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今日から走り始めてサブ3を達成するまでの5ステップ

更新日:3 日前

 初めにですが、あなたはサブ3を達成したいと思われているでしょうか?


 私が言っているのは今すぐとか、3か月後のレースとかに限定してという訳ではありません。今はまだ4時間ちょうどでしか走れていなくても構いません。いや、まだマラソンを一度も走ったことがない方でも構いません。つい、最近走り始めた、いや、なんならまだ走り始めてすらない人でも構いません。


 最近ふと走り始めることを決意したが、走り始める前にまずは情報収集から始めようという方でも全然構いません。まずは走り始める前に、どうすれば速くなるのか、自分のトレーニングに関する青写真を描いてみようという方でも構いません。


 私の質問はごく単純です。それがいつかは別にして、あなたはいつかはサブ3達成したいと思われていますか?


 もしも、そう思われているのであれば、こちらの記事はあなたの為の記事です。是非、最後までお読みください。あなたのレベルによってはすでにステップ1や2はクリアされているということもあるでしょう。適宜、ご自身の段階に合わせて自分のステップから取り組むことを意識されてください。


ステップ1:継続的に走る習慣を作る

 ステップ1は継続的に走る習慣を作ることです。世の中にはこれさえやっておけばサブ3みたいな具体論や「走り方を変えれば劇的に速くなる」とか「このアーチ矯正器具を使えば、マラソンが4時間半から3時間25分」とかいろいろな情報がありますが、基本的にすべて嘘だといって差し支えないです。


 一番簡単に速くなる方法は継続的に走ることです。当たり前と言えば、当たり前ですが、これが結構難しいのです。何故かと言いますと、これは肉体面と心理面の両方から説明できます。


 先ず、肉体面においてもその人にとっての普通の状態と言いますか、日常生活と呼べるものが存在します。人間の体は、日常生活に適応しています。これは良い面においても悪い面においてもそうです。


 良い面において言えば、肉体労働に従事する人は、初めはきついかもしれませんが、そのうち体が適応していきますから、徐々に筋肉痛にならなくなっていきます。悪い面において言えば、必要のない機能はどんどんなくなっていきますから、普段体をあまり使わない人は身体能力がどんどん低下していきます。


 よく加齢が加齢がと言いますが、実際には加齢による衰えよりも人間の体はそれがなんであれ、使わない機能は捨てていくという法則によるところが大きいです。


 話を元に戻しますと、普段から走っている人は走るということが日常生活の体になっていますから、走ることは大した苦労ではないのです。まあもちろん、ソファに寝転んでユーチューブを観ることと比べると、楽ではないですが、まあしかし、走ったからと言って筋肉痛になる訳ではないですし、ゆっくり走れば10㎞走ることが休養日の練習ということにだってなる訳です。


 一方で、走らないことが日常生活になっている人の体にとっては、走るということ自体が一大事、言ってみれば「いざ鎌倉」の状態になっている訳です。ですから、5㎞のジョギングだけで翌日は筋肉痛みたいになる訳です。


 そうなる訳ですが、皆初めはそんなもんですから、お気になさらないでください。自己ベスト2時間13分の私も初めはそうでしたし、自己ベスト2時間29分の記録を持つわが社の副社長深澤哲也(ティラノのらんラボチャンネル支配人)も私と仕事をし始めた時はそんなもんでした。


 先ずは、皆そんなもんだということを理解することも大切なのですが、そうはいっても辛いもんは辛い、だから初めは肉体的にも大変なのです。


 そして二つ目に、先ほど肉体的にも人間は普通のレベルがあり、それに適応するという話をさせて頂きましたが、心理的にも人間には普通のレベルがあり、それに適応します。


 例えばですが、体罰や叱責というのもそうでしょう。


「最近の若者は打たれ弱い」「怒ったらあとからフォローしないといけないから面倒くさい」


 このようにおっしゃる中年以降の方もたくさんいらっしゃいます。結局のところ、人間は何に対しても慣れていきますから、何回も怒られたり、殴られたりしていくと心理的な免疫が出来ていきますから、段々となんとも思わなくなっていくものなのです。肉体的には殴られたら痛いが、心理的にはなんとも思わない、そういう状態になっていきます。


 また、だいたいの世の中の仕事というのは気疲れが中心となるのではないかと思いますが、やっぱりこれも一番大変なのは初めではないでしょうか?


 別に肉体的には大した負荷がかかっている訳ではないんだけれども、やっぱり仕事に慣れるまでは精神的に大変というか、気疲れするというか、神経がまいってしまうということが普通ではないでしょうか。これも精神的に慣れるまでに時間を要する、精神的に日常生活になっていることは楽ではあるけれど、精神的に慣れていないことは大変であるということです。


 良くも悪くも人間はありとあらゆる環境に慣れることが可能になります。ベトナム戦争に従軍したカメラマンの方が、初めは死体を見て嘔吐していたのが、次第に死体の前で平気でご飯が食べられるようになると語っておられました。


 ランニングもそれと同じで、走ることが自分にとって当たり前、日常生活の一部になるまでは、やっぱり精神的に辛いというか、大変というか、苦痛に感ずるものなのです。


 そのため、肉体的にも身体的にも、走ることが非日常の状態から日常の状態になるまでに、一種の移行期間のようなものが必要になるのです。では、その移行期間はどのようにすれば良いのでしょうか?


 簡単です。毎日走れば良いんです。


「いや、それが大変なんじゃないの?」と思われるでしょう。


 まあ、それはそうです。ただ、ここでの要点は走ることに重点を置くのではなく、走る習慣を作ることに重点を置くことです。


 世の中には、色々なトレーニングに関する情報があります。色々な情報がありますが、「10㎞低強度走が休養の練習」なんて書いてあると、「えっ10㎞走ることが休養なの?自分には無理だ」とか、あるいはスピード練習は1㎞10本を10㎞のレース強度で走るなどと書いてあると、「えっゆっくり走るだけでも10㎞走るのは大変なのに、それがスピード練習なんてありえないんですけど」となりがちです。


 ですから、そうならないように、練習として走るのではなく、走る習慣を作ることに重点を置くのです。具体的には、毎日同じ時間に練習着に着替えて1-2㎞走る、それだけです。走りたくない日は、外に出て歩くだけでも構いません。しかし、そのうち歩くだけではもったいないと思う自分が出てくるようになるでしょう。


 あるいはせっかくだから、今日は3㎞走ってみよう、4㎞走ってみようという自分が出てくるでしょう。


 そして、走らない日があると「今日はなんか気持ち悪いな」と感じる自分が出てきます。こうなったら、もう走ることが日常生活の一部になったと言えるでしょう。同時に、その頃には肉体的にも最低限の練習が可能になっているはずです。


 ついでに言えば、これは自分との約束を守る習慣を作ることでもあります。確かに、やってみないと1㎞5本を2分休息で4分ちょうどで走れるかどうかは分からないということはあるでしょうし、仕事のことなどを考えると20㎞を1㎞5分ペースで走らないことの正当な理由がある時もあるでしょう。


 しかし、毎日とりあえず練習着に着替えて、ランニングシューズに履き替えて、外に出て1-2㎞走る、これをやらないことの正当な理由は、病気と故障を除いていかなる場合も存在しません。自分との約束を守るという小さな習慣の積み重ねこそが、大きな結果に結びついていくのです。


ステップ2:練習量を増やす

 走る習慣が出来たらまずは練習量を増やしますが、この段階ではまだ質のことは一切考えないでください。とにかく、自分が長く走り続けられるゆっくりとしたペースで走るようにし、練習強度に変化を加える為に、基本的には長めに走る日と短めに走る日を交互に繰り返してください。


 ただし、週末はいつもよりも長めに走るとか、今日は仕事が早く終わったから長めに走るとか、逆に今日は残業があってとか色々あるでしょうから、あくまでも基本的にはという話です。絶対ではありません。


 例えばこんな感じです。


月曜日2㎞、火曜日4㎞、水曜日2㎞、木曜日4㎞、金曜日2㎞、土曜日6㎞、日曜日8㎞。


慣れてきたら、徐々に走る距離を伸ばしていただきたいのですが、これも変化をつけながら増やしてください。例えば、こんな感じです。


月曜日4㎞、火曜日8㎞、水曜日4㎞、木曜日8㎞、金曜日4㎞、土曜日10㎞、日曜日15㎞、こんな感じです。


 ちなみにですが、初めは走る習慣をつける為に毎日走るか、せめて歩くことをおススメしますが、ステップ2の段階に入ると、走らない日を作っても構いません。何故ならば、休むことも練習のうちだからです。目的が異なるのです。


 ステップ1の段階ではあくまでも、心身ともに走ることを日常生活にしてしまうことが目的です。


 一方で、ステップ2の段階では、習慣作りではなく、体に刺激をかけて、生理学的適応を引き起こすことが目的になります。目的が異なるということを理解されてください。


 市民ランナーの方は土日にまとめて走って、月曜日は休むという方も多いですが、それで全く問題ありません。ただし、限度はあると言いますか、段階は踏むようにしてください。


 今まで走った最長の距離が8㎞なのに、いきなり土曜日に15㎞、日曜日に20㎞走るようなことは慎んでください。かえって逆効果です。これまでに走った最長の距離が8㎞なのであれば、せいぜい土曜日と日曜日に二日連続で10㎞走るのが上限でしょう。


 このあたりは、その人の匙加減の問題ですが、少しずつ少しずつ新しい刺激をかけるようにしてください。そうこうしているうちに、だいたい週間走行距離が50㎞くらいになったら、ステップ3に進むことを考えると良いでしょう。


ステップ3:質を導入する

 ステップ2では、質のことは全く考えずに、とにかく自分が無理なく走れるペースで距離を伸ばすというのが基本でしたが、ステップ3では質を導入していきます。質を導入すると言っても、まだこの段階ではインターバルトレーニングはやりません。インターバルトレーニングやテンポ走、あるいは閾値走やLT走と呼ばれるような練習は導入せずに、主観的に苦しいと感じない範囲内、あるいは呼吸が有意に乱れない範囲内で質を増やしていきます。


 この練習を私は中強度走と呼んでいます。感覚的に言えば、自分が一番気持ち良いと感じる強度を探していただきたいのです。ゆっくり走るのはそれはそれで気持ち良いです。ですが、それよりもペースを上げると、もはや楽ではないが爽快感が得られて、リズム良くて、気持ち良い負荷がかかって、走り終わった後の達成感や充実感も大きいという強度があります。ここを目指して走ってください。


 そして、何よりも大切なことは継続です。ですから、私は主観的にきついと感じない最も速いペースと表現しているのです。結局のところ、人間はきつくなければ継続できますから。きつくはない範囲で一番速く走れるペースです。


 そして、呼吸が乱れない最も速いペースです。もしも、自分の呼吸の音が聞こえたら、ペースが速すぎます。


 生理学的には換気性閾値と呼ばれる強度あたりです。これよりもペースを上げると有意に呼吸が乱れ始めるというペースよりもやや遅いくらい、ゆっくり走っている時と大きくは呼吸が変わらず、自分の呼吸音が聞こえない、あるいは意識しなくても呼吸できるくらいの強度です。


 もう少し別の指標を出すと、最大心拍数のおよそ80%や5000mのレースペースから1㎞あたり40秒から60秒遅くしたペースですが、そもそも論、この段階ではまだご自身の最大心拍数や5000mのレースペースが分からないでしょう。


 ですから、自分が主観的にきついと感じず、毎日続けようと思えば続けられるくらいの強度を目安にして下さい。結局のところ、継続できることが一番大切なので、そこが一番重要です。


 また、そういう意味で言えば、ある程度はやりながら見つけていくものであり、一発で分からなくても大丈夫というかそれが普通です。ペースを上げたり下げたりしながら、気持ち良く速くの強度を見つけてください。


 もしも、あなたが走る前に「あー、今日はきついから嫌だなー」と思うのであれば、そのペースは速すぎます。前回の嫌な記憶が残っているのでしょう。嫌な記憶やきつかったという記憶が残るようであれば、そのペースは速すぎます。あくまでも、きついと感じないけれど、気持ち良く速く走れる強度なのです。


 そして、毎回同じ感覚で走っていたら、徐々にこのペースが上がっていくのが理想です。楽でもないし、きつくもないから中強度走です。


 そして、中強度走を導入はしますが、毎日はやるべきではありません。目安としては、低強度走と中強度走を交互にやるのが目安です。ですから、週に3回から4回というところです。


 そして、中強度走を導入すると、低強度走に余裕が出てくる、ゆっくりと走った時に余裕が出てくるので、楽に長く走れるようになってきます。


 ですから、短めの中強度走と長めの低強度走を組み合わせながら、徐々に低強度走の量が増えることと、中強度走のペースが速くなっていくのがステップ3です。


 では、どこまで速くなれば良いのかということですが、だいたい中強度走のペースが1㎞5分から4分40秒ペースになれば、サブ3が見えてきます。練習量の方は週に70‐80㎞を一つの目安にしてみてください。


 そして、たまに疲れてきたなと感じたら、疲労が蓄積してきたら、1週間くらいは中強度走の回数を減らし、練習量も6割前後まで減らし、一度回復を図ってみてください。回復期間を設けることで、往々にして走力の向上が生ずるものです。


 では、走り始めてからこのレベルに到達するまでに何年かかるのかということですが、これはもちろん個人差がありますが、3年前後見ておくと良いでしょう。文字通り石の上にも三年です。辛抱強さが求められますし、辛抱が求められるからこそ、サブ3は誰にでも出来ることではない、そして、誰にでも出来ることではないからこそ価値があるのです。


 ただし、辛抱さえすれば、割と誰でも達成できるものであることはお約束します。少なくとも今55歳以下の男性であれば、まあよほどのことがない限り誰でもできます。女性になると多少ハードルは上がりますが、まあそうですね、3時間15分切りくらいのレベルであれば、誰でも出来ると言って差し支えはないでしょう。


 時間がかかることと、時間がかかるからこそ継続が大切であることと、少し疲れてきたとか、走力が低下してきたとか、なかなか進歩が見られないと感じたら躊躇なく1週間軽めの練習を組むこと、これが鍵になります。


 そして、これもステップ3に組み込みたいのが補助的スピード練習の導入です。これは中強度走の後に挿入して頂きたいものです。改めて考えてみてください。あなたは一番最近いつ全力で走りましたか?


 あるいは全力に近い速度でも構いませんが。


 大人になると、プロのマラソンランナーですら、最大速度を出すことがなくなります。つまり、短距離的な意味合いにおける最大速度を出す機会はほとんどありません。理由は単純でもう鬼ごっこや警泥をすることがなくなるからでしょう。


 大人になって短距離的な意味合いにおいて全力、もしくは全力に近いスピードで走るのはもはや遊びの警泥ではなく、本物の警察官に追いかけられる泥棒くらいのものでしょう。そんな訳で、大人になるとプロのマラソンランナーでも全力で走る機会というものはなくなるものです。


 そこで導入したいのが、流しと呼ばれる練習です。流しの他には快調走やウィンドスプリントなどと呼ばれることもありますが、まあどれも同じです。この練習は全力の9割から9割5分くらいで100-200mを走り、しばらく休んでまた100-200m走るということを合計500mから1000m繰り返す練習です。


 9割から9割5分と言われてもあまりピンとこない方もいらっしゃると思いますが、まあ早い話が、短距離的な意味合いにおける全力に近いが全力ではない、つまり手抜きして走れるペースです。


 もう少し別の表現をすると、1500mから5000mのレースペースくらいが目安です。例えばですが、100m10本を30秒休息で行うとか、200m5本を1分休息で行うとか、私が中学生の頃は200mトラックだったので、150m走って50m歩いて繋ぐというのを5本繰り返していました。50m歩くとだいたい30秒くらいでしょうか。


 その辺は正直適当で良いです。あんまり休息時間が長くても集中力が切れてしまうし、あんまり短いとスピードが出せないし、なんとなくご自身で呼吸が整ってきて、もう一本行く準備が出来てきたらいくというくらいの感覚で良いでしょう。


 この練習で意識すべきことは力を抜くことです。力を抜いて速く走る、この感覚を体に覚えさせてください。これが、全力でやらないことの理由の一つです。速くは走るけれど、全力では走らず、力を抜く感覚を体に覚えさせるのです。


 そして、同時に速く走る感覚も体に覚えさせるのです。厳密に言えば、体に覚えさせるということはどういうことかというと運動神経に学習させるのです。人間の体は同じ動作を反復させると、その運動神経が発達します。


 例えばですが、日本人は当たり前すぎて分からないかもしれませんが、たまに外国人と一緒に食事をすると、自分がお箸を使うのが上手いということに気づく方も多いでしょうし、たまに日本語を話している外国人と話すと自分が如何に日本語が流暢に話せるかにお気づきになられるでしょう。


 ちなみにですが、ちょくちょく関西弁を真似する非関西人がいますが、まあ関西弁のイントネーションになっていません(笑)まさに関西弁で言うところのけったいな関西弁というやつですが、これらは運動神経の発達具合による違いです。人間は、それが言語であれ、日常の些細な動作であれ、同じ動作を反復することによってそれに関連する運動神経が発達するのです。


 ですから、速くリラックスするということを繰り返すことによって、速く脱力して走る感覚を運動神経に覚えさせるのです。これも初めから上手く出来ないのは当たり前です。何故ならば、運動神経が変化するのには時間がかかるからです。箸を使うという日本人からすれば非常に簡単なことであっても、外国人が箸を使いこなせるまでには時間がかかるのと同じです。


 たまに、物凄く日本語が流暢な外国人の方がいらっしゃいますが、それでもやはり外国人に特有のアクセントは残ります。このことからも運動神経を変化させるのがどれだけ大変なことかお分かり頂けるでしょう。初めから出来ないからと言って、自分には無理だと決めつけないことが大切です。


 これも中強度走と同様で、人と比べて遅いか速いかではなく、ご自身で出来る範囲で継続することが大切です。


 また、人によっては加速走というやり方を用いることもあります。正直やり方はほぼ同じなのですが、同じ100m10本をやるにしても、その100mをゆっくりと走り始めて徐々に加速し、最後は全力までペースを上げるというやり方を好む方もいらっしゃいます。初めは遅めに走り始めて徐々に加速することで、脱力状態を維持しやすいからです。


 これは一理あるでしょう。だいたい、力んでしまうのはいきなり加速する時だからです。そして、いったん力むとそれを後から取り消すのは非常に難しいです。1500mのレースなんかでもスタートで力んでしまう選手は大抵最後に失速します。スタートで力んでしまうと、後からその力みを消すのは非常に難しいのです。


 一方で、初めに脱力状態が作れていると、後から加速するのはそれほど難しいことではありません。したがって、この感覚を掴むために加速走というやり方を用いる方もいらっしゃいます。


ステップ4:高負荷練習の導入

 ここまでは無理なく、こなせる練習の量と質を徐々に上げていくことに重点を置いてきましたが、ここからは徐々に高負荷練習、つまり自分がきついと感じる練習を導入していきます。大きく分ければ、人間がきついと感じるのはペースが速いからか、量が多いからのどちらかです。


 ペースが速くてもきついし、距離が長くてもきついです。


 そして、どちらの種類の高負荷練習を導入するにしても、現在やっている練習を発展する方向で行うのが基本です。


 具体例を挙げて説明しましょう。例えば、今までやってきた一番長い距離の練習が低強度走で15㎞だとします。そうすると、先ずは15㎞の中強度走から始めます。これに慣れてきたら、18㎞の中強度走、20㎞の中強度走、25㎞の中強度走と段階的に増やしていきます。


 本格的なマラソントレーニングを開始する前に20‐25㎞まで距離が伸ばせていればそれで良いでしょう。1㎞5分ペースで走るとすると24㎞で2時間、これを1つの目安にしても良いと思います。


 ペースを上げていく方に関して言えば、大きく分ければ、これもやり方が二つあり、流しを発展させていく方向性と中強度走を発展させていく方向の二つがあります。


 例えば、流しを発展させていく方向に関して言えば、200m10本→200m15本→200m20本→300m20本→400m15本→600m10本→1000m6本といった具合です。


 一方で、中強度走から発展させていく方向に関して言えば、現在の中強度走が10㎞を1㎞5分ペースだとすると、10㎞を1㎞4分40秒ペース→10㎞を1㎞4分35秒ペース、10㎞を1㎞4分30秒ペースと徐々にペースを速めていく方法が考えられます。


 ちなみにですが、フルマラソンで3時間を切るのであれば、ハーフマラソンは1㎞4分5秒くらいでは走れていたいところです。練習では継続的に10㎞を1㎞4分5秒ペースで走れるのであれば、フルマラソン3時間切りの力はスピード面においてはクリアしているかなというところです。


 こういった高負荷練習は週に2,3回にとどめてください。それも一つの種類は一週間に一回です。例えば、週にインターバルが1回と距離走が1回なら、これで週に2回、インターバルが週に1回、高強度走が1回、距離走が1回ならこれで3回です。


 残りの日の練習は低強度走を中心にしながらも余裕がある時に中強度走を実施したり、低強度から走り始めて最後の何キロかを中強度で走る(例 5㎞低強度で走って、残りの5㎞を中強度)など、してください。


ステップ5:マラソントレーニングの開始

 ステップ4まで来たら、最後はいよいよマラソントレーニングの開始です。より、本格的にマラソンに特化した練習を組んでいきます。この本格的なマラソントレーニングはだいたい3か月から4か月で組むと良いでしょう。


 マラソントレーニングにおいては、距離走はただ単に長く走るだけではなく、ある程度の質も求めていきます。目安としては平均ペースが1㎞4分45秒から4分30秒あたりというところでしょう。


 従いまして、距離走を含めて質の高い練習が週に2回というのが基本となります。週に1回はスピード練習、もう1回は距離走という組み合わせになります。ただし、市民ランナーの方は1週間で考えるのではなく、2週間で考えても良いと思います。その理由は、マラソンに向けてのスピード練習は分量が多いので、なかなか平日に実施出来ないからです。


 この場合は、準備期間を長く取ることで解決すると良いでしょう。だいたい私は3か月から4か月でマラソントレーニングを考えますが、6か月から4か月で考えても良いと思います。そうすれば、2週間でスピード練習を1回、距離走を1回というスケジュールでも構わないでしょう。


 こういうスケジュールでも間に中強度走と流しを入れておけば、充分に走力の強化は図れますから、ご心配なくと言ったところです。高強度か低強度かの二択で考えてしまうと、こういう練習の組み方には抵抗があるかもしれませんが、中強度走でも充分に走力が向上することを考えると、全くもって問題ありません。


 だいたい、上記の5ステップを踏めば、今日から走り始めても、3年から5年くらいでサブ3は達成できます。確かに、年齢と性別で難易度は変わりますが、55歳以下の男性であれば、特別な障害があったりしない限りは誰でも出来ると言って過言ではないでしょう。


 女性の場合は現在40歳以下であれば、まあ特別な事情がない限りは誰でも出来ると言って差し支えないでしょう。


 ただ現実問題、誰でもやろうと思えばできる当たり前のことをコツコツと継続できる人が少ないので、そういう意味ではそれほど出来る人は多くはないでしょう。だからこそ、今も昔もサブ3は価値があるのです。基本的には、あなたの意志の強さや成し遂げたいという欲求の強さに左右されると言って良いでしょう。


 今回の内容は以上です。参考になりますと幸いです。


 最後に、自分は絶対にサブ3を達成したいという意志の強い方にお知らせです。現在『マラソンサブ3からサブ2.5の為のトレーニング』という拙著を販売しておりまして、こちらの書籍内ではマラソンでサブ3するのに必要な知識を理論から実践まで、体系的かつ網羅的にもっと詳しく解説しており、多くの方から「とても役に立った!」「私のバイブルです!」「サブ3達成しました!」「サブエガ達成しました!」というお声を頂いている内容でたった3000円です。


 サブ3を達成したい方に是非お読み頂きたい書籍なのですが、こちらの書籍は全員におススメという訳ではありません。どういう人が読むべきで、どういう人が読むべきでないかは書籍の冒頭部分をお読みいただければお分かり頂けます。


 冒頭部分を無料で公開させて頂きますので、是非こちらをクリックしてお読みください。


追伸

 嘘か本当かは分かりませんが、SNSで「旦那が初マラソンを完走して本人は色々な人から褒められて、完走メダルをみせびらかしたりしてご満悦だが、マラソンをやるようになってから家事も全くせず、私からしたらマラソンなんかしてほしくもないし、むかつくだけ」というような投稿を見かけました。


 詳しい事情は知りませんし、自分が気に入らないだけなのに自分が被害者面するか相手を貶めて共感と味方を集めようとするのは女性の常套手段なので鵜呑みにする訳にもいきませんが、今回はあくまでも一般論としてこの手の問題について考えてみたいと思います。


 家族の理解を得ながら長距離走、マラソンをやること、これはとても大切なことです。


 もちろん、それはなんでもかんでも家族に合わせることではありません。男たるもの自分が目標を定めたら自分の信念を貫くべきです。


 しかしながら、その場合においても大切なことは「協力する姿勢を見せること」と「尊敬されるような形で継続すること」の二点です。


 例えば、ある方は会社経営をしながら走られているのですが、朝の5時から午後2時まで40分ほどの朝昼兼用食の休憩をはさんで8時間ちょっとの仕事をしてから40㎞走をやって、家に帰ったら、奥様のためにお風呂を沸かし、晩御飯を用意し、そこから再び仕事に戻り、翌日も朝の4時半に起きて、奥様の水とおにぎりを用意し、それから朝練習に行く、こういうことをされています。


 この方は会社経営者だから朝の5時から仕事をするなんていうことが出来るんだと言われればそれはそうです。しかし、この方は会社経営者だからこそ年中無休でお仕事されています。普通は週に1日か2日かは休みがあるでしょう。どこかで家事を手伝えるはずです。


 確かに、家庭における家事と出費の分担というものは各夫婦で決めることであり、外部の人間がとやかく言うべきことではありません。


 しかしながら、ここでの要点はその分担の比率がなんであれ、協力する姿勢をみせること、つまり一歩譲っておくことです。結局のところ、多くの不満の源は「自分のことしか考えていない」つまり、「私や子供のことを考えていない」ことから生ずるものだからです。


 そうではないことを家族に見せておけば、わりかし応援してもらいやすいし、頼んでもないのに妻から進んで「自転車で伴走しようか」なんて言ってもらえることだってあるでしょう。


 また、尊敬されるような形で継続することということに関して言えばですが、これは主に二つの意味合いがあります。


 一つ目は、家を一家の家父長としてきちんと経営するというのが一点目です。皆さんご存知の通り、私は男尊女卑の信奉者です。そして、それで私の周りの女性は大抵喜んでいます。何故ならば、東アジアにおける上下関係とは立場が上の人により多くの責任があるからです。


 考えてみてください。社長が平社員の仕事をお手伝いしたりするでしょうか?


 社長は絶対に平社員の仕事を手伝ったりなんかしません。


 何故ならば、社長とはそもそも会社の業務の全責任を負う立場だからです。つまり、会社の仕事は全部社長の仕事なんです。全部自分の仕事なんだけど、自分一人ではとてもやりきれないから、色々な人にお願いをして手伝ってもらっているのです。


 社長が手伝うのではなく、社長は手伝ってもらう側の人間です。


 家父長制においても同じことが言えます。


 多くの女性が旦那が「ごみ出しといたよ」とどや顔で言うことに対していらだちを覚えます。その根底にあるのは、「なんかお前の仕事を手伝ってやったみたいな言い方してるけど、そもそも私がやらなきゃいけないっていう決まりはないんだよ」という旦那の家事に対する責任感の欠如に対する不満でしょう。


 家父長制においてはこのようなことは絶対に起こりません。それが金銭面であれ、家事であれ、子供の教育であれ、全ての責任は夫もしくは父親にあります。ただし、全部自分ではやりきれないから、金は俺が稼ぐから家事の一部は手伝ってくれとかお願いしておく訳です。


 そうすると、ごみ出しは本来自分の仕事ではあるが、手が回らないから「すまないがゴミ出ししておいてくれないか」と頼む側になります。そうすると、わりかし「いいよ」と言ってもらえるものであるし、やり終えたら「ありがとう、助かった」の一言を言っておけば後からまたやってもらいやすくなります。


 これは女性の本能です。女性は自分で責任を負いたくないし、誰かに責任を負ってほしいし、誰かに守られているという安心の下で暮らしたい生き物なのです。ですから、根本として家庭の経営は自分が責任を持つこと、この根本が守られていると、割と向こうも協力的になります。


 第二に、長距離走、マラソンをやるならきちんとやりなさいということです。


 確かに、女性は現実的な生き物ですから、金にもならないものに熱をあげている男の浪漫というものを理解し難い傾向にはあります。


 しかし、志を高く持ち、日々自分を律し、強い意志を持って取り組んでいると、寧ろそういう男性の傍にかしづいていたいと思うのがまた女性の本能でもあります。


 また、子供も同様です。健全に育てば、中学生頃から反抗期を迎え、親の言うことを聴かなくなり、寧ろ先輩や先生の言うことを聴くようになっていくものですが、それでもなんだかんだで子供は親の背中を見て育つものです。


 粛々と自分のやるべきことをこなす父親の背中を見て育てば、子供も自然とそうなるし、父親が家でだらしなかったら残念ながら子供もそうなります。


「外では仕事を頑張ってるんだから家ではゆっくりしたい」


 その気持ちも分かりますが、それを言いだしたら子供だって同じです。外では頑張ってるんだから家ではゆっくりしたいです。


 しかし、外でも頑張るが家に帰っても勉強なり、スポーツなりを頑張らせたければ、自分がそれを行動で示すしかないでしょう。


 ギャル曽根さんが「家族全員大食いなので、自分が大食いだとは長らく知らなかった」とおっしゃっていましたが、そういうもんで、お父さんがだらしないと子供も世の中そんなもんだと思ってしまうし、お父さんが粛々と自分のやるべきことをやっていれば、子供も「世の中そんなもんだ」と思って努力するようになるはずです。


 まっ、人間の反応は千差万別であり、子供は数人しかもたないので、全てがそのようにならないのが難しいところですが、少なくとも統計的にはそのように言えます。強豪校の選手が強くなるのだって、集団で強豪校の選手としての生活をすることで「これが当たり前」という共通認識が持てるからというのも大いにありますし、強豪校での当たり前が弱小校では当たり前に出来ないというのは屡々(しばしば)あることです。


 これらの条件を満たして家族の理解を得ておいた方が長距離走、マラソンにおいても没頭しやすい傾向にあります。そういう意味では、たまの家族サービスも重要でしょう。譲れるときに譲っておくこと、これが鉄則です。


 そして、これも要点は自分から言うことです。普段自分から言わないと40㎞走を予定している日に「たまにはどこかに連れて行ってよ」なんて言われてしまうかもしれません。それなら、予め軽めの週を予定していたところで「たまには遊園地にでも行くか」とか「たまにはおいしいものでも食べに行くか」と先手を打っておいた方が良いのです。


 どうでしょうか?


 私が男尊女卑の信奉者だからと言って普段から「女のくせに偉そうな口をきくな。女はすっこんでろ」と言っていると思われたらそれは大間違いです。それはあくまでも最終手段であり、また最終手段の伝家の宝刀が切れ味抜群になるのは「こんなにも普段から私の為に色々してくれて尊敬できる人を失うのはリスクが大きすぎる」と相手に骨の髄まで分からせた後の話です。


 先ずは3か月は黙って行動で示すことが大切です。3か月黙って行動して、それでも相手が理解を示さなければ、過去に遡って自分に至らないところがなかったかどうか、考えてみる必要があるでしょう。3年間の不誠実を3か月でひっくり返すことなどできません。


 では、2,3年続けても相手が理解を示さなかったらどうすれば良いのでしょうか?


 夫婦関係はあくまでも個人の問題ですから、個人の価値観で変わるでしょうけれども、私の意見は豚にいくら真珠を与えてもその価値が分かるはずがないということです。豚に真珠を与え続けるよりも、真珠の価値が分かる人間を探しに出た方が建設的でしょう。

 
 
 

コメント


筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

© 2020 by ウェルビーイング株式会社

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