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執筆者の写真池上秀志

体幹トレーニング嫌いの私が体幹トレーニングを継続する理由

 突然ですが、あなたは体幹トレーニングはお好きでしょうか?


 私は正直嫌いです。そもそも論ですが、体幹トレーニングが好きな人って一体どのくらいいるのでしょうか?


 サッカーが好きとか野球が好きとかゴルフが好きという話は聞いたことはありますが、体幹トレーニングそのものが好きという話はあまり聞いたことがありません。


 筋トレが好きと言っている人もよくよく話を聞いてみると、美ボディを作りたいとか、引き締まった体を手に入れたいとか、男性ホルモンをしっかりと出したいとか女性ホルモンをしっかりと出して綺麗になりたいとかそういう話が多いです。


 私はと言えば、そもそも元々スポーツが好きではありません。出来ないから好きじゃないのか、出来ないし好きでもないのかそのあたりは分かりませんが、昔から長距離走と野球以外は見るのもやるのも好きではありません。


 なので、体幹トレーニングも動きづくりもボックスジャンプも1,2年生のミーティングという名の怖い先輩方からのお説教タイムもどれも好きではありませんでした。


 ところが、こういった走る以外のトレーニングは中学校でも高校でも大学でも決して避けられるものではありません。


 こちらの記事ではここまで一般の方にも理解して頂けるように体幹トレーニングと書いてきましたが、陸上界では補強という言葉が一般に使われます。中学校一年生で陸上競技部に入部して以来、補強と呼ぶことがあまりにも当たり前すぎてなんの疑問も抱かなくなってしまった私ですが、今の仕事をするようになってから補強と言うと?という顔をされることが多くなり、よくよく考えると確かに私も補強と言われてもピンっと来なかったなと思い出しました。


 具体的に補強とはどこまでの練習を含むのかということですが、ありとあらゆる走る以外の筋力アップを目的とするトレーニングです。そして、部分的にはただ単に筋肉を鍛えるだけではなく、運動神経全般を鍛えるようなトレーニングも含みます。


 例えばどういうものが含まれるのかというと、腕立て伏せ、腹筋、背筋、側筋、プランク、縄跳び、鉄棒(懸垂や懸垂逆上がり)、メディシンボール投げ、バウンディング、ボックスジャンプ、ハードルジャンプ、手押し車などなどです。


 メディシンボールというのはバレーボールやバスケットボールくらいの重さのボールがあって、それを両手で抱えて投げる練習のことです。正直なところ、長距離の能力とメディシンボール投げの能力に関連性があるかというとあまり関連性はありません。


 ただ、短距離種目や跳躍種目、投擲種目の能力とは有意な関連性があります。何故かと言うと、2キロや3キロの重さのバスケットボールくらいの重さのボールになると、しっかりと下半身の力を使って地面を押し、そして、地面からもらうエネルギーを効率よくボールに伝えるという筋力と運動神経の両方が必要になるからです。


 つまり、基本的にはメディシンボールを遠くまで投げられる人は短距離が速いのです。短距離が速いと長距離走にも有利なので、トップの長距離選手たちはメディシンボールを投げても遠くまで投げられることが多いです。


 また、ジャンプ系のトレーニングや縄跳びなどのトレーニングについても同様です。瞬発的なジャンプ力と長距離走の間に有意な関連性はありません。理由は単純で、筋力的に言えば、遠くまで飛ぶよりも小さく飛び続ける持久力の方が重要であり、技術的に言えばジャンプ力よりも重心移動を使った方が楽に長く走り続けられるからです。


 ただ、これも同様で、トップランナーになる為にはある程度できた方が良いトレーニングになります。理由は単純でトップランナーというのは短距離走に極めて近い速度で5000mや10000mを走り切る人たちのことであり、トップのハーフマラソンランナーやマラソンランナーは5000mや10000mからわずかにペースを落しただけで走り切る人たちのことだからです。


 そんな訳で、有意な関連性があるとは言い難いけれど、出来ないよりも出来た方が良いし、出来なかったことが出来るようになることで一段階上を目指せる可能性が上がるというのがいわゆる補強と呼ばれるトレーニングです。


 そんな様々なトレーニングが存在する中で、実は最も重要視されるのがいわゆる体幹トレーニングと呼ばれるものです。体幹は体の幹と書くように両肩と両骨盤を結ぶ長方形のことです。更に細かく見ていくと、ウェルビーイング外部コーチの高山さん(ユーチューブのチャンネル登録者数約10万人)によると、広義の体幹と狭義の体幹というのがあり、広義の体幹とは先述の両肩と両骨盤を結ぶ長方形のことであり、狭義の体幹とは腰回りお腹周りのことだそうです。


 確かに、実際に体幹トレーニングと呼ばれるものは狭義の体幹を鍛えるものが中心となります。


 では、何故体幹トレーニングが主流なのでしょうか?


 その理由は単純で様々な研究の結果、故障予防に有意に効果があるのは体幹とお尻とバランスを鍛えるトレーニングであるというのが一番多いという結論だからです。これはその他のトレーニングに意味がないということでは決してありません。


 先述の通り、専門種目が短くなればなるほど、レベルが上がれば上がるほど、ジャンプ系のトレーニングやメディシンボール投げのようなトレーニングの必要性は上がります。


 ただ、様々な研究が出ているレベルで言えば、最も故障予防に効果があるという結論が多いのはバランスを鍛えるトレーニングと体幹を鍛えるトレーニングであるということでした。


 私は補強は嫌いだということを冒頭で書きましたが、高校まではありとあらゆる補強や動きづくりが練習の中に入っていました。


 しかしながら、大学以降はそういった補強の量は必要最小限にすることにしました。その頃の私にとっては月間1000キロ走ることの方が優先順位が高く、それ以外の練習を1時間も2時間もやっていたら疲れ切ってしまうからです。洛南高校陸上競技部時代はそのくらい補強や動きづくりが多かったのです。


 ちなみに私嫌いなものから先に食べて、好きなものは最後に取っておくタイプなのですが、走る時はなるべく走ることだけに集中できるように昼休みに補強は終わらせておいて早朝と午後の二回は走る練習だけに集中できるようにしておくなどの工夫もしていました。嫌いなことはパパッと隙間時間に終わらせてしまうのです。


 では、そんな私ですが、嫌いなのに何故やったのでしょうか?


 その理由は単純で故障したら走れなくなるからです。走れなくなったら本末転倒です。


 そして、どんな時でも治療よりも効果があるのは予防です。未然に故障を防ぐことが出来るのであれば、そんなに安上がりなことはありません。大学入学時と言えば、まだ18才であり、競技能力が高くても経験はそこまでありません。やっぱり、よく分からないことも多いのですが、経験のある指導者たちで補強をやっていないチームなど当時も1チームもありませんでした。


 強豪校と呼ばれるチームの中で補強をやっていないチームなど文字通り0です。0チームです。ということは、経験的に言って、何らかの効果があると判断するのが普通でしょう。


 そんな訳で、嫌ではあるけれど、補強は続けました。サボったことはありません。そして、私はどちらかと言えば、単純な人生を愛しているので、難しく考えなくて良いように、いわゆる締めと呼ばれる練習だけに絞って週に2,3回実施していました。締めというよりもプランクという言葉の方が世間では一般的かもしれません。


 プランクというのは下記のようなトレーニングであり、前、横、後ろとそれぞれ実施します。1分ごとに向きを変え、休憩なしで30分間実施します。さながら、回転肉焼き機のように向きを変えながら、30分間休憩なしでぐるりと7周と最後の2分間は連続で前を鍛えます。




 退屈と言えば退屈だけれど、頭を空っぽにして無になってやったり、オンラインスクールを聴きながらやったりすることが出来るので、割と好きな練習の一つでした。


 そんな私でしたが、一つの転機が訪れました。その転機とは何かと言いますと、小谷祥子さんとの出会いです。私がやっている体幹トレーニングは私がやる分には良いけれど、人におススメするにはちょっと機能に特化しすぎていると言いますか、楽しく続けるということに無理がありすぎるというのが一つと、物凄く一つのトレーニング刺激に特化しているので、本来はもう少し様々なトレーニングを続けた方が良いんじゃないかということと、あとはバランスという要素が入っていません。


 バランス感覚の無い私が言うのもなんですが、バランス感覚も一種の運動神経だと思います。私のようにバランス感覚の無い人間からすると、どうすれば一本足で微動だにせずに立てるのか全く分からないのですが、おそらく意識したり頭で考えたりしている時点で無理なんだと思います。


 人間の体には大きく分けると受容神経と運動神経の二つの神経の種類があります。受容神経というのは今この物理空間で自分の体がどのように位置しているのか、あるいは運動しているのかを認識する神経群です。神経群と敢えて私は書きましたが、それは神経だけではないからです。


 脳の中枢部と神経の先っちょについている器官との共同作業になります。


 慢性的な痛みを抱えている選手の話を聞いていると「足の感覚がなくなった」とか「走りの感覚が戻らない」という話をちょくちょく聞きますが、これは慢性的な筋肉のコリ固まりによってゴルジ腱器官というこの物理空間の中でその部位がどのように位置し、運動しているかを中枢神経に送る器官が正常に働かなくなるからです。


 ありとあらゆるスポーツで故障で引退していく選手がいますが、実際には漫画のように全くダメになってもう動かなくなるということはほとんどありません。戦争のように前腕部が完全に吹っ飛んでしまったとかいうのであれば話は別ですが、だいたいのスポーツでは休んでも全く痛みが軽減しないということは稀ですし、逆にトップランナーでどこも痛くないという人もそれほど多くはありません。


 ただ、厳しいトレーニングを続けるとどうしても再発してしまうとか、かばいながらの練習になるからどうしても質と量が確保できないとか、あるいは先述の通り思い通りに体を動かせなくなってしまい、練習の質と量が落ちるとか、走りの感覚が失われて、思うように練習が出来なくなったとかそういったパターンが多いです。


 やや話がそれましたが、体のバランスというのも普段鍛えていないとその場で考えても出来ないということであり、当然走っている時の体のコントロールも無意識のうちに行なわれているので、走ったり、不整地を走ったりすること以外にも補強としてバランストレーニングが入っていた方が良いということです。


 これは個人的な経験に基づく主観的な話にはなりますが、やっぱりトップランナーは姿勢が綺麗ではないでしょうか?


 たたずまいが凛としていて存在そのものが美しいとでも言いましょうか。歩いているだけでも美しいです。


 もちろん、私のトップランナーに対するあこがれというものが多分にはそのように魅力的に見せてしまっているのだと思いますが、身体的な魅力というものも充分に有り、それはやはり姿勢を維持する筋肉がバランスよく鍛えられていたり、運動神経がしっかりと鍛えられているので、日常生活の些細な動作であったとしても極限まで調和のとれた動きになるのだと思います。


 話を祥子さんのトレーニングに戻しましょう。私が祥子さんのトレーニングを初めて見たのは鉢伏高原というところで、中学生を相手に体幹トレーニングをされていた時のことです。


 見事に、練習の中に体幹を鍛える練習とお尻を鍛える練習とバランスを鍛える練習という故障を予防するトレーニングが入っており、なおかつ祥子さんの性格や人柄もあって非常に楽しく継続できる中身となっておりました。


 それを見た瞬間に「これだ!!」と思いました。これしかないと思いました。私には出来ない何かがありました。そのレッスンが終わってすぐに私は祥子さんのところに名刺を渡しにいきました。


 そして、作成したのがランナーの為の体幹補強DVDの一作目、こちらは500枚作成して完売致しました。


 そして、1作目を実際にやって下さった方からのお声も頂いて作成したのがランナーの為の体幹補強DVD2でこちらも500枚作成致しました。500枚あればしばらく持つかなと思っていたら、リリースしてわずか40時間で165名の方にご購入いただき、早くも約3分の1が売れております。


ランナーの為の体幹補強DVD2の中身は以下の通りです。


チャプター1:なぜ体幹補強が必要なのか? 6分35秒


チャプター2:SyokoトレーニングA 23分53秒


チャプター3:SyokoトレーニングB 13分56秒


チャプター4:SyokoトレーニングC 17分15秒


チャプター5:下半身の補強の目的やメリットについて 9分37秒


チャプター6:解説編・下半身の補強 4分53秒


チャプター7:実践編・下半身の補強 6分2秒


チャプター8:バウンディング 6分34秒


特典映像:リズムに合わせてエクササイズ! 5分21秒


 先述の祥子さんの体幹トレーニングはチャプター2から4の部分になります。そして、チャプター5からチャプター8は私のコーチディーター・ホーゲンから教わった下半身の補強になります。


 私のコーチであるホーゲン氏は1953年に東ドイツで生まれました。



 ライプツィヒ大学ではメルケル首相が一個下にいたはずです。コーチホーゲンも東ドイツのホープとして日本で言うところの高校時代に5000m14分10秒をマークしました。当時の14分10秒というと日本選手権の優勝タイムくらいです。


 ところが二十歳の時に故障で膝を手術し、それ以来コーチ人生一筋でした。初めはジュニアの指導にあたり、日本で言うところの高校生の年代で1500m3分40秒や3000m7分台、5000m13分台などの選手を育て上げ、東西ドイツが統一した1990年以降はアメリカにわたり、そこでイギリス人マネージャーのキム・マクドナルド氏に出会い、それ以降はケニア人選手の指導にあたりました。


 90年代は元々ジュニアから指導していた教え子のウタ・ピッピヒ氏が当時世界歴代4位の2時間21分36秒をマークし、ベルリンマラソン、ボストンマラソンでそれぞれ3回ずつ優勝したり、サミー・リレイ氏が当時の世界歴代2位の2時間7分2秒をマークしたり、エヴァンス・ルット氏が当時の初マラソン世界最高記録の2時間5分50秒をマークしたりしていました。


 二年ほど前にはブランカ・デーファーという選手がドイツのアンダー23の女子ハーフマラソン記録を樹立するなど、現在も指導者として活躍している人です。


 そんなコーチホーゲンから学んだ下半身のトレーニングをチャプター5からチャプター8までで順に解説させて頂いています。


 これだけの内容が詰まったランナーの為の体幹補強DVD2、現在たった4000円で販売しております。ご購入希望の方は是非こちらをクリックして、ご購入ください。


 ランナーの為の体幹補強DVD1と2の違いが気になるという方は是非下の動画よりご覧ください。



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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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