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病気後の回復とトレーニングについて

更新日:11月18日

 突然ですが、あなたは病気の後の回復について悩んだことはないでしょうか?


 コロナ、インフルエンザ、風邪などの感染症に感染し、一度はしっかりと熱が上がる、ある意味ではそれはそれで自分の状態が正確に分かっているというか、当たり前の現象として受け止められる、ところが熱はすでに下がり、平熱になっているのになかなか元気にならない、いったいどういうことか?


 病気ならば人にも理解してもらえるし、自分でも理解できるが一体今の自分の状態はどういう状態なのか、皆目見当もつかない、病院にいっても「もう大丈夫」と言われるが、自分の感覚としては明らかにしんどい、そんなことはないでしょうか?


 安心してください。別にそれは普通のことです。そもそも、人間の体を健康と疾病の二つに分けることが乱暴な話です。実際には、一言で疾病にかかっているといっても、程度には差があるし、健康と言ってもやはりその程度には差があります。


 わが社の名前はウェルビーイングですが、それも単にいかなる疾病も持っていないという消極的な意味における健康ではなく、心身ともに、そして金銭的にも良い状態を作っていただきたい、本当にその存在状態(ビーイング)が良い状態(ウェル)であってほしいと願ったからです。


 そんな訳で、今回は熱はもう下がっており、医者的にはもう健康なんだけど、いまいち健康が戻らないという方の為の対処法をお届けさせて頂きます。


そもそも体内では何が起きているのか?

 そもそも感染症とは何かといいますと、体外から菌やウイルスが入り、自分自身の体内の守備隊(白血球が代表)が緊急事態宣言、国家総動員法を発している状態だと理解してください。我々が普通に生きていれば、多少のウイルスや細菌は体内に入っています。


 日本だって、私が生まれてからこの31年、一度も戦争状態にはなっていませんが、日本人が北朝鮮の工作員に拉致され、中国の漁船が日本の領海内に侵入し、北朝鮮がミサイルを日本の方向に向けて発射し、米軍が日本国内で犯罪を犯し、日本人がイスラム国の人に処刑されと、小規模な有事は発生しています。


 小規模な有事は発生していますが、これは戦争状態ではないので、全体的に見れば平時と認識されています。


 それと同じで、小規模な範囲内であれば、普通に生活をしながら我が守備隊が外敵をやっつけることが出来るので、自覚する症状はおこらないか、まあちょっとのどがいがいがするとか、ちょっと鼻水が出るとか、その程度で済む訳です。


 しかし、ひとたびその分量が多くなったり、あるいは仕事やトレーニングで体や精神に大きな負荷がかかると、戦争に全集中しないと闘えなくなってしまいます。それが発熱であったり、全身のひどい倦怠感であったりする訳です。


 この状態に入ると何が起こるかと言いますと、文字通り戦争に全集中することになります。食欲がなくなるのもこのためです。自分が持っている限られた生物学的エネルギーを外敵との戦いに向ける為に消化吸収作用をいったん停止するのです。とはいえ、完全に停止せらるる訳ではないですが、病気になると食欲が大きく減退するのは誰しも経験済みだと思います。


 そして、これで良いのです。こういう時は食べない方が良いのです。


 また、体内での様々な物質の合成もストップします。具体的には、強い負荷を体が感じると真核生物翻訳開始因子という物質がリン酸化し、そうすると伝令リボ核酸(RNA)というものがタンパク質合成をストップするように指令を伝達し、タンパク質合成がストップされるのです。


 そして、ウイルスや細菌と免疫細胞が戦火を繰り広げ、その戦火の大きさはプログラスタランディンという物質によって脳へと伝達されます。前線での戦況が伝令兵によって司令部へと伝えられるのと同じです。それによって我々は倦怠感やしんどいというのを感ずる訳です。


 プログラスタランディンの名前を聞いたことがある方はおそらく少なくないでしょう。バファリン、イブクイック、アスピリン、ロキソニンといった解熱剤は全てこのプログラスタランディンの分泌を抑制する作用を持つ薬です。


 カロナールやパラセタモールと呼ばれる薬の作用機序は不明な部分もあるようですが、脳に作用して痛覚閾値を上昇させると言われています。つまり、同じ分量のプログラスタランディンでもしんどさを感じにくくなるということです。この一連の現象によって体内では以下の状況が起きています。


・炎症反応や酸化ストレスの増大


・脳内での炎症反応の上昇とそれによる倦怠感や苦痛の増大


・体内での物質の合成の抑制(生命現象、すなわち生きることの基本的な営みが一時的に抑制されている)


・免疫細胞やウイルス、細菌の死骸の発生


 こういったことが起きている訳ですが、病気の後のしんどさというのはこの状況がまだ残っている状態です。


 先ず第一に、炎症反応が末梢でも脳内でも残っていることが多々あります。特に、脳の炎症反応が下がらないことがあり、これが後遺症として長期にわたる倦怠感や集中力の低下を引き起こします。


 また、生命というのは常に物質を破壊し、再合成するという過程を繰り返して生命を維持していますが、病気の間は物質の合成が行われていません。ですから、病気の後にこれが行われなければなりません。


 そして、体内には免疫細胞やウイルス、細菌の死骸が残っているので、これを体外に排出しないといけません。病気の時は自然と尿の回数が増えたことはないでしょうか?


 あるいはたくさん水を飲んで尿を出しなさいと言われたことはないでしょうか?


 これは体内に残ってしまったこれらの死骸を体外へと排出するためです。


 もしかすると、下痢や嘔吐もその類なのかもしれません。


 要するに、これらに対処すれば、病気の後の回復は早まるという訳です。


 では、具体的には何をすれば良いのでしょうか?


 私のおすすめは以下のものです。


・睡眠時間をなるべく長くとる


・三型池上機の照射


・マルチミネラル、マルチビタミンの摂取


・色とりどりの野菜や果物をたくさん食べる(ポリフェノールの摂取)


・カフェインやアルコールを控える


・お灸


・鍼灸治療


・瞑想


・積極的思考(楽しいことを考える、笑う、感謝の気持ちをもつなどなど)


・ユンケルゴールドスターの摂取


 理屈は単純で、体内の老廃物を如何に体外に排出するかと、体の中の自然治癒力を如何に活発にするかなのです。自然治癒力とは何かというと適切な物質の合成の促進と言えば分かりやすいでしょう。


 そして、その時に触れておかなければならないのが氣の存在です。ただし、氣というと現代人にとってはオカルトに聞こえることもあるでしょうから、もう少し現代っ子に伝わるように書きますと、我々の体の生命現象を統御するプログラミングのことです。


 例えば、パソコンを考えてみてください。パソコンだって、プログラミングに基づいて動いており、決してランダムに動いている訳ではありません。もう少し別の言葉を出せば、アルゴリズムがまさにそうです。


「京都市伏見区のイタリアン」とグーグルの検索バーに打ち込むと、ランダムに情報が出てくるのではなく、「京都市伏見区のイタリアン」という言葉に関連する情報が出てきます。これはグーグルのアルゴリズムによるものですが、つまりグーグル社が作った独自の指揮系統によって動いている訳です。


 我々の体も同じで生まれながらに、こういうふうに動けば上手くいくというプログラミングが施されています。だってそうでしょう?


 ご飯を食べたら、「炭水化物はこういうふうに分解して、再びグリコーゲンに再合成して、グリコーゲンが不足している筋肉に貯蔵しておこう」なんて考えてやったことがありますか?


 走りながら、体内で現在生み出されているエネルギー量と必要なエネルギー量を計算して、1㎞3分30秒ペースで走るにはこれだけのエネルギー量が必要だから、心臓の一回拍出量をここまで増やし、心拍数をここまで増やし、換気量をここまで増やそうと計算して実行していますか?


 そんなことはしなくても、体が勝手にやっておいてくれるでしょう?


 このこういう時はこういう風にしておけば良いというプログラミングのことを昔の人は氣と呼んだ訳です。


 これが狂っていると、なかなか体調が戻りません。これを治してくれるのが、鍼灸師であり、気功師の方です。もちろん、その先生の腕とあなたとの相性にもよりますが、腕が良くて、相性が良ければ必ず治してもらえます。


 ただし、これも理解しておかなければならないのは、このプログラミングが狂っている場合は氣を整えれば良くなりますが、そもそも狂っていない場合は良くはならないはずです。仮に、正常に自然治癒力が働いていたとしても、体内での物質の合成の速度には限りがありますから、どれだけ速めても限度はあるのです。


 ですから、気功師にみてもらったら魔法のようにその場で治ると思っているのであれば、それはちょっと期待しすぎです。ただし、普段よりも治りが遅く、自分でもおかしいなと思っている方、特に長期にわたって倦怠感や集中力の低下、気力の低下を感じる方は一度気功師の方や鍼灸師の方に診てもらった方が良いでしょう。


 私もなかなか治らなかったのが、鍼灸師の方に診て頂いてすぐに治った経験があります。その先生に私の状態を聴いたら、気虚の上の陽虚だと言われました。虚という字は欠けているとか、無という意味ですが、気が不足している状態の最上級だと。それで鍼治療で気を入れて頂いたらすぐに良くなりました。


 気が不足しているから気を入れたら治ると書くとオカルトっぽく聞こえますが、要するにプログラミングが狂っていたのを治してもらったのです。パソコンの調子が悪いのをプログラマーの方に治してもらうのと同じことです。


 繰り返しになりますが、氣とはこういう場合にはこうすれば良いという体の指揮系統です。これが狂うと、例えばですが、脳内の炎症反応が徒に下がらないという現象が生じることがあります。脳内の炎症反応は末梢の炎症反応の程度に応じて本来は生じるものです。


 例えばですが、苦しい練習で我々が苦しさを感じるのは、筋細胞などの末梢での炎症反応が脳にも伝達されて、脳内でも炎症反応が生じるからです。


 しかし、この脳内の炎症反応を下げる経路もきちんと確保されており、これをコリン抗炎症経路と呼びます。これがあるから、走っている時は非常に苦しくても立ち止まってしばらくすると元気になってくるわけです。


 ところが、このコリン抗炎症経路が壊れていると、ウイルスや細菌がすでに退治されているのに、脳内の炎症反応だけが下がらないという状態になります。そうすると、末梢は問題ないのに、常に疲労感を感じたり、集中力や気力が低下するという状態になるのです。


 じゃあ、コリン抗炎症経路が正常に働く薬を飲めば良いじゃないかとあなたは思われるかもしれません。実際に、ドネペジルというそういう作用機序を持つ薬が使われることもあるようですし、私はそれを否定しません。使えるものはなんでも使えば良いと思っています。


 ただし、指揮系統の方が狂って、その狂いが末梢である現象となって現れている時、末梢にアプローチするのは根本治療とは言えないでしょう。だから、対症療法と呼ばれる訳です。


 繰り返しになりますが、末梢にアプローチしても良いです。でも、根本が狂っているのであれば、そちらにもアプローチした方が良いでしょう。鍼灸の先生方や気功師の方々は氣を入れると表現したり、氣を整えると表現されますが、要するにそれはこの体が本来持つ指揮系統の狂いを直すということです。これが自然治癒力を高めるということです。


 一方で、自然治癒力を妨げるのがアルコールであり、カフェインであり、心身の活動であり、恐れ、不安、悲しみ、怒りなどの消極的思考です。


 頑張ることは決して無条件に良いことではないです。体内での老廃物の除去や物質の合成が最も活発に行われるのは、寝ている時であり、無念無想の境地に至る時であり、穏やかな気持ちの時であり、笑っている時であり、楽しんでいる時であり、感謝の気持ちに浸っている時です。


 様々な研究結果で、笑うと免疫細胞が活性化するという結果が出ていますが、それはあくまでも一つの事例に過ぎないでしょう。


 感謝の気持ちというのがピンっと来ない方もいらっしゃるかもしれませんが、感謝の気持ちとは自分が今手にしているものの幸せをしみじみと感じるということです。ありがとうとは有難し、つまり本来であればなかなか起こらないことが自分の身に起こっている、つまりその希少価値を認めるということなのです。


 笑いにせよ、楽しみにせよ、何か面白いことはないかと生きている人、何か楽しいことはないかと生きている人の方がたくさんの笑いやたくさんの楽しみが見つかります。そして、そういう時の方が自然治癒力は活発に働きます。これは頑張るモードの対極、回復モードに入るということなのです。


 ちなみにですが、人間は頑張るモードに入ると物質の合成が抑制されます。つまり、自然治癒力が妨げられるのです。頑張るだけでは生きていけないのはこういう理屈があるのです。


トレーニングについて

 トレーニングについては、基本原則として休んだ分だけ時間をかけて、練習の負荷を戻すというのが基本中の基本です。つまり、1週間休んだら1週間かけて戻すのが基本中の基本です。


 なお、発熱しているのに練習しても良いことは何もありません。なぜなら、発熱中は体内の物質の合成が非常に抑制されているからです。トレーニング刺激に体が適応する過程は体内で物質が一度分解され、再び合成される時に生じますから、体内の物質の合成が抑制されている時に練習しても身にはなりません。


 しかし、食欲が出てきたということは、徐々に体内での物質の合成が再開された証と考えて良いでしょう。食欲に応じて、少しずつ練習の負荷を戻しても大丈夫です。


 一部の方は私がこの少しずつ練習の負荷を戻す期間は低強度走しかしない方が良いと主張していると勘違いされているようですが、それは違います。あくまでも徐々に練習の負荷を戻すのです。大雑把には以下の手順を踏みます。


1 低強度走の量と頻度を少しずつ増やす


2 ある程度量が充分に増えたと判断したら、低強度走と中強度走を2日に1回の割合で入れる。つまり、低強度から中強度走と低強度走を交互に実施する


3 低強度から中強度走を実施して問題なければ、低強度走と中強度走を交互に入れる。


4 中強度走も問題なければ、中強度走の後に流しを入れる


5 それで問題なければショートファルトレクやショートインターバルを入れてみる


6 それで問題なければ、元の練習に戻す


 だいたい以上のような手順で戻していきます。ここで覚えておいていただきたいことは、病気明けの練習だけ特別だということはないということです。もしも、氣が正常に働き、つまり自然治癒力が正常に働き、食欲もあるのであれば、病気明けの練習は完全休養していたありとあらゆる状況と同じです。


 病気であろうとなかろうと7日間完全に休めば元に戻すのに7日かかります。そして、レベルが高い方ほど、休んでいた期間と同じ期間戻すのに必要です。


 何故ならば、レベルが高いということはそれだけトレーニングによって得られたものが大きいということだからです。ということは、トレーニングを休むことによって失うものも大きいです。


 一方で、レベルが低いということはトレーニングによって得られたものがそれだけ少ないということです。ですから、休むことによって失うものも少ないのです。


 ですから、例えばそもそも週に2日しか走っていない方が7日間休んで失うものと、普段週に7日走っている方が7日間休んで失うものを比べると、後者の方が大きいです。だって、前者はそもそも病気をしていなくても、週に5日は休んでいるのですから。7日病気で休んでも実質休んでいるのは2日間だけです。


 いずれにしても、何が言いたいかというと、病気で休んでいる場合も病気うんぬんというよりは単純に休むことによって失うものが大きいので、それを戻す必要があるということです。


 ただし、病後の予後不良で自然治癒力が正常に働いていない場合は、また別の要因が絡んでくるので、それに対処する必要があるということです。


 ユンケルスターについてはここまで説明していませんでしたが、これはただ単に私の経験上、使ってみて良かったというだけのことであり、作用機序はよく分かりません。おそらく、氣(自然治癒力)を整えるような何かが入っているのでしょう。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

© 2020 by ウェルビーイング株式会社

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