでしょうか?


 実は世の中には出来る人からすると簡単すぎて教えられないことが結構あるのです。5×8というのは、普通は見た瞬間に答えが出ます。しかし、分からない人には分かりません。だから、分からない人に教えてほしいと言われても「えっそんなこと、普通に分かるでしょ」とか「普通に考えたらわかるでしょ」とか「考えたらわかるでしょ」と言われてしまいます。


 しかしながら、実は分かる人は「考えたからわかる」のではないのです。考えなくても分かっているのです。でも、考えなくても一瞬で、見た瞬間に分かってしまうので教えられないのです。


 陸上競技でもこういうことが往々にして起こります。あなたの周りのランナーにもそういう人がいるはずです。「どうやったら、ハーフマラソンを80分で走れますか」と訊くと、「先ずは練習で15キロを56分台で走るやろ?それを何回かやったら、試合ではハーフマラソンを80分で走れる」などと言われてしまったりするのです。


 一見もっともらしく聞こえるのですが、もっともすぎるのです。そんなことは言われなくても分かります。練習でコンスタントに15キロを56分で走れたら、試合では80分ちょうどで走れるに決まっているのです。


 こういう時は問題を更に分割していくのです。


 では一体どのような要素に分割すれば良いのでしょうか?


 長距離走・マラソントレーニングの基本要素は負荷、回復、質、量、一般性、特異性の6つです。一般性と特異性という言葉が聴き慣れない方は基礎と実践と言い換えても良いでしょう。これら6つの要素を組み合わせるのですが、基本的には逆算して考えていきます。


 例えばですが、11月の上尾ハーフマラソンに出場するとしましょう。そうすると、11月はもう完全に疲労を抜いていきたいということが分かります。出来れば、レースの6週間前からはもう疲労を抜きながら、レースペースに体を慣らすような練習が欲しいところです。その前の6週間はもう少し、バランスよく、インターバル系のトレーニングやある程度のペースでの距離走などを入れていきたい時期です。これで12週間です。11月終わりの上尾ハーフマラソンの12週間前は8月終わりくらいです。


 季節も考えると8月いっぱいや9月の上旬はまだまだ暑く、あまり良い練習は出来ないので、基礎的な練習に重点をおいて、ひたすら体をいじめ抜きたい時期です。その代わりと言ってはなんですが、実戦形式のレースに近いような練習はやりません。一回一回の練習自体はそれほど、難しくない練習をするべきです。


 そして、その前の7月には京都選手権があり、京都選手権の後は夏場の基礎練習に備えるためにしっかりと疲労を抜いていきます。これでもう、ある程度の期分けは出来ました。ついでに7月から4月の練習も見ていくと、6月後半くらいから京都選手権に向けて疲労を抜いていくと考えると、やりたい練習が出来るのは6月2週目までです。


 そうすると、だいたい本当にやりたい練習が出来るように体が適応していく長さを考えると、6週間は欲しいので5月くらいからはもう、レースを想定したようなインターバルをやりたいところです。具体的には、10000mで記録を狙うのであれば、1200mや1600mのインターバルが中心になるでしょう。


 そこから逆算すると、4月はショートインターバルや高強度の持久走などにバランスよく重点をおきながら、中強度の持久走も週に2回ほどしっかりといれていきたいところです。ここまで、決めたところで3月以前の練習に関しては、前のシーズンの計画に左右されますし、それから4月の練習も若干前のシーズンの計画に左右されるでしょう。



3.細部を決めていく

 練習で重要なのは、何をやるのかではなく、何をやりたいのかです。練習というのはこれを必ずやらないといけないというルールはないのです。何をやっても良いのです。ですから、自分が狙ったレースにおいて、出場する距離を目標とするレースペースで走れればなんでも良いのです。だから、そこから逆算して、先ずは大雑把な要素に分解し(期分けをし)、それから最後に具体的な週間スケジュールを組んでいきます。


 この週間スケジュールもその期分けの中で達成すべき事柄が達成できれば正直なんでも良いのです。ここまでの話の流れで、何か困難なことを成し遂げるには、要素に分解して自分にも解決できるだけの大きさにすることが重要であることはお分かりいただけたと思います。


 それなら、一週間のスケジュールの中に必要な要素を全部入れれば良いではないかと思われるかもしれませんが、これが無理なことは組んでみると分かります。


 例えば、ハーフマラソンを63分台で走るなら、5000m13分台は欲しいところです。ですから、5000mでタイムを伸ばすような最大の有酸素能力を向上するような練習が欲しいです。ここでは、仮に1200m6本を400mつなぎでやることにしましょう。


 次に、その練習をこなすための体を作るためにショートインターバルも欲しいです。ここでは400m20本を200mつなぎでやるような練習にしましょう。それから、目標とするハーフマラソンのレースペースを体に覚えさせるような練習が欲しいです。これは2キロ6本を2分つなぎでやるような練習としましょう。


 それから、ある程度のペースで休憩なしで走り続けるような練習が欲しいです。12キロの高強度の持久走です。それから、有酸素ベースを作るための距離走が1つ欲しいです。例えば、30キロを中強度で行う持久走です。これで、高強度の練習が週に5回です。


 断言できるのは、こういうプログラムを組んでもそれぞれのワークアウトで求める質は出せませんし、また遅かれ早かれオーバートレーニングになるか、故障するかのどちらかであるということです。


 そして、ある刺激のワークアウトに体を適応させるには、ある程度反復することも重要です。だからこそ、ある程度の期間を設ける必要があるのです。週間スケジュールを考えてみると、逆に期分けの必要性も見えてきます。


 そして、重要なことなので繰り返しますが、週間スケジュールはその期分けにおける目的を満たすものであれば、どんなものでも構わないのです。ただ、いくつかの簡単な原則があることは述べておきたいと思います。


・週に1回は休養日を設ける

・高強度な練習と高強度な練習の間は最低でも1日空ける

・トレーニング刺激は多様性に富ませる

・同じタイプの高強度なワークアウトを同じ週に入れない

・トレーニングプログラムは鉛筆で書く


 具体的に見ていきましょう。


 週に1回休養日を設けるというのは、必ずしも完全休養を意味しません。明らかに自分が楽だと感じ、体が回復できる練習を必ず週に2回は入れるということです。これはその人の走力によってどのレベルになるか変わってきます。例えばですが、まだ走歴の浅い中学生であれば、この週1回の休養日はおそらく完全休養でしょう。


 しかし、私が大学生の頃には90分ジョグが休養日の練習でした。今でも、ケースバイケースではありますが、60分くらいゆっくり走ることが多いです。走らない日も作りますが、私の場合は仕事に集中すると、何も考えずにゆっくりと走って頭を空っぽにしたくなります。これはトレーニング効果を期待してのものではなく、寧ろ休むために、回復の為に走っているのです。ですから、あなたも完全休養をしたいのであれば、遠慮なく完全休養をしてください。


 またレベルに応じて、あるいはお仕事のスケジュールに応じて、この完全休養日は週に2回以上になるでしょう。


 2つ目の高強度な練習と高強度な練習の間は最低でも1日空けるというのは基本原則ではあります。ただ、例外もあって、2日連続である程度の質の高い練習を入れることもあるでしょうし、質の高い練習ではありませんが、インターバルの次の日に距離走を入れるということもよくあると思います。これらのやり方でも上手くいきますし、こうすることによって、質の高い練習と質の高い練習の間を広く取れるの、私も好きなやり方であります。ただ、基本型としては間は1日あけます。


 また2日続けてやる場合は400m20本の次の日に12キロのテンポ走などタイプの違うワークアウトの時のみ上手くいきます。1000m10本の次の日に2キロ6本などはおそらく上手くはいかないでしょう。それなら、必ず1日空けるべきです。


 トレーニング刺激は多様性に富ませるというのは、要するに同じ距離と同じ質のトレーニングばかり入れないということです。例えば、同じ中強度の持久走を入れるにしても、今日は15キロ、明日は20キロ、その次の日は一度低強度の持久走、その次の日はショートインターバル、その次の日は15キロを中強度、その次の日は25キロを中強度、というふうに距離を変えるべきですし、普通は質にももっと変化を富ませるはずです。


 例えば、月曜日は15キロを中強度、火曜日は1000mのインターバル、水曜日は15キロを低強度から中強度、木曜日は400m20本、金曜日は15キロを中強度から高強度、土曜日は30キロを中強度、日曜日は10キロジョギングという具合です。これと関連するのが、最後の原則の1週間の中に同じタイプの高強度なワークアウトを入れないということです。例えば、1000mのインターバルと1200mのインターバルや300mのインターバルと400mのインターバルは練習効果としてはほぼ同じです。こういった同じタイプの練習は同じ週に入れるべきではないのです。


 それから、あえて付け加えるなら、比較的密度の濃い練習をされる方もいらっしゃると思いますが、如何なる例外もなく、週に2回は軽めの持久走を入れるべきです。


 実はここまでは、拙著『セルフコーチングの極意』の18万字の中のほんの一部です。『セルフコーチングの極意』は先日200部限定でメルマガにて販売を開始いたしました。


 在庫が残り50部を切っております。本書に興味のある方は、冒頭を無料で公開しておりますので、今すぐこちらをクリックして冒頭の部分をお読みください。



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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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