ブラッド・ハドソンのトレーニングの12原則

 こんにちは、ウェルビーイング池上です。初めにスマホをお使いの方に1点お知らせです。こちらのブログをアプリ風にし、ホーム画面に追加できるようにいたしました。アプリ風としている理由は、ダウンロードの為のデータ容量を必要とせず、厳密にはアプリではないからです。下記のURLよりお使いください。

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ところで、あなたはもう「ランナーが犯しがちな2つの過ち」はご覧になられましたか?まだご覧になっていない方は今回の内容を深く理解するためにも先ずは下記のURLより前回の記事をご覧ください。

https://www.ikegamihideyuki.com/post/adaptiverunning



 さて、今回のテーマは上記のブログで紹介したコーチハドソンのトレーニングにおける12原則です。参考になる部分も非常に多いのでぜひ最後までお読みください。


トレーニング原則1:継続的にそこそこの総走行距離を維持すること

 長距離走・マラソンが手っ取り早く速くなるには、総走行距離や走る頻度を増やすことがベストです。中にはゆっくりと走ることは無意味で、インターバルトレーニングなどの追い込む練習を多く取り入れる方が速くなるという人もいますが、そのような意見は忘れてください。何故なら、単純にそれは長距離走・マラソンについて理解していない人の意見だからです。


 特にもしもあなたが、すでにコンスタントに月間600km以上走っている競技者でないのであれば、走行距離を増やすことは楽に走るのが速くなる近道です。私は今普通に仕事をしながら走っています。この記事を読んでいるほとんどの方が学生の方かお仕事をしながら走っている方だと思います。


 ここで考えてみてください。そもそも仕事や勉強をしながら走ることの一番の負担は何でしょうか?それは体力や神経(集中力)ではないでしょうか?そうすると、結局のところ、極限の集中力を削り出したり、週に二回のインターバルを三回にするよりも、コンスタントに走り続けることが手っ取り早く速くなる方法です。


 そして、何よりも故障が起こりやすいのは走行距離を増やす過程にあるときと走行距離が少ない時です。そうすると、コンスタントにある程度の走行距離が故障を予防しながら、力をつけていく一つの方法になります。コーチハドソンはレベルを問わずある程度の走行距離を維持することを全てのランナーに推奨しています。


 これはもちろん、全てのランナーに月間1000km走れと言っている訳ではありません。彼が言っているのは、自分がここまで増やしたいと思う総走行距離に到達したら、その練習量を継続的に維持した方が良いということです。


トレーニング原則2:連続的な期分け

 トレーニング原則の2つ目は期分けを出来るだけ連続的にするということです。期分けという言葉を初めて聞くという方のために改めて説明しておくと、従来より時期を区切って、この時期はこれをやる、この時期はこれをやるというふうにある時期において重点を置くポイントを絞り、その区切りに従って、トレーニングを進めていくことで力をつけやすいというものです。


 この期分けのやり方にはいろいろなやり方があります。高校生で多いのは、鍛錬期、移行期、レース期という分け方です。これにテスト期間に休養気を設けたりとかそんな感じでしょうか?


 他の例でいうとアーサー・リディア―ドというニュージーランドの名指導者がとても有名な期分けをしており、マラソンコンディショニング、ヒルトレーニング、無酸素トレーニング、調整期、レース期という期分けをしていました。アーサー・リディア―ドのトレーニングシステムについて詳しく知りたい方は下記のURLを参照してください。

https://www.ikegamihideyuki.com/post/2019/07/01/thelydiardsystem



 アーサー・リディア―ドという指導者はこの期分けというものを明確にやる指導者です。我が母校洛南高校でも割としっかりと(明確に)期分けをしていた印象があります。


 一方で、コーチハドソンはこの期分けは明確にするべきではなく、連続的にするべきだという考えです。要するに、あるフェーズからあるフェーズへと移行する際には、その境目が分からないような形で徐々に徐々に移行するべきだという考えです。


 例えば、リディア―ドのトレーニングシステムにおいて、マラソンコンディショントレーニング期間には本当に走り込みしかしません。そして、その次にインターバルへの準備として、ヒルトレーニングをします。そして、その次にインターバルトレーニングを導入するのですが、そうするとヒルトレーニングはほとんどなくなります。そして、調整期にはタイムトライアルをするのですが、そうするとインターバルトレーニングはなくなります。このようにかなり明確にあるフェーズからあるフェーズへと移行していくのですが、コーチハドソンはそのようにはせず、なるべく連続的にするべきだという考えです。


トレーニング原則3:トレーニングは一般的なものから特異的なものへ

 原則の3つ目は一般的なものから特異的なものへと移行させるという考え方です。一般的というのは、簡単に言えばレースペースよりもゆっくり長く走る練習と短く速く走る練習です。そして、特異的というのはレースに近い練習で、例えば5000mのレースにとって特異的な練習は1000m5本を200mつなぎでやるような練習が該当します。


トレーニング原則4:3つの期分け

 ブラッド・ハドソンはトレーニングの期分けは連続的であるべきだと考えていますが、だからと言って期分けをしない訳ではありません。コーチハドソンは期間を3つに分けます。導入期、基礎構築期、シャープニングの3つの期間です。


 導入期は単純に体をランニングにならしていく時期です。ただ、走るだけではなく、坂ダッシュも入れて、ゆっくり長く走る(総走行距離含めて)ことと、短く速く走ることに体を慣らしていきます。そして、ある程度総走行距離が増えた時点で、より特異的な練習ができるように、更に練習をレベルアップさせていきます。そして、レースが近づくとレースに近い練習へと焦点を合わせていきます。コーチハドソンのトレーニングの特徴の一つはレースが近づくと最後は、楽な練習かレースペースの練習しかなくなるということです。


 これは私にとってはとても合理的に感じられます。これは私が中学生の頃の話です。中学駅伝というのは男子は3000m9分半以内で走れる選手(9分ちょうどから9分半まで)が6人そろえば、京都で優勝して全国大会出場が見えてきます。恐らく他の都道府県も似たようなレベルだと思います。


 ところが、200mの流しやインターバルを36秒でやったりする選手を見て「なんで?」といつも思ってました。3000m9分半で走れないのに、200m36秒で走ってどうすんだよ?その走りはいつ使うんだよ?と思っていました。


 今から思えば、私の考え方が必ずしも正しかった訳ではないのですが、少なくともレースが近づくとよりレースペースでの練習に重点を置くことが、身体的、心理的、技術的に準備ができると感じます。


トレーニング原則5:ヒルランニングを多用する

 コーチハドソンを知っている人は坂ダッシュを多用するコーチとして知っているかもしれません。実際にコーチハドソンは、坂ダッシュを多用するコーチです。何故かというと、ランナーにとってのベストな下半身の筋トレは6-8%の傾斜の坂での8秒間から12秒間のスプリントであることに気づいたからです。距離にして50mから80mといったところです。6-8%の傾斜がどのくらいか分からない人はジムに行って、トレッドミルの傾斜を6-8%に設定して、それがどのくらいの傾斜か確認してみると良いと言っています。


 ただ実際には8%を超える傾斜の坂というのはそうあるものではありませんし、とはいえ坂を求めて三千里という訳にもいかないので、家の近くで最も傾斜のきつい坂を探すのが現実的だと思います。


 このヒルトレーニングの一番のメリットは故障の予防です。ランニングに必要な結合組織(腱、靱帯、筋肉)を効率よく鍛えることが出来るので、故障が減ります。コーチハドソンがもう一つ故障の予防として重視しているのが、総走行距離を増やすことです。これも私にとってはとても合理的に感じます。


 最大筋力を強化することと、最大化で繰り返し使っても耐えられる耐久性を増やしておけば、例えば1000m10本のようなレースに近いトレーニングをしたときに故障のリスクが減るでしょう。


 ちなみにコーチハドソンは坂ダッシュを重要視しますが、それは他の11の原則と同じくらい重視するのであって、坂ダッシュに対してだけクレージーであるわけではありません。


トレーニング原則6:トレーニングの強度に大きな幅を持たせる

 テストステロンムンムンの男の中の男みたいな人に人気のコンセプトの一つは「work hard or stay home」だと思います。仕事をするときは100%集中し、感情にとらわれず、まるでマシンのように働きまくる、短期間で稼ぐだけ稼いで、遊ぶときは思いっきり遊び、女が何人もいて、女を抱くときには仕事のことは考えない、そして仕事が始まると今度は遊びのことは考えない、こういうやるときはやる、遊ぶときは遊ぶというスタイルがかっこいいとされる価値観は間違いなく多くの人に受けると思います。


 ただ長距離走・マラソンにおいては色々な意味において、この考えは通用しません。先ず第一に、長距離走・マラソンは練習以外の睡眠や食事がパフォーマンスに与える影響が大きいというのが一つ、そしてトレーニングにおいても全力か休養的な練習かというアプローチよりも、様々な強度のトレーニングを組み合わせた方が上手くいくのです。少なくとも私とブラッド・ハドソンはそのように考えます。


 私が一キロ3分40秒とかゆっくりなペースでの走り込みを繰り返すのを見て、ある人から数度にわたって「そういった練習は一キロを3分40秒で走る能力は高くなるけど、レースでは使えない」というアドバイスを頂きました。


 ありがたいのですが、それは事実ではありません。たとえそれが5000mを13分台で走るためのトレーニングであったとしても、様々なペースの練習を組み合わせる方が向上します。要するに、これも出来るだけ連続的にやるというのが