こんにちは!あなたは今日の東京オリンピック女子マラソンご覧になられていいましたか?いやー、熱かったですね!物凄く見ごたえのあるレースでした。さて、どこから解説をして良いのかよく分かりませんが、先ずは結果の方から見ていきましょう。とりあえず、速報としては日本語のサイトが見つからなかったのですが、順位とタイムは以下の通りです。
1KEN JEPCHIRCHIR Peres 2:27:20 SB
2KEN KOSGEI Brigid 2:27:36 SB +0:16
3USA SEIDEL Molly 2:27:46 SB +0:26
4ETH DEREJE Roza 2:28:38 SB +1:18
5BLR MAZURONAK Volha 2:29:06 SB +1:46
6GER KEJETA Melat Yisak 2:29:16 SB +1:56
7BRN CHUMBA Eunice Chebichii 2:29:36 +2:16
8JPN ICHIYAMA Mao 2:30:13 +2:53
9CAN ELMORE Malindi 2:30:59 SB +3:39
10AUS DIVER Sinead 2:31:14 SB +3:54
11NAM JOHANNES Helalia 2:31:22 SB +4:02
12SUI SCHLUMPF Fabienne 2:31:36 +4:16
13CAN WODAK Natasha 2:31:41 SB +4:21
14POL NADOLSKA Karolina 2:32:04 SB +4:44
15RSA STEYN Gerda 2:32:10 +4:50
16UGA CHEMUTAI Immaculate 2:32:23 +5:03
17USA KIPYEGO Sally 2:32:53 SB +5:33
18GER SCHONEBORN Deborah 2:33:08 SB +5:48
19JPN SUZUKI Ayuko 2:33:14 SB +5:54
20LES KHATALA Neheng 2:33:15 +5:55
21CRO PARLOV KOSTRO Matea 2:33:18 SB +5:58
22SWE WIKSTROM Carolina 2:33:19 SB +5:59
23AUS PASHLEY Ellie 2:33:39 SB +6:19
24TAN MATANGA Failuna 2:33:58 SB +6:38
25IRL McCORMACK Fionnuala 2:34:09 SB +6:49
26AUS WEIGHTMAN Lisa 2:34:19 SB +6:59
27PER TEJEDA Gladys 2:34:21 SB +7:01
28BEL GORISSEN Mieke 2:34:24 +7:04
29ESP LOYO Elena 2:34:38 SB +7:18
30POR ROCHA Salome 2:34:52 SB +7:32
31GER STEINRUCK Katharina 2:35:00 +7:40
32ITA EPIS Giovanna 2:35:09 SB +7:49
33JPN MAEDA Honami 2:35:28 +8:08
34KOR CHOI Kyungsun 2:35:33 SB +8:13
35POL LISOWSKA Aleksandra 2:35:33 +8:13
36KGZ MASLOVA Darya 2:35:35 SB +8:15
37ESP GALIMANY Marta 2:35:39 SB +8:19
38FRA JEPTOOO Susan 2:36:29 SB +9:09
39GBR DAVIS Stephanie 2:36:33 +9:13
40PER de la CRUZ CAPANI Jovana 2:36:38 +9:18
41ECU CHACHA Rosa 2:36:44 +9:24
42UKR PROKOFYEVA Yevheniya 2:36:47 SB +9:27
43ERI WELDU Nazret 2:37:01 +9:41
44NED DEELTSTRA Andrea 2:37:05 SB +9:45
45MGL BAYARTSOGT Munkhzaya 2:37:08 SB +9:48
46KAZ MAMAZHANOVA Zhanna 2:37:42 +10:22
47CHN ZHANG Deshun 2:37:45 +10:25
48ISR TIYOURI Maor 2:37:52 +10:32
49BEL VERBRUGGEN Hanne 2:38:03 SB +10:43
50BLR SAVINA Nina 2:38:41 SB +11:21
51SUI STRAHL Martina 2:39:25 SB +12:05
52CZE JOGLOVA Marcela 2:39:29 +12:09
53CRO BJELJAC Bojana 2:39:32 SB +12:12
54MDA FISIKOVICI Lilia 2:39:59 SB +12:39
55COL ORJUELA Angie 2:40:04 SB +12:44
56MAR EL MOUKIM Rkia 2:40:10 SB +12:50
57KOR AN Seulki 2:41:11 SB +13:51
58CZE HROCHOVA Tereza 2:42:25 +15:05
59POL MACH Angelika 2:42:26 +15:06
60ECU BONILLA Andrea Paola 2:43:30 SB +16:10
61ARG GOMEZ Marcela Cristina 2:44:09 SB +16:49
62CHN LI Zhixuan 2:45:23 +18:03
63NED HOLTERMAN Jill 2:45:27 +18:07
64MEX SANCHEZ Ursula Patricia 2:45:45 SB +18:25
65MEX TORRES Daniela 2:47:15 +19:55
66ISR SALPETER Lonah Chemtai 2:48:31 +21:11
67CHN BAI Li 2:49:21 +22:01
68GBR TWELL Stephanie 2:53:26 SB +26:06
69UGA CHEKWEL Juliet 2:53:40 SB +26:20
70POR RIBEIRO Sara Catarina 2:55:01 SB +27:41
71GBR PIASECKI Jess 2:55:39 SB +28:19
72SOL FIRISUA Sharon 3:02:10 NR +34:50
73CAN PIDHORESKY Dayna 3:03:10 SB +35:50
MEX RAMIREZ LIMON Andrea Soraya DNF
KEN CHEPNGETICH Ruth DNF
ESP MENDEZ Laura DNF
ETH DIBABA Birhane DNF
BRN DABA Tejitu DNF
ERI SOLOMON Kokob Tesfagaber DNF
UKR KALIUZHNA Viktoriia DNF
RSA van ZYL Irvette DNF
POR MOREIRA Sara DNF
USA TULIAMUK Aliphine Chepkerker DNF
IRL COOKE Aoife DNF
UKR MYKHAYLOVA Darya DNF
ETH YIMER Zeineba DNF
CZE VRABCOVA NYVLTOVA Eva DNF
TUR ERDOGAN Meryem DNF
先ず結果を見て率直に思ったのが途中棄権の数が少ないなということです。正直、もっと途中棄権するかなと思っていたのですが、これはスタート時刻を一時間早めたファインプレーによるものが大きいと思います。あとは観ていて思ったのが、陰が多かったですね。そういったコース選びも入念に行ったのでしょう。なんだかんだともめていましたが、この辺りは結果論で言えば、ファインプレーだと思います。
また金メダル、銀メダルこそケニア勢で占められたものの、今回はアフリカ勢が上位を独占して別のレースをするということもなく、見ていて非常に面白いレースでした。さて、ラップタイムの方も見ていきましょう。
18:02
36:16 (18:16)
53:47 (17:31)
1:11:27 (17:40)
1:28:51 (17:24)
1:46:04 (17:13)
2:02:58(16:54)
2:19:59(17:01)
2:27:20(7:21)
あくまでも優勝したペレス・ジェプチルチル選手のラップタイムですが、初めやや遅めに入ってリズムを使み、その後1キロ3分半前後のペースで刻んで、最後にペースアップするというお手本のようなレース展開でした。ペレス選手以外の選手も気象条件を鑑みると非常に好意タイムだったと思いますし、10番台、20番台の選手も比較的大きな落ち込みが少なかったのは、このペース配分によるところが大きいでしょう。とはいえ、これも勝負のオリンピックではペースメーカーがいるわけではなく、あくまでも結果的にそうなっただけなのですが、結果的に全選手にとって最も良いペースで前半は進んだと思います。
その根拠は何なのかということですが、2007年の大阪世界選手権では約10分、1991年の東京世界選手権では約7分、上位の選手は自己ベストからタイムが落ちています。今回のレースは気象条件としては1991年の東京の世界選手権に近かったので、約7分の落ち込みが予想されます。7分というと1キロ当たり約10秒です。ということは、3分20秒は3分30秒になります。3分25秒は3分35秒のペースになります。
このように考えると、今回のレースに出場するトップ選手たちは2時間20分前後のタイムを持っていたので、3分20秒ペースです。そこに10秒足すと3分半で5キロ当たりのラップは17分半、そして、出場選手の中で最も多い層となる2時間25分前後の選手にとっては、約1キロ3分25秒ペースなので、10秒足すと3分35秒、つまり5キロ当たり17分55秒です。こう考えたときに初めの10キロのペースは全体にとって最適なペースであったと言えると思います。実際に、10キロから15キロでペースが上がって一気に集団の数が減ったのですが、ここで落ちた選手はついていけなかった選手よりもついていかなかった選手の方が多かったのかなと思います。
日本人としては、初めに前田穂南選手が飛び出したのがやや気になりましたが、これは前田選手の走りと関係があると思います。前田選手は自分のリズムで淡々と押していくタイプで、もちろん人の後ろにつくことも苦手ではないのですが、今回のような大集団では前に出た方が走りやすいと判断したのでしょう。その自信としては当然MGCの独走Vが心の中にあったはずです。
結果としては、すぐに集団に吸収され、位置を変えたりして野口みずきさんから無駄な動きが多かったとコメントされていました。ただ、前田さんは集団に入ってからも一人はみ出るような形で一番外側に位置取りしていたことが多かったので、そういうところからも自分のリズムで走りたかったのだろうと推察できます。では、何故一度は前に出たのにまた集団に戻ったのかということですが、これもそういう判断をしたわけではなく、とりあえず自分のリズムで走ってみて、今日の体調でこのペースはキツイなと思って、また下がったというそれだけのことだと思います。決して、後ろについて風よけに使おうという感じには見えませんでした。
その中で、終始一貫して、リズムをつかんでいたのが一山選手でした。先述のタイム計算から言っても、一山さんの走力的には今日のペースはドンピシャのペースだったと思います。集団の力を使いながら、終始安定して最後まで走り切り見事8位入賞を果たしたというそんなレースだったと思います。そうやって、考えると一山選手の力を考えればメダルも取れたのではないかと思う方も多いと思いますが、まあそれはどこの国のファンもそう思ってることです(笑)どこの国のファンも自国の誰誰ならメダルが取れたはずと思っていると思いますが、与えられた条件の中で余計なことを考えずに安定した走りでの入賞はやはり素晴らしいと思います。実際、ケニア、エチオピアの有力選手も途中棄権していますから。
そして、たらればが許されるのであれば、やはり前田選手にとって一年間の延期は厳しかったと思います。選手生活の中で、良い状態を維持するのって本当に難しいのですが、前田さんのピークはやはり2019年から2020年だったように感じます。まだまだ若い選手なので、この先も2019年から2020年の成績を超える可能性は非常に大きいのですが、やはり勢いとか体の状態を考えると、2020年の夏にレースがあればと思いたくはなります。それでいえば、三浦龍司君と田中希実さんにとっては、一年の延期は大きかったですよね。二人とも一年早かったら入賞は出来ていなかったのではないでしょうか?これもたらればではありますが、大きな追い風になったことは間違いありません。
さて、実は今回のレース、筆者の知り合いが二人出場していました。一人目はドイツのカタリーナ・シュタインリュック選手です。この名前を聞いてもピンっとこない方もオールドファンの方ならカトリン・ドーレと聞けばお分かりいただける方も多いでしょう。カトリン・ドーレ選手は大阪マラソン4回優勝、東京マラソン3回優勝、名古屋マラソン1回優勝と日本で大暴れをした選手です。あるいは、有森裕子さんが銅メダルを獲得した時に、最後の最後まで追い上げてメダル争いをした選手と記憶している方も多いでしょう。カトリン・ドーレ選手は出産を経てさらに強くなって帰ってきたエピソードでも有名ですが、その出産で生まれたのがカタリーナ選手です。
筆者はカトリン・ドーレさん一行とはケニアのイテンでお会いして仲良くなり、カトリン・ドーレさんが出場していたころの大阪マラソンのAlfeeのテーマソングのCDをプレゼントしたり、一緒にバーベキューをしたり、カタリーナさんとも一緒に踊ったことを昨日のことのように覚えています。もちろん、抜かりなくカタリーナさんのお父様兼コーチのヴォルフガング・ハイニッヒさんからも色々マラソンについて教えて頂きました。また、その時一緒にいらっしゃったのが、今大会3000mSCで5位に入賞したGesa Klausaさんです。Gesaさんはかなりの美人でインスタグラムでも大人気なので、是非検索してみて下さい。
そして、その時はいらっしゃいませんでしたが、デュッセルドルフマラソンに出場した際に、少しだけお話しさせて頂いたのが、同じくコーチハイニッヒについてトレーニングをしているベラルーシのヴォルハ・マツロニク選手です。ヴォルハさんは英語があまり話せず、残念ながらマラソンについてはあまりお話をお伺いすることは出来なかったのですが、良い思い出にはなっています。
右から二番目がヴォルハ選手、左から二番目が筆者
今大会ではベラルーシの短距離の選手が無事にポーランドに亡命が決まったのですが、日本の警察のファインプレーでしたね!本当に素晴らしいです!別にベラルーシという国のことを悪く書くつもりはありませんし、ヴォルハさんのような素晴らしい方もいれば、LLLTでは安価で良い商品も作っているので、ベラルーシから輸入したこともあります。ただ、今でも(少なくとも数年前までは)KGBが残っている国で、やはり反政府的な発言をするとちょっと危ない国ではあるんです。反政府的と言っても、ちょっと起用に関する疑問をぶつけただけなんですけど。ちなみに、ルカシェンコ大統領初め、そういったベラルーシの体制におかしいという声が上がっていましたが、日本のスポンサーもルカシェンコ大統領とそう大きく変わりませんし、会社やチームに対してちょっと疑問を述べただけで左遷されたり、干されたりするのは日本も同じですよね。日本人にとっては、色々な意味で影響の大きな事件だったと思います。
さて、話をヴォルハさんに戻しましょう。今回のヴォルハさんの走りには本当に感動しました。実は彼女は20キロ手前から何度も離れてはついてを繰り返しているんです。前半から2回ほど、離れてついてを繰り返し、26キロくらいでまた遅れました。この時にはもう駄目だと思いましたが、30キロの通過を見ると大きく落ちておらず、先頭との差をほぼキープしていました。この時には入賞圏外で、入賞は正直厳しいと思いながら見ていましたが、最後は5番でフィニッシュ、凄かったですね!実は彼女はヨーロッパ選手権も前半他の選手と接触して、鼻血を出したまま優勝したこともあるガッツの持ち主、ルカシェンコ大統領のいうハングリー精神を間違いなく持ち合わせている強い選手です。
また、ああいう走りはトレーニングでも粘り強く練習の密度を上げたり、変化走を取り入れたり、クロスカントリーを取り入れたりしないと出来ない走りなので、トレーニングでもしっかりと詰め込んで、どんな状況でもリズムを崩さなければ走り切れる走りを作り上げたのだと思います。ああいう走りは勢いだけでは無理で、本当に強い選手だけが出来る走りです。あの走りの裏側にある努力に頭が下がります。
そういう意味で言えば、同じものを感じるのがやはり前田選手です。前田選手ばっかりひいきするようですが、実は2019年の青梅マラソンで前田選手が日本記録を出した時にペースメーカーをしたのは筆者です。あの時も正直10キロくらいで無理だろうと思うくらいきつそうだったのですが、そのまま起伏をものともせず最後まで行ってしまいました。ああいう走りもやはり、しっかり走りこんでいないと無理なので、凄かったですね。
男子マラソン展望
最後に明日の男子マラソンの展望もちょっと書いておきたいと思います。一つ鍵になるのは、前もって決まった組と直前に決まった組の差です。日本の場合は、公平にMGCで選考しており、その後も再選考会というのはやらなかったので、決まってからオリンピックまでの準備期間が長かったです。そういう意味では、メリットも大きいですし、常識的にはこちらの方が有利です。
ただ、先述したとおり、選手は本当に良い時期を長く維持する難しさもあります。そういう点で言えば、ヨーロッパから出場する選手は今年に入ってから標準記録を切って出場しいている選手が多いです。何故かというと、主要大会が続々と中止になる中で、いくつかオリンピック標準を切るためのエリートレースを開催したからです。そして、ヨーロッパは4月、5月でもまだ比較的寒冷なので、3月から5月に標準を切って滑り込みでエントリーしている選手が結構います。常識的には、ちょっと間隔が狭すぎて、もう一度ピークコンディションを作るのは難しいのですが、勝負事には勢いとかもありますし、この辺りが吉と出るか凶と出るかでも変わるでしょう。
下記サイトでシーズンベストが出ているのが、上記の今年標準を突破してきた選手たちです。
また、気になるのはやはりケニア勢、特にエリュウド・キプチョゲ選手です。彼らが飛び出さずに15分半くらいのラップを刻めば全選手にチャンスがあると言えるのですが、14分台のラップを刻むのであれば、他の選手の判断が明暗を分けるでしょう。メダルをとるなら14分台に乗っていかないと厳しいと思いますが、入賞を狙うなら、早々に第二集団を形成し、15分半から15分50秒くらいのラップを刻んだ方が可能性は高いと思います。そのあたり、各選手がどう判断するかが勝負を分けると思います。
こういった大レースではだいたい勢いよりも経験がものを言うので、そう考えたときに、ケニアのエリュウド・キプチョゲ選手、ウガンダのスティーブン・キプロティチ選手、アメリカのゲーレン・ラップ選手、ニュージーランドのゼーン・ロバートソン選手、ノルウェーのソンドレ・ノルドスタッド選手、日本の3選手がメダル候補に挙がってくるのかなと思います。もし、馬券(人券)があって3枚買うのであれば、ゲーレン・ラップ、スティーブン・キプロティチ、ソンドレ・ノルドスタッド・モエンの3選手に賭けます。
大阪マラソン日本人トップの池上秀志(マラソン2時間13分41秒、ハーフマラソン63分09秒)が書いた『警告!これを読まずに練習しないで!巷のランニング教室では絶対に教えてくれない長距離走・マラソンが速くなるためのたった3つのポイント』という無料レポートをプレゼントしています。下記のURLをクリックして、お受け取りください。
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