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強いチームほど挨拶が出来る理由

更新日:2021年10月16日

 高校駅伝を中心として、大学生のチームでも強いチームほど挨拶が出来るというのは、現場では常識となっています。私は洛南高校陸上競技部時代に様々な高校と合同合宿を行ってきました。佐久長聖高校、大牟田高校、九州学院、秋田工業、小林高校、美馬商業、出雲工業、鳥取中央育英高校などなど強豪校と言われるチームからいわゆる普通の公立高校まで様々な学校と合同合宿を行ってきました。その経験から言えるのは、挨拶が出来るチームほど強いということです。


 更にその後私は、プロ時代に故障で走れない時、御嶽のオラという宿泊施設で住み込みのアルバイトをしていたことがあります。その時に色々な高校、大学、実業団の選手が来ましたが、挨拶だけではなく、やっぱり強いチームほど、部屋も片付いているし、お風呂やトイレも綺麗に使って頂いています。ちなみにですが、そのころ私は一人で三階と別館のトイレ、お風呂掃除をしていたのですが、女性の方が綺麗好きということはないですね、はい。男性の方は幻想を抱きすぎないようにしましょう。男性の方が綺麗ということも別になかったです。


 ただ、やっぱり強いチームほど綺麗に使ってくれて、掃除も楽でした。


 大前提として書いておくと、私精神論とか根性論とか嫌いなんです。高校駅伝だって人間教育とか人格形成のためみたいなこと言う人いますけど、それは違うでしょ。なんで人格形成のために毎日毎日練習するんですか?そんなんで社会が良くなるなら、大人もやれば良い話です。高校駅伝は高校駅伝で勝ちたいからやるんです。あとは、洛南高校陸上競技部で経験した理不尽な上下関係も嫌いでした。


 尊敬できる人の言うことだったら、全然良いんです。いくら尊敬できる先輩でも神様じゃないから間違えることもあります。でも、この人が言うなら信じてやってみようかなって思える人なら良いんです。ただ、「なんで俺がこの人のいうこと聞かなあかんのや」と思ったことも多々あります。それで、結果出なくても誰も責任取ってくれませんから。


 そんなこんなで、私は精神論とか人間教育とか「競技者である前に一人の人間」みたいなのって基本的には嫌いなんです。「一人の人間として」って言ってる人の常識なんかケニア行ったら通用しませんからね。ただ、どうしても否定できないのはやっぱり、挨拶できるチームとか宿舎を綺麗に使ってくれるチームっていうのは強いんです。これはどう説明したら良いんでしょうか?


プライドから生まれるコンフォートゾーン

 大人になってから気づいたのは、こういった日ごろの行為の積み重ねがその人のコンフォートゾーンの形成にかかわるということです。コンフォートゾーンというのは無意識のうちに自分が維持しようとするレベルのことで、直訳すると快適な範囲ということになります。ただ、これは決して文字通り快適な範囲とは限りません。


 例えばですが、学校のテストで60点しかとらないよりも、80点取る方が嬉しいに決まっています。付き合うかどうかは別にして、異性にモテないよりもモテた方が良いに決まっています。必要かどうかは別にして、月収20万円よりも100万円の方が良いに決まっています。もっと言えば、月収1000万円の方が良いに決まっています。


 ところが、我々が頭でこうやって判断する前に、無意識は「自分にとってふさわしい範囲」を設定しているのです。だから、潜在意識のレベルではテストで60点しか取れない人は、80点取るとなんか違和感を感じて、慌てて次は50点をとって平均60点に戻そうとしてしまいます。恋愛でも「モテない自分が当たり前」の人は「好きです」って言われても「何か裏があるに違いない」と思って、結局自分から嫌われるような言動をとったり、相手を遠ざけるような言動に出てしまいます。収入もそうです。如実に出るのが転職の時です。転職する時って、前の自分の収入の半分とか2倍、3倍とかっていうのは普通は応募しなくて、ちょっと上あたりを狙う人がほとんどです。


 もっと言えば、人間なかなか幼少期の生活環境からは抜け出せないです。親の生活スタイルとか、生まれ育った地域というのはかなり大きな影響を受けます。やっぱり、関西人には関西人のものの考え方がありますし、日本人には日本人のものの考え方があります。テンプレートみたいなものです。なかなかこれからは抜け出せないので、関東人にとっては関西人は失礼な人が多い(距離感近すぎ)と感じるし、関西人からすると関東人は冷たく感じます(距離感遠い)。これも無意識のうちです。


 このコンフォートゾーンは、心理的なものであって、物理的な制約を全く受けないので、理論的には自由自在に変えることが出来るはずです。ただ、コンフォートゾーンが形成されるには一つの条件があって、それが臨場感の高さです。臨場感というのはリアリティのことです。臨場感とこの物理世界の現象は全く違います。全く同じ人を見ても、ある人から見ればハンサムで、ある人から見ればブ男だと認識されるという現象は頻発しますが、これも臨場感の違いです。同じ授業を聞いていても、ある生徒は目を輝かせてワクワクしながら聞いているのに、別の生徒には全く面白くない、これも臨場感の違いです。ワクワクする生徒は、もう頭の中でその情景が描けているんです。


 先生が、「完全市場状態において、市場の原理に任せておけば、価格はもはや社会の構成員の誰か一人の効用を下げずには価格を上げることも下げることも出来ない一点に収束する。これをパレート均衡とかパレート効率という」と言ったら、思い描ける生徒はその人なりに頭の中で思い描いて強い臨場感を感じているので、感動するんです。でも、思い描けない人は、ただただ中年の男性が黒板とチョークを持ってなんか喋ってるわとしか思わないので、面白くないんです。これが臨場感の違いです。


 このように物理空間で起きている現象と心的現象は別物だということをまずは理解してください。もっと卑近な例でいえば、同じ映画を観ても感動する人としない人がいるということです。


 ですが、基本的には人間はこの物理空間に最も強い臨場感を感じています。だから、中学生くらいから人を笑わせるのが上手い人はそのあとも人を笑わせるのが美味いですし、モテる人はそのあともモテることが多いですし、中学生くらいから勉強ができる人は勉強がその後の人生でも出来ることが多いです。実体験がそのまま心的空間にまで広がっていくんです。


 プロのスポーツ選手はかなりの割合で引退後に自己破産しますが、それも同じ理屈です。仮に10年間年収が5000万円を超えていると、完全にそれがその人のコンフォートゾーンになります。それ自体は良いことです。ですが、5000万円だと概算で月に200万円くらいは手取りで残るはずですが、そのうち150万円くらい出費しても平気で生活できます。毎月150万円使っても、まだ私の手取りよりはるかに多い金額が手元に残ります。これより多い収入の選手は、アメリカに行けばたくさんいます。


 で、この出費の方もコンフォートゾーンになってしまうんですね。これがコンフォートゾーンになると、月に150万円使わないと苦しくなるんです。どのくらい苦しくなるかというと、体でいえば、発熱状態です。発熱して、平熱に戻そうとしている状態です。詳細は割愛しますが、人間はホメオスタシス機能が精神世界にも延長させることが出来ると考えてください。


 こうなると、収入面のコンフォートゾーンが5000万円でも、すぐにそんな仕事は見つからないし、造れないことがほとんどです。一方で、出費面のコンフォートゾーンは変わらずに、そのままお金を使ってしまいます。だから、自己破産する人が後を絶たないんです。頭では、出費が収入を上回り続ければどうなるかなんて誰でもわかっています。でも、潜在意識レベルで行動が規定されているので、よほど強い意志が無いとそれに打ち勝つことはできないんです。


コンフォートゾーンをどうすれば作れる?

 もう一度、ここであいさつが出来るチームほど強いのは何故かということですが、挨拶というのは一つの要素に過ぎません。挨拶が出来るというだけではなくて、制服の着こなしから、先生への話し方から、練習態度から全てにおいて、強いチームは行動が違うはずです。そして、そういった行動の一つ一つから作られるのが、「自分たちは他のチームとは違うんだ。自分たちはレベルの高いチームなんだ。自分たちはチャンピオンに相応しいチームだ」という意識です。この意識がチーム全体に浸透すると、強くなります。


 ただ、なかなか今まで全国大会はおろか、都道府県大会に出たこともない選手に自信を持たせるのは難しいです。だから、陸上で自信をつけさせる前に、それ以外の面から当たり前のレベルを変えていくとそういうことなんだと思います。人間は誰しも、先入観があります。申し訳ないですけど、制服一つとっても、ボタンをあけて、腰パンで茶髪に染めている子がいれば、ヤンキーだと思います。髪の毛長くて染めていて、超ミニスカートでボタンも2つ、3つ開けている女の子がいたら、やっぱりヤンキーだと思います。そして、だいたいの確率で当たります。


 結局、自分の自分に対するイメージが行動に出て、それがそのまま日々の思考や行動を決定づけるので、いくら頭で「自分はこのままではいけない」と思っていても、またヤンキーの世界に戻ってしまいます。一方で、髪を短く刈り上げて、制服も校則通りに着用して、先生にも敬語で話したら、逆にヤンキーの世界には恥ずかしくて戻れません。ヤンキーにはヤンキーの世界のプライドみたいなものもあるでしょう。


 それをどんどん強化していって、「自分たちはエリート集団だ」「自分たちは他の学校の生徒とは違うんだ」という意識がチーム全体まで浸透されるようになっていって強くなっていくのでしょう。更に強くなると、実際に周りからもそういう目で見られますし、何よりも実際にレースで勝つようになると、そういう気持ちが強固になりますし、周囲からもそういう目で見られるので、ますますコンフォートゾーンが強固になります。そういったアドバンテージが得られるので、正のスパイラルに入っていきます。


 実際にそうなると、やっぱりプラスアルファの力が出ます。陸上競技なんて、長距離でも最後はコンマ差の勝負になったりしますし、秒差は普通です。短距離に至っては、コンマ差は普通です。こういった勝負になると、絶対に心理面の影響は出てきます。皆さんも生きていて「この人には頭が上がらん」という人が一人や二人いると思うのですが、それと同じで「こいつより俺の方が上」だと思っていれば、いざという時に力が出せますが、「こいつには勝てない」と無意識のうちに思っていたら勝てるレースも勝てなくなります。


 そういった潜在意識の形成過程の第一歩が挨拶なんだろうと思います。誤解の無いように書いておきますと、これはあくまでも一要素でしかなく、挨拶が出来る選手はみんな強いかというとそれではありませんし、当たり前ですが挨拶さえしていれば強くなるほど長距離走は甘くありません。挨拶も出来んけど、適切な練習を一生懸命やっている選手の方が、挨拶はするけど、いざという時に自分に負けてしまう選手より結果を出すに決まっています。


 ただ、チーム単位くらいの単位で見れば、必ずその行動を見ていれば、練習を見なくても強いかどうかは分かるということです。全国大会で3番になるのか優勝するのか、それは分かりません。でも、都道府県のトップ6にも入れない学校と全国高校駅伝常連校の間には歴然とした差があるんです。


「挨拶が出来るチームほど強い」これは私自身も選手として走り、そして陸上部がたくさん来る宿泊施設で裏方として働いた私の確かな実感です。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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