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執筆者の写真池上秀志

超効率的努力を実現させる最高の組み合わせとは?

 最近は努力することの重要性、地道な練習の重要性と効率の良い練習の重要性、そもそも効率的な練習とはどういうものかというテーマについてメルマガを執筆してきました。


 そんな中で本日考えてみたいのは、何故私が自分に合った最適な練習計画を立てるサイトやアプリを作らないのか、そもそもAIがあなたに効率的な練習方法をアレンジしてくれるのかと言うことです。


 最近は、アプリで自分に合った練習計画を立てられるようなものもありますし、実際に私もプロランナー時代に開発にあたってのフィードバックが欲しいということで協力したこともあります。その担当者の方は、すでにその人に合った練習計画を立てられるアプリを開発したとおっしゃっていました。出来る訳ないのに。


 そうなんですよ。出来るわけがないんです。


 これは技術的に不可能なのではありません。技術的に不可能なのであれば、技術の進歩によって可能になります。ですが、これは技術的に不可能なのではなく、理論的に無理なので不可能なのです。


 何故、私が無理だと断言できるかというと私も一回やってみたからです。やってみた上で、理論的な限界に到達し、断念しました。断念っていうと私が勝手に諦めたみたいですけど、そうではなくて、理論的に不可能であることがきちんと確認出来たので、私はそれはそれで一つの進歩だと思っています。


 少なくとも、経営者として出来るわけがないアプリやサイトの開発に投資するという過ちを犯さずに済みます。


 最近はAI、AIという言葉を使いますが、AIとは日本語に直訳すると人工知能のことであり、汎用型計算処理機のことです。英語で別の言葉で言うならば、Computerのことです。Computerという言葉がおそらく一番しっくりくるでしょう。


 なんか最近は最新のAIの技術でみたいなことが言われ過ぎだと感じますが、AIという用語は1970年代から1980年代に出来た言葉かもしれませんが、Computerと大きくは変わりません。


 何故、そんなことを私が知っているかと言うと、Computerの研究は第二次世界大戦中に大きく進み、それによってドイツとイギリスの戦局が大きく変わったからです。ご存知ない方の為にお伝えさせて頂きますと、私は一応高校の地歴公民の教員免許を持っています。大学でももちろん、第二次世界大戦の辺りの範囲は研究の対象になっていました。


 Computerの日本語訳はだいたいは汎用型計算処理機(以下コンピュータと記します)と言われますが、要は計算をしています。コンピュータが進歩したのは暗号作成と暗号解読の為です。当時ドイツ軍が作った暗号は解読不能と言われていました。それもそのはずで、特殊なタイプライターで3つの符丁を組み合わせて、159×000000000000000000通りの可能性を作り、その符丁を24時間ごとに組み替えていたからです。


 つまり、連合国側は159×000000000000000000通りの組み合わせを天才数学者たちに24時間以内に解読させる必要があったのです。


 ところが、アラン・チューリングという男が暗号が機械で作られるのであれば、それを機械に解かせれば良いのではないかと考えたのです。そして、実際にその高度な計算処理が出来る機械を作りました。


 そして、戦後になって更にその計算処理システムを複雑にし、現在のコンピュータの原型であるチューリングマシンです。


 ところで、コンピュータの仕事とは一体何でしょうか?


 それはある命令に応じて、適切な行動を取ってくれることです。


 例えば、ワードのアイコンをクリックしたらワードが開かれます。×印をクリックしたら、ワードを閉じます。こちらがコンピュータの形式に則ってある命令を下したら、その命令に応じて回答してくれるのが、コンピュータです。


 もう少し言い方を変えるとある入力に対して、適切な出力をしてくれるのがコンピュータです。


 この時に、コンピュータは日本語が分かりませんから、コンピュータ言語という独自の言語を使います。この言語を何故使うかというと計算が可能だからです。


 例えば、私が打ち込んでいるこの文章もやろうと思えば、全て0と1で表すことが可能になるはずです。0と1という二つの数字を使って暗号化しようと思えば、私が打っているこの文章を全て0か1で表せるはずです。


 これは普通の日本語話者にとっては暗号ですが、コンピュータは計算速度が尋常じゃなく速いので、計算できる形にしてあげた方がコンピュータは分かりやすいのです。という訳で、コンピュータは計算処理能力が尋常じゃなく高く、計算できる形式に変換してあげて、正しい解き方を示す式さえ与えてあげれば、ちゃんと機能するのです。


 このことは非常に重要な点なので、おさえておいてください。コンピュータは計算が得意で、計算できる形で入力し、計算式をきちんとプログラミングしておけばちゃんと計算してくれるのです。


 この原理に基づいてアラン・チューリングは「機械は思考する」と主張しました。例えば、私に「好きな俳優は誰ですか?」と聞くと「特にいません」と答えます。これは「好きな俳優は誰ですか?」という入力に対して、「特にいません」という回答が得られたことになります。


 弊社副社長の深澤哲也に「好きな俳優は誰ですか?」と入力すると、「ジェイソン・ステイサム」という出力が得られるとしましょう。


 このように、人はそれぞれ、ある入力に対して、異なる出力を出します。つまり、人はそれぞれ異なる思考様式を持っているのです。機械も同じで、独自の思考様式を持っているだけで、人間と同じだという主張がアラン・チューリングの主張です。


 これに基づいて、そのコンピュータの完成度を試すテストが作られ、それがチューリングテストと呼ばれるものです。チューリングテストとはコンピュータに様々な答えを打ち込んで、返ってくる答えを基に、回答しているのがコンピュータか人間かを当てるテストです。


 このテストで、人間かコンピュータか分からなくなったら、チューリングテストには合格です。人間かコンピュータか分からないというのは、言い換えれば、コンピュータも人間と同じように会話することが出来る証明になります。


 これこそが人工的な知能、つまりAIです。という訳で、最近はなんでもかんでもAIと言っておけば良いみたいな風潮がありますし、実際にもしかしたら、私がそういう自分に合った練習計画を立てられるAIサービスみたいなものを作れば一定数(それも結構な数)の人が有料でも使うでしょう。


 ですが、騙されてはいけません。アラン・チューリングでも解決できなかった問題があるからです。


 そもそもの話をすると、AIというとコンピュータが勝手に考えているみたいに思っている人もいますが、別にそうではなくて作成者のプログラミング=計算式に則って計算しているだけです。


 ですから、本当の意味で人間のように思考している訳ではありません。


 で、ここで一つ問題が出てくるのですが、そもそも自分に合った練習計画を立てるために必要な要素を聞かれて答えられる人って何人くらいいますか?


 AIが何とかしてくれるみたいに思っている人も多いのですが、プログラミングするのは人間です。ということは、そのプログラマー自体がどうしたらその人に合った練習計画を立てられるか分かっていますか?


 先ず、これが分かってないと無理なんですよ。


 では、私はどのように考えたのかということですが、大きく分けると以下の4つの要素があります。


1負荷と休養の調和=適切な練習の負荷の設定


2質と量の調和=適切な練習量と質の設定


3一般性と特異性の調和=基礎的な練習と実戦的な練習の比率を適切に設定する


4時間=上記3つの要素を適切な順序で組み合わせる


 この4要素です。


 この4要素に応じて適切な組み合わせを作ってくれる計算式が作れれば、その人に合ったピッタリな練習計画を立てられるプログラムは作れます。


 しかし、ここで大きな問題になってくるのは、以下の2点です。


1その練習の負荷の大きさをどうやって数値化するのか?

 様々な科学論文では客観的に負荷の大きさを示すのに心拍数×時間という指標を用いています。あるいはそれに安静時の心拍数と最大心拍数を考慮に入れた指標を用います。しかしながら、それは一つの大きな目安であって、生身の体にかかる負荷を完全に数値化することは不可能です。


 生身の体にかかる負荷は心拍数×時間だけでは正確に表せません。それでは大雑把すぎますし、その時々によっても変わってきます。また、トレーニングはただやるだけではなく、適応するということが重要になるのですが、この適応の速度も人それぞれなので、やはり同じ計算式は使えません。


2フレーム問題

 実はこの2つ目のフレーム問題の方が重要になります。フレーム問題というのは、基準をどこに設定しても必ず例外が生じてしまうという問題です。


 例えば、皆さんはカフェとレストランの違いって分かりますか?


 試しに、下記の飲食店をカフェかレストランのどちらかに分類して下さい。


・ドトール

・スターバックス

・コメダコーヒー

・ヴェローチェ

・サイゼリヤ

・ガスト

・ココス


 聞いたことがないお店は分類出来ないと思いますが、大半の方は次のように回答されたと思います。


カフェ

ドトール

スターバックス

コメダコーヒー

ヴェローチェ


レストラン

サイゼリヤ

ガスト

ココス


 そんなことは簡単だと思われるかもしれませんが、機械にこれを判別させるのはほぼ不可能です。


 例えば、ご飯を食べるのがメインのお店がレストラン、ドリンクをメインに行くのがカフェと人間ならだいたいこの説明でいけますが、カフェだってモーニング目当てで行く人も結構いますし、お昼ご飯を食べに行く人も結構います。


 ファミリーレストランにいってドリンクバーだけ頼んで勉強している学生さんも結構います。


 人工知能にこの辺りのことを理解させるのは不可能なのです。人間なら「屁理屈言うな」と言われるようなことでも、機械なら厳密な基準がないと判断できないのです。


 こうなってくると、何が出来なくなるのかということですが、一番難しいのはトレーニングの進捗具合を見ながら練習を修正していくというようなことが出来なくなります。


 徐々に距離を増やしていく、徐々に質を増やしていく、一般性から特異性へと徐々に移行させていく、そういったことが出来ません。


 例えばですが、最適な質と量のバランスを考えた時に、人によっては中強度の持久走の質を上げた方が良い人もいます。しかし、これは質を上げたことになるのでしょうか?それとも量を増やしたことになるのでしょうか?


 中強度の持久走の質を上げたという意味においては、質を上げたことになりますが、中強度の持久走のレベルを上げたということは持久面に重点を置いたことになります。


 逆に、400mのインターバルの本数を15本から20本に増やしたのは量を増やしたのでしょうか?それとも質が上がったのでしょうか?


 確かに、本数が増えたという点に関しては量が増えています。しかし、質の高い練習の量が増えたことによって練習全体においては質が上がったことになります。


 また、一般性と特異性と言いますが、その厳密な線引きは出来ません。


 例えば、10000mのレースに向けた準備において、600m15本を200mジョギングでつないで、10000mのレースペースでやるような練習は基礎スピード練習でしょうか?それとも特異的スピード練習でしょうか?


 合計の距離は9000mですし、ペースも10000mのペースですし、そこまで休息時間が長い訳でもなければ、そこまで疾走距離が短い訳でもないので、特異的スピード練習に一応分類できそうです。


 ですが、10000mのレースペースでたった600m走ることは難しくありませんし、休息も200mジョギングだとゆっくりつなげば80秒くらいになります。まだまだ基礎練習に分類出来なくはないです。


 人間の場合は、経験も踏まえてなんとなくの判断を下していくことが出来ます。だいたい、こんな感じという全体像が分かっていればそれで良いのです。


 ところが、機械はだいたいこんな感じという判断は出来ません。全て厳密に機械的に計算する必要があるのです。ただ、そこまで厳密に機械的に計算して上手くいくのかと言うと、やっぱり無理が生じます。その人の状況に応じた修正が必要になります。


 ただ、基本的な考え方は同じでいけます。


 そもそも、何故コンピュータを使うのかということですが、それは計算処理能力が非常に優れているからです。これはもう人間には勝てないです。ですから、将棋のように駒の動きがはっきりと決まっており、それが如何に複雑なものであろうと単純計算でいけるものに関しては、プロ棋士もコンピュータに負けるようになっています。


 ただ、長距離走、マラソンの場合は単純計算ではいきません。それはある刺激に対する反応が人それぞれだからです。


 計算の場合は689779788473899×7375789497772638348のような複雑な計算でも答えは必ず一つに決まるので、計算処理能力が優れていれば一瞬で答えが出ますが、人間を相手にする場合は論理や計算によって答えをたった1つに絞ることが出来ないんですね。


 ただ、その中で最適解に近い複数の答えが示せればそれで良いのです。


 その代わりといってはなんですが、人間はなんとなく総合的に判断が出来るのです。そして、経験さえ積めばなんとなく正しくなります。先ほどのカフェかレストランかという問題もある程度の年数生きているからできることで、保育園児とかには無理だと思います。


 あと、日本人ならだいたい旅館かホテルか見解の一致をみると思いますが、外国人なら経験がないので、見解の一致を見ないと思います。


 つまり、人間も無意識のうちに思考の様式を学んでいる=プログラミングしているんです。プログラミングしているケースと知らない間にプログラミングされているケースと両方あり、だいたいは知らない間にプログラミングされてしまっている訳ですが、長距離走、マラソンの場合は良くも悪くも全くプログラミングされていない方がほとんどです。


 そして、ウェルビーイングオンラインスクールでは何をしているのかというと、人間である受講生様に長距離走、マラソンが速くなるための最適な努力の仕方をプログラミングしている、つまり思考の様式をお伝えさせて頂いているんです。


 確かに、自分が勉強しなければいけないので、時間がかかります。ただ、結局はそちらの方がAIに頼るよりも正確かつ速いのです。


 そして、それだけで後は勝手に全てやっておいてくださいでは無理があるので、過去三年間で数百人のアマチュアランナーさんを劇的に速くしてきた私自身の経験も使って頂けるように無料メールサポートもお付けさせて頂いています。


 実はその人自身に長距離走、マラソンが速くなるための努力の仕方をプログラミングしつつ、経験豊富で実際に結果を出しているコーチの経験を有効活用するというのが最高の組み合わせなんです。


 現在、この無料メールサポートのご利用が有難いことに大変多くなっており、休みなしでお仕事をさせて頂いておりますが、返信が滞り始めております。基本的には24時間以内、遅くとも30時間以内には返信させて頂いておりますが、一人一人しっかりとサポートをさせて頂きたいため、受講生様の数を絞らせて頂いております。


 もう、かれこれ一か月近く募集をしておりませんでしたが、今週の金曜日夜8時より8名様限定で、新規受講生様を募集させて頂きます。


 超効率的努力を実現して、効率良く速くなりたい方は是非こちらをクリックして、詳細をご確認ください。

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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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