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マラソンにおける我が闘争4:質を導入していく機

 あらすじとしてはアドルフ・ヒトラーが1945年からタイムスリップしてきて、2019年にベルリンで合宿をしていた私に出会い、ユーチューバーだと思い込んだ私がヒトラーと一緒に仕事をすることになり、その一環としてランニング初心者56歳男性のアドルフ・ヒトラーを色々指導し、1年後にサブ3を目指すという話です。


 ランニングと社会、経済、歴史、政治、虚構と現実が巧妙に混ざり合う長編小説です。戦争や人種差別を助長するようなものではなく、アドルフ・ヒトラーの登場なしには描けない内容になっているので、そういった設定になっていることを予め申し上げております。


 本日はサブ3を目指して、少しずつ練習量を増やしてきたヒトラーに徐々に質を導入してく方法論を解説している部分を無料で公開させて頂きます。


1か月後

 前回トレーニングについて話してから、1か月が経ち、そろそろ次のステップへと進めるはずであった。私はヒトラーに電話をかけた。


「もしもし、池上ですが、お元気ですか?」


「ああ、元気だ。そちらはどうだ?」


「えー、私も元気です。今日は最近の練習の具合はどうかなと思ってお電話させて頂いたのですが、それよりも凄いですね。もうチャンネル登録者数1万人突破したじゃないですか」


「あー、ツイッターにあげたら次々と拡散されて、物凄いペースで広まり続けているよ」


「そりゃ、あの質の高さであれば、次々と拡散されるでしょう。だって、まさにアドルフ・ヒトラーそのものですよ」


「当然だ」


「さすがはプロですね。しかし、まさか深澤よりも速いペースでチャンネル登録者数が増えるとは思いませんでした」


「まずは話を聞いてもらわないと何もならないからな。しかし、どれだけ人数が増えようと、我々は常に多数派ではなく、少数派でなければいけない。ドイツ国家社会労働党はたった7人の誠実な男たちから始まった。そして、この7人の誠実な男たちは2つの基本理念を有していた。第一に、真実と誠実さに基づく世界観を持つことであり、第二に・・・」


「その理念の為に、ドイツにおける妥協なき、唯一の強大な力たらんとした、でしょう?」


「その通りだ。やはり、あなたはなかなか見どころがあるな」


「まあ、視聴者数が増えてもおごらず、視聴者数が少なくとも腐らず、真実だけを伝えていくということは非常に大切なことですよ。それよりも、本日は総統自身の練習の様子を聞きたかったんですよ。あのあと、順調に練習量は増やせていますか?」


「ああ、週に2回は1日2回30分のジョギング、週に2回は1日1回60分のジョギング、週に1回は90分のジョギング、週に2回は走らずに小谷祥子の「ランナーの為の体幹補強DVD」を継続している。走ることにも慣れてきたし、「ランナーの為の体幹補強DVD」のお陰で、かなり腹筋も割れて来たぞ」


「そこまで練習量が増やせたら、言うことはないですね。ここからは徐々に練習の質を増やしていきましょうか。「ランナーの為の体幹補強DVD」に関して言えば、小谷さん曰はく2か月くらいで腹筋が割れるそうなので、そんなもんでしょう。60代の方でも腹筋割れてきたとおっしゃいっていましたからね。総統はまだ56歳だからそんなもんじゃないですか」


「すべて、あなた方の言った通りということか」


「まあ、長距離走、マラソンに才能なんかほとんどないですからね。大体言われたとおりにやってもらえれば、思った通りに練習が進んでいく感じですかね」


「大した自信だな」


「まっ、自信って言うか私の理論に基づいて実際にやってみたら、そうなってきてるんで。別に私が凄い訳ではないです。宇宙の法則みたいなものですよ。例えば、今は天気予報なんかもかなり正確ですが、それは衛星から雨雲などの位置や気圧を正確に計測できるようになり、それを法則に当てはめているだけでしょう。でも、それが分からない時代には、神様のせいにしたり、雷様のせいにしたりしてたわけですよね。


 それと同じで法則さえ分かっていれば、別にたいしたことではないんですけど、知らない人からしたら何か得体のしれない力が働いているように見えるだけなんですよ」


「なるほど、別にあなた自身が優れている訳ではなく、あなたはただ他の人が知らない法則を知っているだけということか」


「まあ、そんなところですね。だから、今後の総統の流れもだいたいは分かりますよ。ただ、トレーニング刺激に対して、体が適応する速度というのは人によって若干異なりますから、正確なところまでは断言できないですけどね」


「ならば、これから私はどうなっていくのだ」


「だから、とりあえず今練習でコンスタントに90分走れるようになった訳ですよね。1キロ6分ペースなら15キロですよ。それより遅いペースなら14キロくらいですか。とりあえず、これが速くならないとハーフマラソンが速く走れません。ただ、いきなり長く速くは走れないから、先ずは30分走の速度を徐々に上げていきます。同時に、体に速く走る動きを覚えさせていきたいので、流しという練習を週に2回ほど入れていきます」


「その流しという練習はどういう練習かね?」


「あれっ、前説明しませんでしたっけ?総統はベルリンオリンピックの際に短距離種目はご覧になられていましたか?」


「あー、観ていたよ。黒人のような劣等民族も速くてなかなかに面白かったな」


「もー、そこはいちいちツッコまないですけど。土トラックで、スタブロもないのに10秒台ですからね。現在にそのまま生まれ変わらせてもそこそこ通用するでしょうね。その短距離種目の予選や準決勝で、最後に手を抜いている選手がいたのを見ていませんか?」


「あー、何人かいたよ。特に、金メダルを取ったジェシー・オーエンスは予選なんかは軽く流して通過していたよ」


「今、なんとおっしゃいましたか?」


「予選の最後なんかは軽く流していたと言ったんだ」


「それです。それが流しの元々の意味です。つまり、全力で走らずに流す、つまり手を抜いて走るんです。長距離走というのは、最終的にはリラックスして速く走る競技です。余分な力を全て抜いて、でも最終的に競うのは如何に速く走れるかです。ですから、練習でも定期的に短い距離を速く力を抜いて走るのが流しです」


「どのくらい流せば良いんだ?」


「それは難しい問題です。ですから、基本的には全力で走ることを基準に手を抜くのです。ですから、50mから最高でも200mくらいの距離で実施することがほとんどです。ただ、長距離の場合はそこまで速く走らないですからね。場合によっては、10キロのレースペースくらいでも良いかなという感じです」


「10キロのレースにまだ出たことがないんだが」


「そうなんですよ。初めはそうなるんですよ。ですから、とりあえず、あまりペースは考えずに、子供の頃に戻ったつもりで速く楽しく適度に脱力しながら走って、また休憩を挟んで同じことを繰り返す、それを3本から10本程度繰り返せば大丈夫です。距離も適当に50mから150mくらい、あの電柱からあの電柱までとかで大丈夫ですよ」


「なるほど、その練習を加えることで今まではひたすら距離だけ走っていたところにスピードが加わるということか」


「うーん、そうですね。それもありますが、それよりも大切なのは技術の習得ですね。どうしてもゆっくり長くばっかり走っていると接地時間も長くなるし、重心も後ろに残りがちになるので、体に接地時間が短く、重心が前に前に乗っていく感覚を覚えさせるのが一番の目的です」


「だが、その速度に適した走り方があると言っていたではないか?」


「それはその通りです。ただ、大きく速く、重心が前に前に乗っていく動きが出来た上で、ペースが遅いからその動きを小さくしていくというのと、初めから遅く小さい動きしか出来ないというのとは違うんですよ」


「なるほど、一度大きく速い動きを作って、そこから小さくしていくイメージということか」


「まさに、おっしゃる通りです。初めから小さい動きだけをしていたら、なかなか経済的な走りが身につきません。トップランナー達は速いペースでもゆったりと走っているように見えますが、その最大の理由は彼らはそれよりも速いペースに体を慣らしているからです。マラソンでは、それが更に顕著になります。5000m12分台や13分台前半で走るような選手は普段から、1000m2分40秒から2分35秒ペースに体を慣らしています。ですから、マラソンのような1キロ3分を少し切るペースだとゆったりと見えるんです」


「なるほど、しかしそれならば、1000m5本などのインターバルをやった方が良くないか?」


 私はそこで思わず苦笑した。


「総統、練習で新しい刺激をかける時は少しずつ少しずつだと言っているでしょう。今は量のことだけ考えて質のことは一切考えずにやってきました。だから、少しずつ質の部分も導入していって、最終的に質の高い練習の量を増やしていくんです」


「そうか、そうか、そうだったな。ついつい熱くなってしまった。そうすると、具体的な練習内容としては、週に2回は30分間ある程度速いペースで1日2回走る、週に2回は1日1回60分ゆっくり走る、週に1回は1日1回90分をゆっくり走る、週に2回は「ランナーの為の体幹補強DVD」をやるという感じか。あれっ、ちょっと待て!流しはどこに入れるんだ?」


「えーっとですね。とりあえず、一日2回30分走るうちのペースを上げるのは1回だけにして下さい。もう一回は今まで通り、ジョギングだけです。それから、流しというのはあくまでも練習の補助であって、メインではないので、それ単体でやるのではなく、持久走の後に組み込みます。60分ジョギングの後に組み入れるパターンと30分のペースの速いランの後に組み入れるパターンの両方が考えられますが、ここでは質を追う日は質を上げるということで、30分のペースの速いランの後に組み入れるのが良いでしょう」


「なるほど、流しというのは練習の補助なのか」


「そうですね。私の場合は集中して走る日と気持ちを抜いて、リラックスして走る日とはっきりと分けたいので、中強度走の後に200m5本入れたりします。まあ、でもゆっくりばっかり走ってると腰が落ちたり、接地時間が長くなりやすいから、最後に速い動きを入れて、腰が前に前に乗っていく感覚と接地時間を短くパッパッパッパッと走る感覚を身につけるという意味では、やっぱりゆっくりジョギングの後なんでしょうね。これは必ずしもどちらが良いということは言えないです」


「要するに、どちらでも良いと?」


「どちらでも良いので、好きな時に入れて下さい。あとは朝に30分速いペースで走って、午後のゆっくり30分ジョギングの後に流しを入れても構いません。私はこれも同じように速く走るなら、まとめて速く走って、午後からはゆっくりのんびり走りたい派ですが、これは性格の問題でしょうね。練習内容的には別にどちらでも良いです」


「そういうもんなのかね」


「そういうもんですね」


「よしっじゃあ、早速その通りにやってみるよ。とうとう、全力で走る練習も入ってきて、ワクワクするよ」


「あーー!!ちょっと待ってください!」


「どうした?」


「確かにペースが速いとは言いましたが、全力とは言っていません」


「何?」


「繰り返しになりますが、新しい刺激を加える時には慎重にが鉄則です。その方が結局早いんです」


「つまり、どうしろと?」


「まずは走り始めはいつも通り走り始めます。そこから、15分を過ぎるくらいから徐々にペースを上げていって、最後の5分くらいは気持ち良く速いペースで走ります。全力で走るべきではありませんが、まっ最後の5分くらいはかなり全力に近くなっても良いでしょう。いずれにしても、自分が気持ち良く速く走れるペースです。これに慣れてきたら、スタートからある程度速いペースで走り始めて、同じように後半徐々にペースを上げていきます」


「そんなことをしていて、いつになったら、マラソンが走れるようになるんだ?」


「お言葉を返すようですが、結局新しい刺激をかける時は少しずつ少しずつやっていった方が早いんです。多くの人がいきなり新しい刺激をたくさんかけて、疲れ切り、体が適応せず、同じところでいつまでも足踏みして、自分のしっぽを追いかける犬のようにグルグルグルグル同じところを周っている人がいます。そうならないようにするには、少しずつ新しい刺激をかけて、確実にその刺激に適応することですよ」


「まあ、楽して速くなれるならそれに越したことはないが、本当に他の人よりも楽して速くなるということがあり得るのかね?」


「マジノ線のように比較的簡単に突破できることもあれば、独ソ戦のように莫大なコストをかけ、スターリングラードまで侵攻したにも関わらず、突破できないこともある。かけるコストと得られるリターンが必ずしも一致しないことは当然のことではないでしょうか?」


「それはそうだ。適切なプログラム(綱領)こそが必須だな」


「そうなんです。適切なトレーニングプログラムこそが必須なんです」


「だから、今は必ず私の言うことを守ってください。ついでに、これから起こることを予言しておくと、そうやって新しい刺激を体にかけていくと、同じ感覚で走っていても、30分間の速いペースのランニングのペースが上がってきます。そして、それに伴って、それ以外のゆっくりのジョギングのペースも勝手に上がってきます。そうすると、90分間のゆっくりジョギングで走れるペースが上がってきます。自然と、同じ時間でもこなせる距離が増えてきます。さらに、今までと同じペースで走ると今までよりも楽なので、長い距離が走れるようになります。苦しいまま長い距離は走れませんから、先ずは今走っているペースが楽になることが大切です。そうすると、あと2か月経たないうちに、1か月くらいかなと思いますが、ちょっと微妙なので2か月経たないくらいといっておきましょう。コンスタントにハーフマラソンの距離が走れるようになります」


「そういうもんかね?」


「そういうもんです」


「しかし、あれだな。あなた自身は二流の域を出ないくせに、よくそんなに自信を持って話せるな」


「ハハハッ、痛いところをつかれましたね。しかし、繰り返しになりますが、ある程度のところまでは、だいたい皆同じやり方で同じように反応します。本当に男子でマラソン2時間10分切るとか、市民ランナーの方で2時間20分切るとかなってきたら、色々な試行錯誤が必要になると思いますが、50代男性のサブ3くらいまでは、だいたい同じ流れでいけますよ」


「そういうもんかね?」


「ええ、そういうもんです。他に何かご質問はありますか?」


「最後にもう一度確認だが、週に2回は1日2回30分のランニングでうち1回はいつも通り走り始めて、後半徐々にペースを上げていく、週に2回は1日1回60分、週に1回は1日1回90分、週に2回は走らずに「ランナーの為の体幹補強DVD」をやる、そして補助として週に2回ほど流しを入れるという流れで良いのだな」


「ヤ―ヴォール、マインフューラー(おっしゃる通りです。我が総統)」


 私はおどけてそう返した。


「それで、これをどのくらい続ければ良い?」


「そうですね、3週間くらいは続けましょうか。それで、総統の体の感覚も踏まえて、30分走をスタートからある程度速いペースで行くかどうかですね」


「分かった。ではそうしてみよう」


続く


池上秀志の人気書籍トップ3

第1位ランナーズバイブル

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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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