top of page

ヒトは何故セックスをするのかの答えが分かるとランのモチベーションが上がる

更新日:2月14日

ヒトは何故セックスをするのか?


と聞かれてあなたは答えられるだろうか?


様々な答えがあると思うが、大きく分ければ次の二つの答えが出てくるだろう。


・種の保存のため


・気持ち良いから


 先に結論から書いておくと、どちらも違うのだが、この二つを掘り下げていくとある程度の答えが見えてくるので、それぞれを掘り下げていこう。


 先ずは種の保存の方から見ていきたいのだが、これは根拠があるようで、実は全くない。確かにセックスをしないと人類は滅びてしまうが、そもそも人類を継続していかないといけない理由は何もないからだ。


 あなたがもしも、本気で種の保存のためにセックスをしないといけないと思っているならそれは『1984』の読みすぎだ。


 そもそもヒトという種を未来に残しておいた方が良い理由は何もない。人類は適当なところで解散してしまっても何の問題もないのだ。


 しかも、別に誰かが産めよ増やせよと言ったわけでもないのに、世界の人口は70億人を突破し、あなたが子供を作らないといけない理由はどこにもない。


 では、2つ目の気持ち良いからというのはどうだろうか?


 これも実はあたっているようで、実は違う。


 先ず第一に、セックスは気持ち良いかもしれないが、次も気持ち良い保証はどこにもないし、それにその時「気持ち良かった。はい、終わり」で別によくて、次もやる理由はどこにもない。


 そして、最大の反論として、気持ち良いからやりたいのなら童貞の人や処女の人はまだ経験したことがないのだから、やる理由がない。


 ところが、生まれてくるときは全員童貞か処女なのに、いつの間にやら大学卒業率を超える率で卒業していく。気持ち良いからやるというのであれば、この数字は割に合わない。


 ちなみに私は煙草も麻薬もマリファナもやったことがないが、経験者に言わせると気持ち良いらしい。お酒も24歳までは飲んだことがなかった。これもお酒を飲まないと人生の大半を損すると言われていたが頑なに飲まなかった。


 しかし、いずれにしても吸いたいという気持ちも飲みたいという気持ちも一向にわいてこなかったし、今でも湧いてこない。


 一度やってしまうと、全て依存性がある物質を含んでいるので、もう一度飲んだり、吸ったりしたくてたまらなくなるのかもしれないが、経験していない人は基本的には、やりたいとは思わない。ゴルゴ13にあこがれて葉巻を吸いたくなるかもしれないが、少なくとも経験する前にその気持ち良さというのは感じない。


 ここが酒、たばこ、麻薬との大きな違いだ。セックスはほぼ本能的に誰もが経験する前から、それが気持ち良いことをどこかで知っており、やってみたいと思っているのに対し、酒やたばこ、麻薬はそうでもない。


 要するに、セックスの場合はやる前から気持ち良くなっているということだ。これをプライミングという。プライミングを働かせるのに有名なホルモンはドーパミンだ。ドーパミンは快楽ホルモンと呼ばれることが多いが、厳密には気持ちよくなれそうなホルモンだ。


 このプライミングは基本的には、自己の生存と種の保存に効果のあるもの全てに当てはまる。だから、人間は基本的には、グルメ番組を観るだけで気持ち良くなるし、セクシーな水着女性の写真を見ると気持ち良くなるし、この仕事をやり遂げたら〇万円と思うとそれだけで楽しくなるようにできている。


 ちなみに、この逆もしかりで、人間は自己の生存と種の保存にマイナスに働くもののことを考えるだけで、嫌な気持ちになる。もっとも顕著なものは死だ。凄惨な殺人事件のニュースや戦争の話、拷問の話を聞くとそれだけで陰鬱な気持ちになる。


 そういえば、昔ティラノのランラボチャンネル支配人とブラッド・ピット主演の「Fury」という戦争映画を観に行ったが、なかなか疲れる映画であった。映画の世界にのめりこみすぎて、次は自分が死ぬのかとストレスホルモンが出っ放しであった。別の映画では「1917」という映画の大量出血するシーンでやはり気持ち悪くなってしまった。


 ちなみに、ハリウッド映画の一つの公式にセックス、デス、ラウドノイズというものがある。要するに、セックスと死と騒音を映画に入れろということだ。そうすること、人間の感情は大きく揺さぶられてついつい観てしまうことになる。


 自分が実際にそういう状況に置かれなくても、そのことを想像したり、臨場感を感じるだけで、実際に快感やストレスを受けている。だから同じ生活でも「このままでは老後に破産するかもしれない」と思いながら生活していると、より大きなストレスを感じるし「もしかすると、クビになるかもしれない」と思いながら仕事をしていると同じ仕事でも疲れることになる。


 さて、話を戻そう。人間の優れたところは、広い範囲にこのプライミングを働かせることが出来ることだ。


 例えば、現代社会におけるお金とはあなたが意識するかしないかに関わらず衣食住であり更に衣食住の貯えだ。お金のことを考えただけでやる気が出るのは、原始時代に焼き立てほやほやのマンモスの肉を想像しただけで、狩りに行こうとやる気が出るのと何ら変わらない。ただ、その仕組みがもう少し複雑になってはいる。


 これはセックスにおいても同様のことが言える。先ず、種の保存という観点から言うと生物には大きく分けると2つの戦略があって、たくさん産んで、その100分の1、1000分の1、時には10000分の1でも良いから大人になってまた次の世代へとリレーしてほしいという戦略を取る生物と少なく産んで大切に育てて確実に大人になるまで育てようという戦略を取る生物がいる。


 前者は魚とか虫に典型的な戦略で、後者は哺乳類に典型的に多い戦略だ。そして、人間の場合は、圧倒的に後者であり、少なく産んで確実に大人になるまで育てるという戦略を取る。そして、そのためには先ず夫婦仲睦まじいのが望ましい。


 現代社会では、大学卒業するまでが親の責任と考える人も多いが、これは現代社会の話であって、最低でも死亡率の高い5歳までが先ず第一段階、その後出産できる年齢ということで考えると、14歳前後が原始時代の親の務めだったのだろう


 そう考えると、最低14年は一緒に仲良くいれることが望ましい。第二子や第三子のことも考えると、もっと仲良くいられる人が望ましい。さらに、女性の場合は妊娠、出産して乳幼児を母乳で育てる間は必ず誰かの保護や食べ物を取ってきてくれる人が必要だ。


 そこで、人類が発展させてきた手段は、女性の外見の魅力と男性の保護や食べ物を交換するという戦略だ。平たく言えば、外見的な魅力で男を虜にして貢がせてしまおうという戦略だ。


 これは現代社会で権力者やお金持ちがモテる理由とぴったり重なる。ちなみにだが、重要なのは安全保障と食べ物なので、必ずしもお金持ちがモテるわけではなく、大企業に勤めている人や公務員は結婚市場においては評価が高い。プロのスポーツ選手や起業家もモテない訳ではないが、安全保障や安定的に食べ物を供給してくれるかという点では評価に差が出る。


 これが理由で、男性と女性の性欲の間には微妙な差が出る。この考え方をそのまま当てはめると非常に分かりやすいのが、性産業の違いだ。本音と建て前を絶妙に使分ける日本らしく、日本は建前では売春は違法だが、まあ、色々な仕事が日本にはある。ただ、女性客を対象とした市場と男性客を対象とした市場の規模は大きく異なる。


 何故こうなるかというと、先ほどの女性は外見的な魅力でひきつけて男性から安全保障と食べ物を供給させるという構図を思い出すと腑に落ちる。現代社会で衣食住とはお金のことだ。この構図が成り立つ要因として、女性の外見的魅力は基本的には、男性にとってマイナス評価にならないという構図が成り立っている。


 もちろん、出産が不可能になる年齢の女性にはその限りではないかもしれないが、出産可能な年齢であれば、基本的にはマイナスにはならない。


 ところが、女性から見た男性は平気でマイナスになる。要するに、お金を払ってくれるなら相手してやっても良いという関係性が成り立つのは、多くの場合、女性から見た男性のパターンであるということだ。


 もちろん、これは市場の規模の大きさであって、その逆も絶対にない訳ではない。


 ちなみによく精子と卵子の絶対的な数が原因で、男性はなるべく多くの女性と寝たがり、女性は一途だという説を唱える人がいるが、男性が浮気性なのは当然であり、それは精子の数によるものだという考え方は魚型、昆虫型の戦略においてしか成り立たない。


 先ほどの構図に当てはめるなら、男性は子供が大人になるまで育てられるなら、子供は多ければ多い方が良い、但し、この場合においても全ての女性パートナーと仲睦まじくいられるということが条件になる。


 あるいは江戸時代の大名のようにとりあえず産むだけ産んで、子育ては乳母に任せておけば良いというパターンなら、単純に多ければ多い方が良いだろう。


 女性の場合も妊娠できる数は決まっているが、安全保障や食事を提供してくれる、すなわち自分のことを大切にしてくれる男性パートナーは多いに越したことはない。


 要するに、性欲の質に違いはありつつも、総合的に判断すると遺伝子レベルでは、男性と女性どちらか片方が浮気性で、どちらか片方が一途ということはないということだ。性差というよりは個人差に起因する。


 そこから更に、チンパンジーにおける子殺しの問題や限られたコミュニティにおけるリスク管理、人間の理性の発達など、様々な要素が絡み合うので、話はもっと複雑だが、よくある誤解への反論として人間は明らかに魚や昆虫とは違う戦略をとっていることだけは明記しておきたい。


人間独自の性欲

 ここからが面白いところで、人間には推論能力が発達したおかげで、この一連の過程全てに性欲が働くことになった。


 要するに、異性と仲良くなるところから、大切にしてもらえることから、喜んでもらえることから、全てに性欲が働くことになった。性欲とは読んで字のごとく、性的な欲求のことであり、プライミングのことである。


 だから、心理学者のフロイトが性欲を仕事や芸術やスポーツに捧げるエネルギーへと変換することを昇華と呼んだのは極めて正しい分析で、寧ろこれも広義の意味における性欲と呼ぶことさえ可能だ。


 何故なら、男性の場合はスポーツが出来たり、仕事で評価されたり、芸術で評価されることがそのまま意中の異性を惹きつける大きな武器になるからだ。


 だから、何故人類はセックスするのかというと、種の保存という大きな目的から派生したプライミングが話しかける、視線が合う、仲良くなるという段階からセックスまで連続的につながっているからだ。


 もっと言えば、その後も連続的につながっている。ある統計データでは、家事を分担して行う夫婦の方が、女性だけ(もしくは男性だけ)が家事をする夫婦よりもセックスの回数は多いというデータが出ている。


 これは当然のことで、人類にとっては子供が大人になるところまで育て上げることが性欲の一部だから、そこに共同作業があってしかるべきだからだ。子供に愛情を注ぐのも、これは性欲とは呼べないかもしれないが、種の保存の一部ではある。


 だから、子供にアイスクリームを買って帰るのを楽しみに仕事を頑張るのは、人間の自然本性の一部と言える。


 更に、人間はそのプライミングに色々なバージョンを作り出すことに成功した。貨幣経済の発達によって、野球選手とか俳優さんとか女優さんとか歌手とか女子アナとか300年前なら存在しえない職業の人がモテるようになったし、ファッションの流行り廃りや髪形も流行が目まぐるしく変わっている。


 今でも思い出すのは、哲学・倫理学ゼミの恩師平石隆敏先生が「生まれつき体は男で心は女というのは生物学的な要因があるのかもしれないけど、スカートをはきたいという感情は遺伝子には組み込まれていないはず」という言葉だ。


 体が男で心が女というのはもしかすると、遺伝子の変異によってもたらされたか、あるいは遺伝子の発現に変化が生じたのかもしれないが、スカートは女性が履くものというのは文化的なものであって、スカートを履きたいという感情や欲求は決して遺伝子レベルの感情や欲求ではないということである。


 だが、実際には体は男だけれど心は女なので、スカートを履きたいという人は実際に存在する。それと同様に、最近流行りの髪型や服装は遺伝子レベルでは性欲を感じさせないはずであるが、人間は理性が発達し、色々なものに対してプライミングを働かせることが出来るようになった。


 角が大きい鹿がモテるというのと同じように、胸が大きい女性がモテるのは遺伝子に組み込まれている情報なのかもしれないが、ファッションセンスは絶対に遺伝子情報とは別物だ。


 オシャレに気を配れる人がモテるというのはもしかすると、遺伝子によって決まるのかもしれないが、何がオシャレであるかは時代や地域によって決まるものであり、決して遺伝子レベルの話ではない。平安時代には平安時代のモテる服装というのがあり、昭和には昭和のモテる服装があり、現代には現代のモテる服装や髪型があるということだ。


 つまり、人間は本当に様々なものに対して、プライミングを働かせることが出来るように進化したのだ。


ランニングとプライミング

 走るという行為は原始的なようで、原始的ではない。何故なら、この100年くらいまではある決められた距離を全力で走るということはしてこなかったからだ。移動の手段で走ったり、獲物を捕まえるために走ったり、獲物から逃げるために走ったりというのはあったはずだが、5000mを全力で走るとか10000mを全力で走るということはこの100年くらいまで決してなかった。


 しかし、ここまで見てきたように、人間は理性が発達し、様々なものにプライミングを働かせられるようになった。ということは、当たり前だがランニングにもプライミングは働く。


 もっと言えば、今日今からやるランニングにもプライミングは働く。その時の条件としては、今日走った先に何か良いことがあるということを常に意識することだ。


 走り終わった後のビールが美味いでも良いし、走り終わった後の風呂が気持ち良いでも良いし、今日走ったらまた一歩引き締まった体に近づくでも良いし、今日の練習をやるとまた一歩サブ3に近づくでも良い。何でも良いから、走り終わった後の何か良いものを常に心に思い浮かべることが重要だ。


 逆の言い方をすれば、自分のモチベーションを最低限まで低下させるのは無力感だ。こんなことやってもどうせ無駄だと思いながら走ったってなにも面白くない。


 そして、一番重要なことは、心の中に思い浮かべた良いことが現実にならなくても良いということだ。現実にならなくても良いから、自分の中でこんな良いことがありそうだということを常に心に思い浮かべて走ると走ることが楽しくなる。


 夢がかなった時よりも、夢を追いかけているときが一番楽しかったというのは、そういうことだ。


 もっとくだらないことで言えば、男子なら好きなあの子を口説こうとあの手この手を使って、絶対に一つはその中に笑える作戦があるのだが、そんなおバカなことが真面目に出来るのもプライミングのお陰だ。


 その中の一つにピーナッツ作戦というのがあったのだが、分量も多くなってきたので、またおいおいメルマガにでも書くことにしよう。


 最後に、最後まで読んでくれたあなただけへのお得なお知らせだ。


 人間のプライミング効果を利用し、潜在意識を書き換えることによっていつでも走ることに対してやる気満々でいられる方法を解説した約3時間半の講義動画がある。


 詳細は是非こちらをクリックして、確認して欲しい。


閲覧数:2,442回0件のコメント

筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

bottom of page