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マラソン2時間38分だったアマチュアランナーがたった1年半でマラソン2時間14分まで記録を伸ばした男の練習方法

 

 マラソン2時間38分だったアマチュアランナーがたった1年半でマラソン2時間14分まで記録を伸ばす、それも早稲田大学競争部で門前払いを食らった男が、ハーフマラソン63分42秒という早稲田大学で箱根駅伝を走る選手たちと遜色のない記録をたった1年半で出したと聞いたらどう思われるでしょうか?


 事実は小説よりも奇なり


 まさにこれを地でいくような男、それがこちらのブログ記事で紹介させて頂くジェイク・バラクラフさんです。


 私がジェイクさんを知ったのは今年の長野マラソンです。終始ほぼ一緒にレースを進めたのですが、ずっとカメラを回しながらカメラに向かってレース中に話しているふざけたやつがいるなと思っていたのです。


 最近はそういうランチューバーというものが増えておりますので、またその類かと全く気に留めておりませんでした。


 長野マラソンが終わってから数日が経ち、私の知り合いのヨハネス・モッチュマンというドイツ人から連絡が入りました。ヨハネスから「お前がユーチューブに出てるぞ」とメッセージが来たのです。ユーチューブに出てるも何も、もう5年くらいユーチューブはずっと運営し続けていますが、ヨハネスの分かる日本語はポケモンとコナンくらいです。

ヨハネスと私
ヨハネスと私

 私の話している内容など分かろうはずもないのですが、送られてきたリンクを観てみると、ジェイクさんが長野マラソンの動画を挙げていました。そこに私も写っていました。それが私がジェイクさんを知るようになったきっかけです。


 それで彼のユーチューブを何本か観てみたのですが、非常に感銘を受けたのが日本の男子マラソンの英雄たちから学ぼうと謙虚な姿勢を持たれていたことです。さらに、彼のスローガン「Train harder not smarter (練習はより賢くではなくより厳しく)にも惹かれました。


 市民ランナーはあくまでも趣味の世界ですから、誰もが自分の好きなように走ったら良いのです。それはそれで構いません。


 ですが、そんな中でも少ない練習で結果を出したものが賢い、優れている、一方で努力して結果が出ない人を馬鹿にしたり、見下したり、そういう一部の風潮に嫌気がさしているのも事実です。


「それだけ練習したら結果が出るのは当り前。効率よくやらないと意味がない。脳筋。体育会系の根性論」


 などと努力して結果を出した人を認めない人たちもいます。


 ですが、私は問いたいのです。


「効率の良さばかり求めて努力が出来ない根性無しに一体何が成し遂げられるのか」と。


 実はこれは効率の良い練習を学ぶということについても言えることなのです。例えばですが、私が約15年間かけて理解を進めてきたような事柄に対してもネット上ではたった一言で勝ち誇ったような反論をしてくる人もいます。


 自分では何も大きなことは成し遂げられないのに、ネット上では対等に議論が出来ると思っている、そんな口先だけの輩が増えたと言っても過言ではないのではないでしょうか。

 そんな中で、突如として現れた、賢い練習ではなく一所懸命を推奨する英国紳士、ちなみに彼は米国の大学院でスポーツマーケティングの修士号を獲得されており、決して頭が悪いという訳ではないのです。寧ろ、一般的な感覚から言えばいわゆる「インテリ」の部類に入るでしょう。


 更に興味深いのが日本の1980年代、90年代にご活躍されたランナー達、瀬古さんや宗さんご兄弟など日本人が名前すら知らなくなりつつある選手たちの練習の記録を分析し、ご自身の練習に活かされているのです。


 それだけでも興味深いのですが、アフリカや欧米のトップランナー達の練習も分析した結果、一つの事実にたどり着きました。それは総走行距離が非常に多い、週に300㎞近い練習は決して珍しいことではないということです。


 このように書くと「市民ランナーは走る時間が無い。他のことで忙しい。趣味でやっているからそこまでやる気はない」とのお声がほとんどです。


 それ自体は私も重々承知しておりますので、基本的に市民ランナーの方の練習を指導させて頂く場合には、なんとなく月に300㎞を1つの目安にします。週に300㎞ではなく、月に300㎞です。その上で、人間がマラソンという種目において自分の限界を遺憾なく発揮しようと思えば、週に200㎞前後(月ではなく週に)の練習量は必須であるということも述べさせて頂いております。


 人間の体は皆だいたい同じです。そう大きく変わるものではないのです。

 そんなジェイクさんですが、何故日本に来ることを選んだのか、これが私の中では非常に大きな疑問でした。日本からすると、アフリカは地の果てのように感じられますが、英国からであれば、ケニアまで直行便が出ていますし、ケニアは元々英国の植民地であり、英語も通じます。現地の反英感情もあまりなく、寧ろケニア人は金や物を恵んでくれるムズング(スワヒリ語で非黒人の意)が大好きです。


 物価も日本よりも安く、トップランナー達がたくさんいます。わざわざ苦労して日本に来る必要もないのにと思ったのです。


 一方で、おそらくこうではないかなと思ったのは、ランニングの為というよりは日本の文化や生活に憧れてきたのではないかと思いました。日本のアニメや漫画、音楽、街並み、便利な生活、秩序だった人々、神社仏閣などの独自の文化が好きな外国人は非常に多く、私の周囲の留学生たちも多くはこのパターンです。


 ところが、ジェイクさんはそれをはっきりと否定されました。日本の文化は日本に来てから知る事ばかりで、それどころか日本の歴史すらほとんど知らないということでした。


 私が日本の歴史について何を知っているかと問うと「例えば何か?」と問われたので、「英国と日本の歴史的関係性」と答えるとやはり「ほとんど知らない」とのことでした。


 私が書きたいのはだからダメだとかそんな話ではなく、本当にランニングというものだけが彼を日本につれてきた力であり、その純粋さに心を打たれました。


 話を元に戻して、何故ケニアではないのかということですが、実はケニアはドーピング大国なのです。私の知る限り、割合で言えばしていない選手の方が多いです。皆が皆ドーピングしていると思うのは間違いです。ただ、ドーピング検査で引っかかった選手がいても「ああまたか」としか思わないです。


 衝撃を受けるとかは一切なく「あいつもかー」みたいな感じです。イメージで言えば、風邪ひいたみたいな感じです。普通に生きていて、体調崩すことというのはそう多くはないですが、「あいつ今日風邪で休むらしいで」と言われると、「あーそうなんや」みたいなそんな感覚です。


 そんな訳で、ジェイクさんはそういったところに尊敬を感じなかったのに対し、日本はドーピング検査に引っかかる人はほぼいません。ごくごく稀にいますが、この10年間で1人しか私は知りません。それもいわゆるうっかりドーピングというやつです。うっかりドーピングというには、ちょっとうっかり過ぎるというか、故意にやったと思われても仕方がないレベルのうっかりさんでしたが、貧血治療に用いたものであることに間違いはありません。


 また、ジェイクさんもドーピングだけで速くなることはないということもよく存じておられますし、ドーピングが無くてもケニアが世界最強の国であることに疑いはないと彼のユーチューブ動画内で述べてはおられます。


 ただ、そんなにも頻繁に使うということに関して尊敬の念が持てず、一方の日本は明らかに欧米よりも優れているにも関わらず、ドーピング違反者がほぼ0というところに尊敬の念を抱かれたそうです。


 そんなジェイクさんが日本について知ったのは、アドハランド・フィンさんという方が執筆された日本のランニングについて書かれた本を読んでからだそうです。実はこの本は私も読みました。当時、立命館大学の監督をされていた高尾さんが作中によく出てこられたのですが、実は最近高尾さんにはよくお会いします。


 私とランニングコースが同じなのです。その本を読んで日本に興味を持ち、日本に来ることにされたそうです。

 ジェイクさんのランニングとの出会いは10歳の頃だったそうです。とは言え、日本に来ることを決意する25歳までは真剣に走ったことはなかったそうです。ただただ楽しみの為に走っていたそうですが、日本でいうところの高校生の年齢になる頃には週に100㎞は走っていたそうです。


 よく私は、「一般に思われているよりも低強度走の練習効果は高い」ということをずっと主張し続けているのですが、ジェイクさんも週に100㎞近い低強度走を中心に土台ができていたのでしょう。


 アメリカの大学に学費免除、寮費免除などの条件で入学するために、そこから少しインターバルトレーニングなどに取り組んだら、瞬く間に5000m15分12秒で走られたそうです。更に言えば、10歳とか12歳とかそのくらいの年齢の頃にはすでに英国のクロスカントリー大会でトップ20やトップ10に入るくらいの実力はあったそうで、どうやら素質には恵まれていたようです。


 しかしながら、それに加えて継続的な週に100㎞のランニングは大きな力となったでしょう。


 そして、実はジェイクさんは腹部の動脈の疾患で2回ほど手術を受け、その間は走るのを中断されています。走る代わりに15歳あたりから始めたのが総合格闘技です。それ以降は基本的には総合格闘技の為の体力作りとして走っておられたそうです。


 純粋な疑問として「総合格闘技の体力作りってそんなに走るものですか」と聞いてみたら「普通はそんなことはないけれど、私にとっては走ることは楽しいから走っていた」とのことでした。


 ただ、総合格闘技をされていたので筋骨隆々で米国の大学院にいらっしゃった際には体重が80㎏もあったそうです。そこから真剣に走りたいと思うようになってからは体重を65㎏まで落ちたそうです。


 では、更に疑問になるのはジェイクさんが真剣にマラソンを志すようになるまでに総合格闘技を約10年もやっていた訳です。にも関わらず、急に総合格闘技を辞めて真剣に走り出そうと思われたのは何故なのでしょうか?


 その時すでに25歳なのです。25歳になって、今から真剣に走り出そうと思われる方が一体どのくらいいらっしゃるでしょうか?


 以前に市民ランナーとしてハーフマラソン81分で走られたモア・シュタールベルクさんの記事を執筆させて頂き、その中でも書かせて頂いたのですが、日本人は人生を早くに決めすぎる傾向があると思います。これは人生を早くに決めすぎるというよりは様々な可能性に対して心を閉ざしがちな傾向にあると思います。


 結構、割となんでもやってみると出来るものなので、モアさん、ジェイクさん、あるいは弊社に5月から入社した水越のような例を知って頂きたいなと思います。


 では、一体何故ジェイクさんは真剣に走り出そうと思われたのでしょうか?


 こう書いては何ですが、その理由がまた何ともしょうもなく、総合格闘技の練習は基本動作の反復でつまらなかったのに対し、走ることは面白かったからだそうです。それだけの理由で、英国に住む外国人に対して英語を教える仕事をわずか4カ月でやめて日本へと渡ってきたのです。


 渡り鳥でももうちょっとしっかりした理由がありそうですが、驚異の決断力で日本にわたってこられました。ですが、私は本当にそのくらいの決断力でちょうど良いと思っています。だいたい人生において直感的にこれが良いと思った道は正しいです。どうしても、常識とか理性とか理屈とか確率とか周囲がどう思うかとか、そういったことで決めてしまいがちなのですが、一番大切なのは自分の直感だと私も思います。


 そして、この直感の正しさというのは日々真剣に生きてこないとなかなか出てこないものなのです。遊び歩いていてはなかなか出てこないのがこの正しき直感(直観)というものなのです。なんとなくこういったエピソードからもジェイクさんのお人柄がうかがえたので、今回電話インタビューをお願いしてみた次第です。


 それで気になったのが、ご両親がどんな教育をされたのかということです。ご本人に「何か特別な教育を受けたと思うか」との問いには「特に特別な教育は受けていない。ごく普通の教育である」とのことでした。ただ、幼少期からジェイクさんがやりたいと思ったことに対しては、なんでも賛成し、応援してくれたそうです。


 ここだけきくとのびのびとした自由教育と思いがちですが、これは同時に過保護ではなかったということではないかと私は思います。「なんでも息子がやりたいといったことに対しては応援してきた」とのことですが、これはなかなか出来ることではありません。親というのはついつい転ばぬ先の杖を用意したくなるものです。


 私自身について少し書かせて頂きますと、私が「大学には行かなくていい」と言うと親には「大学に行け」と言われ、私が「大学を中退してプロランナーになりたい」というと親に「大学くらいは出ておけ」と言われ、私が「プロランナーになる」というと親には「実業団に行け」と言われ、結婚する際にはやはり親には「それなら職業も考え直さなければならないな」と言われたものです。ついつい親というのは子供を溺愛するがゆえに、安全な方へ安全な方へと誘導してしまうものです。


 今私は高校生を指導していますが、その親御さんたちとお話しさせて頂いていても同じような傾向を感じます。


 ごくごく一部しか聞いていないのに、勝手に決めつけるのも良くありませんが、私はジェイクさんのご両親がジェイクさんを過保護にせずに、何でも自分で決めて、自分で行動させるという習慣を幼少期からつけていたのではないかと思います。これが実はランニングにも出ているのではないかと思います。


 というのも日本に来る前はハーフマラソン72分、フルマラソン2時間38分だったジェイクさんですが、誰に言われるともなく、先ずは総走行距離を月間1000㎞まで増やし、それから徐々に質を高め、スピード練習を導入し、徐々にスピード練習の量を増やし、ただ距離を踏むだけではなく、ある程度のペースの30-40㎞走を取り入れたり、とご自身でその都度今の自分に何かを考え、判断し、取り入れて来られてきているからです。


 正直な話、日本で実業団選手になるような人はだいたい中学くらいから陸上漬けです。しっかりと専門的な指導をして下さる顧問の先生にも恵まれていることが大半です。そこから実業団選手になって、自分の頭で考える習慣が身についておらず、急に考えてやれと言われても何を考えて良いのか分からないというケースはよくあるのです。


 このあたりが市民ランナーさんと所謂競技者の違いかなと私自身は思っています。市民ランナーさんの場合は、良くも悪くも自分の頭で考えてやるしかないので、そのあたりが競技者とは違う面白さになってくると思いますが、ジェイクさんは『何故日本のマラソンはダメになったのか』というような書籍も参考にしながら、ご自身でトレーニングを考え実行されてきたそうです。


 この自ら学び、自ら分析し、自ら考え、自ら実践するという一連のことをご自身できちんとされているのがランナーとしてもご成功されている要因であると私は思っています。


 また、興味深いことに私が市民ランナーさんの指導をさせて頂くやり方、あるいは私自身がセルフコーチングで国立大学帰宅部生としてハーフマラソン63分で走った時のやり方に非常に酷似しております。


 私自身もあまり血中乳酸濃度や最大酸素摂取量とか最大酸素摂取量の何パーセントなどの生理学的指標は気にせずに、実際に成功している選手たちがどのような練習をしていたのかというところから学び、自らの練習に応用し、実践し、分析し、というサイクルを繰り返してきました。


 もちろん、運動生理学的な事柄についても市民ランナーさんが知っておくべき内容はほぼ100%正確に説明出来ます。ただ、これは面白いから学んだだけで、実際には実践に重きを置いています。


 ジェイクさんの場合も「生理学的な指標などを重視しすぎることは走ることを複雑にする。それよりも単純に、過去に成功した人たちが何をやってきたのかというところから学び、実践し、自分の体の感覚も参考にしながら練習を決めた方が良い」とのことでした。


 私も全く同じ意見です。全く同じ意見なのですが、普通はジェイクさんみたいになんでも直感でパッパッと正しいトレーニングとは何かを理解し、決断し、行動するという風には人間出来ていないものなんです。


 そこで、私が使うのが論理なのです。論理的に何故このやり方でやれば上手くいくのかということを市民ランナーさんの皆さまにお伝えさせて頂くことで、納得した上で練習を継続し、多くの方に結果を出し続けて頂いています。


 ですが、本当にジェイクさんみたいに、直感(直観)でなんでも分かってしまうのが本当の分かり方ではあると思います。


ただ、こういう分かり方が出来るのは人口の1%もいませんし、私自身も直感(直観)でたどり着いた訳ではありません。色々な文献を読み込み、色々な方の話を聞き、多角的な考察を加え、理論でたどり着いています。だからこそ、それをわずかな期間にたちどころに理解して、実践して、結果に繋げてしまったジェイクさんには畏敬の念を抱きます。


 また、私が時間をかけて分析を加え、体系立てて取り組んできたことをジェイクさんはほとんど本能的に理解して、実践されてきています。大まかな流れとしては以下のような流れです。


1先ずは総走行距離を可能な限り増やす。ここでは質は一切考慮に入れない。


2次に、質に取り組むがこの段階ではまだスピード練習というよりは日々の持久走の質を上げていくとともに、中強度の持久走(ジェイクさんの言葉でいうところのSteady Pace)を導入する。


3スピード練習を導入するが、初めは本数も合計の疾走距離も少なく。後にスピード練習の本数を増やし、ある程度増やしたところで質も更に求めていく


4低強度の練習、中強度の練習、高強度の練習の三種類を組み合わせながら、5000m4-5本やある程度速いペースでの30-40㎞走などマラソンに向けた特異的な練習も取り入れながら、徐々にマラソンレースに向けて仕上げていく


 ジェイクさんの場合はわずか1年半でハーフマラソン63分、フルマラソン2時間14分まで持ってこられましたが、10歳から継続的に積み上げた有気的土台も決して無視してはいけませんし、またこれは本人もおっしゃっていたことですが、総合格闘技によって体が他の人よりも強いことも強みの一つになっていると思います。


 骨や筋肉の強度が高い方が故障しにくいですし、また総合格闘技によって様々な運動神経、また脳幹部などの原始的な身体能力(生命力)を高めてきたことがランニングに繋がっていると思います。日本人からすると、かなり異色の経歴ですが、実は道はきちんと一つに繋がっているのではないでしょうか?


 だいたい、長距離走、マラソンで自分自身の最高の結果を出すのには15年±5年かかります。40歳を過ぎてから走り始めるような方は加齢との戦いがあるので、10年±3年くらいで考えると良いでしょう。だいたい10年くらいかけて上記の4ステップを刻むと本当に良い記録が狙えると思ってもらえると良いかと思います。


 もう少し詳しく言えば、走歴が浅いうちはより基礎的な練習に、走歴をかさねるにつれてよりハーフマラソンやフルマラソンに向けての実戦的な練習を取り入れていくと良いというところです。


 そんなジェイクさん、気になるのはお仕事です。米国の大学院をご卒業なさった後、一度英国へと帰国され、外国人相手(非英国人相手)に英語を教えていたもののわずか4カ月で退職されたということは先述の通りですが、日本では何をなさっているのでしょうか?


 初めは大和証券グループが設ける大和スコラーシップという制度を利用されたそうです。これはどういうものかといいますと、さまざまな分野における日英の架け橋になれるような人材を育てるプログラムで1年半ほどは金銭的な援助とともに、週に30時間の日本語の授業を受けることが出来たそうです。


 これについても、面白い話を聞いたのですが、日本語教育で読み書きについてはどんどん習熟度合いが上がったけれど、実際の会話能力についてはこの研修の最後の約1か月のホームステイだそうです。日本の英語教育は完全にこのパターンで読み書きは出来るけれど、話せる人は非常に少ないというのが現状ですが、日本における外国人向けの日本語教育もこのようになっているというのは非常に面白い話です。


 私との電話インタビューにおいては英語を用いましたが、少し日本語でもお話しして下さった感じ、非常に日本語がお上手です。日本語はまだ不慣れであるので、出来れば英語でというジェイクさんからのご要望でしたが、大分謙遜も入っているのではないかと推察します。


 またこの研修期間に日本でのランニング生活を英語で発信され、いわゆるランチューバーとしてもご活躍され、チャンネル登録者数は7万人を誇ります。大学院でスポーツマーケティングを専攻されていただけあり、当初からきちんとした戦略を持ち、それを実践に移してこられたそうです。


 弊社副社長の深澤哲也が弊社に来てくれた時、「ブランディングとは生きざまのことである」と口を酸っぱくして伝えてきました。そもそもの生き方が面白くないとそれをどれだけ上手く見せたとしてもなかなか面白くはならないからです。


 とは言え、生き方が面白くてもやはりその見せ方が下手であると面白くはなりません。ジェイクさんは生き方そのものが面白い上に、御自身でしっかりと分析してから動画投稿をされているだけあって、対象者も「日本のランニングに興味のある外国人」と明確に絞った上で、まさに日本と異国の架け橋になるようなそんな動画配信をされています。

 更に、近日あるシューズメーカーとのスポンサー契約も結ばれるそうで、プロランナーとしてのキャリアも本格的にスタートされます。将来の夢は日本の実業団選手たちと一緒に練習することです。今の実力でもご縁があれば、一緒に練習してくれる実業団はあるはずなので(例えばコモディイイダとか)、良縁を願うばかりです。


 最後に、ジェイクさんから読者の皆様に何か伝えておきたいことなどはないかと問うと「日本人のとにかく一所懸命にやり抜くという心構えに感銘を受けるとともに学ばせてもらった。日本人は本当に一所懸命だ」とのことでした。


 どこまでも謙虚に学ぶ姿勢を持つジェイクさんから我々も学ばせて頂くとともに、日本人が失いつつある大和魂=一度決めたら断断固としてやり抜く心構えの重要性をもう一度見直したいものです。


 ジェイクさんのユーチューブはこちらよりご覧いただけます。編集なども非常に凝らしてありますが、普通に波乱万丈の人生が画面越しに伝わってきて面白いです。「男はつらいよ」のような見る者の感情を揺さぶる物語がそこにあります。


追伸

 電話インタビューの一番最後に「日本人女性についてどう思うか」と尋ねると「英国女性よりもかわいいと思う」との回答でした。将来はイギリス史上最高のマラソンランナーの一人になる英国紳士と結婚なんていうのも悪くはないなと思われる方は是非こちらをクリックして、インスタグラムで繋がって頂けますと幸いです。「池上の記事を読んだ」とメッセージして頂けますと、話が早いかと思います。


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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

© 2020 by ウェルビーイング株式会社

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